「もう出ったんねがい。」
「うん。出でねど困る。もう雪降り始まったんだから。」
前回、『まだ早すぎる』と判断して、2週間の間を空けたS川に向かっています。「気温は低いだろうな。」と思っていたんだけど、5℃、それほどでもない。多分、雲が低くてガスっているためだと思う。それでも、身体は濡れそうだから、合羽をまとって行動を開始することにした。
晴れていれば見えるはずの朝日連峰は見えない。けれども、近くの山裾が白く染まり始めているのが分かった。間もなくここまで降りてくるでしょう。
ブナ林は紅ではなく、黄に染まる
染まり方に少々の違和感
遅れ気味とはいえ、美しい黄葉街道を満喫しながら進む。
前回、『見置き』してきた幼菌が全くない状態だから、ターゲットも絞られていない。その分、丁寧に倒木を点検しながら奥地へと歩を進めていく。そうして、
ありました、第一号発見!
木の裏側にも生えてますね
なかなか高品質なナメコです。この木は、倒れてから8年目。2013年の土砂災害のときに眠りにつき、今年ようやく目を覚ましたようです。山分け。
相棒が採集中(葉っぱが元気で見えません)
この木からは、今後数年お世話になりそうな予感がするので『オットくん』という名前を付けさせていただきます。
更に進むと、
おおっ、なかなかいいじゃない
この木は、『タッちゃん』。ここ5年くらい毎年お世話になっているんだけど、もう暫くは楽しませて貰えそうですね。山分け。
続いて、
クリタケですね
相棒にお任せ
ブナシメジは、私がいただきました(残念ながら古すぎた)
もう、満足しきっているんだけど、一応予定していたゴール地点までは歩いてみましょう。
おや?出てますね。
つぶナメコです(木が若いの分かる?)
あらら、これは楽しみですよ
この木は、倒れてから、まだ4~5年のはずなんだけど、もう出てきましたか。来週の楽しみとして残していきましょう。君にも名前を付けますね。『ハナちゃん』でいかがでしょうか。
・・・季節がかわり、山の主役は、完全にナメコ様ですね。『オットくん』や『ハナちゃん』みたいにリスト入りした木も楽しみだけど、今年の不思議な気候だと、更に新たなナメコ木が生まれそうな気もします。楽しみです。
「おもしぇっけねえ。」
「いやあ、ぴったり当だった感じだズ。」
「来週、いづだど合うか、連絡すっからな。」
「うん。んだら、まだな。」
お向かいの住人を車から降ろし、るんるん気分で家に戻るマタギであった。
山の神様、本日もありがとうございました。