毎度のことですがネタバレ全開です。
ひどい主人公補正を見ました。新キャラが加わりましたが、そのせいで異常なほどの主人公上げが顕著になりました。TVシリーズでは登場人物が基本的にみんなスーパーエースなので主人公の怪物具合も目立たなかったのです。最大のシールドが張れる、回復魔法が強力、など能力が地味なので他の501部隊の攻撃一辺倒なメンバーと活躍が被らずに済んだというのもあったのでしょう。しかし今回はさらに地味な新人ウィッチという比較対象が出てきてしまいました。わざわざ比較しやすいように性格も対照的に作られてるのです、新キャラの「服部静夏」さん。それが見事に主人公の引き立て役となり、頑張っても報われないかわいそうな子になってしまいました。制作側は意図してないのでしょうが不憫な子です。
そもそも主人公の「宮藤芳佳」という奴はいわゆる天才型主人公で、努力の必要がありません。掃除したり料理したりと下働き場面が多いので一見下っ端的に見えますが、母方は祖母の代からのウィッチの家系で、父親はストライカーユニットの開発者というサラブレット家系です。訓練無しにストライカーユニットを使いこなし、圧倒的な魔力の才能で誰からもひと目置かれるチート娘です。ほっといてもピンチになれば都合良くパワーアップします。冷静になって客観視すれば鼻持ちならない嫌な奴なのですよ。しかも感情的で命令違反は毎度のこと、それなのに結果的には良い成果を上げるという、非常にムカつく特性があります。
これまでは坂本さんのような基本的に天然でおおらかな人の下にいたので結果オーライで済んでたわけです。
そして一方の当て馬の新キャラ服部さんは、生真面目な軍人キャラです。集団にあって個を抑えて一生懸命命令に従うわけですよ。元々軍人の家系ながらウィッチの血筋では無かったらしく、ウィッチになって働くにあたり周囲からの期待もあって本人もそれに応えようと頑張ってるフシが見えます。そんな堅物な服部さんは命令無視して独断行動ばかり取る宮藤さんをよく思えるハズがありません。実際劇中では序盤こそ「欧州をネウロイから解放した英雄」として主人公を尊敬してるようなこと言ってますが、段々と対応がよそよそしくなっていきます。当然ですね。立派な人かと思ってたら勝手な行動ばかりしてる。基本的に全て人助けのためで自分の損得で動く性格ではないのが救いですが、自分から危険に突っ込むので護衛の服部さんは大変です。海軍で二年も先輩なのに全然軍人の自覚がない主人公にイライラする服部さん。でも、この人あくまで新人なのです。戦力的には頼りにならない。人命救助で寄り道ばかりしてる主人公に振り回されても反論できない。かわいそうに。軍を離れて料理したら自分の作った味噌汁だけ超マズくて凹まされるとか。かわいそうに。定時連絡しようにもネウロイがジャミング仕掛けてて無線が使えないとか出番が潰れる。かわいそうに。
たくさん書いたけど要は主人公が超幸運で、新キャラが貧乏くじばかり引いてたということです。
敵のネウロイもデカくて変形して機動性もいいけれど、毎回同じの全然当たらないハッタリビーム弾幕だし、たいして硬くないので簡単に撃墜されるとか、所詮はネウロイ。今までどおりの行き当たりばったりな攻撃。序盤で出てきたと思ったらすぐに偵察のナイトウィッチ1人に撃墜されてるので余り怖くはない。つか弱い。相手がナイトウィッチ最強のハイデマリーさんとはいえあっけなく退場。その後も主人公追うように各地に出現するけどどれも各個撃破されてて、あまり良いところはありません。通信妨害とか凝ったマネ仕掛けてくるくせに戦力を小出しに投入してくるとか、作戦的に優秀とは思えない。ぶっちゃけ主人公様に倒させるお膳立てなのが透けて見えます。
私はこの映画に結構期待してたのです。パンツ丸出し空戦アニメですが、戦闘場面はなかなかにかっこよくてたまに変な敵に変な作戦で立ち向かう展開もあって、割とお気に入りだったのです。高度3万メートル上空にコアを持つネウロイ迎撃のために、3段ロケットブースターで飛び上がる話とか、かなり好きです。
なので、劇場版は物凄い強いネウロイが出てきて501部隊再編成して、もしかしたら他の部隊も投入して激戦を繰り広げたりするのかなーなどと勝手な妄想を膨らませていました。
時間の半分くらいはだらだら人助けしていて、たまに仲間が戦闘して、最後に主人公が復活してドカーン、おしまい、な流れでした。話は余り盛り上がりません。主人公は2年前の戦闘で魔力を失っている設定なのですが、どうせ復活するのは分かりきっているので、苦戦場面をみてても尺伸ばしにしかおもえません。
中盤以降でようやく主人公達とネウロイがご対面します。ここまでくるまでダラダラと本筋に関わらない描写が続いていたわけです。飽きます。そして困ったことに今後の展開も読めてしまう。だって魔力を失った戦力外の主人公と、その護衛の新人ウィッチ。新人が頑張って力尽きたところで主人公復活俺のターン開始、になるのが目に見えています。実際そうだったわけだし。
ツクシのように地面から生えてる大型ネウロイと雑魚ネウロイ多数。服部さんは「訓練の通りだ」などと初めての実戦をセオリーに従って戦い雑魚の掃討はできましたがボスには勝てませんでした。そこで主人公の出番です。しかしすぐぬ魔力復活してはつまらないのでしばらく生身で苦戦します。ジープに機関銃のせて敵に接近してありったけの銃撃叩き込んでとりあえず勝ち。でもこの場面の主人公はなんだかキャラが違う。TV版冒頭では「私は戦いません」とかお花畑脳だった宮藤さんとは明らかに別人に見えます。鼻血をまき散らしながら相打ち覚悟で突っ込むのは貴方のキャラじゃないでしょ。それはバルクホルンとかもっさんの役目だと思います。それはともかく、生身の宮藤>フル装備の服部、という構図がここで出来てしまいました。服部さん立場無いですね。かわいそうに。
さて主人公の宮藤さんもツクシネウロイとほぼ相打ちになって重傷を負います。気絶状態から回復した服部さんの目の前にネウロイ本体が地下から出現します。デカイ宇宙戦艦みたいなネウロイ。艦載機が山ほど出撃してきます。もう新人の服部さんの手には余る相手、救援呼ぶにも敵にジャミングされて通信は届きません。ここで新人さんは最後の活躍をします。「敵の通信妨害の及ばない高高度から発信すればいいのではないか」頑張って敵中突破急上昇して通信器で「誰か助けてー!」と泣き叫ぶ服部さん。追ってきたネウロイ軍団に十重二十重に包囲されて大ピンチです。大ピンチなのですがネウロイどもはなかなか攻撃を仕掛けてきません。囲むだけです。殺る気があまり感じられません。
これだけ時間稼ぎすれば十分よね、と501部隊のメンバーが救援に来ます。そしてみんな「宮藤、宮藤」と連呼。魔力の消えた本来戦力外の主人公なのにこの人望。なんなんでしょ。頑張って通信した服部さんには何も無し。かわいそうに。あとは勝手に奇跡が起こるので時間潰し戦闘でそれまで待ちましょう。主人公補正で奇跡の復活を遂げた宮藤さん、馬鹿でかい魔方陣が出て謎の光がビカビカ光ります。ハイハイ俺のターン開始魔王降臨。でもコイツ丸腰じゃん、どうすんの?と思ってたら坂本さんがストライカーユニットを放り投げてくれました。前に主人公が使ってた「震電」です。もうね最初から全員が主人公をアテにしてたのがまるわかり。魔力喪失?引退?そんなわけねー、都合良く復活するのは予定調和です。さあ戦闘だ、と思ったらなんだかた感慨深げにのんびりストライカーユニットを撫でてる宮藤さん。リーネやペリーヌやら仲間たちも駆け寄って再会を喜び合います。いいから早く戦線に加われよ。この間、まだ服部さんは上空で敵に包囲されて大ピンチ中のはずです。みんな宮藤復活に舞い上がって新人は眼中にないようです。かわいそうに。
結局復活した宮藤さんがデカイシールドを張って突撃、ネウロイコアをぶち抜いて勝ちました。そこには作戦も技術も何もなく膨大な魔力のゴリゴリ力押ししかありませんでした。すごいパワーで体当たり。世の中結局はもって生まれた才能と資質で決まるようです。最終戦で何も出来なかった服部さんに向かって坂本さんが「あれがお前の目指すウィッチの姿だ!」みたいなことを言うのですよ。追い打ちですね。私が服部さんの立場だったら立ち直れません。真面目に働いても、規律遵守しても、命令違反独断行動のほうが良い成果を出してみんなも褒めてくれます。自分の素質は並みなので努力しきたのに、生まれつきの才能だけではるかに圧倒的な結果を上げていく天才が比較対象です。あれを目指せ?冗談じゃありません。やってられるかバカバカしい。坂本さんは基本的に無理を通して道理を引っ込ます人なので、常人がついていくにはかなり厳しいものがあります。努力だ訓練だと言いながらその実「奇跡ゲージ」をじわじわ貯めてる人なので、彼女も一種の超人です。魔力無くなったというのに烈風斬とかやる人です。501メンバーには超人しか居ないのですよ。そこに比較対照的に組み込まれた「新人」ウィッチの見せ場と言えばどうしたって未熟さを露呈する場面しかありえませんよね。そしてそこを主人公が救う。これが他所の部隊のスーパーエースなどの設定だったら描かれ方も違ったのでしょうが、そこはハイデマリーさんがもってったので、もう「強い」系個性が飽和してるので弱いキャラしか出しようがなかったのでしょう。元々この作品では未熟特性は主人公のものでした。民間人から特別に501部隊に編入されて軍人だらけの中で民間人的お人好し描写でキャラ立てしていたのです。そしてこのお人好し系の性格は戦闘モノでは判断力の甘さというマイナスな要素で表現されることが多く、実際この作品もその類です。基本的に頭脳が戦闘向きでないために逆に身体能力部分で優れていないと主人公役が果たせません。なのでこの主人公は感情的非合理的性格で才能だけ突出した設定になったのだろうと思います。これで才能もなかったら足引っ張るだけの役立たずですから。
ここまでは良いのです。主人公が最も新人だったから未熟でいても困らない。でもコイツ以上に未熟な軍人は要らない、というか居ちゃいけない境界線です。だから新人は主人公の後輩ながらのほほんとした性格ではまずい。
あれ以上に感情的なキャラだと「居ない方がよくね?」となるので、少なくとも内面的には主人公と対照的な生真面目キャラにする必要があったのだと思います。でもね、所詮は脇役だから主人公より強くはなれない、なっちゃいけない。新人ならば経験不足という差があってしかるべきだから尚更落ち度が目立つ描写になります。結果本人は真面目で頑張っているのに片っ端から手柄を奪われる大変不憫でかわいそうな子ができました。劇中で彼女の判断が間違っていた事例はありません。大を生かすために小を切る、リスクを最小に抑える決断です。しかしそこを全部主人公が理不尽な活躍で逆転打開し成果をあげているだけなのです。ひどい主人公補正。
中盤までストーリーらしいものもなかなか進展せず、所々で戦闘シーンはあるものの、主人公は無関係な人助けばかりに追われてネウロイと接点が無いまま中盤まで進み、ようやく始まった戦闘も敵の攻撃の段取りがどうにも杜撰で緊迫感なく、主人公は都合良く強化され、最後はパワー全開体当たりという脳筋極まりないお手軽戦法で、挙句の果てに最後には「つづく」の文字が。
服部さんの引き立て役人生もこれから続くのでしょうか。かわいそうに。
散々文句付けてきましたが、一つだけ私のお気に入りの場面があります。最後の大型ネウロイとの決戦中、はるか遠くから強力な援護射撃が飛んできました。場所はカールスラント内陸部(ドイツのあたり)私はカールスラント軍が列車砲でも引っ張り出してきたかと期待したのですが、実際はもっとすごいヤツでした。戦艦大和が浮き袋を付けてライン川を遡上、46cm主砲9門でドカドカ撃ってきていたのです。火力は絶大。ネウロイの装甲を吹き飛ばしすぐコアが露出したので、そこにウィッチーズが体当たりして勝負あり。
ああ、戦艦ってそうやって使うんだー。馬鹿じゃねえの(褒め言葉)。
ひどい主人公補正を見ました。新キャラが加わりましたが、そのせいで異常なほどの主人公上げが顕著になりました。TVシリーズでは登場人物が基本的にみんなスーパーエースなので主人公の怪物具合も目立たなかったのです。最大のシールドが張れる、回復魔法が強力、など能力が地味なので他の501部隊の攻撃一辺倒なメンバーと活躍が被らずに済んだというのもあったのでしょう。しかし今回はさらに地味な新人ウィッチという比較対象が出てきてしまいました。わざわざ比較しやすいように性格も対照的に作られてるのです、新キャラの「服部静夏」さん。それが見事に主人公の引き立て役となり、頑張っても報われないかわいそうな子になってしまいました。制作側は意図してないのでしょうが不憫な子です。
そもそも主人公の「宮藤芳佳」という奴はいわゆる天才型主人公で、努力の必要がありません。掃除したり料理したりと下働き場面が多いので一見下っ端的に見えますが、母方は祖母の代からのウィッチの家系で、父親はストライカーユニットの開発者というサラブレット家系です。訓練無しにストライカーユニットを使いこなし、圧倒的な魔力の才能で誰からもひと目置かれるチート娘です。ほっといてもピンチになれば都合良くパワーアップします。冷静になって客観視すれば鼻持ちならない嫌な奴なのですよ。しかも感情的で命令違反は毎度のこと、それなのに結果的には良い成果を上げるという、非常にムカつく特性があります。
これまでは坂本さんのような基本的に天然でおおらかな人の下にいたので結果オーライで済んでたわけです。
そして一方の当て馬の新キャラ服部さんは、生真面目な軍人キャラです。集団にあって個を抑えて一生懸命命令に従うわけですよ。元々軍人の家系ながらウィッチの血筋では無かったらしく、ウィッチになって働くにあたり周囲からの期待もあって本人もそれに応えようと頑張ってるフシが見えます。そんな堅物な服部さんは命令無視して独断行動ばかり取る宮藤さんをよく思えるハズがありません。実際劇中では序盤こそ「欧州をネウロイから解放した英雄」として主人公を尊敬してるようなこと言ってますが、段々と対応がよそよそしくなっていきます。当然ですね。立派な人かと思ってたら勝手な行動ばかりしてる。基本的に全て人助けのためで自分の損得で動く性格ではないのが救いですが、自分から危険に突っ込むので護衛の服部さんは大変です。海軍で二年も先輩なのに全然軍人の自覚がない主人公にイライラする服部さん。でも、この人あくまで新人なのです。戦力的には頼りにならない。人命救助で寄り道ばかりしてる主人公に振り回されても反論できない。かわいそうに。軍を離れて料理したら自分の作った味噌汁だけ超マズくて凹まされるとか。かわいそうに。定時連絡しようにもネウロイがジャミング仕掛けてて無線が使えないとか出番が潰れる。かわいそうに。
たくさん書いたけど要は主人公が超幸運で、新キャラが貧乏くじばかり引いてたということです。
敵のネウロイもデカくて変形して機動性もいいけれど、毎回同じの全然当たらないハッタリビーム弾幕だし、たいして硬くないので簡単に撃墜されるとか、所詮はネウロイ。今までどおりの行き当たりばったりな攻撃。序盤で出てきたと思ったらすぐに偵察のナイトウィッチ1人に撃墜されてるので余り怖くはない。つか弱い。相手がナイトウィッチ最強のハイデマリーさんとはいえあっけなく退場。その後も主人公追うように各地に出現するけどどれも各個撃破されてて、あまり良いところはありません。通信妨害とか凝ったマネ仕掛けてくるくせに戦力を小出しに投入してくるとか、作戦的に優秀とは思えない。ぶっちゃけ主人公様に倒させるお膳立てなのが透けて見えます。
私はこの映画に結構期待してたのです。パンツ丸出し空戦アニメですが、戦闘場面はなかなかにかっこよくてたまに変な敵に変な作戦で立ち向かう展開もあって、割とお気に入りだったのです。高度3万メートル上空にコアを持つネウロイ迎撃のために、3段ロケットブースターで飛び上がる話とか、かなり好きです。
なので、劇場版は物凄い強いネウロイが出てきて501部隊再編成して、もしかしたら他の部隊も投入して激戦を繰り広げたりするのかなーなどと勝手な妄想を膨らませていました。
時間の半分くらいはだらだら人助けしていて、たまに仲間が戦闘して、最後に主人公が復活してドカーン、おしまい、な流れでした。話は余り盛り上がりません。主人公は2年前の戦闘で魔力を失っている設定なのですが、どうせ復活するのは分かりきっているので、苦戦場面をみてても尺伸ばしにしかおもえません。
中盤以降でようやく主人公達とネウロイがご対面します。ここまでくるまでダラダラと本筋に関わらない描写が続いていたわけです。飽きます。そして困ったことに今後の展開も読めてしまう。だって魔力を失った戦力外の主人公と、その護衛の新人ウィッチ。新人が頑張って力尽きたところで主人公復活俺のターン開始、になるのが目に見えています。実際そうだったわけだし。
ツクシのように地面から生えてる大型ネウロイと雑魚ネウロイ多数。服部さんは「訓練の通りだ」などと初めての実戦をセオリーに従って戦い雑魚の掃討はできましたがボスには勝てませんでした。そこで主人公の出番です。しかしすぐぬ魔力復活してはつまらないのでしばらく生身で苦戦します。ジープに機関銃のせて敵に接近してありったけの銃撃叩き込んでとりあえず勝ち。でもこの場面の主人公はなんだかキャラが違う。TV版冒頭では「私は戦いません」とかお花畑脳だった宮藤さんとは明らかに別人に見えます。鼻血をまき散らしながら相打ち覚悟で突っ込むのは貴方のキャラじゃないでしょ。それはバルクホルンとかもっさんの役目だと思います。それはともかく、生身の宮藤>フル装備の服部、という構図がここで出来てしまいました。服部さん立場無いですね。かわいそうに。
さて主人公の宮藤さんもツクシネウロイとほぼ相打ちになって重傷を負います。気絶状態から回復した服部さんの目の前にネウロイ本体が地下から出現します。デカイ宇宙戦艦みたいなネウロイ。艦載機が山ほど出撃してきます。もう新人の服部さんの手には余る相手、救援呼ぶにも敵にジャミングされて通信は届きません。ここで新人さんは最後の活躍をします。「敵の通信妨害の及ばない高高度から発信すればいいのではないか」頑張って敵中突破急上昇して通信器で「誰か助けてー!」と泣き叫ぶ服部さん。追ってきたネウロイ軍団に十重二十重に包囲されて大ピンチです。大ピンチなのですがネウロイどもはなかなか攻撃を仕掛けてきません。囲むだけです。殺る気があまり感じられません。
これだけ時間稼ぎすれば十分よね、と501部隊のメンバーが救援に来ます。そしてみんな「宮藤、宮藤」と連呼。魔力の消えた本来戦力外の主人公なのにこの人望。なんなんでしょ。頑張って通信した服部さんには何も無し。かわいそうに。あとは勝手に奇跡が起こるので時間潰し戦闘でそれまで待ちましょう。主人公補正で奇跡の復活を遂げた宮藤さん、馬鹿でかい魔方陣が出て謎の光がビカビカ光ります。ハイハイ俺のターン開始魔王降臨。でもコイツ丸腰じゃん、どうすんの?と思ってたら坂本さんがストライカーユニットを放り投げてくれました。前に主人公が使ってた「震電」です。もうね最初から全員が主人公をアテにしてたのがまるわかり。魔力喪失?引退?そんなわけねー、都合良く復活するのは予定調和です。さあ戦闘だ、と思ったらなんだかた感慨深げにのんびりストライカーユニットを撫でてる宮藤さん。リーネやペリーヌやら仲間たちも駆け寄って再会を喜び合います。いいから早く戦線に加われよ。この間、まだ服部さんは上空で敵に包囲されて大ピンチ中のはずです。みんな宮藤復活に舞い上がって新人は眼中にないようです。かわいそうに。
結局復活した宮藤さんがデカイシールドを張って突撃、ネウロイコアをぶち抜いて勝ちました。そこには作戦も技術も何もなく膨大な魔力のゴリゴリ力押ししかありませんでした。すごいパワーで体当たり。世の中結局はもって生まれた才能と資質で決まるようです。最終戦で何も出来なかった服部さんに向かって坂本さんが「あれがお前の目指すウィッチの姿だ!」みたいなことを言うのですよ。追い打ちですね。私が服部さんの立場だったら立ち直れません。真面目に働いても、規律遵守しても、命令違反独断行動のほうが良い成果を出してみんなも褒めてくれます。自分の素質は並みなので努力しきたのに、生まれつきの才能だけではるかに圧倒的な結果を上げていく天才が比較対象です。あれを目指せ?冗談じゃありません。やってられるかバカバカしい。坂本さんは基本的に無理を通して道理を引っ込ます人なので、常人がついていくにはかなり厳しいものがあります。努力だ訓練だと言いながらその実「奇跡ゲージ」をじわじわ貯めてる人なので、彼女も一種の超人です。魔力無くなったというのに烈風斬とかやる人です。501メンバーには超人しか居ないのですよ。そこに比較対照的に組み込まれた「新人」ウィッチの見せ場と言えばどうしたって未熟さを露呈する場面しかありえませんよね。そしてそこを主人公が救う。これが他所の部隊のスーパーエースなどの設定だったら描かれ方も違ったのでしょうが、そこはハイデマリーさんがもってったので、もう「強い」系個性が飽和してるので弱いキャラしか出しようがなかったのでしょう。元々この作品では未熟特性は主人公のものでした。民間人から特別に501部隊に編入されて軍人だらけの中で民間人的お人好し描写でキャラ立てしていたのです。そしてこのお人好し系の性格は戦闘モノでは判断力の甘さというマイナスな要素で表現されることが多く、実際この作品もその類です。基本的に頭脳が戦闘向きでないために逆に身体能力部分で優れていないと主人公役が果たせません。なのでこの主人公は感情的非合理的性格で才能だけ突出した設定になったのだろうと思います。これで才能もなかったら足引っ張るだけの役立たずですから。
ここまでは良いのです。主人公が最も新人だったから未熟でいても困らない。でもコイツ以上に未熟な軍人は要らない、というか居ちゃいけない境界線です。だから新人は主人公の後輩ながらのほほんとした性格ではまずい。
あれ以上に感情的なキャラだと「居ない方がよくね?」となるので、少なくとも内面的には主人公と対照的な生真面目キャラにする必要があったのだと思います。でもね、所詮は脇役だから主人公より強くはなれない、なっちゃいけない。新人ならば経験不足という差があってしかるべきだから尚更落ち度が目立つ描写になります。結果本人は真面目で頑張っているのに片っ端から手柄を奪われる大変不憫でかわいそうな子ができました。劇中で彼女の判断が間違っていた事例はありません。大を生かすために小を切る、リスクを最小に抑える決断です。しかしそこを全部主人公が理不尽な活躍で逆転打開し成果をあげているだけなのです。ひどい主人公補正。
中盤までストーリーらしいものもなかなか進展せず、所々で戦闘シーンはあるものの、主人公は無関係な人助けばかりに追われてネウロイと接点が無いまま中盤まで進み、ようやく始まった戦闘も敵の攻撃の段取りがどうにも杜撰で緊迫感なく、主人公は都合良く強化され、最後はパワー全開体当たりという脳筋極まりないお手軽戦法で、挙句の果てに最後には「つづく」の文字が。
服部さんの引き立て役人生もこれから続くのでしょうか。かわいそうに。
散々文句付けてきましたが、一つだけ私のお気に入りの場面があります。最後の大型ネウロイとの決戦中、はるか遠くから強力な援護射撃が飛んできました。場所はカールスラント内陸部(ドイツのあたり)私はカールスラント軍が列車砲でも引っ張り出してきたかと期待したのですが、実際はもっとすごいヤツでした。戦艦大和が浮き袋を付けてライン川を遡上、46cm主砲9門でドカドカ撃ってきていたのです。火力は絶大。ネウロイの装甲を吹き飛ばしすぐコアが露出したので、そこにウィッチーズが体当たりして勝負あり。
ああ、戦艦ってそうやって使うんだー。馬鹿じゃねえの(褒め言葉)。