人を見かけで判断してはいけないよ、がテーマの絵本。
日本ではこのテーマによく使われるのはおおかみや鬼です。
例えば、
きむらゆういちさんのあらしのよるに。
いもとようこさんのないたあかおに。
さくらともこさんのともだちほしいなおおかみくん。
今日のイタリアの絵本はとても働き者で誰かの役に立ちたいワニが主人公です。
絵本から飛び出して夜中に家事をして住人を喜ばせます。
誰が家事をしてくれているのかを知りたい住人が夜にクローゼットに隠れて待ちます。
そして絵本から出てきたワニを見て大慌て。最初は怖がっていた住人ですが
親切丁寧なワニくんを受け入れ一緒に住むことにします。数日だけのはずが
住人に気に入られてワニは喜んで朝食の準備係となり皆が幸せに暮らすというおはなし。
日本のお話は切なかったり、感動したり、心に訴えてくるものなんですが、
この絵本は家庭で自分の役割を見つけ住人の一員になるという終わり方です。
イタリアではパートタイムで家政婦さんを雇っている家庭があります。
ワニくんが家政婦さんに見えてしまうほど本当に働き者です。
そこまでして自分の存在を住人に気がついて欲しかった、
家族に受け入れて欲しかったんだなぁと思うと切なく、と同時に
実はワニくんはイタリアで家政婦さんをしている外国人労働者の存在が
投影されているのではないか、と思いました。
人 (異国人) は見かけで判断されてしまうもの。そしてしてしまうもの。
イタリアでは犯罪も多く、麻薬中毒者も日中見かけますし、
ギャングな集団もいます。日本とは暮らし方も違うので
人を見かけで判断して自分の身を守らなければいけないときもあります。
犯罪にあえば警察は機能していないので泣き寝入りすることになりかねません。
このテーマの絵本は複雑な気持ちになるのが正直なところです。
これは大人目線。
しかし、小さいこどもから夢を思い描いたり、空想することを奪う大人目線な考えを
子どもに植え付けてはいけない、そう思っています。
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