約3か月前のことになるだろうか。突然顔に疣(いぼ)ができた。以前から少し皮膚の表面が盛り上がっているところがあったのだが、そこがこすれて傷がつき、みるみる疣が出てきたのである。しばらく様子を見ていたが、どうも消滅する様子が無いので病院に行ってみることにした。もしかすると、この体験記も世のため人のためになるかもしれないので、書いてみることにした。
現在では初めての病気らしいものに出会うと、とりあえずインターネットで検索をしてみることになる。調べた結果、皮膚科で疣の処理をしてくれるそうなので、次は札幌市内で行きやすい場所にあり、そこそこ評判の良さそうな病院をさがしてみた(但し、ネットの評判が当てにならないことは良く分かっている)。
その結果、割と評判が良く、インターネット予約ができて、土曜日の予約が取れそうな某皮膚科に行くことに決めた。土曜日はやはり予約が集中するらしく、2週間後の予約がやっと取れた。気にはなるものの、しばらく疣もこのままである。
予約の日になり病院へ。ビルの階上にあるため、全く様子が分からなかったが、エレベーターから降りて入ってみると、病院というよりはビューティーサロンのような雰囲気が漂っている。待合室が明るくおしゃれであり、待っている患者が全て女性なのだ。女性の園に来た変態オジサンのような気持になりながら、しばし待つ。予約をしていたのに、10分くらいの待ち時間があり、普通なら大した話ではないのだが、ここにいるだけで非常に気まずい。
やっと治療室に呼ばれ、医師(これがまた女医なのだ)に見てもらったところ、見た瞬間に「ウイルス性の疣ですね」と言われる。瞬時の間も無かったが、本当に別の可能性は無いのだろうか。で、自分の希望としては疣を取りたいのであるということを告げると、液体窒素で取るか、レーザーで取るかという選択肢があるのだそうだ。
そこまでは私も知っていたのだが、液体窒素を使う場合、何度か凍結と融解が必要なため、複数回治療に来なくてはいけないのだそうだ。そりゃ、予想だにしなかったな。レーザーの方は基本的に1回で治療は終わるが、保険適用外のため費用がそれなりにかかるというのだ。よし、時間と金なら金で解決だとレーザーを選択する。
その後、一度治療しても再発の可能性があること(そりゃウイルス性だからありうるだろうね)、多少皮膚に色素沈着が残る可能性があること(まあ、そこまで気にしないよ)という注意事項を聞かされる。そもそもそこまで自分の顔に執着はないのだが、疣が目の斜め下にあるため、何となくギリギリ視野に入るのが気になるんだよね。後は時々少しだけ痛痒いときがあるのも気になる。
医師の診断を終わり、治療に向けていろいろな話をされるのだが、次に驚いたのは「レーザーは予約が一杯で、実際にやるのは夏ごろになります」と言われたことだ。えっ、そんなに先の話なの? 病院の人が予約の空き具合を確認して来てくれたところ「偶然、キャンセルが出て、6月12日(診断日から2か月後)に空きがあります。どうしますか?」だと。そりゃその日を即予約だ!
後は注意事項として、疣ができたところは皮膚が薄くなっているので、日焼けに注意してくださいと言われる。程度が良く分からず「日焼けって、海水浴に行ってガッツリ焼けるようなやつですか?」と聞くと、とんでもない。明日から(いや、今日からでも)、外出する時はSPF50の日焼け止めを塗って欲しいくらいなのだそうだ。うーん、そんなに気を付けなきゃならないの?
ということで、様々な注意事項を聞かされて、待合室に戻ってくると、若いお父さんが男の子を連れて待っているのが見えた。「おお! 同志よ!」という気持ちに私がなったのも無理からぬことであろう。ちなみに私はその帰りに日焼け止めを買い、その翌日から時々サボりはあるものの(曇りの日とか、夜しか外に出ないときとか)、疣のあるあたりには日焼け止めを毎日塗って出かけていたのである。
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さて、ついにレーザー治療の日が来た。前日に以前貰った注意事項の紙を読むと「日焼けがある場合は、治療できないことがあります」とか書いてあるぞ。うーん、そんなに焼けていないと思うが、大丈夫なのだろうか。それから「治療の日は水にぬらすの禁止」(風呂に入れないのか)、「治療の日から3日間は飲酒禁止」(せっかく平日休みだから治療が終わったら飲もうと思ってたよ)とか、無理難題が書いてある。
→敷島ビルから地上にでたら、1階にステンドグラスがあった。
全てあきらめの境地になり、予約の9時半より少し前に病院に到着する。他の客は4名しかいなかったが、前回同様女性ばかりである。またアウェイな気持ちになりかかったが、人数が少ないためそこまでの威圧感はなかった。少し待って、まずは洗面台に連れていかれ、術前に洗顔することになった。通常の泡せっけんのほかに、クレンジングと化粧水があり、手術のために化粧水は患部には塗らないでほしいとのことであった。いや、何がどうあっても使わないけどな。
生れてはじめてクレンジングを使い(どうやって使うのが正しいのか)、その後は石鹸で顔を洗う。そして手術室に連れていかれて、術台に横たわることになった。規模は小さいがまさしく手術ではないか。いろいろ注意事項を聞かされてから、まずは麻酔をすることになった。麻酔にはクリーム状のものを塗る場合と、注射の場合があるということだったが、心の準備ができないままに目を保護するシールを貼られて注射で麻酔をすることになった。見えないと何をされるのかが分からなくて怖いぞ!
さて、麻酔であったが相当細い針を使っているのではなかろうか。チクッと痛みがあることはあったが、歯を削る時の麻酔に比べると痛みはほぼ無いと言っても過言ではなかろう。そして、すぐにレーザー治療の体制に入るのだが、麻酔はこんな短時間で効くんだろうか…。
レーザーのチリチリする音と共に治療が始まった。痛みに弱い人は大変かもといったことが注意事項に書いてあったのだが、確かに痛いことは痛いが、我慢できないということは全くない。連続的に針でチクチク刺されるくらいの痛さだが、次第に慣れてくるし(麻酔が効いてきたのか)、だんだん痛みも散発的になってきた。
次にパチンパチンと非常に気になる音に変わったのだが、この段階では痛みは全く無くなっていた。ほんのり焦げ臭くなってくるが、どちらかというと髪の毛が焦げた時の臭いのような感じで(タンパク質の焦げる臭いか)ある。肉が焼けるような臭いではなかったのは幸いと言えるだろう。そして、大体5分程度かな、レーザーによる治療は終わった。直後に鏡で患部を見せられるが、疣は無くなって平らになり、皮膚の表面は赤味が残っていた。
後は当面の患部保護の仕方を教えてもらう。今日は患部に水を付けてはダメなのだが、明日以降は朝晩の洗顔後に保湿のためのワセリンを塗り、丸いシールでカバーし、さらにその上から絆創膏でシールを止めるのだそうだ。この絆創膏が実に私の肌色に似た色で、思ったほど目立たないのは良かった。実は顔に疣が出来てから、そのことを直接的に指摘する人は一人もいなかった。目立たないのもあるし(メガネのフレームで見えにくいところにある)、あまりそういうことを指摘するのが失礼という気持ちもあるのかもしれない。さて、絆創膏を顔に付けていた場合、さすがに人は何かを言うものであろうか。
これにて今日の手術は終了。1週間後に経過を見るということで、来週月曜日の夕方に診断の予約を入れた。ところでこれを読んだ皆さんが気になるのは治療費のことではないかと察するが、レーザー治療そのものは保険が効かず11,000円(税込み)である(疣のサイズによって変わるらしい)。診療費と薬等が1,530円で、計12,530円となった。人によっては高いと思うかもしれないし、顔の疣がとても気になる人にとっては、このくらいの支払いはやむを得ないものであるだろう。ウイルス性の病気と言えば、私はかつて帯状疱疹にかかったこともあるのだが、できれば、帯状疱疹も疣も再発しないでほしいものである。
予約は9時半、終わって出てみれば10時。あっという間の治療である。
2~3時間経つと麻酔が切れるということであったが、特に痛みが強くなるわけではない。予想通り、多少血というか体液のようなものが出てきてはいるが、これは予定通りの症状のような気がする。とりあえずは注意事項は守って様子を見ることにしよう。
以上、文章ばかりで読みづらくてすみません。