伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

核兵器廃絶のイニシアチブ求める意見書等など4件提出

2016年11月30日 | 市議会
 明日からいわき市議会12月定例会が始まります。

 前日の今日は意見書の締め切りでした。意見書は議員が発案するもので、それぞれの会派が国や他の自治体など行政機関に対して、議会としての意思を伝えるために採択をされるものです。採択された意見書は関係機関に送付されることになります。

 今度の定例会に、日本共産党からは、8万円の最低年金制度の創設を求める内容の意見書案、雇用促進住宅に住民が住み続けられるように求める内容の意見書案、核兵器禁止条約の交渉にあたって核兵器廃絶のイニシアチブを求める内容の意見書案、そして東京電力に情報公開の徹底と津波対策を求める内容の決議案の4件を提出しました。

 手元にある案文は後者2件分ですが、どうぞご覧ください。



2017年3月に始まる核兵器禁止条約交渉で、国民の悲願である核兵器廃絶に向けて日本政府が積極的にイニシアチブをとることを求める意見書(案)



 2016年10月の国連総会第1委員会で来年3月から核兵器禁止条約交渉を始める決議が採択されたが、日本政府は決議には反対したものの、交渉には参加することを決めたと伝えられている。

 1945年8月6日の広島、同8月9日の長崎への原子爆弾による攻撃で多数の人命を失い、生存できた被爆者は後に続く原爆後遺症や被曝による心もとない風評との長期にわたるたたかいを強いられ、そして1954年3月1日のビキニ環礁での水爆実験の降下物によってマグロ漁船・第五福竜丸の乗組員が被曝し急性放射線症で命を落とすなど、日本国民は3度にわたり核兵器による痛ましい犠牲を目の当たりにしてきた。この体験から、核兵器廃絶は被曝者のみならず多くの日本国民の願いとなっている。

 また、世界に核兵器が拡散し、人類を何度も死滅させることができる量が蓄積される中で核軍縮は国際的世論となり、いまや核兵器禁止条約交渉の開始を55 ヶ国が共同提案し、123 ヶ国が賛成して採択されたことに示されるように核兵器の禁止・廃絶は国際的世論の大きな流れとなっている。

 いわき市は1986年3月31日に、「世界で唯一の核被爆国という痛みの中から 世界中に核兵器の廃絶を強く訴える 『核兵器はつまらないからよせ』と」と訴える「いわき市非核平和都市宣言」を採択し、これに基づき核兵器の被害の実相を伝える活動をすすめると同時に、核保有国あるいは核兵器の開発をめざす国が核実験を行った際には、これに抗議もしてきた。

 いわき市議会も、2009年5月臨時会及び2016年2月定例会で北朝鮮の核実験に抗議するなど、核兵器の実験に対して抗議の決議あるいは声明の発表などを行ってきた。また、2010年2月定例会では国に対し、「本年5月に予定されているNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議において主導的な役割を果たすとともに、核保有国を初めとする国際社会に対し、核兵器の廃絶に向けて一層働きかけるよう強く要望する」とする意見書も採択し、送付してきた。

 こうした一連の経過を踏まえる時、来年3月に開始される核兵器禁止条約の交渉開始は、本市非核平和都市宣言に盛られた核兵器廃絶に道を開くものであり、条約の制定が大いに望まれるものである。

 したがって国においては、今回の核兵器禁止条約の交渉にあたっては、核兵器廃絶を悲願とする日本国民の代表としてイニシアチブを発揮し、世界で早期の核兵器廃絶を達成するために尽力することを、強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。





東京電力株式会社にあらためて情報公開の徹底と安全確保を求める決議(案)



 2016年11月22日に発生した福島県沖を震源とする地震では、小名浜港に60㎝の津波が押し寄せ市民が避難する事態になったほか、地震の揺れにより建物のひび割れなど、様々な災害をもたらすものとなった。

 また2011年3月11日に発災した東日本大震災で被害を受け、大量の放射性物質の放出をもたらす水素爆発事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所及び第二発電所には、それぞれ1mの津波が到達したとされ、また第二原発3号機での冷却一時停止や使用済み核燃料プールからの水漏れなどが発生したと伝えられている。

 この地震は、東日本大震災後初めて津波警報が発令され、実際に津波も押し寄せたものであり、原発事故後に東京電力が取り組んできた災害対応の改善が、実際に試される事例となったものであり、東京電力にはこの対応を検証しながらさらに改善を図っていくことが求められている。

 本市議会としては、この間明らかになったものとして、以下の2点を指摘せざるをえない。

一つは、情報公開のあり方の改善にさらに取り組むことである。

 事故当初の情報公開のあり方に問題点を指摘された東京電力は、基本的に全ての情報公開をするなどの改善を図ってきた。しかし、今回の地震・津波にあたっても問題を指摘せざるをえない。

 今回の報道等を通じても、東京電力の発表をもとに地震・津波による原発への影響など、様々なことが報道されている。

このうち、第二原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却停止の原因は、当初のプール脇の「タンク内の冷却水が揺れ、警報機が水位低下と感知したため」から「タンク内の水位が低下したため」と、実際に水位低下が起こっていたという、より厳しい内容に変更された。

 また、第二原発では2から4号機の使用済み核燃料プール内の水が、計11ヶ所で約485リットル漏れ、水たまりができていたことを、地震発生の当日に把握しながら2日後に発表するという結果になった。

さらに、津波の波高も当初、第一、第二原発とも1mと伝えられたものが、後に第一原発では1.6mだったことが伝えられている。

 こうした東電の対応は、発表される情報への信頼性を揺るがし、風評被害等に苦しんでいる本市市民にさらなる苦しみ上乗せするものであり、また、全ての情報を公開するという東電の取り組みが徹底されていないことを示している。

 あらためて情報公開のあり方を検証しながら、より広く、より正確な情報公開ができるよう改善をすすめることが必要である。

 二つ目に、津波対策を急ぐことである。

今度の地震は東日本大震災後に初めて津波が襲来する災害となったが、水素爆発事故をおこした第一原発の防潮堤は、高さ12から14mの仮設防潮堤を敷地南東部に設置しただけで、襲来する津波には無防備に近い状態で事故収束作業がすすめられている。

 建屋地下の高濃度汚染水の流出を防ぐための津波対策が優先されているからとされるが、今後、津波により事故をおこした原子炉にさらなる被害が及ぶことがあれば、収束作業に甚大な影響を与えることは明らかで、ひいては福島県民、いわき市民にさらに長期にわたる苦しみをもたらすことになることはあきらかである。

 したがって早急に防潮堤の整備をすすめ、津波から事故原子炉等を守る対策をすすめることが必要と考える。

 以上、東京電力がこれらの実現に真摯に取り組むことを求め、決議する。

いわき市議会





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