大雨の中、友人に導かれ辿り着いた秘境の湯屋。
左の建物から明治、大正、昭和と増築が繰り返されているらしい。
呼び鈴を鳴らし、小窓から薄暗いカーテンの向こうへ小銭を渡す。
かなり高齢と思しき主人、ほとんど手しか見えなかった。
趣深い廊下は少し傾いていて強度が心配になる。
木造屋根の浴室へ入ると、コンクリートの床に深く掘られた浴槽が三つ。
床全体が温泉成分ででこぼこになっている。洗い場などという気の利いたスペースは無い。
パイプで源泉を直接引いているらしく、手前の浴槽になるほど熱い。
穴だらけの天井から雨漏りしないのかと見上げてみたが、応急処置のビニールシートが辛うじて受け止めていた。
壁に掲げられた温泉登録証の日付を見ると昭和10年……。
地元の酒造会社から寄贈されたであろう戦前の鏡も右横書きである。
まるで東北地方の温泉宿のような趣。
(2019年訪問)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます