割と最近まで長いこと「サボテンすら枯らす女」を自称していた。
実際にサボテンを枯らしたのは中学生だったか高校生だったかの頃、少なくともまだ実家にいた時のことだ。
私の父は植物を育てるのが好きで、花も野菜も多肉植物も育てている。帰省すれば出て来る野菜の八割方は自家製だ。
実家にいた頃の私の自室は庭に面した2階の一室で、南側の一面が全て腰窓という夏場はクーラーがなければ蒸し風呂必至の部屋だった。
その部屋の前の廊下の突き当たりには1階の屋根の上に張り出すように小さなサンルームのようなガラス張りの出窓があって、そこに父が育てているサボテンがいくつも並んでいた。
そこからある時、父が「育ててみたらどうだ」と指先位の大きさの丸くて小さなサボテンを株分けしてくれたのだ。
インスタントコーヒーの四角い空き瓶の中に粗めの砂のような白っぽい土を入れて、ピンセットで摘まみ上げたそれをそっと植えた。
自室の窓辺に置いたその瓶は砂漠の一コマを小さく切り取ったオブジェのようで、とても可愛らしかった。
その見た目を気に入っていたはずなのである。なのにそのサボテンは全く育つことはなく、気がついたら枯れていた。うまく根付かなかったのだろうそれは、ある時瓶ごと傾けたらころんと転がってしまった。
もう少し遡れば、小学生の時の朝顔やミニトマトの栽培の水やりや記録が面倒で特に楽しいとは思えなかった記憶もある。
そんなわけで、私は何かを育てるのには向いていないタイプだとずっと思っていたし、何かと似ていると言われる父とは、この点では全く似てないなと確信していた。
ところでコロナ禍で在宅勤務になってから、近所を散歩するようになって気が付いたことがある。近所の庭のある家には結構な確率で柑橘類の木が植わっているのだ。
実家の辺りは柑橘類が全く育たないわけではないらしいが栽培限界の北限ギリギリであることもあって、民家の庭に柑橘類の実がなっているのを見た覚えはない。だから柑橘類は果樹園で育てる物だという認識で、庭木にするという発想はあまりなかった。
一番好きな果物を問われれば蜜柑をあげる自分である。
この辺りならそう難しくなく育てられるらしいということに気付いて以来、庭と蜜柑の木付き一戸建てに強い憧れを抱いたのだが、自分の人生設計的には無理だろうと半ば諦めていた。
ところが昨年、専用庭つきのマンションに引っ越すことになった。地植えは無理だが、2m以下の低木なら植木鉢で育てるのは可。俄然、育ててみたくなったのである。
引っ越し直後はバタバタしていて苗を買うタイミングを逃したので翌年の春(つまり今年の春)に金柑の苗を購入することにした。蜜柑は大きくなりすぎるだろうかと妥協した結果ではある。
とは言え、自分は上で書いた通りの人間なので苗をお迎えする前に植物を育てるということに慣れておかねばならない。
何か手軽な物をと探してみて、ジャガイモの種芋を袋の中の土に植え付けるだけで簡単に育てられるという商品を購入してみた。ところが種芋を買いに行こうと思った矢先に新型コロナに罹患してしまい、時期を逃してしまった。結局ジャガイモは昨年秋ではなく今年の春に育てたのだが、大手メーカーのポテトチップスにそっくりの袋から葉が伸びる様はなかなかにシュールだった。
最初に買った植物の話に戻そう。ジャガイモで練習が出来なかったので他の何か、育てるモチベーションが上がりそうなものをと考えて、推しのキャラクターが身に纏っている花飾りと似たアリウムの花の球根を買ってみた。
この辺りのスーパーには売っていない実家の辺りではメジャーな紫色の食用菊も、自分で育てれば食べられると気付いて苗を取り寄せてみた。
食用菊は上手く咲かなかったが、株分けして育て続けているので今年の秋に期待している。
そしてアリウムの方は5月頃に綺麗な花を咲かせてくれた。
春先には予定していた金柑の苗も購入した。その後は推しのイメージカラーに合わせた花の苗が増え、料理に使えるハーブ類と葉物野菜も追加。そんな感じで、気がつけばどんどん鉢とプランターが増えていった。
習慣になってしまえば毎日の水やりも特に苦にはならず、日々成長していく姿を見るのも楽しい。
水菜が春先に急に伸びて菜の花になってしまったのを観賞用にするかと放置していたら、物凄く久しぶりに揚羽蝶を間近で見る機会に恵まれたりもした。その後しばらくしてその子供であろう青虫を発見するというオマケつきではあったが。
ちなみに今の庭はサンパチェンスと三重咲き桔梗が咲き誇っていてとても華やかである。
不惑も過ぎたこの歳になって、今まで全くの不向きだと思っていた趣味に目覚めるとは思っていなかった。
変われば変わるものだなと我ながら驚きつつ、サボテンもそろそろ買ってみようかなあ、などと思っている。
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実際にサボテンを枯らしたのは中学生だったか高校生だったかの頃、少なくともまだ実家にいた時のことだ。
私の父は植物を育てるのが好きで、花も野菜も多肉植物も育てている。帰省すれば出て来る野菜の八割方は自家製だ。
実家にいた頃の私の自室は庭に面した2階の一室で、南側の一面が全て腰窓という夏場はクーラーがなければ蒸し風呂必至の部屋だった。
その部屋の前の廊下の突き当たりには1階の屋根の上に張り出すように小さなサンルームのようなガラス張りの出窓があって、そこに父が育てているサボテンがいくつも並んでいた。
そこからある時、父が「育ててみたらどうだ」と指先位の大きさの丸くて小さなサボテンを株分けしてくれたのだ。
インスタントコーヒーの四角い空き瓶の中に粗めの砂のような白っぽい土を入れて、ピンセットで摘まみ上げたそれをそっと植えた。
自室の窓辺に置いたその瓶は砂漠の一コマを小さく切り取ったオブジェのようで、とても可愛らしかった。
その見た目を気に入っていたはずなのである。なのにそのサボテンは全く育つことはなく、気がついたら枯れていた。うまく根付かなかったのだろうそれは、ある時瓶ごと傾けたらころんと転がってしまった。
もう少し遡れば、小学生の時の朝顔やミニトマトの栽培の水やりや記録が面倒で特に楽しいとは思えなかった記憶もある。
そんなわけで、私は何かを育てるのには向いていないタイプだとずっと思っていたし、何かと似ていると言われる父とは、この点では全く似てないなと確信していた。
ところでコロナ禍で在宅勤務になってから、近所を散歩するようになって気が付いたことがある。近所の庭のある家には結構な確率で柑橘類の木が植わっているのだ。
実家の辺りは柑橘類が全く育たないわけではないらしいが栽培限界の北限ギリギリであることもあって、民家の庭に柑橘類の実がなっているのを見た覚えはない。だから柑橘類は果樹園で育てる物だという認識で、庭木にするという発想はあまりなかった。
一番好きな果物を問われれば蜜柑をあげる自分である。
この辺りならそう難しくなく育てられるらしいということに気付いて以来、庭と蜜柑の木付き一戸建てに強い憧れを抱いたのだが、自分の人生設計的には無理だろうと半ば諦めていた。
ところが昨年、専用庭つきのマンションに引っ越すことになった。地植えは無理だが、2m以下の低木なら植木鉢で育てるのは可。俄然、育ててみたくなったのである。
引っ越し直後はバタバタしていて苗を買うタイミングを逃したので翌年の春(つまり今年の春)に金柑の苗を購入することにした。蜜柑は大きくなりすぎるだろうかと妥協した結果ではある。
とは言え、自分は上で書いた通りの人間なので苗をお迎えする前に植物を育てるということに慣れておかねばならない。
何か手軽な物をと探してみて、ジャガイモの種芋を袋の中の土に植え付けるだけで簡単に育てられるという商品を購入してみた。ところが種芋を買いに行こうと思った矢先に新型コロナに罹患してしまい、時期を逃してしまった。結局ジャガイモは昨年秋ではなく今年の春に育てたのだが、大手メーカーのポテトチップスにそっくりの袋から葉が伸びる様はなかなかにシュールだった。
最初に買った植物の話に戻そう。ジャガイモで練習が出来なかったので他の何か、育てるモチベーションが上がりそうなものをと考えて、推しのキャラクターが身に纏っている花飾りと似たアリウムの花の球根を買ってみた。
この辺りのスーパーには売っていない実家の辺りではメジャーな紫色の食用菊も、自分で育てれば食べられると気付いて苗を取り寄せてみた。
食用菊は上手く咲かなかったが、株分けして育て続けているので今年の秋に期待している。
そしてアリウムの方は5月頃に綺麗な花を咲かせてくれた。
春先には予定していた金柑の苗も購入した。その後は推しのイメージカラーに合わせた花の苗が増え、料理に使えるハーブ類と葉物野菜も追加。そんな感じで、気がつけばどんどん鉢とプランターが増えていった。
習慣になってしまえば毎日の水やりも特に苦にはならず、日々成長していく姿を見るのも楽しい。
水菜が春先に急に伸びて菜の花になってしまったのを観賞用にするかと放置していたら、物凄く久しぶりに揚羽蝶を間近で見る機会に恵まれたりもした。その後しばらくしてその子供であろう青虫を発見するというオマケつきではあったが。
ちなみに今の庭はサンパチェンスと三重咲き桔梗が咲き誇っていてとても華やかである。
不惑も過ぎたこの歳になって、今まで全くの不向きだと思っていた趣味に目覚めるとは思っていなかった。
変われば変わるものだなと我ながら驚きつつ、サボテンもそろそろ買ってみようかなあ、などと思っている。
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