昨日、BDに録画していたタイトルの番組を4話(1話25分)連続で見た。
率直に言って、とても良かった。
まず、何がいいってプロデューサーの構成がいい。竹内陶子と伊集院光の司会に加えて、
長谷川櫂氏による解説と内山理名による「奥の細道」の追体験が非常に映像的にも良くできている。
また、そこにちりばめられた、芭蕉の俳句。が実にぴったりと心に響く。
まだ、見てない人はぜひNHKオンデマンドで。
それはそうとして、少しだけ聞いたことを書き留めると、
松尾芭蕉は1644年伊賀上野生まれ。下級武士の子として生まれたが、主人が23歳で亡くなり、29歳で江戸に出て、俳諧(今でいう川柳みたいなものだが、57577と31文字を上の句と下の句で別々の人が詠むという遊び。俳句というのはこの上の句)で有名に。
しかし、俳諧ではあきたらず、深川の庵(芭蕉庵)にこもって俳句を極める。
この時出来たのが、あの有名な「古池や蛙飛びこむ水の音」
長谷川氏によるとこの句は、蛙が水に飛び込むのを芭蕉は見たのではなく、聞いて想像したもの古池も想像の産物とのこと。ここに写実的な俳句から心の世界を描くことに成功し、蕉風が開眼したとのこと。
そして、後に奥の細道で、この世界を広めていくことに成功する。
以下に有名な4句をウィキペディアから引用させていただく。
夏草や兵どもが夢の跡 (なつくさや つわものどもが ゆめのあと):岩手県平泉町
閑さや岩にしみ入る蝉の声 (しずかさや いわにしみいる せみのこえ):山形県・立石寺
五月雨をあつめて早し最上川 (さみだれを あつめてはやし もがみがわ):山形県大石田町
荒海や佐渡によこたふ天河 (あらうみや さどによこたう あまのがわ):新潟県出雲崎町
このように、芭蕉の句は無情な世界や自然の雄大さ、ロマンを読む者に感じさせてくれる。
なお、宮城県の松島に大いに感動したのに1句も入っていない。
「松島やああ松島や松島や」と呼んだのは、江戸後期の狂言師らしいので要注意。
番組の最後に芭蕉が到達した「不易流行」(流行はあるが、大事なことは変わらないという感じ)はなんとなくわかるが、「かるみ」というのは、よくわからなかった???
ところで、芭蕉が深川から日光、平泉、新潟、富山、金沢、大垣まで2400kmを150日間で歩いたというからすごい。当時は、道もひどくて、熊も出るような世界のはず。
そして、その後、芭蕉はなくなるまでの5年間推敲に推敲を重ねて、フィクション化したものが「奥の細道」ということに驚かされた。