では、エピローグ。
ホロブンが消えても世界は続きます。元々最初から存在しなかったように、何も不都合なく日常に戻りました。
ガンダルーブは地獄を統括しています。しかも誤って入手した「善のルーン」のせいで属性が大きく変化してしまい、地獄で善政を施すというよくわからない事態になりましたが、問題か問題じゃないのか周囲も困惑しているようです。それは果たして地獄なのか?
メルセーデはリリィ監督不行き届きの罪状で、しばらく獄中生活でしたが、やがて釈放されガンダルーブの元へ向かったようです。彼女も微弱ながら死のルーンを持つので、安らかな死に拠る救済を求める者が待っているでしょう。
レイオットは拠点のネルカレンに戻り国王を続けています。先の大戦参加時に受けた魔法や呪いの副作用で不老化したので、いつまで在位続ければいいのかわからないとか。
ラックルは大戦中にハイローニアスの力を得て戦いました。秩序にして善の神々直属の戦士になったので、今後も戦いの最前線で生きることに決めたようです。クラス:ナイト・オブ・ザ・カリス?それかなりハードな役職ですよ。私は詳しいんだ。
フィネスはまだ封印の中にいます。種族内部圧力に対抗するために自己を鍛えていた彼女には、もう戦う理由がありません。好きなだけのんびり暮らせるでしょう。
ヒドゥンエッジはフィネスの封印を守りながら、世界の記録を取っています。過去から続く広い世界の成り立ちと過程を知り得る限り、正確にありのまま記録し残すことが生涯の目的らしいです。
少し寄り道。
リリィはどうしてるか言うと、図書館に詰めていました。死のルーンの強大なパワーを自覚したけれど、それを使いこなすための知識と判断力がまだ欠けていると考え、まず資料面で学習を修めるところから始めたそうです。この世界で死を振るうにも、状況事情が千差万別で、体験で身に付けるには損害が大きすぎるので、まずは世界の記録を知る必要を感じたのでしょう。
HOPEがその図書館のリリィを訪ねて行きました。歩いて話すだけの最小限機能の簡易ボディを組み直したので、見た目が随分変わりましたが、いつもの軽薄敬語ですぐ誰かわかったようです。
若い死神はこれから慎重に世界と向き合うための勉強中でしたが、その覚悟は揺るがない様子を見て、HOPEは安心したのか不器用に歩き去っていきました。
次にHOPEはヒドゥンエッジと会いに行きました。
「ホロブンのことを覚えてますか」
「僕は全てをありのままに記録するよ」
それで話は終わりました。
この世界ともそろそろお別れです。
HOPEの意識はまた次の場所へ向かいました。
この世界はその後、どうなったのか。
どうもなってませんけど、一つ謎が残りました。
遥か後世の学者の間で、意見が割れてまとまらない歴史の謎です。
昔、とある英雄たちが世界の危機に立ち向かい打ち勝った、という記録ですが、その内容に辻褄の合わない部分があり解釈が別れるのです。
長命のエルフ族で、ごく近い時代まで存命していたヒドゥンエッジの残した記録は、当事者本人に拠る記録で信頼性が高いとされていますが、膨大な量に及ぶため一つ一つの記事は簡潔に僅かな記述で済ませており、また情報量圧縮のために独自言語(ジオメターの記号)も用いられ解読困難な部分もあり、全てが正確に伝わってはいません。しかも件の世界危機時の記録は比較的初期のため、体系立っておらず情報が断片的でした。
そこで、同様の時代・事件を伝える他所の資料と内容照合した結果、数度に渡る世界への危機襲来と、それにどのように立ち向う戦いだったのか、おおよその概要は掴めました。しかし同時に大きな問題点も浮かびあがりました。
最も信頼性が高いであろう一次資料のヒドゥンエッジの記述だけが、他と違う記録を残しているのです。
「ホロブン」
他の記録資料や噂伝聞の類にまで、そんな単語は一切登場しません。学者の研究論でもヒドゥンエッジの初期記録には、創作が混じっているという説や、何らかの隠語であり作戦や技に便宜的に付けた仮称ではないかという説など、真相は不明なままです。また、破滅・暴虐などといった不穏な語句と並ぶ事が多いため、忌み言葉の一種で現在は禁じられた概念だとするオカルト説まで囁かれています。
しかし、戦争記録としてこれらの資料群を解読した場合には、別の解釈があります。
資料に基づき戦場想定した場合、彼らの編成と戦術で記録通りの強大な敵と戦うならば、少なくとももう一人、高い戦闘力を持った攻撃役がいた筈で、また広域を高速度で移動する手段が無いと作戦展開が不可能になるという説です。
つまり、速く飛べて、多く運べて、戦うと強い、ホロブンという便利なマジックアイテムがあったが現存しておらず、用途に拠って変型するため、正確な姿も判明しないという推論です。
そして、仮説に振り回された一般人には風評被害が広まります。
エッジさんの記録?あそこだけはフカシだよね。
記述の整合性?作者の人そこまで考えてないと思うよ。
大怪獣と戦う鋼鉄巨人の伝説?そんなのたくさんあるだろ。
同じコマにいた?はいはいペンギンペンギン。
ハービンジャー・オブ・ドゥーム「破滅の先触れ」というのは、こんな具合に本人の名声はさっぱり残らないけど、やった悪さは延々言われ続けるそうです。私が悪いのか。いやこの神話クラス勧めたぱーるさんが。いやでもそれに喜んで乗ってやりたい放題やって不興だったから、こんなに言い訳してるんじゃないの。
しかし、これでもうD&D4版でやり残しはありません。ゲーム内で最大限界実用火力を実現したと思うので、今後どんなキャラクターを作成しても、私にとっては「ホロブン未満」でしかありません。最強のキャラで最強の相手と戦う最高の機会を最大のエネルギーを費やして最後までやり切ったつもりです。一体これ以上何を望むのか。気が済んだ。清々した。一生分のD&D4版を遊び終えました。
思いのまま書き連ねて96kbのテキストになりましたが、いつも時間延長の長時間プレイをほぼ毎月8年間続けた大キャンペーンに関する文章量としては短すぎます。7年以上分のエピソードを端折り、終盤の自分のことだけ書いているため、プレイレポートでもありません。他メンバーキャラクターが何をしてたのかさっぱり言及がないけど、それはよく見てなかったし、覚えてないし、自分にあまり関係無いと考えてたので書いてません。実際影響なかったしな。
社会性、協調性、倫理観の著しく低い内容の自覚はあります。しかし、この記事は先にも書いたとおり「言い訳」です。結論は最初から決まっています。
「自覚してるが治さない」
もはや変化を見込めない手遅れ感を、言葉にまとめるとこうなります。反省も後悔もせず、今後も人と違うルートを好き好んで進みます。
ホロブンが消えても世界は続きます。元々最初から存在しなかったように、何も不都合なく日常に戻りました。
ガンダルーブは地獄を統括しています。しかも誤って入手した「善のルーン」のせいで属性が大きく変化してしまい、地獄で善政を施すというよくわからない事態になりましたが、問題か問題じゃないのか周囲も困惑しているようです。それは果たして地獄なのか?
メルセーデはリリィ監督不行き届きの罪状で、しばらく獄中生活でしたが、やがて釈放されガンダルーブの元へ向かったようです。彼女も微弱ながら死のルーンを持つので、安らかな死に拠る救済を求める者が待っているでしょう。
レイオットは拠点のネルカレンに戻り国王を続けています。先の大戦参加時に受けた魔法や呪いの副作用で不老化したので、いつまで在位続ければいいのかわからないとか。
ラックルは大戦中にハイローニアスの力を得て戦いました。秩序にして善の神々直属の戦士になったので、今後も戦いの最前線で生きることに決めたようです。クラス:ナイト・オブ・ザ・カリス?それかなりハードな役職ですよ。私は詳しいんだ。
フィネスはまだ封印の中にいます。種族内部圧力に対抗するために自己を鍛えていた彼女には、もう戦う理由がありません。好きなだけのんびり暮らせるでしょう。
ヒドゥンエッジはフィネスの封印を守りながら、世界の記録を取っています。過去から続く広い世界の成り立ちと過程を知り得る限り、正確にありのまま記録し残すことが生涯の目的らしいです。
少し寄り道。
リリィはどうしてるか言うと、図書館に詰めていました。死のルーンの強大なパワーを自覚したけれど、それを使いこなすための知識と判断力がまだ欠けていると考え、まず資料面で学習を修めるところから始めたそうです。この世界で死を振るうにも、状況事情が千差万別で、体験で身に付けるには損害が大きすぎるので、まずは世界の記録を知る必要を感じたのでしょう。
HOPEがその図書館のリリィを訪ねて行きました。歩いて話すだけの最小限機能の簡易ボディを組み直したので、見た目が随分変わりましたが、いつもの軽薄敬語ですぐ誰かわかったようです。
若い死神はこれから慎重に世界と向き合うための勉強中でしたが、その覚悟は揺るがない様子を見て、HOPEは安心したのか不器用に歩き去っていきました。
次にHOPEはヒドゥンエッジと会いに行きました。
「ホロブンのことを覚えてますか」
「僕は全てをありのままに記録するよ」
それで話は終わりました。
この世界ともそろそろお別れです。
HOPEの意識はまた次の場所へ向かいました。
この世界はその後、どうなったのか。
どうもなってませんけど、一つ謎が残りました。
遥か後世の学者の間で、意見が割れてまとまらない歴史の謎です。
昔、とある英雄たちが世界の危機に立ち向かい打ち勝った、という記録ですが、その内容に辻褄の合わない部分があり解釈が別れるのです。
長命のエルフ族で、ごく近い時代まで存命していたヒドゥンエッジの残した記録は、当事者本人に拠る記録で信頼性が高いとされていますが、膨大な量に及ぶため一つ一つの記事は簡潔に僅かな記述で済ませており、また情報量圧縮のために独自言語(ジオメターの記号)も用いられ解読困難な部分もあり、全てが正確に伝わってはいません。しかも件の世界危機時の記録は比較的初期のため、体系立っておらず情報が断片的でした。
そこで、同様の時代・事件を伝える他所の資料と内容照合した結果、数度に渡る世界への危機襲来と、それにどのように立ち向う戦いだったのか、おおよその概要は掴めました。しかし同時に大きな問題点も浮かびあがりました。
最も信頼性が高いであろう一次資料のヒドゥンエッジの記述だけが、他と違う記録を残しているのです。
「ホロブン」
他の記録資料や噂伝聞の類にまで、そんな単語は一切登場しません。学者の研究論でもヒドゥンエッジの初期記録には、創作が混じっているという説や、何らかの隠語であり作戦や技に便宜的に付けた仮称ではないかという説など、真相は不明なままです。また、破滅・暴虐などといった不穏な語句と並ぶ事が多いため、忌み言葉の一種で現在は禁じられた概念だとするオカルト説まで囁かれています。
しかし、戦争記録としてこれらの資料群を解読した場合には、別の解釈があります。
資料に基づき戦場想定した場合、彼らの編成と戦術で記録通りの強大な敵と戦うならば、少なくとももう一人、高い戦闘力を持った攻撃役がいた筈で、また広域を高速度で移動する手段が無いと作戦展開が不可能になるという説です。
つまり、速く飛べて、多く運べて、戦うと強い、ホロブンという便利なマジックアイテムがあったが現存しておらず、用途に拠って変型するため、正確な姿も判明しないという推論です。
そして、仮説に振り回された一般人には風評被害が広まります。
エッジさんの記録?あそこだけはフカシだよね。
記述の整合性?作者の人そこまで考えてないと思うよ。
大怪獣と戦う鋼鉄巨人の伝説?そんなのたくさんあるだろ。
同じコマにいた?はいはいペンギンペンギン。
ハービンジャー・オブ・ドゥーム「破滅の先触れ」というのは、こんな具合に本人の名声はさっぱり残らないけど、やった悪さは延々言われ続けるそうです。私が悪いのか。いやこの神話クラス勧めたぱーるさんが。いやでもそれに喜んで乗ってやりたい放題やって不興だったから、こんなに言い訳してるんじゃないの。
しかし、これでもうD&D4版でやり残しはありません。ゲーム内で最大限界実用火力を実現したと思うので、今後どんなキャラクターを作成しても、私にとっては「ホロブン未満」でしかありません。最強のキャラで最強の相手と戦う最高の機会を最大のエネルギーを費やして最後までやり切ったつもりです。一体これ以上何を望むのか。気が済んだ。清々した。一生分のD&D4版を遊び終えました。
思いのまま書き連ねて96kbのテキストになりましたが、いつも時間延長の長時間プレイをほぼ毎月8年間続けた大キャンペーンに関する文章量としては短すぎます。7年以上分のエピソードを端折り、終盤の自分のことだけ書いているため、プレイレポートでもありません。他メンバーキャラクターが何をしてたのかさっぱり言及がないけど、それはよく見てなかったし、覚えてないし、自分にあまり関係無いと考えてたので書いてません。実際影響なかったしな。
社会性、協調性、倫理観の著しく低い内容の自覚はあります。しかし、この記事は先にも書いたとおり「言い訳」です。結論は最初から決まっています。
「自覚してるが治さない」
もはや変化を見込めない手遅れ感を、言葉にまとめるとこうなります。反省も後悔もせず、今後も人と違うルートを好き好んで進みます。