「21世紀はアジアとの時代」 (Jtiro🔴Jpn) SDGs.Webサイト(Editor: K.Yamada)

●Copyright © 2025.All rights reserved.●Since2008.
  

■タイの国防事情■

2015-04-18 | ●タイの国防
■■■■■■タイはいかに国を守って来たか■■■■■■

■「戦後70年、平和の謎

●古くから戦争の要因は、隣接する2国間の領土問題から、起こる事
が多いとされてきた。ただ第2次大戦後は、化学兵器などの大量殺戮
を抑止する事を前提に、世界的な国際外交組織が機能して、戦後70
年の間、大きな戦争は起きていない。
 
●但し中近東はじめアジアでも、宗教的な紛争や局地的な領土紛争
は、後を絶たない。
そのために,国際的な外交交渉や、当面する国々の外交努力や、加え
て潜在抑止力としての軍事力の存在が、必要不可欠であることがわか
って来た。
 

      (19世紀のアジアの欧米による植民地支配地図)
 
■「タイはなぜ東南アジアで1国だけ独立を保てたか
●海に囲まれた日本と違って、全て陸の国境に囲まれたタイの場合、
あの18世紀以降の欧米列強によるアジア植民地支配に対抗して、いか
に国を守ってきたのか。その歴史の経緯をたどってみたい。
 
●上の地図を見ていただきたい。
英国、フランス、オランダ、米国など欧米列強による、アジア植民地支配
に対して、食い物にされずに残ることができたのは、わずかタイと日本の
2国みでであった。
頃あたかまも日本では、幕末の黒船襲来の時であった。明治維新による
開国の大変革で、欧米列強を前に一歩も引く事なく、勇猛邁進したのは
よく知られる通りである。
 
■「したたかなタイの外交戦略
●19世紀までのタイは、今のカンボジア、ラオスの全部と、マレーシアの
一部
が固有の領土であった。
現在のタイの国土が、日本の約1,4倍の広さと言われるから当時は少なく
とも日本の約2倍近くあったと想定される。
 
●タイの属領ルアンパパーン王国(今のラオス)で起きた、フランスによる
紛争事件は、タイ当時のシャム王国にとって、欧米列強による植民地支配
紛争との最初の出会いと言える。
カンボジア、そしてベトナムを保護国にしたフランスは、タイの属国ラオス
の種族との紛争を仕掛けたが、タイは自国を守るのが精いっぱいで、こと
ごとく敗退した。そしてラオスをフランスの保護区に割譲することで戦争を
回避したという。
 
)その経緯は「タイ領ラオスのパークナム事件」で検索いただきたい。
 
 
 
 
(19世紀のタイ(シャム王国)のラオスなど失地地) 出所:週刊東洋経済2012,10,06   
 
●後にタイ(ラーマ五世)は、ビルマを植民地化した英国と、ベトナムやカン
ボジアを植民地化したフランスの政治的な中間緩衝地帯としての役割を果
す事に徹した。
そして英国が攻め込んで来れば、フランスに近寄るという具合に、英仏の中
間にあって、大国を翻弄しながら、したたかに生き残ってきた。
 

     (
タイ王国ラーマ5世像)
 
●その後には、アジアへ進出したロシアと、また近世では、共産主義化阻止
で始まったベトナム戦争の西側陣営に加担した。そして多くの戦傷兵の受け
入れで病院兵站的な役割を果たし、後のメデイカルツーリズムの基盤を作っ
た。また、多くの帰休兵の休息地を提供することで、パタヤやチェンマイなど、
戦後の欧米向け大型リゾートの開発の糸口をつかむことに成功した。
 
●ちょうど日本の明治天皇のころ、欧米列強を相手に国の存亡を救ったラー
マ五世の名君外交は、今もタイ王国の伝統的で したたかな平和外交の規範
として、永く語り継がれている。
 
■「タイの平和外交力と軍事抑止力
●一見おとなしく見える国民性をもち合せるタイの人たちが、何故、孤高を保
って、厳然と独立を守る事ができたのか、今もって 世界の不思議話の一つに
なっている。
しかも西側陣営の列強に次ぐ軍事力を有しながら、18世紀以来一度も武力行
使をしたことがないという。
 
●振り返れば、第2次世界大戦のときもタイは日本と友好的な軍事同盟を提携
していたが、日本の敗色が濃厚とみるや 終戦前日になって対日宣戦布告をし、
一日にして戦勝国となった。 機を見て敏、その変わり身の早さは まさに伝統的
なものと言えないだろうか。
 
  
 
●昨年は、この国軍による奇襲的なクーデターがあった。その経緯はご存知
の通りである。国軍、なかんずく陸軍が、いまASEANのハブといわれるタイの
政治と経済を掌握して、新しいタイをめざしつつある。
 
米国は、昨年5月のクデターの時に、この暫定政経政権にいち早く民政化を
要求して、軍事援助の凍結の制裁を表明した。
にもかかわらず今年春には、タイ米共同軍事訓練が再開され、日本の自衛隊
も参加した、そのタイ国軍の変わり身の早さと手際のよさに、周辺諸国は驚い
たものだ。

       (タイ&米国共同軍事演習
 
●19世紀の英仏2国を翻弄したあの外交の再来を想わすしたたかな外交手
腕は、いまも綿々と受け継がれている。
そのタイ軍事暫定政権が、日本政府とバンコク、チェンマイ間のタイの動脈と
言える新幹線建設構想を日タイ共同で進めようとしている。
ごく最近には中国と接近、北部の鉄道路線の建設計画について協議を進展
中と伝えらたばかり、東西の大国を相手にしての外交巧者ぶりは、さすがで
ある。
 
●今年は、ASEAN設立41年にして 経済統合が予測される。
その6億人という巨大市場は、日本にとっても、タイにとっても、当面する最大
の魅力市場と言える。
しかしそのASEANでは、中国の南沙諸島の不法海洋進出問題など覇権トラ
ブルが後を絶たない。
果たしてタイを初め、アジア諸国のの軍事力が、抑止力として機能するのか。
タイにとってもASEANにとっても、アジアにとっても、日本にとっても覇権国
家中国の台頭は、新しい共通の課題である事に変わりはない。

 
関連資料
■「タイの国軍の現況」■(2012年現在)
 (項目)      (タイ王国
●人口     6813万人
●GDP名目   3457億ドル
●軍事予算   1685億バ―ツ 
●兵役             2年
総兵力     30,5万人
●陸軍戦力      19万人
●   戦車      283両
●海軍戦力  4,6万人
●  総隻数    119隻 ●航空母艦1隻保有
●空軍戦力  4,6万人
●  作戦機    165機
●  海軍機     39機
 
●因みに
日本の自衛隊兵力は総兵力 24万人 うち陸上兵力19万人である
 
 
 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■タイに学ぶ | トップ | ■訪日客で賑わう日本観光事情 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿