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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 381 動き出す大企業同士の連携10 ~MaaSの号砲~

2019-07-12 16:07:24 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 381 動き出す大企業同士の連携10 ~MaaSの号砲~


自動運転車の普及で変革を迫らるのは、自動車メーカーも同じです。

中でも今、切迫感を強めているのが、トラックメーカーです。

自動運転車が普及するよりも前に、トラックが売れなくなる事情があるからです。

それはどういう事なのでしょうか?

正確には、トラックが売れなくなると言うよりも、ドライバー不足による配車過多といった表現の方があたっていると思います。

「おたくのトラックを買いたいんだけど、運転手がいないんだよね」

日野自動車では今、販売現場から人手不足に悩む運送会社の悲痛な声が届いていると言います。

インターネット通販の普及で、運ぶ必要のある貨物量は増える一方で、宅配スピードを競い合うネット通販会社からのプレッシャーは増し、トラックの荷台に荷物がいっぱいにならなくても、配送に回らざるを得ない状況があると言います。

このため、1990年代に6割程度あったというトラックの積載率も今や4割程となり、トラックの半分以上は空っぽのまま走っていることに等しいようです。

「トラックを売る前に顧客に役立つことは出来ないか?」

販売現場からの声を受けて、日野自動車が2018年6月に設立したのが、ネクスト・ロジスティクス・ジャパンです。

同社では、デジタル技術を駆使して輸送効率を上げるサービスの立ち上げ準備に取り組んでいます。

まず手掛けるのは、「何を運んでいるか」という荷物情報のデジタル化で、トラックの荷台にカメラを設置し、運ぶ荷物の種類を見えるようにするのが第一歩となります。

同時に積載率のデータも集め、そして、それらのデータを使いこなすというのが、事業の目的です。

例えば、機械部品が荷台にあるトラックには、金属の匂いが移る可能性があるために、生ものの食品などは一緒に搭載できません。

そうやって、実際に混載できる荷物の種類やパターンを把握した上で、できるだけ積載率を高める組み合わせで荷物を運ぶルートを探ります。

同社は今年の冬をめどに、積載率を高めるサービスとして荷主に売り込もうとしています。

ネクスト・ロジスティクス・ジャパンは、「今まで100台売れていたトラックが50台しか売れなくなるかもしれない。それでも覚悟を持って取り組んでいく」と意気込んでいます。

商用車の分野に限ったMaaSは「トラック・アズ・ア・サービス(TaaS)」とも呼ばれています。

アメリカのフロスト&サリバンの予測では、その市場規模は2025年に2018年比で約6倍の794億2000万ドル(約8兆7000億円)にもあがると予測しています。

新市場を巡る攻防はまだ始まったばかりと言えます。
(続く)


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