■■■■■■■■■■■日本の国防■■■■■■■■■■■
■「時代の背景」
●ウクライナの戦争は遠い東欧の話ではあるが、日本にコロナ
パンデミックを上回る話題を投げかけてきた。
ロシアのウクライナ侵攻から既に1ヶ月。国を挙てのウクラ
イナ国民の挑戦は、予想外の対抗戦となりロシア軍も攻めあ
ぐむ状況が続く。
●昭和の敗戦から77年、この間わが国は戦争とは無縁の中で
平和を享受してきたが、ここに来て多くの問題が山積する。
・尖閣諸島海域への連日の中国公船の不法進出(中国)
・北方領土におけるロシアの一方的な渡航禁止(ロシア)
・竹島の不法占拠の継続(韓国)
・北朝鮮の邦人不法拉致、
など、近隣諸国による我が国への不法行為が相次ぐ。
加えて米中貿易戦争による覇権問題で、中国による台湾侵攻の
危惧が迫りつつあるという。
●戦後の我が国は、米国の核の傘の中で自衛隊(自衛力)はも
つが、戦争はしない事を国是として、平和の維持に努めてきた。
その体制の成果は確かだったが、日々進化する世界情勢の中で
いま大きな歪が生じてきたと言っていい。
四囲を海に囲まれる海洋国家の日本は、地続きの国境線はない
が、地政的な利点はある反面、海洋による国境警備の難しさが
指摘されて久しい。
●日本を取り巻く国際環境は表面的には平穏だが、世界の覇権
をめぐる米国と中国の動向は、日本にとってもアジアにとって
も無視できないものがある。
特に自由の海、南シナ海の岩礁の埋め立て占拠による中国の不
法な行動は、軍用滑走路まで造成して 他国の警告など目にも
くれない横暴の趣である。
●加えて、戦後の世界秩序を制御してきた国連の不備があからさ
まになって来た。今回のロシアのウクライナ侵攻に対して、国連
の大半の国々がロシアの戦争中止を求めたが、常任理事国ロシア
の拒否権が効いて無効となった。他の国々からは批判が相次いだ
が、支援の仕様もなくロシアの侵攻は続く。
●「ロシアのウクライナ侵攻の現況」
(●出典ロイター通信)
大東亜戦争(第2次世界大戦)後の世界の平和に大きな役割を果
たしてきた国連も、ここに来て米中の覇権問題や自由主義諸国と
体制主義諸国との対決など、いつも常任理事国の否決権に阻まれ
本来の調整機能が難しくなって来た。
それにしても、機能不全の国連の改革を問題提起する世界のビッ
グパーソンの顔が一向に見えてこないのが気になる。
■「先送り体質」
●仮に、もしの話ながら中国が尖閣諸島を不法占拠したとしよう。
・いまの日本は、国を挙げて島を取り戻す事が出来るのか。
・それに対し米国は、全面的に日本に協力し参戦してくれるのか。
・国連は、本当に仲裁の実行力があるのか。
今回のウクライナ侵攻を目の当たりにして、中国による尖閣や台
湾侵攻の危惧がより鮮明になって来た。
今回のウクライナ戦争を契機にして、今まで平和ボケと揶揄され
て来た日本人の自衛意識や、当面する憲法改正問題に望まれる国
民意識が大きく変わるきっかけになればと願う。
●私は外交の専門家でもない、ただ戦争を知る数少ない世代の一
人に過ぎない。しかし、このような日本人の危機意識が、今回の
ウクライナの問題で、少なからず戻りつつある予感がする。
国連も、あてにできない事が判って来た。それを前提にして日本
が対処すべき問題点が明確になって来るように直感する。
残念なことに、往々にして戦後の日本では、政治でも行政でも自
治体でも、企業でも身近な家庭でも、問題を「先送り」して当面
何もなかった事を良しとするカスタムが常套化して来た。
問題の意味の大小にもよるが、その判断が曖昧なまま先送りされ
る事は時にして過分なリスクが生じるケースが山ほどある。その
リスクに対しては、たれも責任を負わない。
何かしらこれが、日本の謙譲の美徳のようにさえなっていた。
問題が発生して対処するのはたれでもできる。しかし問題を明確
に先読みして予防するのが、専門家の仕事であり今の政治や行政
や地方自治や、教育や厚生や家庭に求めらる所以だ。
●平穏になれると人々はリスクを負ってまで、改善の道を選ばな
くなる。
・当然のごとく物事は進まない。
・進まないどころか「停滞」する。
・事によれば「退化」する。
・結果 「経年劣化」が起こる。
・しかもその原因にきずかないでいる。
・いや、きずかない「ふり」をしている。
あの平成の日本の「失われた30年」は、まさに典例だと思う。
そしていまも日本の低成長は続く。
いつになったら「先送りブレィカー」が現れるのか心して待ちたい。
■「危惧の核心」
●日本を取り巻く国際環境は表面的には平穏ながら、新しい覇権
を目指す中国の台頭と動向は、日本にとってもアジアにとっても
無視できないものがある。
・特に尖閣への中国の船舶の不法立ち入りの増加は、目に余る。
・北朝鮮のその後の弾道弾の発射など、不確実性への危惧。
・自由の海、南シナ海の岩礁埋め立て占拠など不法な中国の暴挙。
・加えて隣国韓国の相変わらずの不可解な目に余る動向。
・中国の米国との貿易戦争の行方など。
これらは今の尖閣にも、竹島にも当てはまる。
●かって亡き石原慎太郎東京都知事が明確にしたように、彼は
先送りして動かぬ国会と政府に先駆けて、尖閣の都での買い上
げを先導して国有化を実行した。しかしその後の政府の対応は
どうだろう。またまた政府の行動は「先送り」である。
臭いものに蓋をするがごとく、尖閣は、名目的に存在するだけ、
自衛隊も、島民もいない無防備の無人島である。
隣国中国からは、なにか弱みがある様に映るはずだ。だから、
それを格好の口実に連日の中国公船による尖閣接近となる。
これに対し日本のマスコミは、無関心そのもの。
その情報を伝えるだけ。本来のマスコミは問題情報を捉え分析し
て、その真髄を伝え、それを政治や行政や経済や日々のあるべき
行動に導くのが、本来のマスコミの真のありかたではないのか。
尖閣や竹島問題を通じて、私の見るところ、飽くなく問題提起を
して来たマスコミは存在しない。政党も政治家もいない。
「先送り体質」になれ染まった政治屋ばかりである。
国民は、この辺の安全の指標を本来、政治に求めているはずだ。
結果「先送り」のために、全ての事が「後手」に回り,スキを突か
れることになる。
その「後手」の結果については、たれも責任を取らないし、反省
もないし、リスクも負わない。政府も行政もだんまりを決めて平
然そのままである。
今回のウクライナ侵攻が世界的な問題になると、マスコミも、政
治屋もこぞって右へならへと動く、コロナの危惧もどこかえ飛ん
でいった感じに豹変する。
機を見て敏はいいとして、全て自分のためだけの不和雷同的な対応
に終始する。日本の明日は大丈夫かと声を大にして問い質したい。
■「致知の極み」
●試みに国語辞書を引いてみた。
・「備えるとは?」ーーーー
「物事が起こった時、それができる様に準備する」とある」
・「備える」の反意語は、「凶作」「不整合」「欠く」とある。
ことばがある古い時代から、人々は、生活の知恵として安心のた
めに常に「備え」に格別の留意をはらってきたことがよく判る。
試みに、備えの句を引いてみた。
・「備え有れば患いなし」
・「転ばぬ先の杖」
・「後悔先に立たず」
・「渇に望みて井を穿つ」
・「Lay by something for a rainy day」(雨に備えておきなさい)
念のために、世界の危機を告げる言葉」を探ってみた。
・「可視化された矛盾」
・「動き出した世界」
・「不可逆的な混迷の世界」
・「何かと分断された世界」
・「改めて 言葉の価値が問われる」
・「「もう」は「まだ」なり。「だは」は「もう」なり」
「国防の理念」ば、全てこの備えの格言から派生したと言っていい。
「未然の備え」(まだそうならな時の備え)のための「国防」と
理解したい。勿論「抑止」もこの中に包含される。
■「他山の石」
●今回のウクライナ侵攻は、周辺に同じよいうな危惧を抱える日
本に、多くの警鐘を鳴らしてくれた。
そしてこの侵攻後の1ヶ月間のウクライナのあらゆる立場での発
言や行動は、その政府や行政や政治家の本質を知るに足る結果を
もたらしてくれた.
世界のどこかでの危機を他山の出来事として傍観するか、または
我が事として類推して次に備えるかは、特別な立場の人にだけに
要請される事ではない。
同じ国際環境にある私ども日本人全てが、意識する必要がある。
●一部の人は、今の日米関係は蜜月と揶揄するが、共同防衛と共存
は、日本にとって最高の国際関係と言っていい。安部前首相暦年の
外交努力の成果と評価したい。
安倍前総理の憲法改正のシナリオは、最低でも9条の1,2項を残して
自衛隊の存在を明記することで、真の独立を回復し日米対等の相互
防衛を実現することだった。これは菅、岸田と受け継がれている筈
だ。そのためには、衆参で過半数を占める国民の総意(国民投票)
が必要となる。
今までたれも成しえなかった事を実現することは、すごく大変に違
いない。だが日本の安全と平和のためには、誰かがリードして早急
に実現しなければならない。
特に
・尖閣、中国の挑発行動
・韓国の新政権と竹島、
・ウクライナ問題を抱えるロシアと北方4島、
・北朝鮮の邦人拉致問題とミサイル開発問題
重ねて
・緊迫する台湾問題
・米中貿易と覇権問題の推移
・決定的機能不全の汚点をさらした国連常任理事会の否決権問題
など、大きな国際課題が山積する。
●今までは、攻められた時の事を想定して防御力を蓄えてきたが、
これからは最小限の「対攻撃能力」を持たないと、本当の抑止力
にならないことが判って来た。
今回のロシアのウクライナ侵攻がそれを如実に物語っている。
そのためには、最小限の「対攻撃能力」を持つための国民理解
を、どう形成して行くかが課題になってくる。
日本の未来のために「国防の強化」の先送りは許されない。(山)
■■■■■■■■■■■関係の資料■■■■■■■■■■■
■「日本の国防費」(出典:内閣府)
■「世界の軍事費」
●「中国の軍事費」
■「米中覇権争いをうらずけるGDPデータ」
■「太平洋戦争の直接被害の実情」
(項目) (死亡) (行方不明)
・軍人軍属 155万5308万人 30万9402人
・銃後国内 29万0948万人 36万8830人
●太平洋戦争では、日本人約186万人、行方不明約36万人
という多大の犠牲者が出た。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます