■殺人鬼ジョー(上・下)/ポール・クリーヴ 2018.10.22=2
『怒り』 を読んでいたら、声を出して笑ってしまった。ジョーの金玉潰し。
そこで、早速 『殺人鬼ジョー』 を読みました。
デレックはまたしても首を振る。「ものごとは見たとおりとはかぎらない」
いまなら彼がなにを考えていたのかがわかる。自分が同じ道を歩んでいるからだ。この世には、どうしても忘れ去ることのできないものごとがある。
よくめぐってくる瞬間。人ひとりの人生の方向を変えかねない瞬間。人生の岐路ってやつ。またしてもビッグバンの瞬間だ。
運命の女神は、“みんなで仲良くやっていけないものか”という考えかたに与したためしがない。
電話機をポケットにしまう。妻にはまだかけていない。いったいなぜ、妻への連絡を先延ばしにしているんだろう?『清掃魔』のなかのエピソードなら、これから撃ち殺されることになる展開だからだ。テレビドラマでは、そうと決まっている----家族にいる警察官について語られると、二分後にはその警察官は地面に大の字に倒れて血を流している。
※この小説のユーモアの質とは。
「だれか探してくれたら、あんたに謝礼金を払う」
「だれもいないって。武器の調達は仕事だ。だれかに死んでもらいたいときに。よりどりみどりで電話できる相手が載っている電話帳なんぞ、おれは持っていない。そんな仕事は自分でやれ」
「そうはいかないよ。仮におれの考えてる男がその仕事をできるとしても、こんな急を要する依頼を引き受けたりするもんか。だれかを殺すのは宿題と同じさ。金も問題だが、時間切れ直前で取りかかってもやり遂げられない」
「その人に電話をかけないってこと?」
「電話する意味がないだろ。悪いな」
その話はほとんどしない。思い出があまりにも刺激的すぎるってことなんだろう。思い出ってやつは純粋なアドレナリンでね。過去の体験を口にしたが最後、興奮しちまうんだ。
彼は自分の置かれた皮肉な状況に気づいている。なにしろ、頭の切れる男だ。自分が人殺しと組んで別の人殺しを殺そうとしている人殺しだ、という皮肉に気づく頭はある。さほど複雑な状況でもないのだし。
「殺人鬼ジョー」を読んでいると、どうも話の内容から “続編” のようです。
2008年に出版された 『清掃魔』 の続編でした。
話の中で出てくる事件は、この「清掃魔」を読んでなくても分かるのですが、やはり読んでみたい。
早速読むことにしました。
『 殺人鬼ジョー(上・下)/ポール・クリーヴ/北野寿美枝訳/ハヤカワ・ミステリ』
『怒り』 を読んでいたら、声を出して笑ってしまった。ジョーの金玉潰し。
そこで、早速 『殺人鬼ジョー』 を読みました。
デレックはまたしても首を振る。「ものごとは見たとおりとはかぎらない」
いまなら彼がなにを考えていたのかがわかる。自分が同じ道を歩んでいるからだ。この世には、どうしても忘れ去ることのできないものごとがある。
よくめぐってくる瞬間。人ひとりの人生の方向を変えかねない瞬間。人生の岐路ってやつ。またしてもビッグバンの瞬間だ。
運命の女神は、“みんなで仲良くやっていけないものか”という考えかたに与したためしがない。
電話機をポケットにしまう。妻にはまだかけていない。いったいなぜ、妻への連絡を先延ばしにしているんだろう?『清掃魔』のなかのエピソードなら、これから撃ち殺されることになる展開だからだ。テレビドラマでは、そうと決まっている----家族にいる警察官について語られると、二分後にはその警察官は地面に大の字に倒れて血を流している。
※この小説のユーモアの質とは。
「だれか探してくれたら、あんたに謝礼金を払う」
「だれもいないって。武器の調達は仕事だ。だれかに死んでもらいたいときに。よりどりみどりで電話できる相手が載っている電話帳なんぞ、おれは持っていない。そんな仕事は自分でやれ」
「そうはいかないよ。仮におれの考えてる男がその仕事をできるとしても、こんな急を要する依頼を引き受けたりするもんか。だれかを殺すのは宿題と同じさ。金も問題だが、時間切れ直前で取りかかってもやり遂げられない」
「その人に電話をかけないってこと?」
「電話する意味がないだろ。悪いな」
その話はほとんどしない。思い出があまりにも刺激的すぎるってことなんだろう。思い出ってやつは純粋なアドレナリンでね。過去の体験を口にしたが最後、興奮しちまうんだ。
彼は自分の置かれた皮肉な状況に気づいている。なにしろ、頭の切れる男だ。自分が人殺しと組んで別の人殺しを殺そうとしている人殺しだ、という皮肉に気づく頭はある。さほど複雑な状況でもないのだし。
「殺人鬼ジョー」を読んでいると、どうも話の内容から “続編” のようです。
2008年に出版された 『清掃魔』 の続編でした。
話の中で出てくる事件は、この「清掃魔」を読んでなくても分かるのですが、やはり読んでみたい。
早速読むことにしました。
『 殺人鬼ジョー(上・下)/ポール・クリーヴ/北野寿美枝訳/ハヤカワ・ミステリ』