続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 4

2017-12-23 00:50:35 | D&D4版 キャンペーン回想
シナリオ当日。不穏な勢力の頭目として現れたインペラさんですが、部下には慕われてる模様。慕ってない腹黒部下もいますが、それらをまとめて懐に抱える度量もあります。自分から振っといてなんですけど、omoteさんの動かすインペラゴンはきちんと遠くの目標を見通した肚の座った感じで、尊大と寛容が上手いバランスで備わって見えました。レイオットと同じ目的を見ながらスタート地点が違う人として性格を作ったので、裏返しレイオット的に扱えば表現できるだろうとも思っていた読みは当たりました。
パーティーメンバーの反応も個性的に分かれ、無頼派のフィネスは「なんだコイツ鬱陶しい」とイラつき、交渉巧みなガンダルーブは「単純な分ノセやすいしそんなに悪いヤツでもない」と取り込む算段を始めてました。エッジは舞台裏知ってるので静観。
そしてインペラゴンの通告は「ホロブンを殺す」敵キャラらしい言い分ですが、世界の道理的に正しいのはこちら。ハービンジャーオブドゥームなど、いずれ必ず漏れる凶悪病原体の容器に等しいのです。

さあ戦闘開始。でも周囲も事情を汲んで1対1に合わせてくれました。
しかしインペラゴン強え。とにかく防御が硬い。アクションポイントとパワーで命中+6で殴っても当たらない。戦術的優位を与えない特技があって、こちらの命中に+4までしか効果が無いのです。これで当たらないなら勝ち目がありません。ホロブンの防御は並の上程度なので向こうの攻撃は全部喰らいます。数ラウンド後には使える技は使い切り、あとは通常技しか残っていません。それにもう残りHPも僅かです。そろそろクライマックスだと台本を確認しました。
そこにメルセーデが乱入しました。ホロブン回復。やりやがったな。
3.5版時のキャラ交替に難色示したのはこの人です。逆に言えばこの人の気分さえ損ねなければキャラ交替も問題無いのです。入念な下準備も対メルセーデ用工作でした。前衛役が回復役の不興を買うのは死亡と同じことです。
瀕死のホロブンが戦闘続行可能になりました。しかし命中しづらいのは変わらないので、パラメータ差も響きなかなか戦闘は進みません。そしてまた倒れそうになると回復されるのです。一度介入して開き直ったらしく、インペラを倒すまで帰ってくるなと言わんばかりです。戦闘が長引き、周囲の敵はみな倒してヒマになった仲間達もやってきて「はよ済ませろ」とプレッシャーをかけてきます。しょっぱい戦いにいたたまれなくなってきた頃、じゃあインペラゴン倒れたわと盛り上がらない勝利。無言の「帰れ」コールって心に刺さるなあ。インペラもホロブンも両方私ですよ。

台本にホロブン負けた展開しか書いてなかったんだよね。勝つつもり無かったし。でも何か言わないといけない雰囲気です。お前が主人公回なんだからいつもの無言じゃ済まさんぞ、という雰囲気がします。
倒れるインペラゴンを抱きとめたホロブン。
「おまえにばかり苦しい部分を押し付けて済まなかった」
誰だよおまえ。キャラ変わってんぞ。手から武器外したのはこれが最初で最後でした。

インペラゴンの遺体からドロップしたのはヴォーパル・ドワーブンウォーアクス+6が2丁。D&D公式ルール上で世界最強の近接戦闘武器。シナリオ特性ですごいぶっ壊れ性能が付いてるのだけど、それが使えるのは29レベルからで、今はまだ只の強い斧です。GMに打診して展開早めてもらったから使いこなせない待機期間が出来てしまいましたが、これが結果的に幸いしました。それまで普段使ってた斧と性能がだいぶ違うので、私が操作に慣れるまで時間が必要でした。

キャラクター交替計画は失敗しました。インペラゴンがホロブンを取り込んで起こる変化は考えていたけど、ホロブンは喰われる前提だったので何も考えていませんでした。だいたいこいつにとってインペラの有無など元から性格に影響無いでしょう。最後まで道具キャラ決定だよ。



28レベルの辺りでもう一度ホロブンにスポットが当たるシナリオがありました。こちらのGMは盗り夫さん。先述したホロブンと同調した破滅本体がやってくる話を用意してくれました。でかい機械生命群体みたいのがホロブンを取り込んで吸収してしまう話です。そこからホロブンを回収するのが目的でしたが、元のオリジナルホロブンはとっくに分解されてて、取り返せたのはホロブンと同じ姿と性能を再現した複製品でした。起源が自然から永劫に変わった以外ルール面の変更は無かったのですが、ここはプレイヤーである私のモチベーションに絶大な変化を起こしました。

これまでのキャラクターの運用方針は、公式ルールに則った範囲でのダメージ算出の追求でした。キャラクターシートの数値を書き写せば、誰でもすぐにホロブンの攻撃力は再現できます。実際のところホロブンの性能で重要なのは、攻撃命中とダメージ計算の部分だけです。防御は脆く、狙われると6割方当てられるし、技能判定は元値が低くて確実に失敗するため、やはりほぼ無意味なデータです。残りHPと攻撃ダイスだけ注意していれば、プレイヤーの知識も工夫も要りません。つまり単純な攻撃能力だけの汎用テンプレ化に収まるお手軽レンジャー。8年ホロブンを使った成果はダイスを足すだけの安直火力キャラクターでした。そして安易な設計のキャラクターは他所から来た収奪者に刈り取られて、計測データの中に消えました。
それでいいのです。
そういうシナリオフックを私が要求しました。最大筋力値・二刀流レンジャー・ヴォーパルウェポン、条件を満たせば誰でも再現出来る攻撃力を、異界の規格が取り込んで量産化するシナリオなのです。もうホロブンに限らず、誰もが同じ大攻撃力を初期装備。どこもかしこも破壊力ばかりでありふれていくのが私の考えた破滅の世界。ホロブンが基準のオーバーキルまみれ世界です。
しかし、そこをあえて踏み越えます。
規格限界値を越えたさらに大きな破壊力を目指します。公式ルールでは不可能な領域を望みます。

そこで一つ違法改造しました。GMに許可取って、エラッタで修正された古いルールを適用させてもらいました。
29レベルレンジャー特技「フォローアップ・ブロウ」
今は近接攻撃が1発命中すると1回近接基礎攻撃をフリーで撃てる、という取得レベルに釣り合わないしょぼいパワーです。しかし規制前の旧型レンジャーは1発の近接攻撃はヒットする「たび」に1発の近接基礎攻撃が撃てたのです。2発が4発、3発が6発、5発が10発。リミッターを外したレンジャーは1ラウンドに理論上20発を叩き込むラッシュが可能になります。
もちろん、そんな無茶な性能そのまま使えないとGM判断から、公式ルール化されたフリーアクション1回を超えて動くと、反動で自分にもダメージが入る条件が付きました。1回につき20点。それが先述した私のヴォーパルウォーアクス固有能力です。29レベルとシナリオ固有武器の両方を揃えて、代償も支払うことで攻撃回数倍増を可能としました。代償は180ポイントの自壊ダメージで、自分も残りHP10程で死にかけますが、それも必要経費です。もはや気にしません。

かつて、規格からこぼれた欠陥品だった者が、世界から新たに規格基準へと定められ、それでもなお自ら枠を逸脱して単機能先鋭化する理由は、ただ精度を追求したいからです。
いや、これは正確な理由じゃないな。根本はもっとシンプルです。

ルールにも、シナリオにも、プレイヤーにも省みられることなく、活躍を望まれることもなく、役割から捨てられた奴を動かすもの。
それは、長いキャンペーンを虚無に過ごした者の意地に他ならない。

この攻撃力はホロブンの意志が世界法則を捻じ曲げたものです。自分の両手で掴んだところにしか起こらない異常ルールです。個人由来の現象だから誰にも真似や再現はできません。ただの量産型では届かないカスタム機の固有パワーです。
ロールプレイや性格描写は薄いけど、これはこれで中々のロマンが詰まっていると自負しています。預言や運命などの他者からの誘導ではなく、神格や超文明による謎パワーを付加したのでもなく、単に旧型マシンが安全装置を外しただけの限界突破型強化。もしも魔法妨害されて他メンバーが上手く戦えなくなっても、私だけは「旧型だから」を理由に腕力で普通に戦える気がします。こないだパシフィック・リム観たからそう思います。


現存しない筈の古いフォローアップ・ブロウを維持するには、ホロブンが使い続けるしかありません。誰にも残せず伝えられず、いずれは無かったことにされる特異点です。
そんな虚ろで儚いパワーで何したいの?
何を耐え……
何を望み……
何を得て……
何を狙い……
何をするのか……

我、動かずして消えること無し。理想の標、果たさざるとも屈せず。
これ、後悔とともに消えること無し……

私がいる限りこの世界には20連発攻撃が存在する、考え得る限りの最高最大効率の近接攻撃だ。かつてはあった、今もここだけにある、根拠は私とホロブンの意地です。要は公式ルールにさえ抵抗するワガママですけど、理由も責任も全て自分にあります。この一つしか無い望みが通らない世界など自分にとって無意味です。
この頃、STG「斑鳩」のプレイ動画を見て感動してたので影響受けてます。

実のところ、単に1ラウンドで特大ダメージが出るだけの性能なので、GMは殴られる専用のタフな標的を1個用意すればシナリオ変更しなくても良かったりします。数値計算が1ラウンド分増えるのですが、主に計算するのは私です。「こんだけ出ました」と報告したらGMが「うむ」とその分の敵HPを引きます。

せっかくのTRPG卓なのにキャラクターのロールプレイ分はさらに減りました。インペラゴン戦以降にホロブン自身が話すことは無くなりました。本体が消失して、複製品と入れ替わってからは、会話能力すら曖昧で、古い仲間をかろうじて認識できる程度という設定にし、何か言うのは全部HOPE側に宛てがいました。
シナリオ都合で、起源:永劫・人造物という種族に変わった時に、記憶はどこまで複製されるかを考えました。過程を記録したログに感情は乗りません。おそらく生体複製脳にログなど無いので、その時点での最新人間関係図らしき情報だけは移り、武器を振るう役目にはたいした重要性も無いので、人間関係は更新もされず、それで何の問題も起こらない程にホロブンは世界と繋がりが薄かったのです。
でも人間兵器っぽさは増した気がするので、満足度が上がりました。

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D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 3

2017-12-23 00:49:12 | D&D4版 キャンペーン回想
ゲーム期間も数ヶ月空き、キャンペーンシナリオ内の時系列も10年ほど経って、それぞれが社会的立場を固めてから再会して世界の危機に立ち向かうという流れ。その間にキャラクターの身の振り方を考えとけってことです。困った。

そこに助け舟出してくれたのがPLのぱーるおぶぱわーさん。PCではなくPLなのがポイント。PCの性格だったらこれは勧めないだろうから。

「ハービンジャー・オブ・ドゥーム」(破滅の先触れ)

別に前職レンジャーに限らず、誰でも選べる加入条件の緩い神話クラス。何やるのかつーと他人も自分も破滅させる歩く凶兆。うわーかっこいいー、こういうの大好きです。固有能力として命中判定ダイスに1の目が出たら振り直せます。ルール上攻撃時1の目は絶対失敗なのだけど、この能力のおかげで攻撃において大失敗は起こり得なくなりました。十分な命中修正値を稼げたなら必ず攻撃を当てます。そこに偶然の失敗はありません。すごい殺意。殺すと決めたら準備を重ねて、あとはただ刃物を振り下ろすだけです。努力も我慢も気合も根性も前提化しました。それらを積み上げたら、最後にスイッチ入れる作業のような攻撃になりました。
ホロブンはいつも無言だから内面変化がわかりませんでした。周囲も自分もいつも通りだと思ってました。でも殺傷行動に偶然が挟まる余地が無くなって、破滅の肩書が周囲に危害を加えることへの疑問も消してしまいました。これアカンやつだ、絶対バッドエンドしか行けないルートだ。
いいじゃない、目先の殺傷力のためならバッドルート選びます。8年の苦労も代償に差し出します。そもそもハービンジャーオブドゥームなんて、徹頭徹尾他者に危害を加えるための能力しかありません。素がヒールな私はそんな嫌われ疎まれ憎まれ役は得意です。みんなで不幸せになろうよ。


シナリオ規模が大掛かりな分、ハウスルール処理が増えてきました。他メンバーもイベント由来のアーティファクトをぽつぽつ入手し始め特殊能力が使えるようになってきます。アーティファクトてのは劇中1個しか取れない手作り特注強アイテムです。金銭では値段が付けられない超貴重品。そういうのがホロブンにはなかなか宛がわれませんでした。
理由は私の出席率が悪かったこと。アイテム与えようにも対象がその場に居ないのでなんとなく後回しでした。その上、戦闘以外に働かないので役職や発言責任が伴なうアイテムは宝の持ち腐れ確定です。そして戦闘時も全てのスキルを同時に重ねることで瞬間火力を叩き出すのに特化してるので、援護や牽制に割く小技を撃ってる暇はありません。つまり単純な高火力武器以外不要でした。

そんなところに船を入手する機会がありました。シナリオ規模が大きくなったので、全員まとめて広大なエリアを高速移動する手段が必要になっていました。
スペルジャマーシップという魔法で飛ぶ宇宙船みたいのを次元界の暗礁宙域で拾い、そいつを修理して使うことに。見た目は帆船ですが中身は良く分からない魔法技術が詰まってます。ホロブンはこいつのメンテナンスを任されました。ドワーフ製の工具でないと扱えないんだと。
GMから渡されたのは船用キャラクターシート。いろいろパーツ換装することで、高速輸送船から飛行戦艦までこなせる高性能機に見えました。実際使うと器用貧乏でたいしたことなかったのですけど。
そのパーツ内に一つ面白い奴があって、船のメイン管制システムに「人工知能HOPE」てのがありました。乗組員3人分の働きをするそうです。でも重要なのはそっちじゃない。昔からお喋りな船のメインコンピュータは定番です。ホロブンにもこいつを付けよう。

来歴不明のスペルジャマーシップHOPEには知性がありました。人工知能とありますが、それが合成された意識なのか、封じられた魂なのかは不明です。ただ、この人工知能をフルスペックで動かすには、船に搭載している旧型機材の容量では明らかに性能不足でした。修復改装するホロブンにHOPEが持ちかけた話は「頭脳の半分を貸してください」この魔法万能世界でも生体脳の性能を再現する技術はありません。普段から頭を使ってないホロブンは、良く考えずにこの提案を承諾しました。以降、ホロブンの脳にはHOPEが間借りし、ホロブン本人はメモリ半分で行動していますが、斧を振り回すだけの仕事ならそれでも十分すぎる容量が残りました。
ここからホロブンの頭の周りを、アイウーンストーン状の小さな石がくるくる飛び回るようになりました。この石が振動することで音声を出すのです。能力はただのスピーカー。しかしこれで、PLが何も考えない話さないキャラに封じ込まれず、世界観を見ながら発言する手段を得ました。
「みなさん初めまして、スペルジャマーシップを管理する人工知能HOPEと申します」
常に敬語で話すので礼儀正しいように見えますが、口を開けば何かぶっちゃけてるダメな大人がそのまま船になったような、やや不謹慎かつ無責任な性格です。一応性別は女性らしいです。船だし。



思い返せば旧名ホロビンよりも、ホロブンの名前のほうがしっくりくる程の長い付き合いになっていました。
神話級開始してからホロブンの殺傷力は目覚ましく上がりました。20レベルを超えるとW数が倍に増えるのです。通常攻撃が12面ダイス2個、それを両手で12面ダイス4個相当。伝説級初期での1日1回必殺攻撃力並です。しかし、やはり命中ブーストは1ラウンドしか効かないので出番はすぐ終わりのままでした。
これはクラス設計の根幹問題で、キャラ運用やロールプレイでどうにか出来るものではありません。高い攻撃力を無駄打ちせずに最大効率で命中させるには、スキルを一斉に重ねてブースト時間内に使い切る性能にする必要があります。幅広い戦法を取るには違う局面毎のパワーを用意しないと使えません。瞬間火力と継戦能力とは両立出来ないのです。
流石に神話級高レベルでは敵の防御も硬く、極端に振り切らないと攻撃があたりません。命中判定ダイスの出目の都合上、素のまま戦うと攻撃命中率が30%以下もざらでした。
なので、1日1回の強攻撃だけ目いっぱい命中率上げて当てたらその日の出番は終了です。他の攻撃などまともに当たらないので賑やかしにすらなりません。だからゲーム中やる事ないしやっても無駄だし暇だし退屈だし、待ち時間が長すぎてますます「4版世界で自分がやれることなどない」という印象が固まってしまいました。今でもそう思ってます。4版での戦闘は丁々発止の派手なアクションの応酬が楽しいという評価も聞くのだけど、処理の重いバフ・デバフ・牽制パワーをみんなして重ねるからすごく中だるみしてるようにしか見えませんでした。ゲーム内時間6秒の出来事を処理するのに60分以上かかるんだよ。毎回そうだったんだよ。レンジャーはその間暇で暇で。




シナリオ進行も佳境でした。キャラクター達も各々の事情で動きにくい部分が現れ、ロールプレイにも悩み、その分シナリオ世界も連動して変化がはっきり現れて行きます。そこでGMから面白いネタ振りがありました。

「こいつ魂が常人の半分もないぞ」
よし、いい感じでバレた。神話級へ移行する間にホロブンのキャラクター造詣を詰めておきました。
薄い性格と過剰な攻撃力。ちぐはぐな理由をこじつけた自信作の設定です。

ホロブンは人造体である。
旧世界の人造ドワーフで、最強片手武器のドワーブンウォーアクスを素で使いこなせるようドワーフ型フォーマットで作られた。記憶喪失ではなく元々記憶するほど長く生きてないだけ、人格が薄いのは最低限の人格モデルしかインストールされていないところに、エラーで1体だけ起動してしまった欠陥品だから。3.5版世界で少しだけ稼働した後に、別のドワーフの戦いに巻き込まれ(そういう描写が昔のゲームキャンペーン中にあった)4版世界に飛ばされて再構成の過程で他人と混ざり、さらに意識の混乱が増した。
ちなみに混ざった他のドワーフというのは3.5版シナリオに登場する「インペラゴン」という悪いドワーフで、そいつもこの世界に来ており、南方でやさぐれた勇者をしている。多少の不品行はあるが彼は4版世界で真当な成り上がり勇者であり、破滅の先触れと化したホロブンのほうが影となる世界の害悪である。
人造ドワーフを作った旧世界ドワーフも、いまだこの世界に存在しているが体感時差が百年以上あり、ホロブンの同型機は全て廃棄済み。

ホロブンはシナリオ空白の10年の間に、自分の造物主に会いに行ったが、本来の参加予定だった計画は既に終わったことを知らされ、存在理由を失い、処分を頼むも過去の個体と差異が大きく、不正処理と見做されサポートは得られなかった、という経緯を設定しました。今のマイクロソフトにMS-DOSの話持ち込んでもサポート終了してるでしょ。そういうことですよ。違法コピーだし、サポート終了してるし、メーカーも関わりたくないわな。

目的を再度無くしたホロブンは自己の能力をただ研鑽することを決心したが、それは異世界の破滅がこの世界へ侵食する突破口に繋がった。
その破滅とは「モスタリ」
異世界の世界機械が物理法則を書き換えるために、同じドワーフ型の生体でただひたすら精度を高めるホロブンの意識と同調した。やがて破滅は世界を一定規格に書き換えるためにホロブンを通して現れる。ホロブンの戦闘力はそのまま端末の基準として量産されるだろう。
モスタリてのは「ルーンクエスト」という他ゲームシステム内でのドワーフ所属世界。そちらのドワーフは一種のロボットで、D&D世界とは全く違う存在です。

過去のシナリオ展開も組み込んで、強大な敵も配置して、クラス特性に合った不穏な秘密も着けて、どうやっても良いこと無く死ぬフラグも立てました。
私こういうの得意です。


ここに一つ仕掛けがあって、ホロブンだとバッドエンド直行ですが回避方法もあります。ホロブン死ねば良いんだよ。自キャラ死んだらどうすんの。
新キャラクターに交替だよ。D&Dは昔からキャラ死亡なんて毎度のことで、前もってキャラクターシートを3人分用意するのは基本だと聞きます。ホロブンは昔にも一度リストラされた経験あるし、これも毎度のことですよ。こいつ死んだら既に勇者やってるインペラゴンを使います。
インペラさんもしっかり設定考えました。ホロブンが意識薄い分、こいつは我欲が強くて名誉も権勢も望みますが、世界を救う意識も強くて危機に立ち向かうには最適です。とても聖人とは言えないけど正直な人なので、敵対も協力も全力です。大いに笑って怒る人。そしてより多くの人を救うために戦う人です。多数派に靡くだけとも言えますが、清廉潔白聖人勇者など私がロールプレイ出来ません。性格の問題点にもなるべくしてなった悲しい理由があり、情状酌量の余地も多分にあり、今後の更正も見込めるように考えました。バイオレンスジャックという、昔の漫画に出てくる「スラムキング」というキャラクターを参考にして、性格を大分マイルドにした感じの、何より自分自身が使いやすい入り込みやすい人物にしました。

計画は決まりましたけど、決行は慎重に行う必要がありました。突然のキャラ変更、しかもいきなり主張の強いキャラが出て来るのですから、周囲の反応が芳しくないのは想定できます。でもやる。ホロブンのままじゃさっぱり動きが取れない。

GMへの打診も少し予定を繰り上げました。当初は盗り夫さんGM時に盛大に感情込めた展開を計画していましたが、それだと最短でも28レベルの時期。取り回しの変化は自分にとっても負担です。できれば早く操作感覚を掴みたい。なので、その前のomoteさんGM時にインペラゴンを出してもらい、さっさと交代劇を済ませておくことにしました。
ここでGMomoteさんに出した注文は「インペラゴンは超強く作ってください」でした。劇中でホロブンを正面からぶっ倒す理由と強さが必要ですし、何より私が3.5版と比較して4版に抱いていたシステム的不満も一因です。
元々の旧ホロビンはファイターで、物理面での高防御と高攻撃を両立していたキャラクターです。4版ではクラスの特性上、能力どちらか一択で攻撃力を選んだため、重戦車型キャラクターには出来ませんでした。でも1日1回の必殺技なら防御重視のファイターでも十分なW数があるし、現状のホロブンも1日1回フィーバーするだけの仕事なので、稼働時間に大差ありません。だったら装備は防御ガン上げで、パワーを瞬間攻撃力に充てたバランス型ファイターキャラでも良いんじゃないですか。もちろん慣れない防御役の設計を自分で上手く仕上げる自信など無いので、そこは個人要塞レイオットを作ったomoteさんにお願いしようと、そしてそれを丸パクリしようと、そういう算段なわけですよ。私って狡猾ですね。

盗り夫さんがGM時にぽつりと「レイオットは硬すぎて扱いに困る」と言ってたことがあります。なんで困るかというと、攻撃が通らないのがわかりきってるから、敵キャラでダイス振る労力も惜しくなるためのようです。心折られるってやつです。それ前衛の理想ですよ。戦意を喪失させる護身完成ですよ。私はそれがとても欲しいのです。

ゲーム前日、自分用に台本用意しました。ホロブンからインペラゴンに交替する場面でかっこいいセリフ言うために、一通り書き出して確認。よしOK。旧キャラを当て馬にして新キャラ出すと嫌われやすいのも十分理解してるので、ホロブンの事情も汲み取って、インペラさんがただの野心家ではないアピールも盛り込んでいます。人物性格の光と影が合わさって最強に見えます。

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D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 2

2017-12-23 00:48:02 | D&D4版 キャンペーン回想
あまりに手持ち無沙汰な様子に戦闘時のダメージトラック役を任されたこともありましたが、これは元々数字が苦手な自分には負担が重い役割でした。生来常人平均よりも数学能力が劣るので、回復した今でもダメージトラックは下手です。


そして、伝説級半ばからTRPGの定番としてロールプレイ分が増えてきました。世界に危機が訪れ、キャラクター達は大きな力を得て活躍し、その行動が世界情勢に影響を及ぼし始めます。なんとなくでは気軽に動けない情勢が出来てきました。気軽に動いても良いのだけど、迂闊な行動のせいで誰かが困窮する結果も描かれるため、良識をわきまえようとするキャラクターから順に取り回しが重くなって行きます。しかし世界内での立ち位置に悩む程、キャラの周囲に関係性は広がり発言力は増しました。これはキャンペーンシナリオに介入していく足場です。

ここまで無言のまま、機械的に攻撃役しかしてこなかったホロブンは取り残されました。GM盗り夫さんにも「キミはパーティー内の人間関係を疎かにし過ぎだ」と指摘されています。事実、20レベルもそろそろ近づきキャンペーンも後半に折り返したのに、ホロブンはパーティー内に個人的関係を結べてるキャラクターが居ませんでした。

パーティーメンバー構成はこう。

・ヒドゥンエッジ
プレイヤー・盗り夫さん。キャンペーン半分をGM。
エルフ・ソードメイジ(防衛役)初めは消えた家宝の剣を探しているエルフ剣士だった。各地を廻っているうちに物事の歴史を記憶することに意義を見出したらしい。時折強迫観念気味に剣の行方を尋ねるのが持ちネタ。歴史と魔法学に長け、戦闘では小技使いがやたら上手い。間合い取りや攻撃回避を駆使してパーティー全体の被弾を最小限に抑える、素早く見えない盾役。インテリなので実技試験に弱い。

・フィネス
プレイヤー・AMAさん。
ドラウ・ローグ(撃破役)劣悪な家庭環境から脱走して復讐のために腕を磨いている。早くにキャラ方針が決まったので親族が何人も敵役に登場した。脚が速く戦闘時には他キャラの倍は走り回る。落とし穴に落ちた時に、先に落下していたホロブンを抜き去り、倍の早さで戦場復帰した。戦場適応性が高くどんな場所・相手でも柔軟に戦える。コワモテだが意外と面倒見が良く、他人の話も聞き、身体も張る。筆記試験は苦手らしい。

・メルセーデ
プレイヤー・ぱーるおぶぱわーさん
ヒューマン・クレリック(指揮役)パーティーを立て直す強力な回復能力をいくつも持つ。初期から大鎌を持ち続ける異様な装いだが、性格は真面目。目先の困っている民衆のためなら多少の怪我も苦痛も厭わないため、よく傷だらけになる。困る民衆の遠い将来にも悩み、信仰も救済も常に全力で取り組む激しい気性の聖女。敵に脆弱性を付けるパワーがあり、ホロブンの連続攻撃を繋げると並外れたダメージを出せる。通称フィーバータイム。

・ガンダルーブ
プレイヤー・ノブさん
ティーフリング・ウィザード(制御役)大魔王の血筋を称するメルセーデの幼馴染。尊大な態度と大きな野望をちらつかせるが、パーティー内の軍資金を管理し、マジックアイテムを調達し、対外交渉も細やかにこなすなど経営能力が高い。普段は悪役じみた言動を取るが魔族生まれの建前らしく、パーティーが動くための準備を率先して行う気配りの人。メルセーデが突っ込むトラブルの後始末も仕事のうちらしい。レトロゲーマーで暇の時には自宅でファミコンをしている。

・レイオット
プレイヤー・omoteさん。キャンペーンのメインGM。
ヒューマン・ソードメイジ(防衛役)パーティーの拠点都市ネルカレンの騎士。前出のエッジと同じクラスだが運用方がまったく違い、高い防御力で前線を守り敵を足止めするタイプ。防御が高すぎて敵が攻撃を諦めるほどに硬いので、私は「個人要塞レイオット」と呼んだ。実直がそのまま歩いてるような人物で、私欲薄く、他者を欺かず、公共のために力を惜しまない。開始当初から役職持ちのキャラクターとして行動していたので、立場と人格から終盤には大きな人脈を築いた。頼られる側としての人脈。

・ラックル
プレイヤー・wakaiさん
レヴナント・ファイター(防衛役)シナリオ中盤から参加した第3の防衛役。防衛役PLはどちらかがGM担当なので並ぶ事はなく、彼が2番目防衛役として戦うことになった。ラックルは2代目キャラで、最初はゼットンというキャラだったが途中で交代した。戦闘方法は敵のスキルを押さえ込み牽制しながら、仲間を援護も出来たりと継戦能力が高い。気前が良いせいであちこちの陣営に振り回されたが、それはPLの出席率が私と同じくらい悪く、不在時にNPC扱いで無茶振りされたためで、中身が入っている時にはヒーロー特性を発揮する。

エッジとフィネスはタッグ組んでます。
メルセーデとガンダルーブもコンビで行動しています。
レイオットとラックルは役職があり責任のある仕事を負っています。


みなさん、地に足がついた堅実なキャラクター造詣が出来てます。目的をはっきり定め、所属陣営も自覚して、今後の行動指針もわかりやすいです。
ならば自分とこのホロブンはというと、無目的、根無し草、主義主張が無いせいで誰とも利害が関わりません。黙ってメンバーに付いていき1日1回ラッシュ攻撃叩き込むだけの道具になっていました。
これは問題原因がプレイヤーの自分自身にあります。メンタルの不調だけではなく、舞台世界に無関心でした。長年この趣味続けてますが、実のところ剣と魔法のファンタジーには昔から興味が薄く、本来ポストアポカリプス好きなのに満足できる専門システムがないので、仕方なく代わりにハイファンタジー使ってるくらいの気構えです。どうせ神様とすごい魔法の設定を、後から言った者勝ちだろうとタカをくくって見ていますし、これからも見てるでしょう。だから背景設定の神様やら英雄やらの世界情勢を知ろうともしなかったし、関わるつもりも無かったのです。私がウォーアクスで叩き殺すだけの役目には関係無い、そんなもの知っても自分の強化につながらないからです。多少の演出描写に意欲出したところで「一人で勝手にやれよ」みたいなこと言われたので無駄な努力も止めました。信じられるのはキャラシートの数値だけです。

この考え方はマイナス要因の連鎖が働いています。
・元々ファンタジーに馴染みにくい嗜好
・難しいルールを処理出来ないので戦闘機能だけに単純化
・戦闘能力を向上しづらいルール調整
・少ない要望すら満たせない不満の長期間蓄積
結果、自分には楽しみの乏しいゲームと感じ意欲が減退したのです。加えて当時の体調が非常に悪かったのも問題でした。呼吸器系、循環器系、低体温、睡眠障害、皮膚の炎症が多数あり、病院にいっても自律神経失調症と漠然とした診断で何件もたらい回しでした。正直ゲームどころじゃないつらい毎日でしたが、何か頑張って活動していないとこのまま動けなくなる恐怖感があり、やや無理目に負荷をかけて生活していた時期です。他人から見れば役立たず状態でも自分を120%出力で動かしていました。
大好きなメタルマックスすらまともに遊べなかった、という惨状がわかる人には伝わると思います。私がメタルマックス出来ないって相当具合悪いのよ。

今は回復して簡単に動けるようになりましたが、逆に動きすぎて体力の限界越えても意識が冴えるので、これはこれで問題です。
生活習慣が乱れきって全然体調管理できないけど、ゲームくらいは途切れずに続けたいと考えて、東京のイベントにも参加した覚えがあります。今の1割以下の気力体力でよくやったな自分。

とにかく、ロールプレイ分が足りてない、このままではシナリオに置いていかれる危機感もあり、ホロブンというキャラクターの中身をしっかり構築することにしました。
しかし、またここでルールの壁にぶつかりました。今度のは難問です。時間かけてレベルを上げて物理で殴ればいずれ終わるW数の問題どころではない、ルール構造の壁。
D&D4版になって前衛白兵戦クラスが分割されました。防衛役はファイターへ、攻撃役はレンジャー・ローグへ。
つまり暴力担当が細分化。仲間を守るキレイな暴力はファイターの仕事。血まみれの暴行殺傷汚れ仕事はレンジャー・ローグの仕事。
他者への攻撃理由を合法的にこじつけるのが、ルール的に不可能になりました。なんで殺すの?守りたい誰かがいるから。ならファイターやれよ、という話です。どう転んでも凶悪粗暴犯でしかない。ローグは初めから偽造窃盗恐喝がスキルにあるので、アウトロー路線は既に覚悟完了です。
ならばレンジャーは?最大殺傷力のデカイ刃物を両手に持って過失と言い張るのは無理があります。ホロブンは温厚で穏やかな性格という風体を装っていました。何も考えてないから他者と衝突しなかっただけで、実際は常に殺戮効率追求してたので、性格と能力に矛盾が出ます。心優しい殺人者?温厚だけど殺傷道の探求者?それはマトモな性格じゃないだろ。

妥当な解答はあるのだけどゲームキャラには都合悪いので不採用でした。
正解は「怯える過剰防衛者」
常時なんでも確実に殺せる用意があれば安心でしょ。でもこんな性格設定採用したらまず手の届く範囲から沈静化します。つまり真っ先に隣のPCに襲いかかり、何もかも殺し尽くし世界総人口1人になって、ようやく平和に安心する狂人。長期間続けるキャンペーンでPC間が争って良い事なんて一つも無いからな。

性格面で折り合いが付かなかったため、ホロブンにはそのまま心神耗弱でいてもらうことにしました。強迫観念的に自己を鍛えるけど、その力の向けどころは他人に決めてもらう必要があります。やっぱり道具じゃねえか。

もう一方の暴力担当のフィネスが、その辺どうやって折り合いつけてたかというと、私の見立てでは攻撃対象をごく小さく絞る厳選をしていたように思います。ヤンキー姉ちゃん上がりでガラ悪くさえ見えるフィネスの中では、他人を4領域に分けていて「どうでもいい」「うざい」「ムカつく」「殺す」の内、極小の殺す圏内だけをぶん殴っていたのではないかと。
そんなん後から考察したことだし、当時気づいてても取り入れる余裕も土台も無かったのだけど。


そしてキャンペーンはいよいよ20レベルを超え、神話級に入りました。
神話級に入る時にも高位キャラクラスを選ばないといけません。ここでまたホロブン大弱り。神話級クラスは「神話の運命」と言って能力面よりもキャラクターの行動方針に影響するルールが多いのです。ランクアップというよりロールプレイの制約縛りみたいなもの、単純にスキルの強弱では選べないし、今までの行動も考慮されます。
誰とも何とも関係のないホロブンには進む運命が見つかりませんでした。空々しいにわか設定作って、どこかに陣営に拘わる素振りでも出せれば無難に済んだのでしょうけど、当時はまだ体調不良が続いていました。そんな器用に動けないし、だいたいレンジャーから上がれる神話の運命は、どれも攻撃増強にたいして役に立たない雑魚クラスばかりです。お馴染みレンジャー抑制ルールだよ。またこれだよ。前世でレンジャーが何か悪さしましたか。

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D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 1

2017-12-23 00:45:30 | D&D4版 キャンペーン回想
友人たちと定期的にゲームを遊んでいます。D&Dという卓上ゲームを長年続けていて、8年越しの長期キャンペーンシナリオが最近完結しました。

D&D4版という、やや煩雑なゲームシステムで、テーブル上にマップを広げ、その上に自分の駒を置いて、仲間とチームを組んでダイスを振りながら遊びます。それの1レベル~30レベルまでに及ぶ長大な物語でもありました。

自分の中では8年分の成果が結集して、大変満足の出来た楽しい最終回でした。友人たちも「いやー8年間お疲れさまでしたー」と駒を並べて記念写真を撮りました。


左端に変なのいますね。剣と魔法のファンタジー世界なのに鋼鉄臭いロボットがさらっと混じってますが、うちのキャラクターです。最終回は巨大ロボになって戦いました。「乗って」ではなく「成って」です。自分がマシンになってどうすんだという話ですが、こいつは元から異常な程口数が少なく、主義主張もなく、意志が非常に希薄だったので、強化策にはこの措置が妥当です。もちろん自分の嗜好丸出しだったので、他メンバーとは絡みにくく最期の場面でも誰からも構われずに勝手に自壊しました。

8年間の物語の終わりで、一人だけ誰とも人間関係を築けず盛大なバッドエンドルートを迎えたわけです。
しかし、それに対する言い訳はたくさんあります。今から書きます。
まず、約8年という期間の内、7年近く私自身が大変弱っていた時期と重なっています。このゲームでキャンペーンシナリオを始める数年前から服薬治療をしていて、言っちゃ何だが心神耗弱もいいところでした。だって漫画1冊どころか数ページも読めない。文字を読んでも内容が頭に入らない。当然ゲームのルールブックを読んでも、そのデータがどう働くものなのか考えることが出来ませんでした。
D&DというのはTRPGという遊びの中でもかなりルールが煩雑な方で、版ごとにシステムが違います。少し違ったり、それなりに違ったり、まったく違ったり、差異具合も大きくとても煩雑。この時は3.5版から4版に移行し始めた頃でした。頭の弱りきってる人間にでかいハードカバー海外ゲームの新規システムを与えて、いったいどれ程活用できるのかと言えば、全然出来ませんでした。

ゲームするんだ……、何すればいいの……。

こんな具合で全然ダメだったので、キャラクターの能力値も外見も来歴も運用法も、全部友人に作ってもらいました。
ぼやーとした頭で卓に着いたら、既にキャラクターシートが出来ていて、後は名前を決めるだけ状態でした。いや、名前だってもう8割決まってて「ホロビン」という、以前D&D3.5版時期に少しだけ使ってたドワーフファイターの4版コンバートキャラでした。旧版とはシステム上同じタイプに作れなかったのと、背景舞台も時代設定も若干違うので、そのまま本人というわけでもありません。よく似た人だが記憶喪失で詳細不明という、後から詳細付け足せるふわふわ設定で始めることにしました。

名前:ホロブン
本人も曖昧にしか名前を覚えてないせいで、間違ったまま名乗ってる設定。この時は今後8年も付き合うつもりは無かったのです。どうせまたレベルアップ失敗して、後からもっと状況に最適化したキャラクターと入れ替えるつもりでした。メンバー内で不評を買うことがありますが、私はゲームの自キャラクターをリストラ、上位互換に変更するのにあまり抵抗がありません。そもそも今回も元になった旧ホロビンも、そうしたリストラで捨てたキャラクターなのです。後発キャラは圧倒的な機動性と長射程を持つ「ペルガ」という弓キャラでした。深く考えずにキャラを交替させるせいで、性格描写が雑になり、ホロビンは老人口調の髭ドワーフ、ペルガは老人口調の小娘でテキストに起こすと大差ありません。ペルガの話は別の話題なのでもうしません。

つまり、ゲーム開始時点でホロブンには感情移入し難い理由がいくつもあったのです。一度捨てる判断を下したキャラを他人が組み替えて、もう一度卓に上げられても興味がそそられません。大体私は元々ドワーフが好きでも嫌いでもない無関心派でした。背が低いのも頑固な性格というのもマイナス要因。理想のタイプは未だに3高です。高身長・高出力・高耐久、少なくとも身の丈2メートル以上あって、目的のためなら手段を選ばない柔軟な性格が好みです。典型的ドワーフキャラなど眼中にありません。今でもそうです。
加えて当時は思考が過去最低ラインで鈍っていて、キャラの代案すら思い付きませんでした。なんとなく気に入らない、すら自覚無しでした。

名前:ホロブン
種族:ドワーフ
クラス:レンジャー(二刀流タイプ)


大雑把に言うとこんなキャラクター。このゲームでのレンジャーは物理攻撃専門家です。他クラスより若干攻撃力が高い以外の取り柄はありません。その高攻撃力もダイス1個分程の差です。ぶっちゃけ誤差の範疇ですが、ゲーム序盤では敵のHPも僅かなので、その誤差が響きます。序盤だけはな。
後々この性能が悪影響を及ぼしてきます。キャラクターにする意義を感じない、1日1個使えるボンバー程度の働きと化していくのです。

うまく運用出来ないのも自分の不調だけが理由ではありません。レンジャーはルール面で欠陥がありました。使える技がほぼ全て物理攻撃。それも
弱攻撃:何度でも使える
中攻撃:戦闘のたびに1回使える
強攻撃:1日1回だけ使える
1回強攻撃を撃ったら出番終了です。情報収集やら戦闘の駆け引きの技はありません。皆無じゃないけど他クラスがやったほうが早いのでレンジャーの仕事ではありません。
実はレンジャーには二刀流タイプの他にも、素早く弓を撃つタイプや、動物使いタイプ等の種類があります。そちらは素早さを活かした野外活動スキルで戦闘以外も働けるのですが、ホロブンは元来鈍足地下生活のドワーフで、野外行動も敏捷さも苦手です。消去法で近接戦闘に励むしかありません。他に身を立てる進路が無いのです。
しかし、正面切って殴り合うにはレンジャーの防御が薄いので、鎧習熟してチェインメイルを着ることにしました。
少しでも路面が悪ければ、途端に遅れるドワーフの鈍足にも困りました。<特技:俊足>を取って置いてきぼり事態にも備えました。
通常の武器ではダイスの目が小さくダメージが増えないので、片手武器の中で一番強いヤツを両手に2本持ちました。ドワーブンウォーアクス2丁装備。しかしマジックアイテム2個分揃える予算が足りず、左右で効果が違うと管理が大変なので自ずと「ペアード」一択でした。1個の武器を2つに分けて使えるお値段的にお得な武器ですが特殊効果はありません。長年こいつを使ってきたせいで、終盤装備の強烈パワー特性持ち武器の取扱いに手こずりました。ダイス1~2個だったのが急に9~18個とかに増えたら混乱しますよ。
プレイヤーでやれる工夫はやりました。少なくとも当時の自分にはこれが精一杯。

でもレンジャーの悪待遇はシステム面でも次第にはっきり現れてきました。契機は10レベルを超えた時期。キャンペーンはちょうど「シルバークロークス戦記」という長編シナリオに差し掛かっていました。ルール上でも英雄級から伝説級へと、強さに区切りが着く辺りで、敵レベルが全体的に底上げされます。より速く硬く賢く、そして攻撃が重く広く強くなりました。相対的に自キャラ達は苦戦する羽目になります。
しかし、皆やれることが増えており、効率的に情報収集出来たり、先手を取って状態異常で戦場を撹乱したり、特殊な移動方法で間合い取りが巧妙化したり、強敵をいなす搦め手を使えるようになってきました。ホロブン以外は。
ホロブンは相変わらず1日1個強攻撃ぶっぱレンジャーのままです。その強攻撃だって物理ばかりだから、頑丈な敵相手には相性悪いのだけど、メンバー内の他アタッカーがホロブン以上に頑丈苦手な暗殺者型でした。ホロブンが他より若干マシな攻撃を加えて削る必要がありますが、私がそんな単純作業に嫌気が差してて、この時期の出席率が悪かったです。

この頃から戦闘手順の複雑化が顕著で、戦闘開始直後は敵味方ともに戦場にギミックを仕掛け合うため、1ラウンド処理に1時間近くかかるようになってきました。1時間待った後、数秒で1日1回強攻撃ダイス降ってホロブンの出番は終わります。その後また1時間程待ちます。

戦闘手順複雑化と長時間化の他にも悪要因はありました。
シルバークロークス戦記シナリオが主に「邪悪な巨人達の襲撃に立ち向かう」内容だったこと。この巨人達は「プライモーディアル」という荒れ狂う自然の猛威が擬人化したものらしく、基本的にどれもタフな脳筋パワー押しで襲ってきます。HPとACがみな高く何発も何発も攻撃しないと倒せないため、これが戦闘長時間化をさらに伸ばしました。
そんなタフガイどもを叩き伏せるのが物理攻撃専門クラスだろうと、ホロブンは対巨人戦用クラス:ジャイアントスレイヤーに進みました。しかし実際の能力はやや防御牽制寄りの技が多く、戦闘短縮にはさほど役立ちませんでした。また、このクラス必殺攻撃「巨人殺し」は4W、武器ダイス4個振りですが、普段から二刀流必殺技で2Wの2回攻撃してるせいで有り難みが薄いものでした。他のクラスならば、この時期に4Wのダメージソースは貴重です。つまりシナリオ攻略には向くが、ホロブン向けではないクラス。組み付きを払い落とすスキルや、敵の頭上に駆け上りマウントを取る技もあって、それなりに派手ですが活かす場面が難しい。

レンジャーにも援護や牽制技が皆無ではないけれど、相手に攻撃がヒットすることで効果が出ます。つまり命中前提なので防御が高い相手にはかすりもしないし発動もしません。敵ACが少し上がれば途端に空振り連発になります。雑魚相手には手数と範囲が足りず、ボス相手には命中率が届かない、戦場適応力の低い弱キャラ感が漂ってきました。


そもそもの大問題として、英雄級から伝説級に上がっても自分の攻撃力は増えません。敵が軒並みワンランクアップしても、自分達の攻撃ダイスは据え置きのまま、マジックアイテム等の強化で2~4程を稼げとのルールです。ホロブンは武器2丁持ちだから偶数強化です。普通は1~2の強化。やはり誤差の範疇。
だから他クラスは、より多彩なスキルを覚えて賢く戦うように成長していきます。今までの不可能が可能になっていきます。術士系が顕著。
レンジャーは今まで出来たことの延長です。より強く殴れます。命中精度は上がりません。アクションポイント等で瞬間的に命中率を上げる方法はあります。逆に言えば素だと全然攻撃が当たらないので、一瞬の命中率ブーストに乗せてありったけの攻撃力を叩き込む瞬間火力を狙うしかありません。タフでなかなか死なない巨人相手には相性の悪い戦法ですが、他に無い、どうやったら活躍出来るのだ。
結果的に出番がますます瞬間的となり、命中判定とダメージダイス振るまでの時間待ち感は増えました。今日は6回ダイス振った、とかそんな感じです。
敵がいつまでも片付かないせいで、ホロブンが頑張ってないように見えます。このラウンド何したの?空振りだけです、もよくあること。

レンジャー=一日に1ターンだけ攻撃が命中するクラス、になりました。つまり卓に座って数秒の攻撃のために何時間も待機し、攻撃後は戦闘終了までまた何時間も待機します。それだけです。どうせ攻撃当たらないし、火力も出ないし、やることないし、やっても効かないし。


そして、いずれ取得する予定の高レベルレンジャーパワーのルールを眺めながら、嫌な予感もしました。W数が少ない。Wとはウェポン数で攻撃時に振るダメージダイス数を指します。通常1Wはダイス1個、必殺技なら3Wでダイス3個な具合です。高レベル必殺技ほどW数は伸びて他所だと7~8Wなんて大技もあるのに、レンジャーには6Wが限界で、それも弓連射技なので小さいダイスを素早さで連射し、筋力修正は乗らない数字詐欺がっかりパワーでした。
どうもルール設計にダメージを出し過ぎない、出させ過ぎない意図が働いている様子。アタッカーばかりが凄いダメージを出さないように下方修正、他クラスは景気良くダイス数サービス技を付けてバランス取っているつもりなのでしょうか。
ルールブックのレンジャー基本事項に「キミは他のキャラクターよりもダメージを出すことに長けているが特徴はそれだけだ」とあります。攻撃力しか取り柄のないクラスの攻撃力を押さえ込もうという、稚拙な調整だと思います。何のために居るのウチのレンジャー。


他にもっと自力努力出来たのではないかと今では考えられますが、当時の状態を思い返すと到底無理な話です。実生活面でも行き詰まっていて、自室のテーブル上で箱が転倒して中身がこぼれたのを半年以上も放置していた程に思考が鈍っていました。錠剤がこぼれ落ちたのを見ても片付ける発想が無いのです。行動と結果を結びつけて考えるのがうまく行かず、なるだけ行動しない行動できない生活でした。

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