ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

(高知県高知市)沢田マンション 後編

2018-08-31 23:15:19 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
前編はこちら
※カテゴリー分けのため、珍スポット記事のみ抜粋し再度投稿しております。旅行記の本編はこちらです。


住人の迷惑にならないよう気をつけながら、迷路のように入り組んだ廊下を行ったり来たりします。
…同じ2階にも関わらず、ご覧のように微妙に階層がズレている部分もあったりして、大胆な手造り加減が見え隠れします(^_^;)。

…しかし、細部を見てみると小さなコダワリも。

とある部屋の前には、小さな石を円形に並べた花壇(?)のようなもの。そして段差を埋めるために作られたコンクリのスロープには、きちんと滑り止めのミゾが彫り込まれていてホレボレします(*^_^*)




どこも作りがバラバラすぎて、いったいどこが共用部分で、どこからが住居部分なのか分からなくなってきます(笑)。とりあえず、突貫で作られたであろう細い階段を登り3階へ。
なお、沢田マンションの部屋番号は階数に関係なく入居順に割り振られたものらしく、また表記を変更した経緯もあるため番号がメチャクチャとのこと(^_^;)。
まったく、どこまでも自由に溢れていて面白すぎます(笑)


3階の裏部分へ出てみると、例のスロープが屋上へ向かって一直線に延びていました。
なるほど、確かに1階からスロープを登り、3階の中心部分を突き抜けてここへ出れば……車で屋上に行けなくも無さそうですね。
すごく小さな自動車に限るけど。

そして、スロープをそのまま進んでいくと…。

屋上部分に到着!!


驚くべきことにがあります!!

マンションの屋上に池を作るとは、これまた沢田氏の独創性が炸裂していますね(*^_^*)。
住人がフラッと登ってきてくつろげるような憩いの場を目指したのでしょうか?
ちょっと水が濁っている?と思いきや、立派なニシキゴイが何匹も泳いでおりビックリ。


ご覧の通り、素敵な手作りの滝まであります。
よく見てみると、細~い雨どいが建物のてっぺんから滝の上部まで延びており、マンションの屋上に溜まった雨水を池に逃がすように工夫されています。
これは非常によく出来ていますね…。

屋上には沢田氏ご自身の住宅と、広大なお庭が。

マンションとは思えぬほど広々とした空間は、もはや沢田氏の楽園と呼ぶにピッタリの空間(*^_^*)。
…というか、この建物自体が沢田夫妻の自由の城(キャッスル)だったではないか、とすら思えてきます(笑)。
家庭菜園の田んぼがあり、玄関付近からはニワトリの声が聞こえてきたりなど、非常に生き生きとした空間です。

そして見逃せないのが、ご自宅に併設した沢田氏の作業場。

この雰囲気からして、マンションの建設時に使用していた空間に間違いないでしょう。
嘉農氏が亡くなり、マンションの建設がストップしてから既に10年以上は経過していますが、往時の雰囲気が生々しく残ります。


形も様々なゴツい工具がズラリと並ぶさまは、まさにオトコの作業場と表現するにピッタリ。

沢田氏ご自慢だった(と思われる)作業用クレーン

建築資材の搬入に大活躍していたと思われるこちらのクレーン。もう皆さん驚かないかと思いますが、もちろん手作りです!!(*^_^*)
マンションを遠目から見ると、屋上に鎮座するこのクレーンがかなり目立つため「まだ沢田マンションは建設中なのか…」という錯覚を皆に与えます。
そのシルエットは何やら「サグラダ・ファミリア」っぽくてカッコイイ。




…そして、ついにマンションの一番てっぺんに到着しました。
遠景からでもかなり目立つ、資材搬入エレベーターの巻き上げ機を間近に見る事が出来ます大胆な構造!!
意外と眺めも良く、商業施設の多い繁華街のド真ん中にマンションが建っているのを実感します。
こんな摩訶不思議な建物のすぐ近くに平然と量販店が建っている様子に違和感を覚えますが、もともとここら辺は一帯が水田地帯だったようです。
最初にこのマンションがポツンと建ち、だんだんと周囲に量販店が増えてきて…というのがこの土地の歴史。

そして…最後の最後に一番ビックリ。

手作りの資材搬入用エレベーター、さすがにもう動かないんだろうな…と思っていたのですが。
スロープをぐるっと回って1階まで戻ってくると!
なんと!!ゆっくりと動いている!!

操縦席に座るのは、先ほどカウンターにいた女性。
本でこの場所の存在を知った時からず~~っと、エレベーター部分は撤去されてしまったと思い込んでいたのですが、どうやら今でも奥様が現役で使用している様子!これは一番の驚きでした(^_^;)

いや~、最後に動いている様子を見られて良かった!!

完。
(2018年5月訪問)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(高知県高知市)沢田マンション 前編

2018-08-31 23:05:29 | 日本全国!珍スポット・魔境訪問
※カテゴリー分けのため、珍スポット記事のみ抜粋し再度投稿しております。旅行記の本編はこちら。

・沢田マンション(高知県高知市薊野北町1-10-3)

愛媛県の凸凹神堂と共に、四国最強珍スポットの一つとしてマニアには名高い場所。
一見すると立体駐車場のようにも見えますが、敷地面積約260坪の巨大マンションです。
「土佐の九龍城」「土佐のサグラダ・ファミリア」とも例えられるこの建造物、なんと建築に関しては全くの素人である一組の夫婦がコンクリをこね、基礎工事、配管、設備工事など全て独学で自ら造り上げてしまった完全なる手作りマンションなのです!!


鉄筋コンクリート5階(一部6階)建て、部屋数70ほど。もちろん普通のマンションと同様に住民も多くいらっしゃいます。
マンションが建ち始めたのは1971年。製材業を営んでいた沢田嘉農氏(当時44歳)が「自分のアパートを持つ」という夢の実現のため、20歳年下の奥さんと共に作業を開始。なんと土地を購入するや否やきちんとした設計図もなしに、役所へ建築確認を取らずに作り始めてしまったのだという。
10階建て・100世帯」という壮大な構想もと、後に生まれたお子さんたちの手も借りながらマンションはみるみる巨大化。最終的には嘉農氏が亡くなる2003年まで増改築は繰り返され、最終的には未完成(?)のまま現在の状態に落ち着いているというわけです。


建築確認の許可が下りていないため、建築基準法などの関係でハッキリ言うと違法建築という事になってしまうのですが、既に多くの住人が居るため、行政も黙認状態のようです(^_^;)。
まぁ、こんな見るからに丈夫そうなコンクリートの建造物、いまさら取り壊そうとしても無理でしょ……というのが外観をぐるっと見て回った感想(笑)。…いやぁ、それにしてもデカい。
ピョコっと建物から飛び出すタワーのようなものは、マンションの建設中に使用されていたという資材搬入用エレベーターなのですが、なんとこれまでもが完全なる手作りというのだからスゴい。

沢田マンション:略して「沢マン」

こういった特殊な生い立ちを持つ沢田マンションなので、見学者も多いわけで……。
一般の集合住宅ではありますが、ルールを守れば見学OKという事になっています。
もっとも、入居されている方々はマンションの特異性を理解した人や、沢田氏の考えもしくはマンションそのものに魅入られて住んでいる人が多く、見学に関しては理解ある方々が大半のようです。
また、マンション内には部屋を改装した雑貨屋さんやアートスタジオなど、一般の人も利用できる場所もいくつかあるようです。

ということで、いよいよ敷地内へ…。



エントランス部分には、沢田氏が集めた発動機のコレクションが展示。マンションの建設作業に際し、夫婦で日本中から集めた物だといいます。
製材機、発電機、地下水を汲みあげるポンプなど様々な機械を動かすのに活躍し、マンション建設に無くてはならない存在だった事でしょう。
集めた物の中にはスクラップ同然の物もあったそうですが、嘉農氏が自ら部品を作り修理するなどして稼働するようにしたのだとか。…ホント、どこまでもスゴい人物だ。

これは…管理人室??カフェスペース??



カウンターに大家さんと思しき女性がいらっしゃったので、撮影許可をもらうために中に入ってみました。
小さな休憩スペースがあり、コーヒー等が頂けるようです。
隣には沢田マンションに関する書籍や雑貨、さらにオリジナルグッズ(タオル)等を販売するお土産コーナーまでありました。
予想以上に観光客WELCOMEな雰囲気に少々ビックリ。
聞いたところによると、近年では手作りマンションの噂を聞きつけて海外からも観光客がやってくるそうです!!

さっそく記念品のタオル(300円)を購入、合わせて撮影許可も頂きました。
笑顔が印象的な人の良さそうなおばちゃんで、お話ししている時は「沢田夫妻のお子さんかな~」とボンヤリとしか考えていなかったのですが、後々よく考えてみるとあの人、年齢から考えるとマンションを建設した沢田氏の奥様ご本人だったのではないか。
もっと建設当時のお話とか詳しく聞いておけばよかった~~!!(T_T)

マンション一番の特徴である巨大スロープ



建物の周りをグルリと取り囲むように作られたスロープですが、なんと屋上まで車で登っていけるように……という沢田氏のコダワリがあって作られたのだそうです。
以前から拝見していた画像ではスロープがどのような構造になっているのかよく分からなかったので、今日の訪問で本当に屋上まで続いているのか??という事を確かめたいと思います。これは見ものですね(*^_^*)。
…なお、坂の途中には「良心市」なるボックスが。この時はカラッポだったのですが、マンションの住人どうしで何か販売しているのでしょうか?


なお、1階には分岐して地下部分へと降りてゆくスロープがありました。
ワクワクしながら降りてゆくと、なんと地下駐車場が現れてビックリ。
入口部分が狭く、カーブもしているため難易度は中々高めと思われます(実際、出っ張ったコンクリートにぶつけた形跡あり)
壁が分厚くずいぶんと頑丈そうな駐車場ですが、入庫している車は2,3台しかありませんでした……。

スロープを登り、2階へ。



なんと途中で坂が分かれ、マンションのド真ん中(部屋と部屋の間)を突き抜けています!
建物の途中で坂が途切れているように見えたのは、マンションの中心を経由して建物ウラに続いているからだったんですね。なるほど。
…で、裏に回りこんでみると軽自動車が出現してこれまたビックリ!!
断っておくがここは2階部分である。そして沢田マンションにおいて、各部屋の前の広いスペースは玄関兼バルコニーという変わった構造になっている。
故に、この状況を説明すると「バルコニーに車が置いてある」という事になる。
聞いた事ありますか!?「バルコニーに車」って(^_^;)。


廊下の手すり部分は、鉄筋とコンクリートの組み合わせによって意外とオシャレにまとまっている。
かと思いきや、天井を見上げてみると鉄骨丸出しという無骨さ。(^_^)


廊下は複雑に分岐し、思わぬ所に細い通路があったり、折れ曲がる階段がいくつもあったりなど迷路状態。これが「土佐の九龍城」と言われるゆえんなのか……。
各部屋の扉もあちこちに不規則に並んでいるので、いずれの部屋も間取りはバラバラと思われます。
これは部屋の内部も気になってしまいますね…(^_^;)。

後編へ!

(2018年5月訪問)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする