前田家本 方丈記 遷都2 大方この京の始めをきけば
おほかたこの京のはしめをきけは さかのてんわうの御時みやことさ たまりにけるよりのちすてに 数百さいにをよへり。ことなるゆ へなくてたやすくあらたまる へくもあらねはこれ...
前田家本 方丈記 遷都3 奉りて大臣公卿皆こと移ろひたまいぬ
たてまつりて大臣公卿みなこ とうつろひたまひぬ。よにつかふ る人たれか一人も故郷にのこり をらん。つかさくらゐにおもひを かけ主君のかけをもたのむほ との人は一日なりとも...
前田家本 方丈記 遷都4 軒を争ひし人の住まひ日を経つつ荒れ行く
をあらそひし人のすまひ日を へつゝあれゆくいゑはこほたれてよ とかはにうかひ地はめのまへにはたけ となる。ひとのこゝろみなあらたま りてたゝみなむまくらをのみ おもくす。...
前田家本 方丈記 遷都5 頼りありて津の国の今の京に
てつのくにのいまの京にいたる。 ところのありさまをみるにそ の地ほとせはくて条里をわるに たらす。きたはやまにそひて たかくみなみはうみにちかく てくたれり。なみのをとつ...
前田家本 方丈記 遷都6 なかなか様かはりて優なる方も侍
てなか/\やうかはりていうなるか たも侍き。日々にこほちかはも せにはこひたすいゑいつくに つくれるにかあらん。むなしき地 はおほくつくれるやはすくなし。 故郷はすてにあ...
前田家本 方丈記 遷都7 失ひて憂ふ。
なひうれふ。いまうつりてすむ 人は土木のわつらひある事をな けく。みちのほとりをみれは車に のるへきはむまにのり衣冠布 衣なるべきはおおくひたれを きたり。みやこの条里た...
前田家本 方丈記 遷都8 日を経つつ世の中
へつゝよのなかつきたちて人の こころもおさまらす。たみのうれへ つゐにむなしからさりけれはお なしきとしの冬なをこの京にか へり給にき。されともこほちわた せりしいゑとも...
前田家本 方丈記 遷都9 憐れみを持ちて国を治め
もちてくにをおさめ給。すなは ちみとのにかやをふきてものきを たにとゝのへす。けふりのともし きをみ給ときはかきりある みつきものをさへゆるされきこ れたみをめくみ世をた...
かきつばた
行く春の尾や其のまゝにかきつばた 季語 杜若 夏 見龍消息 享保四年八月 この句は...
前田家本 方丈記 大火2 舞人の宿せる仮屋より
とせるかりやよりいてきたり けるとなん。ふきまふ風に とかくうつりゆくほとに扇を ひろ...