車線と車速

2011-11-30 14:10:34 | Bicycle
毎日新聞社会部(@mainichi_shakai)より Twitter で流れた『安全で快適な自転車利用 環境の創出に向けた検討委員会』初会合の様子(全文そのまま転記)。

銀輪の死角取材班です。安全で快適な自転車利用環境を目指して国土交通省と警察庁が設置した有識者会議が28日に始まりました。
その初会合で出された意見を紹介します。

国交省は08年から全国98のモデル地区で進めた自転車レーンなどの整備事業について
▽自転車走行空間のネットワーク計画を作成した地区は少ない
▽地域住民との合意形成が難航
▽交差点で自転車と車、歩行者が交錯する
▽整備されても利用者が少ない-などを課題に挙げました。
また、国交省の担当者は「統計を踏まえ、5キロ未満の移動は自動車から自転車に転換を図っていける可能性がある。転換する以上は事故を減らすための環境整備が必要だ」と表名。

委員からは、自転車の交通量や事故の実態、利用者の意見など詳細なデータを公開してほしいとの意見が出ました。
金沢市で自転車事故を防ぐ街づくりに取り組む委員は「住民参加が大きなポイント。行政が方向性を示しても住民の納得が得られないとルールが守られない」と発言。
また、「議論は人を中心に考えるべき。誰でも年をとる。その時にどの交通手段を選ぶか、その中で自転車を考えないと」

都市デザインを研究する委員は「施策の目標として、交通手段の優先度を明確化しないといけない。同じ自転車でも遅い、早いがある。また、車と自転車の分離が最優先というのはどうか。諸外国は車の交通を制限する、速度を落とすなどが最初に考え、次に分離か共存かを考える」

自転車政策を提言するNPO法人の委員は「交差点の通行方法ほど大事な議論はない。まず交差点をやるべき。ドイツは交差点の整備を優先し、その後、自然に単路も対策が進む」と提案。
警察庁の担当者が「交差点は渋滞解消に右折レーンが必要。自転車レーンの余裕はなく難しい」と発言。
これに対しこの委員は「渋滞より人命が大事」。
また「原則車道は法律のルールなのに国民に勘違いがある。自転車歩行者道や自転車が歩道を走りやすくするなどの勘違いを助長する施策は直してほしい。一度には難しくても、車道の脇を走る自転車が危なくないハードとソフトの施策を進めるべき」
警察庁の担当者は「自転車乗用中に車ではねられて亡くなっている方が多く、この死亡事故を減らすには歩道に上げた方が安全で、警察の現場では車道に下ろすことにちゅうちょがある。自転車が歩道や車道を行き来するのが事故多発の一因」

別の委員は「ママチャリで車道は厳しい。危ないと思うのに踏み切るのは難しい。子供と一緒に自転車で走る場合、余裕のあるところは歩道がいいとも思う」。
NPO法人の委員は「自転車のルール順守もそうだが、車のドライバーのルール順守が大事。そもそもルールが複雑すぎ整理すべきだ」

次回会合は12月15日。国交省や警察庁が追加のデータを示し、自転車交通の在り方や走行空間の整備について、さらに議論を深める予定です。計4回の会合を経て来年3月に自転車の走行空間整備方法や自転車交通の在り方などをガイドラインとしてまとめる予定です。

率直な感想。
なんか、難しい話しているな…。
もっとシンプルに軸芯(=幹)を考える方が分かりやすいと思うけど。

最近、改めて感じるのが『車線』と『車速』の関係。

自転車で車道左側を走行中…という仮定において、どんな道路が走りやすく、どんな道路が走りにくいのか…という部分について、
おいらの『経験上』で話せば、一言で言って、『片側2車線以上の道路は自転車で走りにくい』。

もっと言ってしまえば、片側2車線以上の道路は『立派な』歩道や中央分離帯が付けられることも多く、自動車の車速も上がりがち。
交通量が多いから片側の車線数が増やす改修を行う。
改修を行えば道路は益々クルマで通りやすくなる。
結果、さらにその道を通るクルマが増えるんだろう。

50km/h 規制の片側2車線の道路…スポーツバイクで走っても車道はかなり怖い。
逆に、速度規制標識なし(=60km/h 規制ってことだね)の片側1車線の道路は、歩道があるないに係わらず、車道を走行してもさほど怖くない。

おいら、曲りなりにもスポーツバイク乗りなので、おいらの感覚がママチャリライダーとイコールであるとは思わないが、
車道を自転車で走るとするなら、どんな道が走りやすくてどんな道が走りにくいのかスポーツバイクでもママチャリでもあまり変化しないと思う。

クルマを運転していて改めて思うのは、交通の流れと確認事項。
クルマでの走行中で周囲の状況に気を配るのは運転者として当然のことなのだが、片側1車線の道路とそれ以上の道路では確認すべき項目が自ずと変化する。

例えば、片側2車線の道路をキープレフトで走行中、車道左側に自転車発見。
自転車の追越しに必要な回避量を見極め、バックミラー・右ドアミラーを確認、右車線側の安全を確認して自転車の回避追い越しを考える。

これが片側1車線ならばどうか?
自転車の追越しに必要な回避量を見極め、バックミラー・右ドアミラーの確認…よりも先に対向車の有無を確認するだろう。

追い越す時の車速はその時によって異なるが、経験上車線数が増えるほど追越す時のクルマの車速も上がる。
同じだけの安全マージンをとって自転車をパスしたつもりでも、追い抜くスピードが上がれば自転車側の恐怖感は高くなるし、実施に風圧などの問題も発生する。

もうお分かりだろう。
自転車レーンが必要な道路とは、どんな道路なのか。
全てがすべてではない。
どんな道のどんな場所に改修工事が必要なのか。

モラルアップとルール順守の啓発活動は当然。
最低限、左側通行と信号順守を大前提にすれば、ハードの部分のどこに手を付ければいいか、自ずと分かってくると思うんだけどな。

matsuoda さんが、警察庁の通達『良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について(pdf)』を分かりやすく解説してくれている(ブログ記事はこちら)。

自転車通行帯をどんどん作りなさい…といっても、自治体にも予算がある。
最優先すべき項目、その次の項目…。
キチンとした『芯』を持って、ぶれずに粘り強くやらないと『歩道の中の自転車道』みたいに施策がどれも中途半端になるぞ。

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