今夜の主人公は、外科医 笹子医師。
兵庫県西宮生まれで、今も西宮の病院で働く。
若い頃、父親をがんで亡くした。その時は、父親にがんと言えなかった。
今は、胃がんが専門の、世界でもトップクラスのスーパードクダーだ。
胃がんの手術で難しいのは、胃そのものより、胃の周りのリンパ節へ転移された部分を経験と研ぎ澄まされた指先の感覚で取り除くこと。
完全にやりきったと思っても残ることもあり、残ったと思っても直ることがある。
100%成功も100%失敗もない。
難しい箇所は1%の不安も告知する。「腹を割って語り合う」それが信頼につながる。
勝負の手術が始まった。
リンパ節を全て取り除き、膵臓に転移したがんも取り除かねばならない。
紙一重の勝負。
手術中は無心で手術にあたる。対象の臓器が全て。
「よし」の一言。
膵臓を傷つけず、がんを取り切ることに成功した。
「あの大きさのがんを取れたのはベストに近いんじゃないかな」とつぶやく笹子医師。
いつも、自分を頼ってくる患者に最善を尽くす。
患者の一人久保さんは言う。
「人間いいことばっかりやないですよ。 でも、家族はいいもんですよ。」
遠くを見つめる久保さんの目にうっすらと涙が。それは、残された時の家族を思う気持ち。
笹子Drは言う。
「その人の人生の大事な局面を支えるのが僕らの使命。」
ああ、自分を省みず、人を幸せへと持って行くその姿。
お礼の手紙を30年分も持っているその人柄に大きな優しさと真っ向勝負の強さを感じた。