続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

ラジアントヒストリア(古いほう)

2017-05-11 23:59:38 | ラジアントヒストリア
去年の話ですけど、お盆休み中暇だったのでDSでゲームをしてました。大事な休日をクソゲーに費やしたくないので、評判を調べて出来が良いとお奨めされてた「ラジアントヒストリア」というRPGを始めました。携帯機の小さい画面でアクションゲームやりたくないし、反射神経は最底辺なので、ある程度時間さえかければ終わるRPGを選びました。

少し古いゲームなので中古で買ってきました。起動してみると前ユーザーのプレイデータが残ってて、データサムネに表示されるキャラクタ全員レベル99、プレイ時間は79時間とありました。ずいぶんやりこんでるなーと思いましたが、初見のゲームではシステムがわからないので中身は見ずに自分のデータ作って開始。高レベルスキルやらアイテムやら知識の無い人間が見ても内容理解できません。
シナリオが秀逸と評判でしたが、やってみた感想は窮屈で若干不自由を感じる話です。世界の破滅を回避するために平行世界を行き来しながら改変していく、という物語。大きく分けて「正伝ルート」「異伝ルート」の2つの話を同じ世界マップで進むのため、地形データの共有と穿った見方もできますが、同じ世界でも右から進むのと、左から進むのではかなり印象が違い、シナリオルート画面で話の進行度を確認しないと大混乱します。実際何度もシナリオ迷子になりました。ツリー状に枝分かれしたシナリオマップ画面があって、現在居るのが例えば「異伝3章」等のどこの部分で選択肢箇所は青ブロックで見分けがつくよう、システム画面で確認できるのですが、両ルートで登場人物があまり変わらず、同じマップを出入りするため、目的をよく見失います。目的というのはシナリオ進行ではなく兵站の目的。要は補給。

このゲームは基本的に戦闘は常にMP惜しまず消費してがんがんスキルを使い、消費アイテムで回復しながら進みます。各地のエリアマップ内でモンスターアイコンと接触したら戦闘で、長時間の連戦はほとんど無いのですが、単純に「アタック」コマンド連発では勝てません。敵陣が3×3の9マスグリッドで仕切られ、このマス内で敵を前後左右にズラして同マスにまとめ、そこを魔法攻撃で一網打尽にするのが必須戦術になります。そうしないとほとんどダメージが通りません。攻撃順番も重要で仲間と一緒に連続で攻撃するとダメージ量が増えます。これでHIT数稼がないとちっともダメージが伸びません。
戦闘バランスがかなり魔法偏重気味で、中盤から物理攻撃は雑魚相手でも通じなくなり、場所移動攻撃のついでに当てる程度の扱いです。
つまり、敵を集めてまとめていかに効率よく一網打尽にするかが重要で、他所のゲームによくある集団相手に範囲攻撃面制圧する戦闘とは手順が逆になります。私は昔からファイナルファイト等の乱戦ゲームで敵を投げて片方にまとめる作業は得意でしたから、このシステムにはすぐ慣れました。

その投げ飛ばすにも魔法撃つにも当然MPは消費するので、MP回復アイテムの補充は最優先です。30ポイント回復アイテムが300GPと意外に高価なので、序盤~中盤は無理が利かず、レベル稼ぎ作業も少しは必要です。内部計算がどうなっているのかわかりませんが、このゲームではパラメータの数値が全体的に小さく、99レベルキャラクターでも専門分野の能力ならば100を越えるが他は2桁台で収まるので、数値が1~2変わると戦闘効率が格段に上がります。
いうなれば急がば回れを地で行くシステム。シナリオ進めても必ず手詰まりになり、過去に戻って打開準備を繰り返す自分の都合だけどお使いゲームで、強引突破が信条の自分にはテンポが悪くも感じました。
劇中時間だと数日のことでも、主人公は時空間を移転しながら散々働いてるので、こいつ義手もげたくらいで何時まで凹んでるんだよと嫌気が差したりします。
いや、キャラ自体が悪いのではなく、キャラ使用のタイミングが悪いのです。能力値は高いのにシナリオ重要人物のせいで頻繁にメンバー出入りを繰り返す奴が数人います。
だいたい常に居る奴は必要最低限の機能なので、進める程足りないパラメータが弱点に大きく響いてきます。魔法メインで使いたいけど最大MPは低めだとか、器用にサポートできるけど攻撃力が低くて打たれ弱いとか。
戦闘参加人数は3人までなので、後半まで使いにくいメンバーで制限受けてる感じも強く、ここでもう1マス攻撃範囲大きければ、ここでもう少し多く敵をまとめられたら、と感じ始めたあたりで新メンバー参入。シナリオ的にも劣勢で敵に追い立てられながら逃げ回る場面。

この手のゲームのよくある子供術師系、ちっこいから腕力弱いけど魔力が激高なタイプがメンバー参入。しかしスキルにちょっと癖がある。トラップ設置するんだって。敵陣9マスグリッドの空きマスにトラップを置いて、そこに敵を押し引きして移動させると罠発動。この火力がすごい。それまで使ってたトドメ攻撃の3倍くらいダメージが出る。移動攻撃>罠発動の連続攻撃扱いで、ダメージ量は激高魔力を基準にするらしいので、単純に発動するだけで攻撃力の追加補正がだいぶ付いてる様子。
戦闘手順が、押してまとめる>トドメの1マス魔法から、罠設置>押し込んで発動、と逆転するので始めは戸惑いましたが、慣れてくると敵を引きずりまわして最後に吹き飛ばすのが楽しくなって、前の戦闘には戻れません。

もう一つこのゲームの戦闘で重要な要素が「チェンジ」というシステムで、攻撃順番を遅いキャラと入れ替えることができます。それに何の得があるんだと理解に時間がかかったのですが、画面横にずらりと上下に攻撃順で顔アイコンが並び、ここで味方が続いてる限りは連続攻撃扱いでダメージ増加します。味方間に敵が1人挟まってる場合、そいつと順番入れ替えることで、先に1発攻撃もらうがその後に6連続攻撃となり、ダメージ効率が著しく伸びます。
ボス敵相手には攻撃順を目いっぱい繋げて連続攻撃して戦います。むしろそうしないと全然与ダメージが増えません。
ここでのコンボ数の稼ぎ方も、攻撃回数が多いほどダメージ補正も増えるので、最初に攻撃力は皆無だけどヒット数は多い攻撃から始めて後半手順で本命の魔法やら罠やらを当てるようにします。
全戦闘がこんな調子なのでお手軽感はまるで無いけど、パズルゲームの要領で進めるので飽きはきません。パズル苦手だけど。

たまに9マスグリッド全部埋める巨大ボスが居てそいつには罠攻撃できない(罠を設置する空きマスが無い)けど、大抵は罠で吹き飛ばせます。グリッド中央空いてる時が最も楽で、全体攻撃して真ん中に押し込む技持ちと組むと、2手順で中央爆死が決まり、稼ぎ効率も最速です。これで倒れなくても次に押し込まれた先でまた罠発動するので、ボス以外ではこの連携に耐えられません。
ボスでも四方に設置された罠の上を引きずりまわされて為すすべなく倒れるのがよくあります。
古典怪談に「スクエア」という、4人が部屋の四隅をぐるぐる回り続けるあの怪談。19世紀にはすでにあったという定番のあれ。あんな感じでグリッド四隅をぐるぐる飛ばされながら死ぬまで引き吊りまわされる現代ゲーム怪談。4隅通過前の3隅あたりでだいたい喰らった敵HPは0になっているのですが、一旦連続攻撃が始まったなら、アクションが全て終わるまで止まらないので、死体を真空三段蹴りする事態が頻発します。
もう勝ち方わかったわ。

しかし、攻略を進めるほどに違和感も大きくなりました。
シナリオ進めていくと、重要な分岐点の箇所でセーブポイントも出てくるので、そこから稼ぎやすいシナリオマップに跳んで、強くしてから挑む、こんな手順が攻略の最適解だと思いますが、世界の危機に立ち向かう話なのに、作戦計画を練ったり、物資や連絡を通したりする場面は一瞬で終り、結局自分を鍛えるレベル上げ時間がほとんどです。

後半入った辺りで行ける獣人族の村が無料で宿泊できるうえ、出入り口が近く便利なので定宿にしています。通称ゴリラホテル。村人全員ゴリラみたいなおっさんしか居ないので。そのゴリラ基地から、出撃してはとうに過ぎたシナリオに戻ってMPが尽きるまで戦って、ゴリラホテル戻って、再出撃を1時間ほど繰り返してると、レベルも70を越えたので最終戦に向う事にしました。


その前にちょっと寄り道。
このソフトは中古で買ったので、前持ち主のプレイデータが残っていました。セーブデータのサムネを見ると後半参入キャラの顔が並んでいて、全員レベル99。鍛えてるなーと感心しつつも内容は見ていませんでした。初プレイゲームの終盤データをいきなり見たって、アイテムのレア具合とか、スキルの固め方とか、理解できませんから。
でも、もう残すは最終戦だけで、ほぼシステム概要も理解できた今なら、データを見て育成方針や戦闘方法を読み取る事が出来ます。

それではレベル99データ内容拝見。

全員レベルカンストしてるけど、装備が物理攻撃特化。全員物理攻撃にステータス全振りした超脳筋パーティーでした。
とにかく一番物理攻撃力の上がる武器。一番物理防御力の高い防具。
物理攻撃力と物理防御力の上がるアクセサリーで全装備欄を埋める。
全員運用方針が同じでした。キャラクターの固有スキルとか能力値適正とか、装備による耐性とかイニシアティブ順番とか弱点補強とかまったく考慮してない腕力至上主義。魔術師キャラまで撲殺白兵戦用装備。では場面に応じて装備付け替えて対応してたのか、と装備ストック欄を見ると空っぽ。レベルを上げて物理で殴った以外の形跡がありません。
99レベル分70時間以上かけて他に考える事はなかったのか。
若干のレベル上げも確かに必要ですが、小技による工夫も効果の大きいゲームで、途中で発生するサブクエスト報酬などに、優秀なアイテムがいくつもあります。単純に数値を見るならば最強ではないけれど、素早さが大きくアップして連続攻撃をつなげやすくする装備や、HP・MPを水増しして継戦能力を上げるアイテムなど、中盤から入手できて終盤まで使える便利な装備もたくさんあるのですが、全部売り払った模様。


私も他人のこと言えないくらい脳筋大好きですけど、この魔法・連続攻撃偏重気味システムのゲームでこの構成で最後まで戦うのは、ぶっちゃけかなりの逆境で、修行のつもりでひたすら戦うか、単に前持ち主のプレイスタイルが他にやり方を思いつかなかっただけか、の2通りが考えられるのですが、おそらく後者だと思います。だってレギュラーチーム3人が物理で殴る人しか居ないデータだから。パワー系3人で間合いや位置取りや弱点属性など、一切考えずに殴り続ける以外の使い道のないデータでした。
このゲームは中盤以降だと魔法以外の攻撃ではダメージが通りにくく、1箇所にまとめて魔法で潰す戦法が定番だと先述しました。逆に言えばそれ以外の方法だと、ひたすら時間がかかる消耗戦にしかなりません。
2010年のクソゲー格言「レベルを上げて物理で殴れ」が通用するゲームではないのです。ないのですが、それを通用させるまでひたすら経験値稼ぎだけを繰り返した、クソゲーならぬクソプレイヤーとしての徹底した姿勢は潔さすら感じます。
不条理を製作側で課すのではなく、自ら理不尽な遊び方を選んで繰り返すと、こんなデータが出来上がります。ゲーム中ではコマンド一番上に「アタック」と表示されるので、Aボタン連打の基本動作を繰り返すならばこの育成指針で良いのです。それだと魔法系キャラの能力はまったく生かされませんけど、魔法系キャラ使わない物理押しメンバーならこうなる、こうならざるをえない、なぜこうなるまで進めてしまったのか。99レベルまで70時間プレイしてて、どうもおかしい、敵が硬い、等と考えなかったのか。なかったからこの成果なのでしょう。

最終戦に向けて参考にしようと思って拝見したデータ内容でしたが、反対の意味で「こうはなるまい」と参考になり、再度戦力構成の見直しが捗ったので有益にはなりました。

メンバーの装備も整えました。単純数値最高ではないけれどステータス補助を優先して、長所を活かし、短所を補う装備で準備も完了しました。6人分も揃えたのは気分の問題です。最終戦で使うのは3人だけなんだけど。

では最終戦。メンバーは主人公、トラップ娘、ゴリラ。後半主力の使い慣れたメンバー。ところがいざ闘ってみると思いの他苦戦しました。トラップが効かない。中に浮いてる判定なのでトラップマスに押し込んでも踏まないため、罠発動しないのです。じゃあ地道に削るか。連続攻撃と魔法も得意なチームなので、正攻法で戦ってラスボス倒しました。

エンディング。世間で聞く評判ほどのハッピーエンドでもない気がします。人間関係、国家紛争までは解決したけど、自然環境問題の解決まではしてません。この世界がキナ臭いのは自然環境悪化で土地の取り合いしてるせい、根本的には解決してません。サブクエストで科学者が土地改良の研究を始める描写があるので、そちらでいずれは解決すると匂わせているものの、主人公は自分の手の届く範囲で助けられる人達を助けて物語は終わりました。

物語としてはキレイ。でも内容と宣伝文句は若干合ってない気がします。
もう古いゲームなのでネタバレしますが、主人公は世界を救っていません。破滅の延期に頑張っただけで根本解決していません。そちらの問題は違う主人公がSLG的に環境変化させる別のゲームで使うのでしょう。
では記憶喪失主人公の正体はなんだったのかというと、世界延命儀式に使われた生贄の身体に作られる仮人格みたいなものでした。ゲーム開始前に既に本人の精神は儀式に使われてて消滅、その後も仮人格が肉体を動かして世界の保全にこき使われる話です。前にも似たような話見たな。パッケージ真ん中のヒロインみたいな位置の女は妹でした。出番は終盤だけです。

そんなことより、主人公たちの劇中描写と容姿デザインや設定が乖離している気がします。
主人公ストック:記憶喪失の凄腕諜報員、元軍人、年齢19歳。生贄になったの何歳だったのでしょう。戦争参加して退役して諜報部員として実績積むほど働いてもまだ未成年。設定ミスというより、長期の戦争で疲弊した国の追い込まれた状況を反映したのでしょうか。百年戦争末期には16歳でもベテランの軍人キャラ居ましたよ。ボトムズで。

もう一つの違和感は容姿。赤いロングコートに金髪タレ目のやさ男風の外見をしています。言っちゃわるいが見た目がチャラい。乙女ゲームの軽薄タイプにいそうな外見です。しかし本編だと無口無愛想、必要最低限の実力行使ならば躊躇なく振るう場面が多く、プロフェッショナル気質の性格です。特に何かを言葉で主張する事もありませんが、作品内ではひたすら誰かのために走って登って戦って働き続けるキャラクター。いつもしかめっ面で取っ付きにくいけれど、話せばわかる、無理も効く、頼りになる人物として描かれていて、ステータス画面のチャラ男顔とはそぐわない感じがします。もっと眉毛が太くて、目力も強くて、20世紀の少年漫画の主人公ぽい顔が似合うと思います。そこだけが終始違和感ありました。性格性能面では申し分ない良い主人公です。

他のキャラも妙に年齢若いんだよね。現代舞台ならまだ学生だろう年齢なのに、管理職の苦労をしていたり、若者の物語というよりも、単に就労年齢が低い世界の厳しさに見えてしまいます。偉い役職の登場人物も、超常の力で君臨する支配者ではなく、気配りと実務能力で働いています。この地に足が着き過ぎてる堅実具合が、長所でもあり短所でもあるのでしょう。
所詮ゲームの世界だ、剣と魔法とファンタジーだと、気分が弾けきれませんでした。


もたもた記事を書いてるうちに、リメイクだって。
「ラジアントヒストリア・パーフェクトクロノロジー」というタイトルで3DSで発売だそうで。周回遅れになる前に感想書きました。7年でリメイクするのね、周期早いのね。普通はそんなものなのね。リメイクというのは17年くらい待つものだと思ってました。