S川での山菜採りに一区切りがつき、Y川のワラビも本格的に出始めた。こうなると、長かった春の山菜採りもフィナーレが迫っていることを実感させられる。
Y川の山菜採り場は、海抜5~600m。普通の年だと、次が700m台のH沢なのだが、諸般の事情により今年はお休み。年によっては、山の養生も必要なんです。
さて、そうなると次に目指すのは、ラスボスN沢ということになります。
何をもってラスボスと言うかって、そんなの決まってます。全てにおいてラスボスなんです。
例年、A氏と同行することの多いN沢なのだが、今年の第一回は日程が合わず単独行となった。
N沢は、山伏修行の地、湯殿山の山域にあって、好き勝手に入ることは許されない、入山料を払うタイプの公共の山菜採り場だ。山の入り口に関所があり、そこで入林採取券なるものを受け取り、山に入ることを許される。真夜中でも番人のお方が待っているので車を止める。
「今日は、どうですか?」
「全然入ってないのお。タケノコ採り放題だ!」
「それはいいっスね。ありがとうございます。」
「気いつけてのお。」
「はい。」
そこから林道を2kmあまり進んで車止めへ。
ずらっと並ぶ車
数えてみると12台並んでいる。それでも、管理人のおっちゃんにとってみれば、本日の車の数は『全然』多くないのだろう(多い日には百台を越えるらしい)。
まだ、午前3時前だ。ヘッドランプを付け、身支度を整えて山道に入る。
牛休め
約30分後、最初の給水所になる『牛休め』に着く。ペースとしては、今の自分の身の丈に合った、ちょうどいい塩梅だろう。
ここから15分ほど歩くとS沢渡渉点に着く。
雪渓の渡渉点
ここから対岸に渡ると、最初の急坂が待ち構えている。「マイペース、マイペース。」と自分に言い聞かせながら、登りきる。
ここから沢に入るか山に入るかで違ってくるのだが、今回は、沢に入る予定だから急坂は暫くないのでほっとする。
第2の給水所、『小屋跡』に着く
ここまで1時間ほど。無理なくいいペースだと思う。
渓に降りて上流を目指す。
沢よりもスノーブリッジの方が多くなってくる
早朝なので、崩れることは、まずないが、それでも、雪の薄い場所には近づかない。踏み抜いてしまったら取り返しのつかないことになる。
ショウジョウバカマに癒される
午前5時前、目的の竹林に着いた。
ここから悪戦苦闘が始まるのですが、写真を撮る余裕がほとんどありませんでした。
かろうじて残っている画像
竹藪の斜面をひたすら上って、タケノコ畑に出逢えるまでに体力を使い果たした感じ。具体的に言うと、去年の採り場の標高までは、何も出ていなくて、そこから更に数十m上ると、ようやく生えていたんです。で、竹藪をかき分けて進む山登りは超くたびれるんですよ。例えば、自分の横2mの場所にタケノコを見つけても、竹の枝に邪魔されて手が届かない。さすがはラスボス。たかが山菜採りなのに、こんな苦労を強いられるとは。ただし、
今回連れ帰った宝物たち 美しいでしょ!
谷底にも朝日が差し始めました
収穫量は多くないけど、この斜面に今年も辿り着いて、美しい景色とタケノコに出逢えただけで満足です。帰りましょう。
途中ですれ違ったグループ これから登るとのこと
「おはようございます。」
「早いなあ。もう帰んのか。」
「歳だから、無理しません。」
「それでも採れたんならいいべ。」
「そうですね。お気をつけて。」
咲き始めのミズバショウ湿原
標高を下げるにしたがって出会える花たち
S川ではとっくに散ってしまったムラサキヤシオが花盛り
思い起こしてみると、今年ショウジョウバカマに出逢った最初は4月の初め。それから2か月過ぎて、また出会えるってすごいことだよね。山形には、長い時間をかけて春の喜びが訪れてくれるってことだ。
こうして、季節の喜びを何度も味わえること、そうして、それが、まだできる自分であることに感謝しながら山を下る。
今年もこの景色を見られることに感謝
この山での山菜採りは、自分自身に課せる修行みたいなものですね。こうして、自分の体力の現在地を確かめながら遊ぶ。これからも続けていきたい修行です。
ラスボスN沢の山の神様、本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
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