続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

7年後の振り返り・続きと終わり

2024-05-15 20:34:57 | D&D4版 キャンペーン回想

D&Dは筋は通っているが、血が通ってないゲームシステムなんで、業務的に戦闘して、時間あたりの平均ダメージ量や命中精度から、何時間後に戦闘終了するか概算すれば良いんじゃねとは常に思う。
所詮、手動ウィザードリィだし、シナリオにもサプライズ無く先の展開が決まってるし。勝利か敗北だけ。


D&Dでも物語性を出せるとは思うが、他にもっと容易に演出できるシステムがあるのでは?と常に疑問がある。
少なくとも、D&Dで映画「ゾンビ」「ジョーズ」「トレマーズ」「ドラキュラ」は再現できなかった。
おそらく「指輪物語」「ドラゴンスレイヤー」しか再現できない。
そういやD&Dルールだと「ベルセルク」も再現が出来ないんだよな。狭義の「剣と魔法のファンタジー」に特化し過ぎて汎用性がまるで無い。

D&D4thについては、誰が何を言おうと私自身がロールプレイ皆無、能力値判定だけで8年間のキャンペーンシナリオを乗り切った実績があるので、あのシステムにキャラ設定は不要だよ、能力値と装備のダイスと修正値を正確に書いたパワーカードだけ用意しとけ、としか。あとはNPCを全員倒すだけだ。

 

自分にとってD&D4thへの悪感情は、怨念みたいなもので、キャンペーン中ずっと小さな抑圧と無関心と屈辱が8年続いて、内面に鬱屈が蓄積していった結果なので、思い返して原因をほどかないと精神を蝕む毒が消えない。
当時は自覚できなかった、というよりメンタル不調から感情に自信がなかった。

自分のメンタルは弱っている、だから自分の判断は信用できない、そうして常に自分を疑っていた。そこに付け込まれ屈辱的な扱いを受けても、自分がおかしい、相手が正しい、と認知が歪んだまま耐えてしまった。苦しいや嫌だと意思表示する自信が持てなかった。
周囲に見える表情を真似て合わせた。

今はわかるんだよ。D&D4thキャンペーンでは、私の地位は最底辺で、卓に参加させてもらっている身分だから、楽しくなくても黙って耐えて、嫌な場面でも笑って迎合した。それで、こいつは文句言わない地蔵だから、意思を汲み取る必要が無い、と判断された。ようは侮られ舐められていた。

最終的に自キャラを殺しながら参加したのは意地だったのだろう。あの世界を壊してやりたかった。だから最後は巨大ロボになった。これまで何も主張せず最後に出番をもらえたのはお情けだろうが、その1回でファンタジー世界を壊すのには十分だった。あれは私の爪痕だ。

今ははっきり理解できる。私はD&D4thが大嫌いで、キャンペーン終了翌日にルールブックを全て売り払った。こんなゲームの本など1日も長く自室に置くのはまっぴら御免だった。D&D4thなど嫌な記憶の象徴でしかない。

あまりに反社会性の強い言動ロールプレイに、おフザケ混じりにやんわり指摘したらブチ切れられた思い出。あれはつまり、私相手ならブチ切れても大丈夫な相手と侮られていたわけだ。
GMは「卓で一人だけ盛り上がっている状態はまずい」と言う。だが私だけ地蔵状態が8年続くのはOKなのだ。

度が過ぎたひきこもりだった自分にも大きな責任がある。何年も被差別感の毒を消化出来ずに引きずるくらいなら、場所に固執せずD&D4th以外の現代モノを楽しめる環境へ移るべきだった。どれほど精神的に弱り活力がなくても、自分の呼吸する場所は自分で探さないといけなかった。反省と後悔ばかりだ。

つまり、何が言いたいかといえば、TRPGで相性の悪い卓に参加し続けると心身を病む、てこと。
楽しいセッションは心身をリフレッシュ効果があると思うけど、逆もまた然りなのだ。
世間で評判だから、皆が褒めているから、と迂闊に参加したTRPGで後遺症が残るくらい嫌な思い出作りもあり得る。

冷静になって思い返すと自分の参加してるゲームサークルはなかなかに排他的でメンバーの入れ替わりが極端に少ない。皆が馴染みで気安い反面、いちいち注意を向けないので、1人がダウンしてても気づかないズボラさがある。

私にとってD&D4thキャンペーンシナリオが苦悩の記憶なのは事実だが、一方で「異物」の在り方を掘り下げる稀有な機会だったとも思える。
凡人が強迫観念に駆られ、おぞましい異形へ変貌していく物語の中の人として参加した。自分を疑い、自分を削ぎ、自分を捻り続けた8年間は無駄ではない。

D&D4th のデザイナーから「クラス:レンジャー」は疎まれていたんだろうな。
大ダメージで戦闘が早く終わると、魔術師同士の戦場操作に魔法の応酬を繰り広げる、MTG的戦闘の見せ場が消えちゃうもんな。
1回の戦闘が長引くように、HPの高い「ソロ敵」ルールまで設計されてるし。
邪魔して悪かったよ。


ウチの卓GMはティアマトのフィギュア持ってるから、ちょくちょくキャンペーンのラスボスにティアマトが来るらしいのだが、私はティアマトと戦ったことないし、他所だと頻繁にティアマトさんを倒したり組んだりとお世話になるので、できれば敵対したくないティアマトさんと地上戦艦ティアマット。

 


D&D3.5版から4thへ移った時、卓メンバーごとに見える世界がまったく違っていたと判明。
前衛職PL:攻撃役と防御役に分割されて能力半減
魔術師PL:儀式魔法が簡単になり自由度拡大
クレリックPL:リソース管理するのは今までと同じ
そりゃ見解も感想も一致するわけがない。


D&Dはボス敵を倒せばOKなので、地下に突っ込み大型モンスターを倒す繰り返しで作戦は不要派だったが「赤い手」シナリオは作戦が超重要で、その後の「恐怖の墓所」はやはり作戦不要だったので、振れ幅が極端なんだよ。頭使って肩透かし、無策突撃で大怪我、とタイミングが悪い。

D&Dでこれまで遊んだシナリオを振り返ると、低レベル向け公式シナリオは自分に地雷らしい。誰が遊んでもダイス目意外は同じ展開になる単純戦闘なので、誰か私の代わりに遊んどいて。そしてレベル上がったキャラをコピーさせてと思っちゃうんだな。レベル上げ作業大嫌い人間なので。

私は調査・謎解き・戦闘準備大好き人種なので、解くべき謎も由来も因縁も無く、偵察も索敵もなく、対応策を取る時間も予算も資材も得られず、頭空っぽにして相手かまわず無差別に突撃を繰り返すの、退屈で飽きるんだ。それPLが手動でやらなくてもよくね?

つまり、D&Dの公式低レベル向けシナリオは50年間まるで進歩が無く、ファミコン前の感覚のまま現代でも時代錯誤シナリオを作ってる。
ダンジョン探険!
モンスター出現!
・コマンド
  戦う
  逃げる
勝利!宝箱発見!20GP手に入れた!
これを手動でやってる。
最近はポリコレを取り入れたらしい。

おそらく自分はTRPGが好きだけど、手作業ファンタジーのルールでは意思決定が結果に反映しないので、進行を他人任せにして思考放棄する習慣が出来てる。勝手に進めといて、出番来たら呼んで。って態度。
逆に現代モノだと周囲に驚かれるもん。普段の鈍重ぶりが嘘のようにアクティブだから。

自分がD&Dを苦手と公言して憚らないのは、単純にゲームシステムが重くて処理が面倒だから。そして面倒な割に効果が薄い。覚える努力に対して実入りが少ないし、ルールが複雑で難しい。魔法の種類が多すぎて覚えきれないし、使う場面を予想して準備するのも理不尽難易度。

昔に追加ルールの「武勇の書」を購入したが、参照したのはハードカバー本内の1ページだけだった。買って損した。値段分の価値は無かった。その金を別の趣味に当てたほうが有意義だった。売却時にそこそこの値が付いたのが救い。
頭の悪い私ではD&Dルールを理解出来ず、持て余します。

Q:ダンジョンズ&ドラゴンズに物語を求めるのは間違っているだろうか。
A:間違っています。素直にCoCでも遊びましょう。

Q:ダンジョンズ&ドラゴンズにロールプレイを求めるのは間違っているだろうか。 
A:間違っています。素直にCoCでも遊びましょう。
ロールプレイは時間ロスになり、時間内にゲームが終わらない弊害があります。戦闘処理が重く時間がかかるため、無駄な雑談はお勧めできません。

以上は悪意を込めた冗談だが半分は真実で、判定能力値さえあれば、ロールプレイだのキャラ描写だの一切せずにクリアできるからな。要は敵を倒せる能力数値さえあれば、ダイス判定を続けるだけで、どんなシナリオでも勝利クリアできる。私はやり遂げた。能力値が本体、ロールプレイはノイズ。


TRPGプレイ配信動画で、地蔵PLだけでクリアするキャンペーンシナリオ動画が成立するなら興味が湧く。私は出来るほうに賭ける。毎回ダンジョンに潜りモンスター退治を20レベル分続ける。私は30レベル分やった実績がある。
大抵のTRPG配信なんてクソ寒い内輪ノリで、即ブラウザバックすんだけど。

以前にTRPGを広めるようないっぱしの格言持ちみたいなアカウントが、TLで講釈たれてたんだけど、その人のプレイ動画を見に行ったら、内輪ノリのグダグダで全然話が進まない未完動画で呆れた覚えがある。
私のような地蔵PLから見ても冗長で退屈なプレイ動画だった。なにあれ?何のアピール?

 


自分がD&D4thへ持つ偏見の一つは3.5版との比較のせいだが、それは単純にクラス役割の視点違いなので当然と納得した。もう一つは「自由度」の低さだ。しかし自分から見て恐ろしく自由度のない窮屈システムが、一方では何でも出来る万能感すらあったとの意見を聞いた。

自分がD&D4thへ真に絶望したのは「恐怖の墓所」だが、あれは敵がアンデッドと判明しているのに、一切のアンデッド対策がルール的に禁止されており、いつも通りに突撃しかできない点が不満だった。レベルに応じて入手可能アイテム制限があるから、無為無策突撃以外の行動が取れない。

実はD&D4thをアイテムで攻略するのは下策で、もっと手っ取り早く解決する手段があった。あのゲームでは魔法が最も低レベルから使える特別な技術であり、困難な場面を魔法で解決するように設計されている。つまりマジックユーザー以外の方法で攻略は実現不可能。魔法以外の実用性を潰してある。

消去法で魔法を使わざるを得ない程に、ルールにあるアイテムは使えない。欲しい時には入手出来ず、入手できた時には弱くて役に立たないからだ。だからD&D4thは魔術師あがりのゲームデザイナーが魔術師キャラに向けて設計したシステムなのだろう。そこで脳筋前衛クラスの不平不満など考慮にない。

当時は対戦カードゲーム隆盛の勢いが凄まじく、D&D4thのシステムは影響されたのかTCG寄りの作りに感じた。特にリソース管理作業。そいで安直に術師と前衛を同じリソース管理へぶっ込んだ。
術師は要所で大技・小技のタイミングを探せばいいが、前衛はそうはいかない。常時、安定した戦力維持が要る。

つまり、D&D4thで魔法レス前衛クラスは実践場面を想定されていない。攻撃なら魔法絡めて斬るヘクスブレード、防御なら魔法絡めて守るソードメイジが強い。魔法に背を向けた時点でD&D4thPCに人権はない。ドワーフだったんだけど。
これに気付かず8年無為に過ごした自分は愚かでした。

以前の自分はD&D4thを「指輪物語」しか再現できないと揶揄した。違うのだ。魔術師キャラなら魔法を使って「ゾンビ」「ジョーズ」「地獄の黙示録」などあらゆるスタイルでシナリオを遊べたのだ。魔法で。
いや、地獄の黙示録に魔法はねえわ。台無しだわ。

D&D4thは魔術師キャラが活躍できるよう、戦場がめまぐるしく変化するタクティカル戦闘ルールが優秀らしい。らしい、と実感が伴わないのは4thの戦闘が非常に「遅い」からだ。処理が重く遅々として進まず、敵が頑丈で倒れず、何時間経っても終わらない。1回の戦闘で空振り・不発からの停滞時間も長い。

ここまでD&D4thで魔法が偏重されてると書いてきたが、真に肩入れされているのは、実は魔術師ではなく僧侶だと考える。後になるほど戦闘難易度が上がり、こちらの攻撃は当たらず敵の攻撃が全弾命中なんて事態が頻発する。ならば勝負を決める要因は、攻撃力でも防御力でもなく回復リソースだ。

プレイヤー本体の耐久力と集中力をジリジリ削るような長時間戦闘を制するのはクレリックの回復力次第。これが高いと、強い敵でも時間をかけた持久戦に持ち込み勝てる。勝てるが、その作業感の連続にプレイヤーが耐えられなかった。私はもう動けません、この戦闘はいつ終わるの?効率化できない?

あとは、たまーにPVPしたくなる場面があったけど、長期キャンペーンに良い影響ないので抑えたことがある。大人なので納得しなくても黙る場面くらいある。
ちなみにD&D4thにこれだけ文句言いながら、キャンペーン終盤では一番シナリオを楽しんだPLの自覚もある。

自分はD&D公式シナリオを全然信用して無くて、整合性ない敵とマップデータの寄せ集め、ダイスを振って減らす数値の羅列だけだと思ってます。いまだ脳内が西部開拓時代で止まってる米国人が、安易に考えた虐殺と略奪しか娯楽のない世界のシナリオです。
ただし「赤い手は滅びのしるし」を除きます。

 


長年のTRPGゲーマーだけど、自分の主食は「現代舞台:謎解き推理系ホラーシナリオ」なので、ハイ・ファンタジーしか摂取できない環境が長いと定期的に吐き戻しが出る。消化できないから許容量超えると拒絶反応が出る。
最近少しアクティブになったから、CoCが遊べる環境を探そうと思う。


7年後の振り返り

2024-05-04 22:25:18 | D&D4版 キャンペーン回想

もう世間でD&Dといえば5版であり、4thなど過去の遺物となりました。4thキャンペーン時期の遊びにくさに困り果て、キャンペーン終了翌日にルールブックを即売払に行ったのも笑い話です。

ただ、このD&D4thに対して、なぜこれほど強烈な抵抗感を覚えるのか、2017年記事の振り返りでも原因に到達出来ていません。認知が歪んでいたからね。
さらに7年経過して、現在の私は当時からかなり回復しています。


今なら理解できることですが、TRPGは自分にとってはホビーではありません。自分は医者から解離性障害の診断を受けるくらいには壊れメンタルで、この正常に機能しない人格を補助する客観視点の複数思考を内部に何人か作っています。TRPGを遊ぶ時には最初にキャラクター作成を行うが、あんな感じで自分内に役割を持つ思考パターンを作ります。もちろん作っただけでは機能しないので、何処かで実際に動かし行動モデルを作って自分へフィードバックします。大げさに書いているが、要はおフザケの種類を増やして、自分を直撃しそうな対人衝突を軽減したり躱せるようにトレーニングするわけだ。

そして、それまでTRPGを通して社会的な姿勢を擬態するスキルを学んでいたわけ。コミュ障にもほどがある、そんな限定された環境で非生産的な遊びで社会スキルなど身に付くわけがない、との説もあるだろう。
むしろそれが当然だが、自分の養育環境はどうも一般的ではなかったらしく、生来の気質も加わり、成人した頃にはすっかり人格破綻者だったので、後から娯楽を通して真人間に近づけるならやって損はありません。実際それで大分マシになってます。だってこの趣味がなかったら自分はとっくに塀の中、それどころか処分済でもう居なくなってる率が高いです。秋葉原無差別殺傷事件の犯人と生い立ちが非常に似ています。だから私だって何時やるかわからない人間だったし、実際に親族からも「おまえ、今までよく犯罪起こさずにいてくれたな」と感謝されてます。でも、これから起こすかもしれないやん、安心するのまだ早くね?

それはさておき私の場合、TRPGてのは自分の正気を保つ命綱なわけで、他のホビーゲーマーとは深刻度合いが違います。ここでしっかりキャラ育成しておかないと、何かのはずみに本体がホムセンで刃物を買い込み武器を拵えて、いつ人混みへ突撃するのかわかりません。自分に暴力を悔いる発想がない人間の自覚があります。相手が誰であろうが、どれだけ死傷者が出ようが一切気にしない性分です。そういう人達に育てられたので、自分も同タイプに育ちました。あの人達は常に「自分は悪くねえ」と言いながら人をぶん殴っていましたが、私はいつも悪役として殴られていたので、悪役にふさわしい行動をするべきでしょう。先に罰を受けたのでこれから罪を犯さないと割に合わない。また話が逸れた。


D&D4thのキャンペーンシナリオ中、私は鬱病ど真ん中であらゆる機能が低下していました。鬱は心の風邪とも言われ、珍しくもなくなりましたが、症状を軽視されがちです。メンタルがダウンしただけで、身体に不調をきたしているわけではない、は認識不足で精神が病むと身体も腐ります。周囲の情報を感じ取る神経が参っているので、適切な体調管理ができません。体力がどんどん落ちて抵抗力が下がります。不摂生がたたり次々と病状が発生悪化を繰り返します。私もこの期間にいくつも持病を発症し、健康診断の検査数値は目も当てられない酷い記録を毎年更新していました。

だから自分で自分を信用できなくなります。

自分がおかしくなっている自覚があるので、他人と意見が食い違った場合に、まず疑うのは自分です。

D&D4thキャンペーンシナリオ中、楽しい場面がほとんどありませんでした。苦痛を感じるほどネガティブな経験ではないが、ポジティブになれるプラス要因の供給がほぼ皆無。メンタル維持のために習慣的なTRPG体験が必須だけれども、そのTRPG中はずっと息を止めて我慢しているのに近い感覚です。でも周囲は楽しそうにしているので、楽しくない自分は何かおかしく間違っているはずだから、と頑張って楽しいフリを続けました。


D&Dは版ごとにシステム処理が大きく違い、特にそれまで遊んでいたD&D3.5版と4thでは、全く別ルールと言って良いでしょう。特に前衛クラスの運用方法が激変しています。かなり悪い方向に。ぶっちゃけ3.5版の前衛クラスの役割を「攻撃役」「防御役」と2~3分割してしまった4thでは、前衛物理クラスがとんでもなく弱体化しており、同じ働きは見込めませんでした。

結果として、私が使ったクラス「レンジャー」は一日一回の大攻撃を撃ったら、あとは小パンチでちまちま凌ぐしかありません。その間に他の術師キャラ達が状態異常範囲攻撃の応酬を繰り広げるのですが、これの処理が激重でした。1ターン6秒の処理に約1時間かかります。夕方7時前に始まった戦闘が、10時になっても終わらない事態がザラでした。その間、私は約1時間待機して、小パンチ打ち、また1時間待機の繰り返しです。そして、これを楽しいと思わない自分を責めていました。自分は頭がおかしいから皆が楽しいモノを楽しめないんだ。だから早く治せ。

んなわけないだろ。1時間やることない退屈を楽しめる人間なんて存在しません。退屈が苦痛となるからこそ、何も出来ない「禁固」て刑罰が存在するのです。つまり私にとってD&D4thキャンペーンシナリオは一種の刑罰効果がありました。人格の保全セラピーを目的にTRPGに参加して、逆に蝕まれて帰宅する期間が約8年続きました。後半になるとD&Dには期待せず、単純に人とコミュニケーションを持つ機会維持のために参加してました。

当時の自分はコミュニケーション鎖国状態で、他人と話す機会がゼロでした。好き好んで鎖国化したわけじゃないけど、あるトラブルから周囲の人間関係がすべて破壊されてしまったので、それ以前の人間関係のツテを頼って古巣のゲームサークルへ出戻りして、コミュニケーション確保しました。

ここまでが、使用クラスの性能低下と、自分の生活環境が悪かった話。
後の問題が参加シナリオ内容、そして参加メンバーとの相性です。

キャンペーン初期にはシナリオ「雷鳴山の迷宮」を使用しました。これに関しては個人の好みの問題ですけど、私はこのシナリオがまったく楽しくありませんでした。でかいダンジョンに潜ってモンスターと戦うだけのシナリオなので、21世紀になってまで、どうして休日にわざわざ手動のウィザードリィをしてるんだろう?と思ってました。そんなの携帯ゲーム機のダンジョンRPGやってるほうが処理早いし正確だしテンポ良く進むし、何一つ勝る要素が無いだろう、とも思っていました。皆が楽しそうだから仕方なく混じってるけど、単調なぶっ殺し作業の繰り返しに飽き飽きしてました。物語性が皆無だよね、誰がやっても同じ内容だよね、退屈だから先にダイス数値あげとくんで、待ち時間中はDSでメタルマックスしてて良いスか。そんな腐った態度で友人関係壊したくないので、黙って参加してましたけど。

でも、あまりに何時までも果てしなく続く遭遇&皆殺し作業にうんざりしてきた時に、一人くらい生かして返しても良いのではと発言しました。PCパーティーはここまで出てきたNPCを全員殺してきたので、シナリオ内の人間関係が皆無でした。誰も彼も故人になっちまうので人物相関図に線を引けません。じゃあ見逃すか、と死なずに済んだNPCはハーフリングの「レンディル」でした。彼は後のシナリオ内で商人として登場します。私が助けなかったら死体の1つになってました。
ただし、これは非アクティブな私が稀に動いたレアケースの結果であり、その後も一行は皆殺し行脚を続行し、NPCを存命させても物語が変化しない無駄行為だと私が学習したので、雷鳴山は名無しモンスターを駆逐して終了しました。自宅でウィザードリィのほうが楽しかったんじゃないでしょうか?私はウィザードリィも単調で面倒なゲームだと思うので遊びませんけど。

次に迎えたシナリオは「シルバークロークス戦記・巨人族の逆襲」です。こいつが個人的に大問題シナリオ。敵が強くて歯が立たない。敵の巨人族は「プライモーディアル」という荒れ狂う自然の権化であり、全員デカくて重くてタフで頑丈。つまり1発2発殴ったところでぜんぜん倒れない。ただでさえ硬くて攻撃がヒットしないのに、HPもやけに多いから、どうしても戦闘が長引き時間がかかります。この硬くて頑丈な敵とD&D4thシステムの相性が最悪です。
D&D4thのアタッカーには
・大攻撃:1日1回
・中攻撃:1遭遇1回
・小攻撃:回数制限なし
の3種類の攻撃方法があり、大・中パンチを使い切った後はしょぼい小攻撃を続けるしかありません。ただし巨人族は硬くて防御が高いため、常に大パンチが命中するとも限りません。むしろ数値的に外れる確率が高いので、一瞬だけ命中が上がる修正を足して、当てられる瞬間に目一杯の火力を叩き込まないといけません。でないとずっと微々たるダメージの小パンチを繰り返し、時間切れまで待つだけです。もう無理。この戦闘はつらいだけで楽しくありません。
何か打開策は無いのか。ありません。
強力なアイテムは入手できません。高価だし、入手手段もない。
レベル上げて物理で殴れば。レベルを上げるために目の前の巨人を倒しましょう。
これは修行です。心を無にするのです。無になれば苦しみは消え去るでしょう。
TRPGは娯楽でホビーなんですけど。

ここで苦しいのは私だけですか?私だけのようです。他メンバーは全員楽しそうに笑っています。
ああ、やっぱり自分はおかしいんだ。楽しいと感じるべき場面に楽しさを感じない、メンタルの摩耗を早急に治すべきなんだ。楽しめなくてごめんなさい。

他PCはどうして楽しいんだろう?
理由を考えました。NPC殺せるから?他PCには宿敵NPCがいて、たまに襲ってくるのだけど、他所の家庭事情なので率先して潰しに行く気にもなれず、ドラウなので普通に殴っても変な魔法で防がれそうなので、やはり関わりたくありませんでした。
パーティーが世界を救うシナリオ展開にも強い違和感がありました。だってこのチーム全員、連続大量殺人犯だよ。今まで虐殺と略奪しかしてないのに、どういう展開で役目に選ばれたの?ぜんぜん納得いかないし、物語として破綻してますよ。

この頃、ゲームマスターから「キミはパーティー内の人間関係を疎かにし過ぎだ」と指摘されています。当然ですよね、チーム内に個人的な誼を結びたい人物が一人もいませんでした。全員が自覚なき快楽犯罪者で一人も好感を持てません。なかでも特にウィザードPCがすげー凶悪・残忍・獰猛。闇ドワーフの武器屋に押し入り、因縁つけてぶち殺し売り物を持ち去る。ただの強盗殺人なんだけど、そういうロールプレイを好んでやる。出会ったNPCには居丈高な態度で罵倒し、反抗的ならば襲いかかり殺害、穏当な態度ならさらにカサにきて罵り挑発し、やっぱり最後は殺害。味方ポジションに居るけれど好意的に見るには厳しいDQNキャラ。このPCのせいで拗れた交渉が無くもない。
そういうクレイジー行動による面白キチガイ系ギャグなのかなと思っていたのだが、後の食事時にそこを笑いネタに取り上げたところ、ガチ切れされました。もうマジで唇震わせながら本気で怒ってるの。いや、怒らせる目的じゃなかったんで、すいませんでした。あれギャグやネタじゃなく素だったのね。なんかいろいろごめんなさい。

あと、今にして思うとこのキャラのPLさん、ややパワハラ気質があって、私にアタリがきつかった。言葉でぶん殴っても良い相手だと考えられていたフシがある。当時の私は精神が摩耗していたので、悪意や嫌味に鈍感でよほど直接的な物言いされないと気づかない状態だったが、それでもカチンとくるような発言をいくつか受けている。
「は?ふざけんな」
「一人で勝手にやれや」
わかりました。一人で勝手にやります。
当時はあれが正しくて、言われる自分が悪いと考えていました。そんなわけないだろ。今は違います。あのPLさんがチンピラ過ぎたのです。

このPLさん、私とあまり相性が良くないうえ、無意識に舐めてるところがあるので、後のキャンペーンでも私のPCへ殴る罵るを繰り返しました。私のPCに対してだけ執拗に苛烈な罵倒を繰り返した場面がこれまでにも3度あり、ロールプレイにしても不愉快でした。私の行動で負けや失敗が起きた落ち度場面ではないのに、罵りチャンスがきたのでこれ幸いとばかりに目いっぱい罵倒してきました。本人的に面白ギャグのつもりだったらしいけれど、女性にセクハラ、男性にパワハラと不快行動ばかりが目についたんで、はっきり拒絶しました。そういうのいらないです。もう関わりたくありません。
現在は、そのPLさんも私生活が忙しいようでゲームに参加しなくなっていますが、このまま戻ってこないと助かります。

それはさておき、シナリオ後半にさしかかり、そのPCが私に言いました。
「ホロブン(私のPC)はわりと(言動が穏便で)まともだよね」
そりゃあ弱い者イジメ好きな貴方とは違いますけど、コイツの周囲に喧嘩売りまくるチンピラロールプレイの後始末を、私が殺して片付けるのが虚しくなってしまい、そこからシナリオ参加意欲が消えました。

以降、私はキャラへの愛着も消え、そもそもドワーフなんかに興味ないのに今後も続くドワーフ・レンジャー使用の放棄を考え始めました。TRPGは習慣として続けたいが、D&D4thでレンジャーを続けても満足感を得られない気がしていました。
その頃から私のPCの解釈と運用が、自己否定方向へ逸れていきます。具体的にはこの辺で書きました。自分を自分でなくすために、自己のアイデンティティを削ぎ落とす発想が常軌を逸しています。
自分向けではない(not for me)卓だけど、皆の役に立ちたいから
自らの顔を剥ぎ
容姿の特徴を捨て
会話を放棄し
無機質な最高性能を目指してキャラビルドの組み直しです。これは実情的に「キャラクター記号の解剖と組立」という人格個性を潰して役割に固定する、おぞましい過程なんだけど、当時は自覚がありませんでした。作り直した結果には満足してますけど、キャンペーンシナリオ参加姿勢としては褒められたものではないでしょう。チーム内メンバーへ明確に背を向けた意思表示をしています。それも裏切る・敵対するといった行動ではなく、おまえらは会話するに値しないという態度です。
結果的に「精神異常者」のキャラクターRPを8年続ける機会を得られたので、実入りが皆無とは言えません。なかなかにレアよね。

こうして振り返ると、D&D4thにはシステム的に前衛クラスの能力が分割・減少したデメリットと、キャンペーンシナリオ全体が物語性に欠け単調で退屈だった点、加えてパーティー内メンバーとの相性が悪く、最後まで愛着のわかない奴らに囲まれていた、三重苦状態が8年続いたので、すっかり忌避感が定着してしまったのも無理ないと思います。

後のオンラインセッションで、4thルールを遊んだシナリオもあったけれど、そちらも戦況は惨憺たる内容で、戦闘が苦しかったことしか覚えていません。あとやっぱり物語性は皆無で、ルールに制限があり物資や戦術の工夫を取り入れる余地がなく、毎回手持ちの武器を振り回して突撃するだけの繰り返しだったので、私にとってD&D4thは口頭・手動で行うウィザードリィにも劣る、自由度の無い窮屈ゲームシステムの評価が確定しました。
D&DのNPCは遅かれ早かれ殺して経験値とドロップ品に変えるから会話時間がもったいないんだ。情報を聞いたって武器を構えて突撃以外に選択肢ないから無意味です。

D&D4thのルールシステムは、おそらくカードゲーム素養のあるPL向きなんだよ。全ての行動がパワー・カードで管理できるからさ。場面に応じてカードを切っていく遊び方だけど、おそらくシステム設計者が当時に流行ってたTGCに寄せすぎた。魔術師PLの発想で構成されているので、前衛クラスの巡航火力維持という発想が無く、術師による互いのカードで戦況のひっくり返し合いを想定しているフシがある。だから戦闘は長ければ長いほど、カードの差し引きによる見せ場が増えるし、一方で敵を瞬殺してしまう高火力は、魔術の駆け引きが起こる前に戦闘が終わるので忌避される傾向です。単体の敵を囲んで袋叩きにする場合でも「ソロ」敵ルールが適用されて、敵HPが爆増するのでやはり戦闘が長期化します。両手武器がダブルでクリティカルヒットしたのに、敵が平然としてるんだぜ。包囲してる側なのに、戦闘が終わるまで生きていられるのか不安になりました。加えて、後々のエラッタ修正でアタッカーの火力がどんどん低下していくんだよ。ゲームデザイナーの「マジックユーザー以外は客にあらず、物理がやりたきゃ家庭用ゲーム機で無双ゲーしてろ」という思想を感じます。

その後D&D5版にシステムが変わっても、しばらく「しょせんD&Dごとき化石ゲームにウィザードリィ以外の何ができるんだよ」と馬鹿にしていました。今でも毎度毎度、ヒューマン・エルフ・ドワーフ・小人に戦士・魔術師・僧侶・盗賊と、50年経っても同じ面子で進歩がないと半分くらい馬鹿にしてますけど。同じ行為を違うルールでやるだけで目新しい要素何もないからね。
それでも5版はシナリオ中の会話が後に影響する展開があるので、4thのNPCぶっ殺し作業繰り返しよりも、ずいぶん楽しくなりました。


メタルフィギュアのままだと自分の内側に組み込めない

2021-12-26 07:12:40 | D&D4版 キャンペーン回想

長いこと仲間内で卓上ゲームの長期キャンペーンを続けていますが、自他の温度差を感じます。参加時の感覚がおそらく「端末」だからと思います。自室内にある自分帝国から外部へ出る時に、専用化した外装を付け替える感覚が近いです。
コロナ前の実際に皆で卓を囲んで遊んでいた頃、卓上に広げた戦場マップに3cmほどのメタルフィギュアを置いて、それを自分のコマとして動かしていました。そのコマが自キャラの器に少々足りなく感じていました。情景オブジェとして十分だけど、可動しないからね、ポーズ決められないのよね。
引越した時に荷物の梱包開封をしながら思ったのが「自分はゲーマーじゃないな」という認識。30年くらい続けてる趣味なのに関連資料や備品をほとんど所持していない。参加してたキャンペーン用のメタルフィギュアがトロフィーのように数体並んでいるだけで、その関連する背景に繋がる品物はまるで無い。怪獣・ロボット玩具が溢れるほど並んでいる環境で、30年歴の趣味へ向ける意識があまりに淡白。これはゲーム側へ興味が薄いのではなく、ゲーム駒は自分の規格と合わないので、それ用にキャライメージを「端末」化して出張させているせいです。キャラシートは端末。自室内に並んでる10cm~16cm程の立体が本体。
2017年の参加キャンペーンは自キャラが最期にロボ化し、仲間ウケは悪かったのだが他所の規格サイズである3cmのメタルフィギュアから、13cmの可動フィギュア化したので、当時の使用キャラは自分世界のレギュラー規格へ到達したわけで、ようやく自室内の怪獣・ロボット棚に同列として並ぶ「うちの子」へなれたのです。


D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 11

2017-12-23 00:57:20 | D&D4版 キャンペーン回想
では、エピローグ。
ホロブンが消えても世界は続きます。元々最初から存在しなかったように、何も不都合なく日常に戻りました。

ガンダルーブは地獄を統括しています。しかも誤って入手した「善のルーン」のせいで属性が大きく変化してしまい、地獄で善政を施すというよくわからない事態になりましたが、問題か問題じゃないのか周囲も困惑しているようです。それは果たして地獄なのか?

メルセーデはリリィ監督不行き届きの罪状で、しばらく獄中生活でしたが、やがて釈放されガンダルーブの元へ向かったようです。彼女も微弱ながら死のルーンを持つので、安らかな死に拠る救済を求める者が待っているでしょう。

レイオットは拠点のネルカレンに戻り国王を続けています。先の大戦参加時に受けた魔法や呪いの副作用で不老化したので、いつまで在位続ければいいのかわからないとか。

ラックルは大戦中にハイローニアスの力を得て戦いました。秩序にして善の神々直属の戦士になったので、今後も戦いの最前線で生きることに決めたようです。クラス:ナイト・オブ・ザ・カリス?それかなりハードな役職ですよ。私は詳しいんだ。

フィネスはまだ封印の中にいます。種族内部圧力に対抗するために自己を鍛えていた彼女には、もう戦う理由がありません。好きなだけのんびり暮らせるでしょう。

ヒドゥンエッジはフィネスの封印を守りながら、世界の記録を取っています。過去から続く広い世界の成り立ちと過程を知り得る限り、正確にありのまま記録し残すことが生涯の目的らしいです。

少し寄り道。
リリィはどうしてるか言うと、図書館に詰めていました。死のルーンの強大なパワーを自覚したけれど、それを使いこなすための知識と判断力がまだ欠けていると考え、まず資料面で学習を修めるところから始めたそうです。この世界で死を振るうにも、状況事情が千差万別で、体験で身に付けるには損害が大きすぎるので、まずは世界の記録を知る必要を感じたのでしょう。
HOPEがその図書館のリリィを訪ねて行きました。歩いて話すだけの最小限機能の簡易ボディを組み直したので、見た目が随分変わりましたが、いつもの軽薄敬語ですぐ誰かわかったようです。
若い死神はこれから慎重に世界と向き合うための勉強中でしたが、その覚悟は揺るがない様子を見て、HOPEは安心したのか不器用に歩き去っていきました。

次にHOPEはヒドゥンエッジと会いに行きました。
「ホロブンのことを覚えてますか」
「僕は全てをありのままに記録するよ」
それで話は終わりました。


この世界ともそろそろお別れです。
HOPEの意識はまた次の場所へ向かいました。




この世界はその後、どうなったのか。
どうもなってませんけど、一つ謎が残りました。

遥か後世の学者の間で、意見が割れてまとまらない歴史の謎です。
昔、とある英雄たちが世界の危機に立ち向かい打ち勝った、という記録ですが、その内容に辻褄の合わない部分があり解釈が別れるのです。

長命のエルフ族で、ごく近い時代まで存命していたヒドゥンエッジの残した記録は、当事者本人に拠る記録で信頼性が高いとされていますが、膨大な量に及ぶため一つ一つの記事は簡潔に僅かな記述で済ませており、また情報量圧縮のために独自言語(ジオメターの記号)も用いられ解読困難な部分もあり、全てが正確に伝わってはいません。しかも件の世界危機時の記録は比較的初期のため、体系立っておらず情報が断片的でした。
そこで、同様の時代・事件を伝える他所の資料と内容照合した結果、数度に渡る世界への危機襲来と、それにどのように立ち向う戦いだったのか、おおよその概要は掴めました。しかし同時に大きな問題点も浮かびあがりました。
最も信頼性が高いであろう一次資料のヒドゥンエッジの記述だけが、他と違う記録を残しているのです。

「ホロブン」


他の記録資料や噂伝聞の類にまで、そんな単語は一切登場しません。学者の研究論でもヒドゥンエッジの初期記録には、創作が混じっているという説や、何らかの隠語であり作戦や技に便宜的に付けた仮称ではないかという説など、真相は不明なままです。また、破滅・暴虐などといった不穏な語句と並ぶ事が多いため、忌み言葉の一種で現在は禁じられた概念だとするオカルト説まで囁かれています。

しかし、戦争記録としてこれらの資料群を解読した場合には、別の解釈があります。
資料に基づき戦場想定した場合、彼らの編成と戦術で記録通りの強大な敵と戦うならば、少なくとももう一人、高い戦闘力を持った攻撃役がいた筈で、また広域を高速度で移動する手段が無いと作戦展開が不可能になるという説です。
つまり、速く飛べて、多く運べて、戦うと強い、ホロブンという便利なマジックアイテムがあったが現存しておらず、用途に拠って変型するため、正確な姿も判明しないという推論です。

そして、仮説に振り回された一般人には風評被害が広まります。
エッジさんの記録?あそこだけはフカシだよね。
記述の整合性?作者の人そこまで考えてないと思うよ。
大怪獣と戦う鋼鉄巨人の伝説?そんなのたくさんあるだろ。
同じコマにいた?はいはいペンギンペンギン。

ハービンジャー・オブ・ドゥーム「破滅の先触れ」というのは、こんな具合に本人の名声はさっぱり残らないけど、やった悪さは延々言われ続けるそうです。私が悪いのか。いやこの神話クラス勧めたぱーるさんが。いやでもそれに喜んで乗ってやりたい放題やって不興だったから、こんなに言い訳してるんじゃないの。

しかし、これでもうD&D4版でやり残しはありません。ゲーム内で最大限界実用火力を実現したと思うので、今後どんなキャラクターを作成しても、私にとっては「ホロブン未満」でしかありません。最強のキャラで最強の相手と戦う最高の機会を最大のエネルギーを費やして最後までやり切ったつもりです。一体これ以上何を望むのか。気が済んだ。清々した。一生分のD&D4版を遊び終えました。


思いのまま書き連ねて96kbのテキストになりましたが、いつも時間延長の長時間プレイをほぼ毎月8年間続けた大キャンペーンに関する文章量としては短すぎます。7年以上分のエピソードを端折り、終盤の自分のことだけ書いているため、プレイレポートでもありません。他メンバーキャラクターが何をしてたのかさっぱり言及がないけど、それはよく見てなかったし、覚えてないし、自分にあまり関係無いと考えてたので書いてません。実際影響なかったしな。

社会性、協調性、倫理観の著しく低い内容の自覚はあります。しかし、この記事は先にも書いたとおり「言い訳」です。結論は最初から決まっています。

「自覚してるが治さない」

もはや変化を見込めない手遅れ感を、言葉にまとめるとこうなります。反省も後悔もせず、今後も人と違うルートを好き好んで進みます。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 10

2017-12-23 00:56:18 | D&D4版 キャンペーン回想
ホロブンは終始一貫して親愛の情というものにまったく関心を寄せず、物理的暴力だけを信条としていました。好戦的でも凶暴でもありませんでしたが、人情味に薄く情け容赦無い行動が多々ありました。他者の事情にも一切無関心なのは最後まで変わらず、言葉での主張こそ少ないが、非常なエゴイストなのは否定できません。過程を振り返って見ると、人格に大きな欠陥を抱えています。私は中の人なので、主観的にそれが面白いと感じてますけど。
ホロブンを一言で言うと、話が通じない人です。
互いを尊重する共感性に著しく欠けてます。NPCカード切ってクリティカル出す作戦が最たるもので、何もかも全てが消耗資材に見えています。目的のためなら犠牲を厭わないし、その犠牲に自他の区別をつけません。自分も他人も平等に使い捨てる感覚は徹底していました。このキャンペーンでの最終目的は「タラスクにフルパワーラッシュクリーンヒット」なので、目的も達成しており、最期に一人朽ち果てるのも過剰なストイックさの表現としては好みですが、お一人様ワースブレイドやり過ぎ感があるのも事実です。操兵に乗って一人でタラスク倒す気満々でした。


では、なぜそれほどにホロブンのキャラ内面が荒廃してしまったかは、いくつも理由があります。元から人格破綻の素質に溢れていましたが、キャンペーンの最初からこんな壊れ性格だったわけはありません。

理由1、
単純に使用期間の大部分を私がぼんやりしていたせいで、性格が決まらなかったこと。20レベル中盤に差し掛かるまで、私の情動部分が大分鈍ってて人物描写を考えられませんでした。レンジャーとしてダイス数える役目が精一杯。

理由2、
テコ入れ荒療治が過ぎました。終盤目前でも薄い人物像をあぶり出すために、キツめのイベントを何度も当てました。アイデンティティを揺らがせて、その上で残る中核部分を捉えるつもりでした。しかし、これは完全に逆効果でルール上の判定時に必須の数値だけが残り、内面は無くてもゲームが進む実証になってしまいました。結果、数値が主体で、ロールプレイ分のキャラクターは数値のメンテナンス役に従属する構図になりました。レンジャーというほぼ単一機能クラスだったのも災いしました。行動結果が戦闘で当たりと外れの二極化収束しやすいクラスです。だから、数値が増えるなら何でもする、数値が変わらないなら何もしない、単純で極端な舞台装置化したのです。

理由3、
私自身の根幹がどうやら超・精神論者だったようです。困難に立ち向かうために気合と根性では全然足りないという考え方です。その2つで乗り越えられるのは困難のうちに入りません。そこに加えて、手段を選ばないなり振り構わなさが必要と考えます。何に対してもガムシャラに挑めという意味ではなく、むしろ真逆で、無理目なことには一切手出ししない関わらない。その代わり、目があるなら手間を惜しまず、採算度外視徹底的に追求する姿勢です。そこでは健康や道徳などの社会規範を重要視しません。常識の範囲内で無理をしない、では達せない目的もあると考えます。普段から私の生活方針はこんなんです。もちろん、これは自分限定完結ルールで、他人には一切期待も要求もしません。しかし、傍目からは人の話を聞かない大変な自己中心思考に映るでしょう。その通りですから、他人からの評価まで望みません。

1の薄さを解消するために、2の状況に追い込んで、3の極論を盛り込んだ結果でした。
今回ゲーム内で扱った「自分ルール」は、最初から最後まで自分のプレイヤーキャラクター・ホロブンに対してだけに限定適用でした。他メンバーキャラへ干渉操作する能力は一つもありません。しかし、自分内カテゴリでは無軌道非常識な操作を繰り返しました。キャラは幾らでも複製の効く消耗品であり、重傷前提に行動し、両手を武器に固定し、最後は四肢欠損身体喪失したうえで義体化して再登場という描写です。何も良いこと無いよね。残酷場面ばかりです。卓の皆さんも地獄をこんなに見せられたら心が乾き、染み付いた炎の臭いにむせるだろうさ。だから最後までそっとしておいてくれたのか。
ここはD&D世界でアストラギウス銀河じゃないぞ。すぐボトムズ調やりたがるのは私の悪癖です。


以上の1~2~3の流れでホロブンは変化していきましたが、体感時間の配分は不均衡でした。
初めの7年程までは出番も活躍も無い待機時間です。10レベル手前当たりから、どうせ自分には何も出来ないと諦め気味でした。自分の感性鈍磨から凝った戦術は考えられず、シナリオが進むほど敵が強化されるので、相対的に自分が弱く感じていきました。どうせ1回しか出番無い、それも命中しなかったら意味がない。実際に待ち時間ばかりの退屈なゲームが数年続きました。特に時間の延長が地味につらい。昼から始めたゲームが夜10時になっても終わらず、戦闘結果をGMが決めて撤収したことも少なくありません。そんな長時間ゲームでも、私は大パンチ2発撃つ数秒しか行動がありません。レンジャーの行動に幅が少なすぎるのです。手持ち無沙汰過ぎたので、ダメージトラック役をさせられたこともありました。正直苦痛な作業でしたが、理解できたことが2つありました。自分の攻撃タイミングが雑すぎることと、チーム全体の攻撃力が足りてないことでした。
どんなに状態異常を当てても、敵の攻撃を防いでも、敵本体が倒せないので互いの手数が減らず、特殊効果の処理ばかりが増えて、戦闘時間が伸びる一方なのです。D&Dの1ラウンドは6秒相当ですが、その6秒の処理に1時間以上かかります。実際の行動も6秒で済ませてるのは私だけですから、そりゃ出番時だけ呼んで下さいと意欲も落ちます。実際、武器と技コンボだけメモして、同行者化する考えは何度もありました。要は戦力になるNPC化。単純に1日1回強攻撃のダイス振るだけだから、誰でも使えます。

しかし、同行者化して他人任せでも、チーム全体の火力は増えなかったでしょう。他メンバーの高ダメージへの意識が薄く、勝敗決定力を軽く見てるフシがあり、冗長な戦闘は改善されず、私が火力上げるしかないとも考えていました。実はこれは前提が誤りで、冗長に感じていたのは私だけです。他メンバーは攻撃手順を入れ替え割り込み即応し、目まぐるしく動く大変な忙しさで戦ってました。いつまでも互いの数が減らないので、鈍い私の目には変化がわからなかったのです。

ではロールプレイ分では楽しめなかったのかと言えば、このキャンペーンでの前期登場NPCはほぼ全て敵なので会話が無意味です。どうせ殺すのに時間伸ばしてどうすんのと考えてました。私にとって、この頃の戦闘=待ち時間です。前口上だって待ち時間です。ずっと待って手番が来ても、ダイス目失敗なら即待機戻りです。だったら回転率上げたいじゃない。
この発想が後々まで響きました。NPCに関わるのは時間の無駄、会話時間は待機時間。夜10時まで今日もずっと待ち時間。そう思うと終盤戦闘に大技ぶっ放すために、後半からのこのこ参加すればいいやとなりました。当時から健康状態は悪かったのです。血管の具合がとくに悪く、内出血ブツブツ起こしながら、数時間座って待つのは実際の身体ダメージに繋がります。

私が不参加の前半部分は主に物語パートでした。私がいない間にパーティーは、殺戮集団から世界防衛チームに変わっていました。NPC達と交流し、重要な情報やアイテムをやり取りして基盤を固めていったようです。
置いて行かれた私は相変わらず、ぶっ殺し軍団実行部のつもりでした。しかし、ここで私が前半から出席し、物語場面に参加してたとしても変化なかったでしょう。殺伐とした性格は素です。ファンタジー世界に興味もありません。
と言うより、私は剣と魔法のファンタジー世界に対してかなり穿った見方があり、すごい神様・すごい魔法・すごい古代文明、これら固有名詞横文字設定の機嫌とらないと、出番も活躍も勝敗結果も全て無効化してひっくり返されると考えています。しょぼい能力値と装備で苦労だけさせられて、美味しいところはよくわからない根拠で、天才的異能使いが掠め取ってく世界。外国ではドラゴンがいつもボコられて、日本では美少女ヴァンパイアが無双する世界。それが剣と魔法のファンタジーだと偏見まみれです。ああいうのは何度も世界が滅びてループする定番だし、介入しても疲れるだけだと思います。


不信感の消えない、剣と魔法のファンタジー世界で待ち時間約7年。キャラクターは多少の反撃可能な能力値まで成長して、私自身も頭の霧が晴れて思考が明瞭化してきました。物語参加するには時期が遅すぎたので、相当に強引かつ理不尽なキャラクター交代劇を用意しましたが、失敗しました。これで世界認識の共感が不可能になってしまったので、あとは能力値向上しかやることがありません。

そこでルールを確認すると、レンジャー上がりは弱すぎるのが判明しました。もう何を楽しみにして良いのかわかりません。ここまでの時点だと、私にとってD&Dとは「待ちゲー」です。このキャンペーンも「待ちキャンペーン」です。参加メンバー内で最も無駄な時間を過ごしてるのが私です。
今まで続けたのだからモトを取らねばと、サンクコスト効果に走ったのが間違いだったのでしょうか。ここから私はより一層強引で理不尽なキャラ操作をするようになりました。

参加できない世界情勢は無意味と切り捨て、ロールプレイの完全放棄。ホロブンというキャラクターらしさなど、最早何処にもありません。
ルールの違法適用をGMに要請。公式ルールで取り消されたパワーを使わせろと要求したわけです。公式が変更したのは全体バランスを崩す能力と判断したからでしょう。果たしてそうかね。D&Dはキャラクター毎に能力ばらつきが大変大きなゲームです。他所卓の事情はともかく、7年以上延長戦時間切れを繰り返しているウチの卓では、殲滅力が圧倒的に欠けています。負けないけど、死なないけど、倒せない戦いが随分多い気がします。そんなところに、1発多くレンジャーが基礎攻撃足しても何も変わりません。変わらなさ過ぎるだろ。こんな無力な神話クラスが終盤に参加意義はありません。だからGMへの要求条件は卓の参加を賭けた瀬戸際交渉でした。エラッタ確認しなかった私も悪いのだけど、レンジャーのフォローアップブロウがルール変更されてるの知ってたら、キャンペーンも即抜けてたと思います。

この時点で性質の悪いプレイヤー自覚はありました。ロールプレイ無くして数値ばかりを追い、自分の都合良い強データを恣意的に使っています。マンチキンとかデータッキーなどと揶揄される行動です。
でも、ここはもはや悪いプレイヤーか、脱退かの2択しかありません。
もう楽しくロールプレイを公式ルール内で楽しむには、気づくにも回復するのも遅すぎました。今まで通りホロブン使ってたって楽しくない、楽しくなる要素も見当たりません。
なので、さらにデータ違法適用を重ねロボットにしました。楽しくないホロブンを続けて楽しむためには、看板そのままに中身を全改装しないと無理だと感じていました。
今までの鬱屈を全部ぶち込むつもりで改装したら、D&Dでもなんでもない巨大ロボの完成です。実は見た目とダメージダイス数の2要素しか変わってないので、他メンバーに行き渡ってるアーティファクト性能と比べると、些細な能力変化でしかないのですが。


ここで最も問題になるのが「ファンタジー世界に巨大ロボを持ち込んだ」点でしょう。場違いな悪ノリで空気と世界観を壊すし、最も食い合わせの悪い要素です。世間には両方混ざってる奴もあるけど、D&D世界内に限るなら火薬とエンジンは、優先待遇面で魔法に勝てません。
それでもなおロボ化したのは理由があります。単に巨大ロボ好きが1つ。

重要なのは2つめ。魔法主体世界の魔法は信用できません。魔法で得たパワーは魔法で消されます。すごい神様やすごい古代文明やすごいNPCは、簡単にこちらの魔法効果を打ち消せます。これまでディスペルやアンチマジックフィールドで無効化された経験が何度もあります。もしも今やられたら、+6相当ヴォーパル能力その他諸々消えて、戦力は12レベル分以上の弱体化です。だから素の能力を上げる必要がありました。魔法キャンセルでも消せない、本体そのものの物理的大質量を得るために、生物やめて鋼鉄ボディに変えました。これに悪ノリのつもりはありません。旧型のメカやロボでないと御都合展開ハイテク魔法影響から抜けられない気がしていました。割りと必死に考えました。

そんな方法しかなかったのか?
方針転換を考え始めた時点で、既にロールプレイ・キャラクター描写の楽しみは絶望的でした。時間配分は自分では決められません。残りは能力強化だけです。その強化もファンタジー世界魔法要素主軸では不安が残ります。
結論として異物として主張するか、卓から消えるかで、前者を選びました。私だってゲームを楽しみたかったのです。


ここまで長々と書いたけど、きちんと言い訳と反省文になっているでしょうか。最終回で自分の全力で放ったネタが完全スルーされたのは悲しいですが、共通世界観の破壊をしたことに変わりないので、無視で済ませてくれたのは温情なのかとも思います
逆状況を考えるならば、それまで8年間続いたハード系バトルメカアクション世界の最終回に、魔法ファンタジーキャラが突然現れ無双して終わる展開ですね。こらあかん。私なら相当な拒絶反応が出るわ。
卓のみなさん、ほんとすいません。

あと、その、あれだ。こうしてキャラ描写の過程を振り返ると、皆にスルーされたどころか、逆にホロブンが自己都合のために、他メンバーとの関係性を積極的に断絶してる場面が沢山ありました。ロボ化するにあたり、不要と判断して切り捨てた範疇にパーティメンバーの人間関係が含まれます。
ウチのぼんくらドワーフがまた変なこと言い出して、ストイックカッコイイとか思い込み、勝手に孤立していって、最後は取り返しつかない姿に成って出戻り、一人だけやり遂げた笑顔で勝手に自殺した。そんな間抜けエピソードに見えてた可能性は大いにあります。これにいったいどう絡めと。



でも、私はまた必ずやらかすと思います。自分だけのリスクなら誰も困らない。
帰り途の無い死に際パワーアップがやりたいのなら、FEARゲームやれば良いのでは。
メカロボユニットやりたいのなら、ファンタジー世界で無理せずに、素直にボトムズRPGやマッドマックス系ポストアポカリプス世界で遊べばいいのでは。
そんなシステムも機会も無いわ。ボトムズRPG出来悪いしな。だからメタルマックス延々とやってるんだよ。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 9

2017-12-23 00:55:12 | D&D4版 キャンペーン回想
ゲーム最終シナリオ当日。
開始直後に「3400GPください」とお小遣いをもらい、一人で船に乗り次元界メカヌスに向かいました。このキャンペーン中にホロブンが我儘を言ったのは、初めてかもしれません。そんな端金は既に分配した財産から出せるよ、とのことでしたが重要なのは「これからアイテム購入する」と周囲に宣言したことです。ピンチ時に後出し設定にならないための布石です。これが当日仕込みの小技。
劇中時間で二週間程ホロブンは留守となり、物語進行に関われませんが、無言地蔵キャラクターが何を今更。
機械次元界メカヌスで船を解体し、強化パーツに組み替えます。その間に再訓練で<騎乗>技能を取り、先の3400GPで「ステッドファスト・サドル」を買いました。これは所謂魔法のシートベルト座席。衝撃受けても振り落とされにくい機能があります。これをコクピットに据えて乗騎完成。
イェーガー「武鉄塊・滅」出撃します。

せっかく派手にお色直ししたので、物語佳境で勿体つけて登場しようとタイミング伺っていたのですが、勢力間調整するでもなく、タラスク襲撃に備えるでもなく、はよ来いや的な雰囲気で前座の戦闘が始まってしまったので、普段通りに戦線に加わりました。4倍も大きくなった巨大サイズボディに対して、他メンバーのコメントも特に無く、むしろ触れるなスルーしろな雰囲気すらありました。それは漠然とした雰囲気ではなく、実際対処に困っていたようで、ホロブンへの完全スルーはシナリオ終了まで徹底されます。写真のアングルにも入らないように撮ってたしな。

しかし、これはある意味で目的達成です。信じて送り出したドワーフが、ファンタジー世界から脱線して巨大ロボットになるなんて……、とドン引きされる程の路線変更を見せつけないと、これから出す高火力の裏付けには足りません。欲しいのは「イイネ!」の称賛ではなく「そこまでやるか……」という呆れと諦観です。これから馬鹿みたいなダイス数を振るのです。何だそれは?と疑問を挟ませず押し切る見た目のインパクトが必要でした。
というか、みなさん素の強さでタラスクに勝つつもりですか。ルールブックの数値見たら、限界突破せずに対抗できるような相手じゃないですよ。

前座戦とはいえ、敵の数も質も揃ってるので楽勝とはいきません。パワー温存して倒すには苦しい戦力でした。この戦闘にも独自ルールが入っていて、各プレイヤーの手順毎にNPCカードを山から引きます。カードにはそれぞれ、今まで登場したNPCと由来した特殊能力が書いてあり、使い捨てのパワーカードとして使えます。そう、使い捨て。常人が世界最終決戦に一仕事こなす代償は大きくて、固有パワー使用と引き換えにそのNPCは死にます。例外が数人いるけど、便利なカードはほぼ死にます。
このカードを最終戦に向けて集めながら戦いました。カード欲しさに戦闘引き伸ばすと何らかのデメリットがあった筈ですが、それなりの頃合いで勝ったので詳細を覚えていません。それは新型ボディの操作に私が慣れておらず、余裕の無い動きだったせいです。いざ普段の倍以上にダイス振るとなると動揺します。手順書作っといて良かった。


破滅招来体先遣部隊を蹴散らした後、この世界にとうとうタラスク本体が出現しました。頭だけ。このタラスクは頭しか無い個体、ではなく、この世界にまだ頭部しか顕現していない状態だそうです。頭だけでもその大きさは桁外れで、フィギュアが実物のフルフェイスヘルメットくらいあります。首から下が出てきたら2メートル超えそうな、コロッサルレッドドラゴンでも構わず一口で喰っちまいそうなサイズ。そこまでやるのか。やるよ、そのためにホロブンだって外見も内面も捨てて来たんだ、やってやんよ。

泣いても笑ってもこれが最終戦闘です。落ち着いていつも通り戦えばきっと勝てるはず。なんて甘い見通しでした。
1ラウンドでパーティーが満身創痍。
理由は単純で、タラスクは範囲攻撃・高威力・複数回行動なので、一気に大ダメージが全員に降り掛かったためです。これはいつも通りに小技搦め手撃ってる暇無いぞ。状態異常だ間合い取りだと手間かけてると、まとめて押し潰される。
これまでの戦闘は全て、各メンバーが連携を取り、戦場操作で優位な状況を固めていき、順にトドメを刺していく流れでした。私は戦況が整ったところを最後に詰めるだけの仕事です。ぶっちゃけ全く頭を使わないので、簡単操作だけど重要度は低い役割でした。タイミング指示されるだけで、自分が戦術決める場面など今まで無かったのです。

「いつラッシュ撃てばいい?」
「私達がラッシュに合わせる。いつ撃てる?」
最後の最後に来ました。ホロブン自身が考えて決める戦闘。後詰めじゃないぞ。ミス出来ないぞ。確実に当てて倒すために何が必要か。
難しい話ではありません。瞬間火力特化型の私が高火力出せるのは1ラウンドだけです。このラウンドに間合いを詰めて、次ラウンドで全弾発射します。
だから2ラウンドの間、私が倒れないように援護ください。次ラウンドにフィーバータイムを合わせてください。
安全装置解除、フォローアップブロウ・スタート。

いくぞ。

2ラウンド開始。周囲が牽制と援護に廻る中、このラウンド内に接敵します。フォローアップブロウを構え、移動、足りない距離をトプリングラッシュ(攻撃前に移動する技)で詰めました。
この接敵距離が次ラウンドまで維持できれば良いが、おそらく……。
タラスクの攻撃が1段、2段、と重なって来ますが問題はこの後。一際でかい火炎ブレスと爆風が吹き飛ばし効果を仕掛けてきました。
リング・オブ・エンデュアリングアース(指輪)起動。強制移動効果無視。
その場に張り付き、間合いを維持出来ました。

3ラウンド。おそらく皆がさらに援護・牽制をしていた筈。私に周囲を観察している余裕はありませんでした。手番が来るまであと僅か。しかしタラスクの攻撃がキツい。火炎放射が2発、3発。立て続けの高熱と爆風を受けてHPが半分を切りました。暴れるゴジラの至近距離に張り付いてたら、まあそうなるな。
底力使用、続けてさらに使用。
エネルギータンク、パージ。背中のタンクを両方切り離しました。
この時点で使いたくはない保険でした。ラッシュ反動で自分に入る自壊180ダメージから立て直すための回復機能だったのです。もう次ラウンドのタラスク攻撃を耐えきれません。
そこに火炎放射がさらに追い打ち。今度のは大きい。大爆発と吹き飛ばし効果。
ステッドファスト・サドル(座席)起動。強制移動効果無視。
この時のために3400GPでシートベルト付けといたんだ。タラスクの間合い突き飛ばしは、おそらく1回じゃ済まないと備えておいたのです。間合い維持。

そして私の手番が来ました。
先程受けた火炎放射ダメージが響いてます。どう計算しても次ラウンドの体力が足りない。このラッシュで自分も力尽きる。それがどうした、だからなんだ。フルパワーラッシュ撃つためにここまで来たのです。ルール上考えられる限り、最強の武器と最強の技と最強の体格を得て、最強の敵と正面から戦うために来たのです。最高の晴れ着メカだって用意しました。全てはこの瞬間のために積み上げてきたのだ、躊躇などするものか。

ライド・ザ・ジャイアントダウン。
巨人殺しクラスの固有技、自分より大きな相手に駆け上り、マウントを取る移動スキルです。ルール上で最大ユニットになる「巨大サイズ」のフィギュアに変えたから、通常なら「自分より大型」条件に引っかかるけれど、これだけ大きいタラスク相手だと杞憂で済みました。命中修正+2の有利。これが効いてなくても先にクローク・オブ・ドゥームという技で命中+2は稼げてるので、保険と演出です。

アクションポイント。アーマースプリンター。
巨人殺しアクションと合わせて初弾命中修正は+6。この初撃が当たるかどうかで次のラッシュ起動条件が変わります。ここだけは絶対外せない最重要起点。
なのでNPCカードを使用します。隣のラックルの手札内に、命中をクリティカルにするカードがありました。それ使います。

しかし、ラックルが渋りました。
は?私は一瞬彼が何を言ってるのかわかりませんでした。
曰く、このNPCは大きな領土を治める統治者で、この戦いが終わった後の世界復興に重要な人物だそうです。それがどうした、だからなんだ。ここでタラスク大暴れしてる最中から戦後の段取りか。もう勝った気でいやがる、ならば今から教育か、今からすんのか。
あんたら元々は出会った相手を一人残らず皆殺し行脚続けた虐殺軍団だっただろが。出て来るNPC片っ端から襲って殺したから、キャンペーン前半の人脈まったく広がらなかっただろが。昔の血生臭い行状を忘れたようなキレイ事を……そういやあの頃まだラックルいなかったわ。

それはともかく、今更NPCの1枚程度をなぜ惜しむのかわかりませんが、私以外は皆カード使用には気が乗らない様子。おかしい。いや、おかしくない。私のほうがおかしいのだ。皆は今まで必死こいて危機を打ち払いながら守った世界に愛着がある。そこに住んでるNPC達にだって愛着も湧いて、できれば全員無事に帰してあげたい。
私にはそんなの興味無いことでした。何もかも全て火力リソースにぶっ込んでいて、もはや自分の生死すらどうでも良いのです。自分の命が軽く、他人の命などなおさら軽い。しかし、ここで私は皆を説得する根拠が出せませんでした。「俺のために死ね」がなぜおかしいのか理解出来ませんでした。皆死ぬんだよ。同じだよ。
私は死ぬと凄いラッシュが撃てる。こいつが死ぬと必ずクリティカルが出る。だからカードを切ります。そして勝てます。2人コストは必要過程じゃないのか。

ここで急いで確定クリティカルを狙わなくとも、命中判定を足せる方法は他にもあります。まずはダイスを振って、その目を確認してから決めようと意見がまとまりました。では振ります。
クリティカル。
自前で出せました。NPCを犠牲にしなくて良かったな。ここでクリティカルが出たことにより、次から命中修正がさらに+4増えます。そういう技なのです。全部込みで+10。ホロブンは攻撃命中ダイスが1でもファンブルせず、振り直しです。そういうクラスなのです。この時点で攻撃命中修正値がタラスクの防御値を上回り、どうサイコロ振っても命中します。そしてクリティカルが出たので、このラウンド内に行動が1回増えます。そういうアイテムを装備しているのです。

つまり、ここからタラスクはおおよそ4D10+25程のダメージで20回殴られることが確定しました。
アーマースプリンターが2発。
ブレードカスケードが5発。
サークリングカスケイドが3発。
旧式フォローアップブロウでそれぞれ追加の10発。全部で20発。

随分長くお待たせしちまったけど、ここがクライマックスだよ。
旧式二刀流レンジャー・30レベルヴォーパルウェポン・巨大ドワーブンウォーアクス20連ラッシュ。最高状態に仕上げたので、是非あなたに受け止めて欲しい、タラスクさん。

まず20面ダイスを振ります。アーマースプリンター分の残り3発。技1段階づつダメージ算出します。被ダメージ量でタラスクが段階アクションを取るので、順を追って処理するそうです。

当時のメモを見ても、数字の山で具体的ダメージ量がいくつだったか正確には覚えていません。しかし、さらに2発クリティカルが加わり、総計100個以上の10面ダイスを振ったダメージが、600、700という、通常出てこない数値を連発していたのは事実です。
4桁のダメージを受けたタラスクが数度反撃に出て、至近距離から熱線放射を浴びましたが、ラッシュは止まりませんでした。ブレードカスケードを撃ち込まれ、14発被弾した時点でタラスクの体力が尽きました。2500ダメージくらい叩き込んでやったわ。
やった、倒した。
戦闘終了ですが、ラッシュ反動で自分も自壊ダメージを受けます。蓄積ダメージと合わせて体力はマイナス、気を失ったホロブンはタラスク上から転落しました。
アダマント・リカバリ。予備電源起動。体力が0以下になった場合に、HP10で自動的に起き上がる非常用保険機能です。なんとか歩いて帰るくらいは出来そうです。

しかし、ここでタラスクが逃走開始しました。こいつは「殺せない存在」なのでHP0になっても穴掘って逃げてしまうのです。まだ終わってなかったわ。既にHP0相手に物理攻撃は無効です。もう私の仕事は終わったから放置してても良いのだけど。だけど。
渾身の全力アタックで叩き潰した相手なのに、最後に逃げ切られたら癪だな。
アクションポイントがまだ残っていました。タラスクがラッシュ途中で倒れたせいで、不発に終わったサークリングカスケイド分のを使って標準アクションを行います。
タラスクに組み付き。力のルーン<大腕力>筋力判定に+20。
結果はそれでも失敗です。STR元値が違いすぎるので勝ち目はありません。そうじゃないんだ。これは時間稼ぎだ。こいつが潜るまであと数秒間に誰かが仕留めてくれればいい、もうタラスクの体力は無いんだ。今ならやれるんだ。

ガンダルーブが即動き、タラスク牽制に出ました。続いて死神リリィがトドメ。
上出来です。何者であろうと絶対死させる死のルーンのパワーが刺さり、タラスクは息絶えました。

勝利した皆は凱旋を祝い、それぞれの生活に戻ったようです。

私はそこに含まれていません。
タラスクに組み付きを振りほどかれた後、ホロブンはその場に膝を着き機能停止しました。誰もそれを顧みず、初めからそこにそうあった物のように無視して帰還していきました。
何度も高熱に炙られたコクピットハッチが剥がれ、中からのっぺらぼうの人型をしたものが転げ出し、そのままタラスクの開けた次元の虚無の穴に落ちていきました。重心バランスが崩れた機体も同じように転げ落ち、虚空に消えました。
その穴もやがて小さく閉じていき、もう跡には何も残っていません。

破滅の先触れは、それに相応しく惨たらしい最期を遂げました。これが記事冒頭で書いた、誰とも人間関係を築けず一人で迎えたバッドルートの顛末です。
他人どころか自分までがんがん切り捨て続けただけでなく、最後にやりたい放題やったので「関わらんどこ」と放置されたのでしょうが、物語の結びとしては大変気に入っている展開です。元々私は全てキレイに収まるハッピーエンドより、多少苦いトゥルーエンドを選ぶ性分です。これだけ暴れた後を残り平穏に生きるとか都合良すぎると考えるので、どこかで派手に死なせるつもりでした。先にまともな死に方させないとも書きました。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 8

2017-12-23 00:54:01 | D&D4版 キャンペーン回想
素体は「ガンダムAGEタイタス」とにかく関節がよく動き、特に肩周りに力を込めたポーズが上手く再現できる理由で決定。ただし、そのままでは多少塗装したくらいでは消えないガンダム臭さがあるので、手を加えてパーツ印象を変える必要があります。

その前に、ホロブンの意匠の取捨選択をします。今回巨大ロボ化するにあたり、そのまま縮尺率変更したような姿にはしません。一応ゲームシナリオという物語の登場人物であり、周囲の他プレイヤーも一緒に行動するので、動機の整合性は取りたいところ。ホロブンはなぜ巨大化を望み、どこから巨大化していき、どこの機能を省くのか、をキャラクター内面を鑑みて決めていきました。巨大ボディに移植するにあたって、ホロブンが成立する条件と、その境界線を探します。

・緑色の服と、右のレッドショルダー
・一本角兜(ドワーフ兜は二本角が多い)
・鼻筋の通った彫りの深い顔
・2丁の戦斧
・揃いに束ねられたヒゲ
外見的特徴はこのくらい。ここから個人を特定しやすい要素を引きます。顔や服は戦闘能力に無関係なので削除。するとただの斧ガンダムになったので、角とヒゲを足します。角はドワーフ少数派の一本角記号。ヒゲは逆に、それさえあればなんでもドワーフに見えるくらいの一般記号。
これで「ホロブン個人由来要素は無いけど、能力装備要素は再現された」シルエットの似た別物になりました。
なぜ、敢えて基本デザインを変えるのかというと、ホロブンの内面的特徴が「火力追求以外はどうでもいい」だからです。強くなるために自分の省ける部分を躊躇なく削れる人なのです。生命・財産・感情など個人に帰属するものは真っ先に捨てました。ならば巨大ロボ化で強さに影響ない色と顔は不要です。

二週間という僅かな時間で、ぼんやりと4倍サイズに拡大するなら、手っ取り早く身体構造はそのままに、質量を増していく形になるだろうと考えました。これが二千年とかの長期間かけて自己進化などの話なら、武器と動力が直結した単純な形状になってるでしょう。モーター(動力)とプロペラ(刃物)だけ付いた子供の夏休み工作みたいな奴。

そもそもホロブン自身のオリジナルはシナリオ本編途中で消滅しており、今動いてるのは複製品です。何を持ってしてホロブンと呼ぶかは攻撃性能に依ります。
・ヴォーパルドワーブンウォーアクス2丁
・旧式フォローアップブロウ
・フルパワー攻撃負荷を1回立て直すリカバリ
これら条件を満たしたキャラクターシートの数値を、私はホロブンと呼びます。

では、これら条件を巨大サイズに再構成します。
ガンダムタイタスを素体に若干パーツを切り貼りし、可動範囲を広げたり、ガンダム意匠を消したりします。
両手にデカイ斧を装備。戦う以外の行動しないのでがっちり接着します。死んでも武器は外れません。むしろこれが本体。
意外と重要なのがヒゲ。下顎と胸にかけてギザギザしたものが並んでいますが、これはノコギリの刃です。ホロブン無意識下でボディを再構成したら、獰猛な本性がそのまま反映されて、以前と似て異なる姿に変わった象徴部分にしました。もはやドワーフなど辞めました。額と顎の増加装甲で顔の表情が見えないのも、他者とコミュニケーションをとる必要が無いためです。
そのまま取ってつけた一角を頭に装備。これで、斧、角、ヒゲが揃ったので生前ホロブンの60%は再現できました。これだけ意匠あれば十分でしょう。

足首周りの装甲をノコで切り離して、可動域確保して付け直し。これで深く腰を落とした踏ん張り姿勢が取りやすくなりました。背中にはデカイ背負い物着けたいのですが、ガンダムの背中は平坦面が小さいうえ、斜め形状でどうにも活用しにくい。元々ホロブンは瞬間的に80%程の体力回復が可能で、その能力も見た目に反映したいと考えていました。具体的にはドラム缶2本背中に背負って、回復後にガランガランと切り離して廃棄する感じ。その体力タンクがどうしても2本並べて背中に付けられない、ガンダムの背中では小さいのです。横に並べないなら、縦に並べようと強引にアームで接続しました。タンクからチューブを胸部装甲内に伸ばして、外付け補修材らしき外見も整いました。

次は塗装。私は元来塗料使いが下手糞で塗装は敬遠するのですが、最終決戦用キャラくらいはしっかり仕上げてやりたいところ。シナリオ内でもせいぜい二週間程度の時間しかないので、突貫工事で作って塗装してる暇は無いでしょう。金属の地金むき出しなのはシルバー単色で楽だと思いました。元シルバーそのままでは色調が明る過ぎたので、結局調色して塗り直し。溶剤の加減がわからず、ボディパーツが割れてしまい、もう一度作り直したり大変でした。
色配置にもこだわりがあって、基本ボディは暗めのシルバー。内部駆動機関が覗く部分はゴールド。増加装甲が間に合った部分はブラック。な具合に構造と製材の違いが見てわかる感じに色分けしました。
見た目の割に苦労したけど、完成した出来には満足しています。キレイな展示品ではなく、卓上で動かしてポーズ取らせる駒なので分かりやすさ重視です。

ここで一旦完成したつもりでした。

ゲーム直前にぱーるさんが「アニメやゲームからそのまま持ってくる二番煎じはオリジナルを超えられない」とか呟いてました。今それを言うのか。達成感が揺らぐだろ。
ゲーム本編は翌日です。
まだ足りないよね。オリジナル要素欠けてるよね。ガンダムだし。

見た目に意志が足りてない気がします。
ホロブンはずっと意識が薄いと書いてきました。しかし、言葉に表さなかっただけで、こいつには8年間終始一貫した指針がありました。徹底した損害採算度外視の超攻撃型戦法です。ラッシュ攻撃フルヒット叩き込めるなら、なりふり構わず全て犠牲にする一極集中志向。自分が倒れようが出番減ろうが大した問題ではありません。一言呟くエネルギーすら無駄遣いしたくないから喋らないのです。
台詞は皆無。人間関係も放棄。地位財産も最小限。しかし、振るう武器は世界最強。使う技は違法禁則。反動負荷が身体を蝕み、稼働維持わずか12秒。それでもなお高火力の果てに届かず、もはや肉体は能力の枷でしかありません。貧弱なW数1D12を2D10に増やすため、私はドワーフ辞めるぞ。
フィギュアの変更は身体の放棄と同時に8年間の容姿さえも捨てました。明言しなかったけどホロブンは次回の強さを得るために、これまでの想い出すら犠牲にしたとも解釈もできます。実際そのつもりです。
武器を振るう躊躇に繋がりそうなしがらみは、少なく軽い方がアタッカーに都合が良いのです。


何も拠りどころの無い希薄な人格が、何度もアイデンティティ喪失を繰り返し、最後は毎回死にかける程の自壊ダメージを負う戦闘方法でしか自己確立できなくなったら、何らかの変調きたすのは当然だと思います。何もかも捨て去って殺傷力だけが残りました。
しかしこれは狂気描写ではありません。世界最強攻撃能力は、そこまでやるだけの価値と必要があります。ホロブンは徹頭徹尾目的遂行に尽力していただけです。本気で素面でこれが平常。

そんな傍目には異様な、本人には当然な、とうの昔に肚を括りきった性格をフィギュアに表現します。奥まった顔から強固な意志が覗くように、額の装甲板を切り欠きました。目の形状も塗り直しました。元ラインより細く絞った形に変え、瞳を描き込みました。ここで失敗したら、8年間の全てが無駄になります。瞳のサイズは大きくても小さくてもいけません。0.01ミリ単位で表情が変わります。
やった、出来た。
技術よりも気負いの問題。良いサイズの目が狙い通りの視線で描けました。
どうあっても消えない曲がらない不屈の意志を込めた、標的を見据える冷静な瞳にしたつもりです。ただの三白眼とも言います。


巨大サイズのホロブンフィギュアが完成しました。
クラス「破滅の先触れ」が己を呼び水に顕現した破滅本体を迎え撃つために、僅か二週間の突貫工事で建造した強化装備です。とはいえ、民間輸送船を解体した資材を単純に組み合わせて作ったハリボテで、腕部先端の強度と重量以外は無意味なパーツの塊でしかなく、受けるダメージも操縦手に素通しです。接敵面が4倍に増えたせいで被弾リスクも上がり、巨大サイズ相応の回復力を補うために大型増加タンクを強引に背負い、使用後はそのまま廃棄するなど、武装として非効率な欠陥が多いのですが、攻撃力だけは本物です。両手に固定されたダブル・ヴォーパル・ドワーブンウォーアクスは、元武器に100倍以上の金属を喰わせて質量を上げた特別製で、おそらくD&D世界でもかなり珍しい巨大サイズ30レベル武器。その基本ダメージは10面ダイス4つ。それを両手で2回撃つ。さらにキャラクター能力により1の目は振り直し、10の目は振り足し。
つまり10面ダイス8個振り、低い目は打ち消され、高い目は増え重なります。普通の片手剣が6面ダイス1個の世界で、この数の暴力は脅威です。
そんな脅威は普通シナリオだと許されないのだけれど、カイジュウ・タラスクを殴り倒すためだけに特別製な鉄の狩人を作りました。この世界で最初のイェーガー、名付けて「武鉄塊・滅」なんで漢字名なの、カッコイイからだよ。「武(勇の)鉄塊(を着た)滅(ぶン)」という意味だよ。
どうせ1回の出撃で使い潰す消耗品なのに、設定は盛りに盛りました。先程またパシフィック・リム観てたからな。機体名「ハービン・ドゥーム」の方がイェーガーらしかったかな。


最後の仕上げはキャラクターシートのデータ再検証。
攻撃力ダイス数が跳ね上がったので、操作感覚も変わります。D&Dでは1度にD10を10個以上振ることなどそうそうありません。今までの経験では一度も見たこと無い場面ですが、次回は頻発すると予想できます。そこで周囲から「それはおかしい」と指摘されても動揺せず続行するために、操作手順書を用意しました。
基本攻撃:4D10の2回攻撃(ダイス8個だがこれが普通だ)
クリティカルが出たら18D10を足す(重要なことはダイス量にビビらない)
2回でたら36D10、3回出たら54D10。つまり一度にダイス50個以上振る場面が有り得ます。結果から言えばそういう場面になりました。50個どころではないダイス数、1を振り直し、10は振り足し、膨大な数値に動揺して手が震えましたが、この手順書のおかげで混乱せずに済みました。大量のダイスを飛び散らさないよう、A4クリアファイルの蓋枠内で囲んで振る工夫もしました。
30レベル分の能力値と特技とパワーと装備も全部ルールブックと突き合わせて、数値の過不足や能力効果を確認しました。
能力値計算OK。
防御用スキルOK。
ブースト用スキルOK。
非常用機能各種OK。
前回拾った新アイテム「力のルーン」の性能確認。専用パワー「大腕力」STR判定にダイス目20として使える……覚えとこ。


長かったホロブン強化作戦も終了しました。まだ一つ小技が残ってるけど、それはゲーム当日に仕込みます。積めるだけの数値は全て積み込みました。
これが8年かけた成果です。思い返せば上手く行ったり行かなかったり紆余曲折しまくり、期待と落胆の繰り返しでしたが、手持ちの中でホロブンは最多回数使用キャラになっていました。使っててこれほど痛めつけたキャラクターも他にいませんが、まだ終わりじゃありません。
攻撃力増強のために違法改造2回もしやがって、こいつ絶対まともな死に方させないからな。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 7

2017-12-23 00:53:13 | D&D4版 キャンペーン回想
「タラスク」というのはD&D公式ルール内で最強とされるモンスターです。能力値データはどれも圧倒的な高数値で、キャラクター達がまともに戦える強さではありません。デザイナーがゴジラを再現するつもりで作ったそうで、本来ならば倒せない、対抗出来ない超巨大厄災の権化という位置付け。存在感知したら逃げろ、諦めろ、そういう相手です。

でも私は正面から戦うつもりでした。もう勝ち負けの問題ではありません。ホロブンはこの世界最強武器を持って、世界最高効率の攻撃技も備えました。この状態で世界最強のモンスターに挑める機会なんてそうそう無いでしょう。
全力でタラスクに挑む、それが果たせれば思い残すことはありません。

だがしかし、これは全力だろうか。まだ到達していない領域がある気がします。
ルールブック内の戦闘手順解説にサイズ関連の記述があります。通常のキャラクターは中型サイズ。その上には、大型、超大型、巨大、とまでサイズ規定があり、大きいほど基本ダメージダイスが上がります。もしもホロブンを巨大サイズまで拡大したなら、基本W数は4D10の2丁持ち、10面ダイス8個が巡航火力です。
これは巨大化しなくてはなりません。以前からホロブンは行動がロボットみたいなところがあって、最終回は巨大ロボになりたいなどのネタを話したりしていました。でもそれは「HOPEの艦首がホロブンと合体してガイキング化する」等の冗談の内でした。GMも巨大化してもいいけど数値は変化しないよ、と流す話でした。
しかし今回は真剣です。

巨大ロボの外見欲しいだけなら、D&D世界にはウォーフォージドという機械種族が居て、ロボ系キャラクターを使えます。しかし能力的にやや不満があり、おそらく「感情を持った人間臭い機械」キャラ向けを想定してるパラメータでした。感情描写要らないから機械の大出力が欲しい私とは、目指す方向が正反対です。それでも自律メカ存在の根拠程度にはなります。

早速GMの盗り夫さんに打診しました。初めはまたいつものネタ話と受けたようでしたが、リソースとロールプレイ分もつぎ込んで、最終決戦兵器にしたいと伝えると「それならば理由が要る」とのこと。GMが強くなる許可を出すのも重要ですが、今まで無かった数値を足し増やすにはルール内での装備スロットなり、クラス特技なり、数値の根拠が無いと他プレイヤーに対して、自分オリジナルルールで優劣を付けることになるので、巨大になりたい願望だけで巨大化は無理だそうです。そらそうだ。D&Dゲーム中で「ボクはねウルトラセブンだったんだ」と発言したところで、変身も巨大化も出来ません。ゲーム間違えてるよ。
でも今回は相手がタラスクです。D&D版ゴジラを正面から戦って倒さないといけません。天才科学者の居ない世界では、誰かがウルトラマンにならないと怪獣に対抗出来ない気がします。何か無いか、巨大化できそうな装備、魔法、パワー、クラス、なんでも良いんだ。

しばらく経ってから盗り夫さんが「乗騎はどうだろう」と。
乗騎。その発想は無かった。
しかし、30レベルの対タラスク戦に通用する乗騎などあるのか、ありません。基本的にどこまで強化しても本人が身体張って戦うのがD&Dの作法です。乗騎ごときで勝敗決まってはいけないシステムです。盗り夫さんが海外分も合わせて乗騎データを検索してくれましたが、そのまま使えそうな乗物はありませんでした。ならば参考にして作るだけのこと。
とはいえ、特別製乗騎データを今から設定するのではなく、処理的には巨大サイズ相当のW数まで身体拡張する着ぐるみ状のもので、それ以外の数値強化は無し。つまり武器だけデカくなって射程や防御には効果ゼロの乗物。許可できるのはそのくらいの性能だそうです。それで十分です。おそらくシナリオ内では二週間程しか時間猶予がないので、その時間内に強化服を組み立て、<騎乗>技能も取得しないといけません。

これでサイズが決まりました。巨大サイズの強化服。いわばパワードスーツ。それに合わせて道具を揃えます。
まず10面ダイスがたくさん必要です。30個ほどじゃらじゃら買ってきました。場合によっては50個以上一度に振る場面も想定されるので、これでも最低限。

最重要はフィギュアです。私の参加卓ではマップ上にメタルフィギュアを置いて、実際に位置取りをしながら遊びます。見た目のビジュアル面は卓上フィギュアが全てですから、これを用意しないと実際の容姿が伝わりません。もう長いことやってるから、全員キレイに塗装されていて、今更そこに無塗装や適当なアイコン駒を出すわけにもいかないのです。

しかし、この巨大ホロブンフィギュアを用意するのが、殊の外難航しました。
ホロブンの意匠をどこまで再現するのか、の判断が非常につけにくいのです。そもそも私は長年使ってるホロブンというキャラクターの外見が、あまり好きではありませんでした。ドワーフは頭身が低いうえに顔の造形が濃い目で、日本人受けしないデザインだと思います。それに長年ホロブンの内面も一種の異常人格として扱うのが定着していました。
人格の希薄なキャラクターが無意識で変身を遂げたとしたら、それは果たしてどのような姿になるのでしょう。そしてその姿を次のゲームまでに、決めて、組み立て、色塗って、仕上げていかないとなりません。これは難題です。
順を追って消化するために条件洗い出しました。

条件①
高ストレングス。終始一貫してホロブンは腕力で進んで来ました。そして腕力に拠る攻撃力が他のあらゆる要素に優先されます。善悪、好き嫌い、そうした条件に全く影響されない歪な程純粋な暴力装置。ただ攻撃力を上げるだけが目的で、他はどうでもいいのなら、最初に考えるのは強力な腕と武器。

ここで候補が3個挙がりました。
1/144ガンプラで「ガンダムAGEタイタス」「BFハイモック」、バイファムARV「ガッシュ」。
どれも腕が太く力強いポーズがよく決まるプラモデルです。サイズ的にも卓上で巨大サイズ用4×4マス土台に乗せるのに丁度いい大きさです。

条件②
前傾姿勢。頭より高い位置に肩と背筋があると、腕力が強すぎて背筋が伸びず自然と前屈み体勢になるのではないかと思います。アメコミの怪力系キャラがよくそんな誇張表現されてます。そうしたゴリラ体型素体ならば、ハイモックは前傾姿勢が取りにくいけど、体型と稼働範囲が優秀。一方でガッシュは設計が昭和のキットなので、ポーズ付けはやや見劣りします。それでも体格のパーツバランス等がホロブンのイメージと良く合い、ホロブンが異質な技術で身体拡張したなら、こうした宇宙人ロボ型も似合う気がします。タイタスは戦闘時の構えポーズが別格なほど良く決まりますが、胴と頭がモロにガンダムなので加工作業も一番多いでしょう。
あれこれ考えても結論はなかなか出せず、いい加減疲れてしまいました。

映画トランスフォーマーにハウンドというロボットが居ます。緑色のメタボ体型髭親父ロボで、見た目も中身もTFに典型的ドワーフ要素を乗せたら、こうなったてな感じでした。試しにそのハウンドの玩具の両手に適当な斧を持たせてみました。玩具はやや体型スリムだけどいい感じに髭親父メカドワーフ戦士に見えます。見えなくもない。その上可動範囲は非常に広く、ポーズ付けが大変良く決まります。斧を構え、引き絞った姿勢から、一気に振り抜いた状態まで、いちいち格好良い。どうせ仲間内のゲームだし、そのメンバーならハウンドの顔みて「ホロブンと似てるね」と同意してくれるでしょう。どっちが先かで似てるのかで言えば、緑色髭親父キャラなんて昔から沢山いるので他人の空似です。気にすんな。


そんなふうに気分が緩んでいた時に、盗り夫さんがツイッターに画像を上げていました。ダンボールで怪獣の頭らしきモノを作ってる作業途中の写真。バケツくらいの大きさがありそうな、実際に被れそうな、ほぼ等身大サイズ怪獣の頭部でした。盗り夫さんは器用で何かといろいろ作る人ですが、この人の作成物はほぼ全てゲーム絡みです。
この怪獣ヘッドをどこで使うのか。決まってんだろ、私たちにぶつけて来るんだよ。
ホロブン、あれと戦うのかー。たいへんだね。

大変だ。ハウンドでいいかーなど呆けてる場合か、手間暇を惜しんでたら「見た目の格」で負けるぞ、いや勝負どころか土俵にも上がらせてもらえない。こっちもホロブンロボを用意しないとダメだ。

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 6

2017-12-23 00:52:24 | D&D4版 キャンペーン回想
最終シナリオ開幕です。混乱した世界情勢、不透明な育児計画、それらを一度に捌くため、GM盗り夫さんが独自システムルールを作ってきました。

でかい世界マップが広げられ、各勢力駒がそれぞれ拠点に配置されました。この期に及んでさらに新たな謎の襲撃者が現れた様子。従来敵対勢力も不穏にこちらの様子を伺っています。そして、今までのキャンペーンで関わったNPC達は協力者として加勢してくれるようです。それらを前にして「各々自分の目的に沿ってさあ動け」だって。タクティクスオウガかよ。

勢力図とか自分にあまり関係ないしーとリリィ育成しようとしたら、そちらもルールがあって、1ラウンドに「誰が」「何で」「どういう方針の」育成するかで、子供の成長具合とアライメントが変わってくるんだって。時間的余裕は少なくて、シナリオ終了までに30レベル到達しなかったら育成失敗。終了までのカウントは、ダイス目次第で開いていくパネル式。適時ダイス振りながら、期間内に娘を一人前に育てないとなりません。プリンセスメーカーかよ。

現状では世界中に紛争が起こっているので、保護者1人では巻き込まれると対抗できません。3人くらい固まると危険にも立ち向かえますが、育児方針は割れます。くっそ良く出来てんなこれ。そして育児組は協力関係者が少なく、オウガ的な強さに欠ける駒で、安定した育児環境を得るなら他の有力駒との連携が不可欠です。ほんと良く出来てんなこれ。

さあ、プリンセスオウガバトルメーカー始めんぞ。
ホロブン(HOPE)が「運動」で「カオティックニュートラル」で育児判定。
メルセーデが「宗教」で「ローフルグッド」で育児判定。
ガンダルーブが未入手のルーンを捜索。
ラックルはアンダーダーク周辺の敵対陣営と戦闘。
レイオットが「彼方の領域」からの侵略者と戦闘。

始めのうちは進行も混乱気味でした。
カオティックだローフルだと養育組が不安定な一方で、戦闘組は敵対勢力を幾つか打破していました。ダイス目もあるけど要因は協力者。今回のルールは「人数」が駒の強さに直結するため、これまでずっと領地安定に努めてきたレイオットの元にはNPC達が集まり大勢力になっていました。戦いは数ですよ。そして運良くアンダーダーク周辺の敵勢力が一掃されました。チャンスは今だ。
ホロブンは船を持っていますから、他キャラよりも移動力が高いのです。いつもならアンダーダークには裏社会勢力が睨みを効かせていて、気軽に訪問できる場所ではありませんが、そいつらは今レイオットがぶっ飛ばしてくれたので、遮る者は居ません。引きこもってる元養母フィネスに面会しに行きました。

船首の衝角にものいわせて、障害物をぶち壊しながら最深部まで急行しました。エッジの作った結界に呼びかけてフィネスを出してもらいます。向こうも一大決心して封印されてるのわかりますが、現行の死のルーン保持者育成には必要な過程ですから、強引に母娘の対面を果たしました。
当事者には申し訳ないけど、残り時間は多くありません。シナリオ終了までにリリィには30レベル死のルーンマスターになって、世界と向き合ってもらわないといけないので、家族間の軋轢や成長期の葛藤など個人事情は手早く済ませます。今時、思春期メンタルの死の神とか痛過ぎるのです。
リリィさん、あなたの養母は育児放棄で、祖母は児童虐待の常習犯だ、言いたいこと、やりたいこと、今ここで全部済ませなさい。反抗期タイムは一晩で片付けるぞ。凡人並にグレてる暇無いからな。
母娘の会話はなんだか気まずそうに始まり、ぼそぼそ語り合っていましたが、どうやら穏便に済んだようでした。家庭内で合意を得たので次は訓練と学習です。普通だと、ここでビシバシ厳しくフルメタルジャケット訓練しがちですけど、そういうのは雑兵の数を揃えて均一化する場合です。リリィは特別な子で育成失敗出来ないオンリーワンなので、トレーナー役が専門カリキュラムで丁寧に教育します。

育成組がそうこうしてる間に、また戦況が変化しました。
地獄周辺の勢力が弱まったようです。地獄の大ボス・アスモデウスに会うチャンスです。どのみちリリィから死のルーンを剥がす件で、メルはアスモデウスに用があったのです。では会いに行こうかというところで「アイツいっぺんぶん殴ってやりたい」とメルセーデが。この浅はかな聖女は、たまに結果を考慮しない言動が出ます。でも、まあ、ぶん殴るのはホロブンの仕事ですし是非を問う気もありません。殴り倒した後なら、こちらの要求も通しやすいでしょう。それなら確実に勝たないとな。
現状だと乗船メンバーだけでは対アスモデウス戦に戦力が足りません。増やすアテはあります。船を飛ばしてレイオットさんを迎えに行きました。今のレイオットさんには各地の有力者が軍勢に加わっていて、強大な勢力になっています。その協力を得ればこちらの戦力は3倍以上に強化されます。地獄のアスモデウス軍にだって十分な勝ち目があります。
では「いっぺんぶん殴り」に行きましょうか。リリィ、実戦ですよ。無理せず出来る範囲だけで戦いなさい。
当然ながら、敵も地獄の総大将なので世間への面子があります。売られた喧嘩は高値で買ってくれる以上、簡単には終わる筈もなく、やはり結局殲滅戦になるのです。
普通は倒せない、倒しちゃいけない物語上のフレーバー悪役ですが今回は、
・卓に配置する駒として能力値が決めてあった。
・こちらが想定以上に戦力を集中した。
・襲撃理由がその場の思い付きで予想対策する暇が無かった。
等、不幸な偶然や誤解が重なり、アスモデウスは倒されました。

大きな経験値が入ったのでリリィ育成は捗りましたけど、世界はなお一層混乱しました。地獄のデヴィル軍団の統率者が倒れたので、抑えが効きません。メルは死のルーン事案の解決策が一つ消えたことにようやく気づいたようです。アスモさんにお願いする前に倒したので、こっそり裏交渉でリリィから死のルーン剥がしてもらう作戦も頓挫です。やっちまったな。

敵対勢力の撃退にほぼ成功し、各地のルーンも幾ばくか回収し、シナリオも終盤。リリィの育成があと少しだけ足りない。29レベルとなんぼ、30レベルまであと1イベント分、経験値が不足しています。やれるだけの育成はしましたが、ゲームではこういうこともあります。でもそこをGMがサービスで上乗せしてくれました。最後の詰めを本来の養母フィネスが出てきて、娘に言付けして30レベル到達。母の後を継いで撃破役として生きることを決めたようです。
そして育成した結果のアライメント属性は「ケイオティック・ニュートラル」混沌にして中立。外部規範に縛られず、善悪どちらにも与しない、完全自律自決型個人。概ね狙い通りに仕上がったので、私は満足です。
これからリリィは自分で決めて死のルーンを使うでしょう。対象を決めるのも、実行するのもリリィ本人が考えて判断し、その結果恨まれたり憎まれたり感謝されたりするのも彼女自身に向かいます。その覚悟は決まったようなので、私の育成業務も終わりました。

自分で勝手に背負い込んだ肩の荷が下りて、ホッとしてるのは私だけです。今回の大戦結果に世界上層部は大激怒。
・危険な死のルーン保持者を監視どころか、勝手に鍛えて野に放ったため制御不能になった。(HOPEが悪い)
・地獄の首領アスモデウスが倒れ、秩序悪陣営の統率が効かなくなった。(メルセーデが悪い)
・彼方の領域(クトゥルフ系勢力)からの侵食を許し、一部の区域は取られた。(レイオットが持ち場を離れた)
・正体不明のモンスターが突然湧き出し、あちこちのルーンをボリボリ食い始めた。(それは関係ない)

レイオットが持ち場を離れたのは、私がアスモデウス討伐に呼び込んだせいです。メルセーデがアスモデウス倒したのは私が制止どころか手筈を整えたせいです。リリィが野良死神になったのも私がやりました。新種のルーン喰いモンスターは破滅の端末だそうです。これから破滅招来体モンスターがこの世界に来るので、その先遣隊みたいな存在。破滅本体は「タラスク」というモンスターで、今暴れてる子タラスク達は元を撃退しないと延々湧くようです。唐突な新敵キャラ・破滅招来体の登場ですが、破滅の先触れは既にありました。私は「ハービンジャー・オブ・ドゥーム」です。和訳すると「破滅の先触れ」です。
世界がヤバイのも、ポストが赤いのも、全部私のせいです。私が悪いのです。

次が本当の最終シナリオです。
次回「タラスク襲来」

D&D4版キャンペーンシナリオに参加失敗した話 5

2017-12-23 00:51:28 | D&D4版 キャンペーン回想
ようやくモチベーションが変わってきたけど、シナリオは最終時期に差し掛かっています。全力で戦える機会はそれ程残っていないでしょう。実際3~4回くらいしかフルパワー撃ってない気がします。
キャンペーンでの宿敵ポジションの邪神・強化型巨大オルクスはGM独自のデータが作ってあって、行動回数が多く、ダメージを一定割合受けるとモードチェンジします。ホロブンがフルパワーヒット当てに行っても、途中で割り込みや即応アクションが入り、ラッシュがキャンセルされます。気持ちよく戦える相手ではないらしき情報を先に聞いていたので、まあこんなものかと。

最終一つ手前シナリオの相手はドラウ軍団。邪神ロルスの策謀やら死のルーンの争奪が絡んできますが、根本は家庭問題です。虐待ドラウ一家とそれに立ち向かう娘フィネスと仲間たちの戦いです。家庭裁判所の無い未開社会が舞台なせいで、ありふれた家庭問題が拗れて神話級の災厄まで膨らんでしまったのです。結局殴り倒して解決しました。
ドラウの社会構造が基本的に弱者を弾圧搾取して成り立つものなため、今回の件が片付いてもまた似たような家庭が似たような問題を起こすでしょうけど、それはうちのキャンペーンとは関係ない話です。
ここまでのGMがomoteさんの担当。

最高レベルに到達してもう成長の伸び代は無いけれど、最高の能力をもう少し堪能したいので、キャンペーンももう少し続きます。GM盗り夫さんのサービスです。


長期キャンペーンのシナリオフックとして「死のルーン」というのが中盤からちらほら出てきていました。名前は物騒ですけど、所持者の攻撃力が上がるわけでもないらしく、私には使い道のない無用アーティファクト。しかし他メンバーにとっては重要項目で、終盤に進むほどに取り扱いに困っていたようです。悪用したら大災害直結する強力かつ危険な代物ですが、世界の必須構成要素なので無くしても困るという、厄介アイテム。これまで戦ってきた巨人族だのオルクスだのロルスだのレイヴンクイーンだの、皆この死のルーンを入手して世界のトップを取る野望を燃やしてました、たぶん。通常アイテムのように簡単に他者に譲渡できるものでも無く、基本的に所持者が死亡しないと他に渡せないそうな。D&Dが高レベル帯に入ると死亡もやや重めの状態異常でしかないのですけど、この世界はなぜか随分と死を恐れます。ほいほい復活できるし、アンデッドもそこらじゅうに居るし、行動に支障きたすわけでもないのに、いまさら何の問題でしょうか。
相続の問題です。

死のルーンて分割できるのです。
細切れになったルーンを悪者たちと取り合いしてたのが、メインシナリオの物語です。当初の予定ではフィネスが右腕に死のルーンを仕込み、対家族用必殺武器にしていましたが、別に家族以外相手でも必殺武器なので、敵対勢力をばんばん倒して行けるのです。すると悪側とはいえ一勢力のボス達がばんばん消えて、悪の勢力組織図が空欄だらけになりました。こらあかんとフィネスは思いました。個人の怨恨で世界の力関係まで崩してはいけない、悪陣営とはいえ世界のバランス均衡には必要です。かと言って今更復讐も止められないし、敵側も止まってくれないので、用事が済んだら即引退することを決めたようです。
目的を達したフィネスはアンダーダークという物騒な街の最深部に向かいました。最終シナリオまでは付き合えなくなったけど、何かと危険な「死のルーン」を自分ごと封印するためです。30レベルシナリオGM予定の盗り夫さんPC・ヒドゥンエッジも今後参戦できないので、NPCとして同行しフィネスを疑似次元界に封印しました。

しかし、ここで予定外のアクシデントが起こり、パーティメンバーが全員今後の方針で大悩みする羽目に。原因は先程倒した悪神ロルスの置き土産でした。
フィネスには養女がいました。「リリィ」という10歳位のドラウ娘。その子に死のルーンがまるごと移ってしまったのです。そうなるようにロルスが前々から罠を仕掛けてたそうです。ロルスてのは毒蜘蛛の親分みたいな姿格好で、主に策謀陰謀で絡め取るのを得意としています。ドラウ種族の元締めも兼ねるので、自分の従属種族の小娘に細工するくらい朝飯前らしいです。

今までずっと悪役ボスを殴り倒す方法以外の問題解決したことがありませんでした。今回のように主犯は既に死亡してて、その後始末を穏便に済ますという経験が無いので全員困ってしまったのです。皆さん脳筋過ぎますね。

問題の「死のルーン」はリリィが相続しましたが、本来の保護者は自己封印中で手が出せません。手を出してもまた世界バランスを崩してしまうので、やはりフィネスでは動けません。
死のルーンの効果とは「絶対死」だそうです。これに殺られると、どうやっても復活出来ないんだと。後腐れなく強引に問題解決出来るから、大掛かりな勢力の偉い奴ほど欲しがるのです。

しかし、そんなの私には関係ない事情。対象を選ばず延々殴るだけのホロブンには無縁なものです。復活するたびに殴り倒せば良いので。それを特に面倒にも感じないので。標的に攻撃が命中するかどうかが重要で、対象の生死は関知しません。

でもホロブン以外のメンバーには「死のルーン移転問題」は重大案件です。今まで世界をなんとか保持維持するために必死に働いてきたのに、ここでキーアイテムが悪陣営に奪われちゃバッドエンドです。8年続けたキャンペーンのラストがそれじゃ後味悪いと思います。私以外は。
私はバッドエンドでも構わないと思ってました。ハービンジャーオブドゥームですから。破滅の先触れが横に居るのに、誰も破滅しないでハッピーエンドだと困ります。せっかくだから何かしら巻き込んで破滅したい。

リリィの処遇を巡ってメンバーは悩みましたが、選択肢は多くありません。誰が未成年の保護者になるかという話。核兵器並の危険なパワー付きの未成年に対して、世界情勢は厳しい目を向けています。監督責任は重大です。
フィネス&エッジはもう身動き取れません。
ガンダルーブは言動がゲスくて子供の教育に悪い。
ラックルは所属の都合で穏便対処は難しい。
レイオットは守るものが多すぎて、これ以上は抱えられない。
メルセーデは戒律と心情の板挟み。
ホロブンは人格が無いので論外。

消去法でメルセーデがリリィを引き取りました。過去シナリオ中にもメルセーデは難民救済したり、学校を創設して児童育成したりと実績があるのですが、現在のメルセーデは立場が非常に不安定でした。
聖人として十分過ぎるほど実力があるけれど、本人に迷いがあるせいで、あえて太陽神の下に自ら従い指針を伺ってる状態。太陽神ペイロア様も死のルーン事案を快く思っていません。どこの神様だってそうです。小娘リリィを仕留めるだけで、世界制覇できる強パワーアイテム先着1名で取れる大チャンス。強い力は強い立場の者が持たないと混乱を招くだけです。

皆わかってるんだよ「リリィを犠牲にすれば解決する」

いいじゃない、やるよ、手を汚すのが仕事だよ。と、いつもの私ならさくっと始末して終われたのですが、今使ってるホロブンは自分で考えて行動するキャラクターではありません。そんな路線変更の機会とっくに諦めたわ。

実際のところ、メルセーデの養子育成方針も消極的なものでした。危険物を抱え込んだ責任として、今後リリィを厳重に監視。周囲の勢力陣営への懐柔をペイロア様にお願いしながら、その間に死のルーンを生前移譲する方法をガンダルーブに探ってもらうというもの。魔族生まれのガンダルーブのコネクションは地獄勢力です。場合によっては魔王アスモデウス様に頭下げて、死のルーン引剥してもらおうとも考えていました。悪の元締めにそんなデカイ借り作っちゃいかんでしょ。でも現状のメルセーデは、信仰と戒律と義理と人情とその他事情の雁字搦めで答えが出せません。ベターな解決策ならいくつかあるのに、ベストな答えを探すから行き詰まるのです。

「この子は私が厳重に監視しながら育てて絶対に危険は起こしません」だって。秩序にして善の属性にどっぷり沈めて純粋培養するつもりのようです。

根本的解決に繋がらない気がするので横槍入れることにしました。ホロブンは何も言わないけれど、同居している人工知能HOPEはあれこれ言えます。ぶっちゃけ次の30レベルシナリオで撃破役が1人減るとかなりの戦力低下なので、リリィには是非ともフィネスの後を継いで欲しいところ。おおよその育成方針も考えつきました。

死のルーン外せないなら、いっそ死のルーンの専門家になっちゃえよ。
世界情勢が許さなかろうが、皆に殺処分を望まれていようが知った事か。意図せず備わった殺傷力だが、どうせ取り外せないならば、本人が使いこなすしかありません。能力値の高低ではなく、世論の総意に個人の意志で向き合う胆力の問題。死のルーンは危険だ。それがどうした、だからなんだ。自分の判断と責任で悪しき力を正しく使え。避けられ疎まれ忌み嫌われようが、堂々と公正に分け隔てなく死を与えよ。

でもそんな達観した死神キャラお手軽に成立しないとも思いました。私は得意だけど、動かすのは他プレイヤーのAMAさんだし、達観するにも過程が必要です。
まずはメルセーデのところからリリィを攫うことに決定しました。真っ先に世界バランスを崩す行動に出る以上、物語的に無事では済みません。次回は各勢力が一斉に取り押さえに出てくるそうです。逃走用の船は自前で持っていますが逃げ切れないだろうとのこと。

ここまで事態が混迷したところで、以下次回に続くとシナリオは終了。
最後のシナリオはメンバー全員参加が条件で、各自スケジュールの調整があり、実際の時間も数ヶ月の間隔が空きました。

その間にGM盗り夫さんは仕掛けを着々と作っていました。それも結構な大掛かりなやつ。この人いつも終盤にデカイのぶっ込んでくるんだよ。