ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

山の上の遊園地

2018-04-12 19:04:17 | ホルマリン漬け北海道 トワイライトゾーン
2017年4月末。もう1年前の探検記録となる。
私が激務のコールセンターで業務に追われているうちに、季節はぐるっと一周し、いつのまにかまた同じ時期になっていた。
この記録をもっと早く皆さんにお届けしたかった。

さて、とある山の頂上近くに、巨大な遊園地の残骸がそのまま残っている情報を耳にし、訪問してみる事にした。
正式には完全な廃墟ではなく、採算がとれず営業休止…の状況らしいのだが、詳しい状況は曖昧でよく分からない。


色あせた看板に導かれ、住宅街から山の頂上へ向かう細道へと入る。
ひとけの無い道路を延々と登っていくと、道の脇に「あと○○メートル」という看板がポツポツと現れてくるようになった。

私は自然と、過去に読んだ『山の牧場』という怪談話を思い出した。
特に幽霊などは出てこないのだが、主人公が山の中腹にある謎の廃墟へ迷い込むというストーリーだ。
あの話にも「あと○○メートル」と書かれた看板に導かれ、細い山道を車で登っていく描写がある。
いやがうえにも気分が高まる。

標高が上がるにつれて、道路上に雪や氷の山が多くなってきた。
雪解け水で道はドロドロ、折れた木の枝もあちこちに散乱している。
これ以上車で進むのは困難と判断し、車を乗り捨て徒歩で登ってゆくことにした。


シャーベット状態の残雪の上をザクザク歩いていくと、視界がひらけ、ローラーコースターの残骸と思しきレールが姿を現した。
周囲を見回してみると、その他にも色々な遊具がそのまま残されていて、想像以上に見ごたえがありそうだ。




恐らく、どの遊具も雪融けでようやく姿を現したといった感じだろう。
所々にいるキャラクター達は無人の空間で見ると少し気味が悪い。


傷んだプレハブ小屋を覗いて見ると、マスコットの生首が少し埃をかぶって放置されていた…。
何て素敵な光景だろう…。まさか道内で遊園地の残骸を見られるとは思わなかった。




まぁ、一応は休止中の状態との事なので、残留物はかなり多め。
しかしどの遊具もすっかり傷んでいるため、補修費用も馬鹿にならないだろう。容易に営業再開するのは困難と思われる。
いずれはこのまま解体の運命か…?




遊園地の真ん中には、ご覧の通り立派なメリーゴーランドも残る。
元々はネットやブルーシートでしっかり保護されていたようだが、今やすっかりほどけて放置状態だ。
…それにしても、朽ちたメリーゴーランドとは何とも独特な雰囲気を醸し出すものである。






これらだけでも充分に満足だが、「ホラーゾーン」「わくわく恐竜ランド」といった更に凄そうな場所への案内看板を見つけ、もう少し奥へと進んでみる事にする。


雪に埋もれた細道を苦労しながら進んで行くと、木造の小さなバラックがズラリと並んだ広場に出た。
小屋の脇には鳥かごや餌の袋が……。どうやら「ふれあい動物園」的なコーナーだったと思われる。


窓は木の板で目張りされ、容易に内部を覗く事ができない。
果たして、動物たちは…?ふいに緊張が走る。
バイオ○ザードに出てくるゾンビドーベルマンを思い出しつつ恐る恐る覗いてみたが…。
よかった、動物たちは無事に運び出されており、どの小屋も空っぽだった。




ふれあい動物園の広場から少し坂を登っていくと、最後のハイライトである「わくわく恐竜ランド」に辿り着いた。
カラフルな恐竜の巨大オブジェがいくつも置かれている。
…●●山の上にこんな楽園があったなんて知らなかった。




どの恐竜たちもかなりの大きさ。遊具と比較してみてもその大きさが分かるだろう。
ブラキオサウルスの頭が枯れ木の間から見えた時は、小さい時に読んだネッシーやらモケーレ・ムベンベやらのUMA捜索記を思い出させ、なにやら未開の地を歩く探検家の気分になれた。
夏場に来たらもっと気分が高まるに違いない。


これほど様々な恐竜たちがあちこちに居るなんて、子供たちは大喜びだったに違いない。
残念ながら、恐竜たちの中には雪の重みで胴体からボッキリ折れて、ハリボテが露わになっている個体もいた。


山の斜面のいちばん高い所には、ご覧の通り立派な観覧車が静かにそびえ立っていた。
山頂に向かう道路からも遠目に見る事ができるが、ここまで辿り着くのはなかなか難しい。
もちろん動いているはずもなく、ぶら下がるゴンドラだけが微かに揺れていた。

無人の遊園地というのは、何故こうも気味が悪いのだろう…。

この場所からは、山の麓に広がる街がずいぶん遠くまで見渡せる。
もう何時間1人でいるのか分からない。
さすがに少し怖くなり、私は麓の街を目指して、山の斜面を下り始めた。

完。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (北の旅烏)
2018-04-13 07:21:24
無人の遊園地は、賑わいをみせていた当時の子供たちの
歓声が風に乗って聞こえてくるようにも思われ、時代の
移ろいと自分を重ねる程に無常の寂しさが膨らんでくる
のかもしれませんね・・・。
秘境の旅...これからも楽しみに待っていますよ。(^^)
返信する
Unknown (tada)
2018-04-13 13:34:53
早速のUPですね。安心しました(^^)
この遊園地、観覧車もあり大規模な施設ですね。場所が悪かったのか? 勿体ないな~。
冬の季節の曇り空が廃墟の不気味さを強調していて見応えがありました。
返信する
>北の旅烏さん (ホルマリン)
2018-05-01 12:29:07
遊園地の廃墟というのは廃墟マニア以外にもファンが多く、本州では探索ツアーを企画している所もあるようです。
やはり、過去の賑やかさと静寂が訪れた現在との差に盛者必衰を感じ、魅了されてしまう人も多いのでしょうね。。。

ありがとうございます。連休中に溜まっているネタを放出したいところです(^O^)
返信する
>tadaさん (ホルマリン)
2018-05-01 12:32:31
ご心配をお掛けしております…m(__)m
私の記憶では、それほど経営に困っていたイメージは無かったのですが、やはり山の上にあるのでアクセスが悪く、苦労していたのでしょうね~(^_^;)
あまり北海道民にもしられていない場所?のようで、ともかくオフシーズンは周囲にも全く人がおらず非常に不気味でした(笑)
返信する

コメントを投稿