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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 379 動き出す大企業同士の連携8 ~MaaSの号砲~

2019-07-10 08:31:30 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 379 動き出す大企業同士の連携8 ~MaaSの号砲~


「今のうちに使い方を見極めなければ」

豊田通商はデンソーと組み、2017年から2018年にかけて、タイのバンコクで約15万台の商用車から車載端末を通じて集めた走行データや位置情報から、道路事情に応じた配送ルートの最適化や、タクシーに乗りたい客と乗せたい運転手のマッチングの実証実験を手掛けたのでした。

この際に使ったのが、カナダのベンチャー、Dウエーブ・システムズが開発した量子コンピューターでした。

量子コンピューターがあれば、今のスーパーコンピューターよりもはるかに速いスピードで膨大な選択肢の中から最適解を導き出すことが出来ます。

「今は能力に限界があるが、5年後には実用化が始まりそうだ」と豊田通商は語ります。

量子理論を参考にしたデジタルアニーラと呼ぶ高速コンピューター技術の提供を始めた富士通もだまっていません。

昨年5月に解析サービスを始めて以来、すでに物流分野で70件近い問い合わせが来ているようです。

ソフト開発のエー・スター・クオンタムが富士通の技術を使って、日本郵便向けに輸送ネットワークの最適化を試みたところ、埼玉県東部エリアでは夕方・夜間帯に稼働している52台のトラックを48台に減らすことが出来ました。

コスト削減効果は約7%となり、全国に広げれば、金額にして年間で100億円を削減できる可能性があると言います。

解析技術のすそ野は広いのが特徴です。

NECは画像認識に力を入れています。

同社はシンガポールの研究所の一角にカメラを設置、目の前の交差点を通過する自動車や二輪車、自転車、歩行者をとらえ、これらの画像データからAIが、何がどのように動いているかを解析するノウハウを磨いています。

「すべてのモビリティーの情報が取れるのが画像の強み」

NECは強調しました。

近く国内でも同様の実験を始め、画像認識の精度を高めた上で、システムの外販を狙っているのです。

モビリティーの画像解析では半導体企業も動いています。

アメリカの半導体企業エヌビディアは、「我々は周囲の車の動きを測定し、適した経路を予測するノウハウを持っている」と語ります。

大量のデータを並列に処理する半導体に強みを持つ同社は、画像認識やAIを組み合わせて、自動運転車の「目」や「脳」としてのデファクト化(事実上の標準規格化)をもくろんでいるのです。

トヨタ自動車との研究開発分野への提携拡大を発表するなどして、自動運転車の実現には欠かせない企業として、自動車業界での存在感を急速に高めています。

エヌビディアの台頭が示すのは車載半導体業界の地殻変動の表れです。

これまでは、「走る、曲がる、止まる」という自動車の基本性能を制御するマイコンが主戦場でしたが、自動車業界が取り組む「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」への対応を背景に、求められる半導体の種類も変わってきました。

そこにエヌビディアのような新たなプレイヤーが続々と参入する構図が出来つつあるのです。

CASEの要素を詰め込んだ車が普及すれば、当然、MaaS市場の拡大ペースも速まり、半導体業界の競争図は大きく塗り替わるかもしれません。
(続く)


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