富士 　するがの國にかかりて、ざいちゆうじやうの山は富士のねいつとてかといひけむも、こ...

清見潟 かくうちながめて行くほどに、はつあきかぜも身にしみて、いつしか野邊のけしきもあ...

岡部 　ただひとり、嵐の風の身にしみて、憂き事いとど大井川、しかいのなみを分け、涙も露...

小夜の中山　 　西行、心強くもどうきやうの入道をば追ひ捨てたりけれども、年頃あひなれし...

東下り　 　　　天竜川 　すでにあづまのかたへ下るに、ひかず積ば、とほたうみのてんちゆ...

伊勢別宮 花の盛りにもなりければ、かみぢやまの櫻、吉野の山にもはるかにすぐれたりければ...

同たび、水鳥馴てちかきといふ題にておなじ人、 子をおもふにほのうきすのゆられきてすてじ...

建春門院の殿上の哥合に、關路落葉と云題に、頼政卿の哥に、 都にはまだ青葉にて見しかども紅葉散しく白川の關 と詠まれ侍りしを、其度此題の哥あまたよみて、當日までおもひわづらひて、...

伊勢 さてもだいじんぐうにまうではべりぬ。みもすそがはのほとり、杉のむらだちの中に分け入り、一の鳥居の御前にさぶらひて、はるかにごてんを拝し奉りき。 そも／＼たうしや、三宝のみ...

出家 　年頃にしやまのふもとに相知りたりけるひじりのもとに走りつき、あかつきがたに及び...