4連休の3日目。ちょっとだけでもどこかに行きたい。ということで、久々に札幌を離れることにした。
朝6時に起きて、さえない天気の中、7:11のバスに乗る。
空でやって来たバスに、私と共に2名が乗車。約10分で、久々のJR琴似駅だ。
昨年はここからエアポートで新千歳空港に行くことが非常に多かったのだが、今日は苫小牧行きの普通列車に乗り込む。琴似から上野幌附近まではそれなりに人が乗っていて、ある程度の乗車率である。
うっかりロングシート車両に乗っていたのだが、空いてきたところで、クロスシート車両に移動する。大したところに行かなくても、やはりクロスシートの方が旅情があるではないか。また、朝食に買っておいたおにぎりを食べたいというのもあった(ロングシートではさすがに食べにくい)。
ということで、9時過ぎに苫小牧到着。しかし、予想外だったことに、小雨が降っているのだ。
後で雨雲レーダーを見ると、苫小牧周辺だけ雨が降っているようだった。おまけにおそらく気温は20度に達しておらず、少々涼しい。傘を持ってこなかったので、濡れていくのは危険だと判断し、タクシーに乗る(ああ、私も根性が無くなったものよ)。目的地はここだ。
■苫小牧市美術博物館「生誕100年 ロボットと芸術~越境するヒューマノイド」。開館の9時半には少し早かったかもしれないが、速やかに入場させていただいた。私が帰る頃に1家族が来ていたが、それまでには他の観覧者はおらず、実に気分のいい状況である。
さて、この展覧会だが、カレル・チャペック「R.U.R」(ロボットという言葉が初めて使われた戯曲)が1920年に出版されたので、それから数えてロボット「生誕100年」という事らしい。ロボットの誕生から自動機械の発展、美術におけるロボット(メカ)、キャラクターとしてのロボット、ロボティクスの現在というテーマで展示がされていた。
室蘭工業大学「LEGO EV3 自動消毒液噴射ロボット」:普通の消毒液ボトルもあったのだが、センサーが手を検知して自動で噴霧するロボット(人型ではない装置)が入り口に設置されていた。
相澤次郎「ガイドロボット「一郎」君」:1959年製作の身長2mはありそうなロボット(多分、動く機能は無し)。少し塗装が落ちつつも、真っ赤な体は立派である。
伊藤隆介「Realistic Vertuality(M is for Marthing)」:歩くロボットと歩く女性(写真をパラパラマンガ状に写したもの)を重ね合わせたメカ&映像作品。となりで展示されている「メトロポリス」のロボットに近い形をしている。
津田光太郎「PLEASE GO FORWARD」:工事現場のようなところの通路をロボットやアンドロイド、人が歩いている。工事現場の中には破棄された機械が沢山あり、もしかして歩いている者たちは処刑場へと向かっているのかもしれない。
矢部友衛「裸婦」:油彩作品だが、確かにキュビスムとロボット的なものは近しい感じがする。
カンディンスキー「オレンジ」:確かにカンディンスキーの作品は音楽的なものと同時に、規則正しいメカニックな雰囲気がある。
中村宏「似而非機械」:ぬめるようなセーラー服を着た少女。顔の部分は奇怪な彫刻のようになっている。ロボットを意識を持った道具と考えると、フェティッシュな要素というのはかなりあるのではないかと気づかせる作品。
杉本博司「英王室/The Royal Family≪蝋人形≫より」:蝋人形≒ロボットであるが、さらに「王室」という長年続く象徴性がロボット感を出しているように思える。
西尾康之「Traces of legs」:観覧者が通りかかるとセンサーが検知して、ブーツを履いた女性のものらしき足が動き出すもの。横には沢山のブーツがあり、これまたフェティッシュな要素が強く感じられる。
「1970年代玩具」:変身サイボーグ、ミクロマンが並べられており、しばし見入る。
大森記詩「Training Day-Patchwork Super Robot-」:プラモデルのパーツを合わせて、キングジョー(ウルトラセブンに登場)の形を作ったもの。ぜひウインダム、ユートム、アイアンロックス、恐竜戦車、にせウルトラセブンも作って欲しい。
北海道大学情報科学研究院HCI研究室「2体のロボットによる共同注意」:ロボットが「僕はネコが好き」「僕は嫌い」と語り合っている所に人間が通りかかると、一瞬、ロボットは人間を認識するものの、何も言わない人間を無視して、やがてロボット同士の対話に戻ってしまうというシニカルな映像作品。
なかなか興味深い展覧会であった。
■苫小牧市美術博物館「中庭展示 Vol.14 艾沢詳子 Weathering-風化-」。今日は雨が降っていたので、濡れそぼつパーツが少し寂しい感じ。しかしこれも「風化」のプロセスの一つであろうか。
実はもう一点、室内の暗くした部屋に「Pray-祈りー」という作品があり、こちらの方が印象的であった(写真は無しね)。
時間があったので、近くのサンドーム(熱帯植物館のようなものかと思っていたら、意外と涼しい)に行ってみたりするが、ついに諦めてタクシーを呼ぶ。
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→北海道人が見て喜ぶという竹林(本当か?)。
苫小牧駅に戻り、北方向へ移動する。