続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

オンラインでD&D4thを遊ぶ 謎解きシナリオにて その2(脱線)

2021-05-16 02:09:12 | D&D4版 セッション感想

D&Dを長く遊んでる分、しかしファンと自称できない微妙な距離感が続いているこのゲームシステムに対し、評価は厳しくなりがちです。この馴染めなさを他に例えると、憧れていたブランド商品のカタログを眺めている間は楽しいけれど、いざ実物を手に取ると期待ハズレの肩透かし内容、しかし実用的には十分な機能が揃っていて不便は無い、歴史ある由緒正しい海外産の「普通」な高級品でしょうか。そして極まった瞬間に素晴らしい輝きを放ちますが、持続せず狙って光らせることも出来ません。

それでもまず先に長所から。

キャラクターを作り、物語上で動かすTRPGのシステムとして、歴史の長さはダテではなく、掘り下げ作り込みのルールが半端なく詳細なため、最終的な異能力の根拠が明確です。世界を滅ぼす異質な存在など中二病炸裂させるにも確実なルールがあり、後から自己申告設定言った者勝ちは出来ません。ルールが詳細な分、状況対応策が多く特にピンチからの立て直し手段はありとあらゆる事象にこじつけて復活可能です。
終盤にいくほど能力は微に入り細を穿ち、使える手段が増えるため、かなり格上らしき強大なデータのボスキャラでも勝ちに行ける見込みがあります。
これが例えば「私の戦闘力は53万です」と強さを示す基準軸が1本しかないと、たった戦闘力5ではゴミのように消し飛び、対抗手段がありません。他所のゲームでは53万に対抗するルールがありません。おそらく。たぶん。そこでD&Dだとどうなるかといえば、鍛えて育てて知恵と策略に資材と人脈をフル活用し
・自分を50万まで鍛え10万の装備を足す
・30万の自分を二段に構える
・10万の自分を10回復活させる
・他所から40万借りて20万で倒す
・相手を半分に減らし30万で倒す
・相手が10万に減るまで待ち20万で倒す
・まぐれで得た一生一度の100万をぶつける

時間をかけて仲間と相談したり、他者の知恵を借りるならばもっとアイデアは増えるでしょう。そして、これら道筋を想定したなら、次は具体的に目的達成まで積み上げるルールがあります。それに自分一人だけで頑張るわけでもなく、チーム内の誰かが勝てば良いくらいの気構えだと、結構なトンデモ危機状況でも意外とすんなり行けたりします。自分を含めた他メンバーのトンデモ能力をあれこれ相談しながら試行錯誤を繰り返し、やがては「これ倒すの無理だろ」みたいな強大な相手に難易度の高いシナリオを突破する物語が組み上がります。長い物語を進んでいく楽しさと、多くの戦術で駆け引きする楽しさが両立します。以前に仲間内で8年間かけて長期キャンペーンを遊びました。それだけ続けると、どんなボンクラ行動を続けたキャラクターでも、物語の主人公足り得る厚みが出ます。創作の楽しみに+αのランダム性が加わり、最後まで「ひょっとしたら」の期待とスリルを含ませながら進めることが出来ました。これが完全に物語創作の手順だとキャラが作者の枠を超えるのはまず不可能でしょう。外部から想定外の感想をもらった、終了予定地点を超えても物語がまだ続く不測の事態になって、ようやく創作キャラクターは自ら動き出すのではないでしょうか。

つまり、キャラクターを創作して活躍させる箱庭として、D&Dの世界はたいへん遠く深くまで広がっています。距離設定の話じゃないです。構成する概念の圧倒的分量の多さが魅力です。

試しにさ、昔に別ゲームで使ってたキャラクター達と戦わせてみたのよ。誰にでもあると思うけど、脳内世界オリジナルキャラクターの中に必ず一人「最強」の存在がいるはずです。その人にとっての創作の起点で、思いつく限りの中二設定を詰め込んだ世界の中心にそびえている最強柱な人、いるじゃない。
私にも当然いました。超カッコよくて超強い奴が。
その最強さんと、D&D4thで最高レベルまで鍛え上げた自キャラを戦わせてみました。仮名をD&D君と呼びます。その2人が最強の座をかけてタイマン対決を脳内シミュレートしました。

ーー最強さん、勝てないんだよ。
勝つ姿が想像できない、どうしてアナタが倒れてるんですか。おかしいぞ、自分のインナー世界の法則が崩れるぞ、何かの間違いだろ。じゃあ、何か条件を付けて……、いや待て、最強が条件つけてどうすんだ?なんで負けるんだ?積み重ねてきた手段の分量が違うんだ。

元・最強さんのパラメータは主に3つ。
バカみたいに強い攻撃力
アホみたいに高い耐久力
あとはスピードも超速いんだけどさ

でも、D&D君の猛攻を凌ぎ切るルールが無いんだ。逆にD&D君のほうは、倒れた後のリカバリの早さと間合い詰める能力が明確に決まっていて、確実に二手目が打てる。そこを凌ぐには瞬間移動なりで「逃げ」ないと耐えられない。逃げるか倒れるかの二択だが、最強は逃げちゃいかんよね。そんなの耐えりゃいいじゃん、最強なんだろ?とは思えなかった。こいつの全力ラッシュに耐えられる奴なんていないよ、ゴジラいるでしょ、D&D世界にも居るんだゴジラ相当の怪物が。そのD&D版ゴジラが1ラウンドで倒れるんだよ。それも全弾ヒットする前にだ。6割程打ち込んだあたりでダウンしちまった。そんな馬鹿パンチを喰らって立っているほどウチの最強さんは厚かましくなかった。撃ったD&D君も自分で自分を打ったら始め4~5発で消し飛ぶ破壊力だからね。攻撃力だけキャパオーバーしてるのさ。

それでも攻撃力過多同士の激突だから、体力なんて即ゼロになって互いに精神力だけで立ち上がって殴り合う展開も考えた。では最強さんとD&D君のどっちがメンタル強いのか比較した。

最強さんのピンチ時に奮起するトリガーは「想い出」だ。どれだけダメージ受けようが、過去に一つだけあった「想い出」を支えに何度も立ち上がるんだ。それ本当に想い出かい?呪いじゃないのかい?

D&D君の奮起するトリガーは、そもそも存在しない。正確に高威力攻撃を繰り返すための制御機構でしかない。いつまでも同じ性能を維持し続ける。

同じくらい強い奴らが時間無制限でやりあったら、先に疲れた方が負けるシンプルな結果になった。最強さんは元・人間、機械みたいな奴相手には成長して打ち勝てるんじゃないのって展開は不採用。最強さんは既に限界まで努力して成長して最早ありえない程に強いが、メンタルは元・人間なのであまりに長時間動き続けると疲れるし飽きるんだ。単純にヒューマン・エラーが起きた。環境最悪なブラック戦場だから仕方ない。一方のD&D君は機械みたいだが機械じゃない。ただ永遠に正確な動作を続けるのが目的なので疲れないし性能低下もしない。正確な攻撃を打ってる間にフィードバックされる感覚は「楽しい」なんだよ。こんなアタック中毒者と殴り合って、私の自分世界最強キャラクターは頂点から脱落してしまいました。それでもまだ2番目に強いからな。どこも弱体化してないからな。相手がおかしいんだよ。

長々と脳内世界独自設定語りを書きましたが、要点は自己を支える「偶像」を後から破壊するほどに、D&Dというゲーム世界のデータ量は膨大で、それらを拾って組み立てる像は、緻密な造りで異論反論を納得させるだけの根拠に足り得ます。
ある日、ひょいと覚醒した超能力のような都合良さは無く、小さな能力ルールを増やし、実際に使いながら、成功と失敗を繰り返して運用法を編み出し、それらの集合体として活躍した成果から、ようやく浮かび上がった「揺るぎない信仰を伴った偶像」ですから、そりゃ自分に都合よく設定を盛った「古い偶像」では分が悪いのも当然でしょう。あと、新・偶像は2箇所ほどルール違反の強化を施しているので、手段を選ばない程の目的意識がかなり強固です。実は強さ比べが本質ではなく、目的のために違法禁則にも手を染める覚悟量の差です。少なくとも20年前の自分と現在の自分では、今のほうが遥かに頑迷です。昔の自分が嫌いですから。もしも10年前、20年前の自分と出会っても意見が合わないでしょう。10年前は愚鈍、20年前は短慮、現在は狷介、その年代で性格の悪さが皆どれも違います。そこを多様性に富むといえば流行りに乗って聞こえが良いでしょうが、一貫性が無いだけでは、と自分で思います。

D&Dの長所を書くはずでしたが、システムに直接言及した部分は無く、自分の趣味と性格形成の話になってしまいました。
まるで架空宗教の経典と、それを娯楽として消費する不信心者の関係です。神はいるんじゃね?私のために、みたいな。
私はD&D信者の素質に著しく欠けており、本編に興味なく自己内パーツを組み立てる素材集としてしか見ていません。変な怪人と怪獣いっぱい居て楽しいですよね、D&D。


オンラインでD&D4thを遊ぶ 謎解き型シナリオにて その1

2021-05-15 20:51:00 | D&D4版 セッション感想

コロナ禍で外出しづらい昨今、ちょっとしたイベントに会場を借りるのも難しく、長年友人仲間内で続けてきたゲームサークル活動も、直接対面を避けたオンライン環境に移りました。移動の手間がかからず、時間拘束が楽な反面、視覚情報はモニタ内に限られるせいか卓上は見えるものの、他メンバーの動きなどは把握しにくくチーム連携は以前の対面して遊んでいた頃と比べるとぎこち無さがあります。実際に卓を囲んでいる場合だと、他メンバーのキャラシートや、コマを動かす手の仕草や、合間合間の一言から、どこへ向かい何を狙い、そのために互いの牽引や援護のタイミングなど、意外に多くの情報量が飛び交っていたのが分かりました。オンライン上で遊ぶと操作が雑になった時のフォローが難しいです。タイミングが分からなくて。卓で互いの顔が見えていたら「こいつ今どうも気が抜けているようだ」などプレイヤーのコンディションが分かるので、一方に気を取られて行動ミスした時に、指摘と同時にひょいと援護回復を飛ばしたり、もらえたりと互いに補助が効きます。そこには「ちょい待ち」とGMへの一時停止と確認も含まれます。

先の5月10日は、月に一度のオンラインでのゲーム定例日でした。進行中のシナリオは「恐怖の墓所」というタイトルで、開始初っ端から謎かけメッセージがあり、マップ内ギミックがそれら謎かけに対応しているようです。つまりトラップ満載ダンジョンだけど、解除ヒントを仄めかした提示があるので、そこで脳筋突撃せず頭を使って対処していけば、難易度を下げて進むことが可能です。おそらく。じゃないと入口の勿体ぶったメッセ―ジプレート文言を考えたシナリオ作成者の手間が無駄になるじゃない。

しかし、メッセージは無駄でした。先日のシナリオでは謎かけメッセージに対応しているらしき、いかにも怪しいオブジェクトがあるにも関わらず、調査解読する暇もなく戦術準備万端揃った敵群に包囲され、状態異常の連携重ね当てを食らいました。ここで私は「謎解き要素は削除された」と判断し、その日の楽しみを放棄しました。残り時間はよ終わらんかなと撤退開始。自キャラも仲間を見捨てて自分一人だけ全力で逃走しました。作成当初から属性:悪ですと公表していたので、たまには悪らしい行動も必要です。チーム内での役割は回復なのでヒーラーが真っ先に逃げたチームは被弾に耐えられず、皆殺しにされると踏んでいたのですが、実は敵の多くがHP1しかないミニオン(雑魚)だったため、1体づつを確実に仕留めて数を減らし、最後はトラップ元をアウトレンジ攻撃で破壊し、いつのまにか彼らは勝利していました。仕方ないので後からノコノコと合流しました。
勝てたから良いけれど、過程には大いに不満がありました。積もり積もった不満の境界線を越える不満です。

私は不本意ながらD&D歴が長く30年ほど遊んでいます。そして、このシステムの頑なにプレイヤーへ不利を強いる設計に不満を感じています。窮屈な程に細分化されたルールは適切に用いれば大変有利に働くことを体験として理解もしていますが、それは長いプレイ時間中のほんのわずか一瞬の話で、90%以上の時間は細かいルールに頭を抑えられ、足を引っ張られ不自由さにもがく時間です。というのも、このシステムは効率を追求するのを許さないフシがあり、その時期ごとに能力だけでなく金銭的な制約やアイテム取得数が決まっており、時期不相応に強い装備を頼りに進むなり、経済力にモノを言わせて段取りを整えることは出来ず、毎回現場に赴いては愚直に武器を振り回し敵を1体づつ片付けていく手作業の連続です。12体敵が出たら12回以上殴らないといけません。地形を利用して有利に立ち回る、とか陽動かけて罠にはめる、といった戦術は使えません。使ってもまず効かないし。だから敵の数=処理工程数、1匹倒すのに3人で殴って最短2ターンかかる行動を12体分、自分達も無傷で済まないから回復しながら戦闘継続、状態異常を複数重ねる処理が加わり1ターン進めるのに1時間かかります。これ終わるまで何時までかかるんだろう、という事態が頻発しました。
それは融通の利かないGMの処理のせいではないか、とも言えそうですが、現GMは割と融通効かせるタイプです。そしてこのひたすら現場手作業で多量の敵をこなしていく冗長で退屈な繰り返し具合は30年前から、どのGMに当たっても変わりませんでした。
つまり、ゲームシステム設計もシナリオデザイナーも、プレイヤーが有利に進める状況を想定しておらず、許してもおらず、用意した苦難困難死傷イベントを全て回避出来ずに被弾する前提で作られています。それでもゲーム内で快適有利に行動したけりゃ、苦労は買ってでもやれ。つまり後発サプリメントをじゃんじゃん買え。そして必死に勉強させろ、プレイヤ―を甘やかさずハングリー精神を育てろ、という前時代的精神論根性論が透けて見えます。実際、歴史的にも最古のRPGなので設計思想が時代遅れなのでしょう。アメリカ人のゲーム制作者はベトナム戦争で頭が止まってるんじゃねえの。キャラ育成はフルメタルジャケット方式です。おまえらは雑魚だ屑だ、強い武器は贅沢だ、高度な戦術は怠惰だ、何も考えず死ぬ気で戦え、みたいな。

元々の舞台設定が技術進歩の低い中世を想定しており、科学工業力の代わりを務めるのは魔法です。しかし魔法は個人で使える種類はごく僅かで、状況に適した持ち合わせが無ければ無力で非力な足手まといにしかならず、その使用状況を予め知っておくために占術を限られた魔法所持枠に詰めねばなりません。そして占術には対抗呪文が用意されているため、リソース無限なGM側のボスキャラは際限なく使え、情報統制と隠蔽工作は万全で正攻法の勝ち目はありません。キャラではなく、GM相手に口述的なトリックをしかけ情報を引き出す方法はありますが、これは詐術の一種でGMとの信頼関係が崩れるので連続シナリオ・キャンペーンで使うやり方でもありません。
結果として、毎回敵が準備万端体勢を整えて待ちかまえているのがわかっているのに、無策に突っ込み相手のペースに嵌りボコボコに叩きのめされる戦闘が起こります。実際メンバー内のパラディンは毎回フルボッコに遭い大苦戦していますが、D&Dとは常に敵はフルコンディションで襲いかかってくるものだとのことなので、覚悟してる人なのでしょう。私もわりかし覚悟はしてるけどそこまでのドM嗜好はありません。