それではこのゲームの感想をまとめます。
スタートダッシュが遅れた分、周囲からの評判は聞いており、街が無く、ハンターオフィスも無く、サブクエストも無い、という3要素が欠けた時点で、最初から100点満点を取るのは不可能でした。大雑把に考えて最大70点。
新要素の砲撃システムは確かに楽しいのですが、そこを追求するとRPGではなく戦車TPSのジャンルになってしまいそうで、反射神経と動体視力が年々落ちている自分にとっては、メタルマックスにそちら方向へシフトして欲しくありません。ポストアポカリプス系世界でのモンハンやりたくありません。モンスターハンター名乗ったのはこっちが先なんだけど。
そして砲撃モードが楽しくなるのも2周目からと遅く、1周目の停滞からのプレイヤー突き放し率は決して低くないと思います。
ひたすらモンスターを狩り強い武器をかっ剥ぐ、シンプルなゲームシステムに不満はありません。
しかし充分なのは骨格になるシステムだけで、他の血肉となる戦車データ・武器データはまったく足りません。さらに街を廃したせいでイベントの少なさは、とても21世紀・平成末期に出たRPGとは思えません。前作までの大盛り具合が嘘のようです。
そこに「これはXenoという新シリーズだ、旧作とは方針が違う」という言い訳は通りません。それならばメタルマックスのシステムを摘み食いせず、タンクRPG・Xenoとでも名乗れば良いわけで。
シリーズの看板上げた以上、前作と比較されるのは当然で、続編タイトルには引き続き維持した遊び方と、新しい追加要素が期待されます。
ゼノには新要素追加より、従来シリーズから削除された部分のほうが目立ちます。新しい操作システムは面白い、それで乗れる戦車は?使える武器は?それだけかよ……と長所が短所を浮かび上がらせる構造なのも災いしました。1周目途中で見切ったならば、従来シリーズから減った部分には気づかず、ただ「合わなかった」だけで低評価を下してはいませんでした。
結論は「マタルマックスゼノはシリーズ平均に及ばなかった」です。直線的に水増し周回を積み重ねるばかりで、選ぶ横幅がまるで足りません。
周回ごとに賞金首が追加されますが
退屈な繰り返し作業に僅かなご褒美を
小出しに増やして
プレイ時間の水増しにより内容量を錯覚させるテクニックなのでは。
具体的に歴代シリーズと比較して、ゼノが何段落ちるか。
・一段、シャシーの少なさ
シャシー種類わずか9台とFC時代並。車庫に置けるのは3台まで。戦車を改造し並べて眺める楽しさが薄く、入手方法の大半も設計図集め、と総じてイベントが淡白です。
・二段、セーブ周りの危険度
個人的にはこれが低評価の最大理由です。セーブ・ロードのコマンドが近く、誤操作でレアドロップ失敗状態を上書きする危険があります。ソフトリセット機能が無く、ドロップ前への戻りも遅すぎます。
・三段、改造の不自由さ
Tecレベルの制限期間が長く、改造可能武器も少なく、拾った武器をそのまま使うのが殆どでした。
・四段、物語の薄さ
ceroCですが家庭用ゲームで扱う題材か疑問です。内容も先のない閉塞感と、性的な生々しさばかりが強調され、読んでいて楽しくはありません。サブクエストによる世界背景の広がりも皆無です。
・五段、マップの移動しづらさ
屋外移動は慣れましたが、逆にリメインズは広すぎ、徒歩移動速度は遅すぎ、周回する程に忌避感が増えました。
・六段、超改造の手間
超改造合金集めはゲーム内行動が固定されます。もうポリプロピレパラーを囮寄せしたくありません。
従来作品から6段は落ちる内容、ここに個人的悪印象の、田舎者お断り東京地理知識分をマイナスして7段落ち。
前作のメタルマックス4から逆算してメタルマックス-3相当です。2Rとリターンズとスマホ版の分足しても0。
最後に、ゲーム内容以外で気になったことを。
限定版商法が回を重ねるごとに怪しくなっています。3~2Rでは付属コミックとサントラCDが特典に付きました。当時はメタルマックス音源が非常に少なく、自分には値段以上の価値がありました。「お尋ね者との戦い」と「ルート99」を単品で聴くのに17年待ったからな。
4の限定版は販売店別特典バリエーションがえげつなかったものの、ゲーム内で使用する武器装備が山盛りで、特にebten・Limited版はシャシー1台、賞金首モンスター8体(ドロップレア装備込)、さらにゲーム内でスゴモノからエクスリング(PTメンバー外にも経験値が入る)が入手可、もちろんサントラCDも付くという凄まじい豪華内容でした。6年間遊びまくる分量あったからな。
つまり、ゲーム内容の補強セットでした。
その一方でゼノの限定版特典は大分おとなしく、武器とエンジンが少し、あとはサントラ。あまりゲーム内容に影響しない付属物で、ぶっちゃけ無くても惜しくはありません。4の限定版購入者と通常購入者の格差が酷すぎたので、むしろ良い傾向だと思います。
しかし、ゲーム発売日が近づくにつれ、広報から出てくるニュースはサントラの件ばかり。どんな戦車に乗れて、どんな武器が使えて、どんな賞金首と戦えるか、それらの情報がさっぱり出てきませんでした。出てこないんじゃなくて出せない、発信するほど内容が無いだけでは、と内心勘ぐっていました。そう外してもいなかったようです。
グラフィックもシステムも音楽も一新したけど、明らかに中身がボリューム不足でした。5周回してあれこれ遊び方試したが、どう贔屓目に見積もっても内容が薄い。馴染みの食べ物屋がリニューアルオープンして食べに行ったら、店内装と食器は全部新品だけど、料理の分量が昔の半分以下になった、そんな感じ。店も客もあまり幸せじゃないけど、後ろで出資してる奴とけしかけてるコンサルがはしゃいでるような。
メタルマックス・シリーズは歴史が長いから、不出来なタイトルも当然あります。てか私は2は好きだが、初代はそれほどハマらなかったし、SFCリターンズは合わなかったし、3も途中で一度止めてるので、かなり好き嫌いが激しい自覚があります。
それで、次に控えてる「METAL MAX Xeno Reborn」に対しては、もう既に今から穿った見方をしています。リメイク周期が早すぎない?
もちろんグラフィックもシステムもまるで別物に一新し、別ハードにも対応した開発をしてるから、所謂完全版商法とも違います。しかし私がメタルマックスゼノに不満を感じたのは、グラフィックやシステムに対してではなく、戦車・武器・賞金首のデータ不足です。見た目が豪華になったところで、メタルマックスゼノをもう一度遊びたいとは思いません。
犬が1匹増えた、野バスに乗れる、それはゼノで削られた従来作要素が元に戻っただけで、追加を宣伝するには足りません。プレイヤーを長く飢餓状態に置けば旧作並仕様でも豪華と錯覚する、わけではありません。旧作を超えるものがない新作に存在意義はありません。懐古するにもまだ早い。まず4を超えてもらわないとな。少なくとも犬と熊とUFOと不死身の子供を援護に付けて、野バス・ソイヤ・だんじり・バイオタンク・変形バイクソルジャー、このくらいの戦力を選ぶ自由度は欲しいです。自由度の高さを求めてメタルマックスを遊んでるので。
つまり「メタルマックス5」が遊びたいです。