「象潟や雨に西施がねぶの花」
芭蕉が象潟を訪れたのは元禄2年6月16日と記されています。現在なら7月の終わり頃から8月初旬にあたります。
季語は「ねぶの花」で季節は夏です。合歓の木とも呼ばれる夜や雨の日に葉をとじることで知られるマメ科ネムノキ亜科の落葉高木です。
象潟は現在の秋田県にかほ市に位置するかつての景勝地で芭蕉が訪れた頃は入江を形成しており、松島と並ぶ人気スポットでした。
1804年の地震によって土地が隆起したことで点在していた小島は小高い丘に変わりました。
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芭蕉が「象潟は松島に似ていて、また違う。松島は笑うようで、象潟は恨むようだ。その土地の趣は(悲しい境遇の)美女が憂いに閉ざされているようだ」と述べているのも日本海側の憂いを感じたのではないかと思います。
「美女が憂いに閉ざされている」というのが、この句に登場する西施です。中国の春秋時代に越王匂践が戦いに敗れ、呉王夫差に献上した絶世の美女というのが西施です。境遇と病によって更に憂いを秘めた表情になったのではないかと思います。芭蕉は象潟に約2週間滞在して、周辺を散策し地域の人々と句会などを催していたそうです。
「象潟や雨に西施がねぶの花」
夏とはいえ何となく暗さを帯びた象潟の風景にこの句の哀愁が読み取れると思います。
時々、こんなことも書くかも知れません。おつきあい頂けたら幸いです。
よろしくお願いします。
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