■■■チェンマイなひと■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■「極めて奇特な日本人」
●言葉も習慣も異なる遠く離れた異国で、そこに住まう人たちのため
に ひたすら仕事に励む極めて奇特な日本人がいる。
20年近い日タイ国際交流の活動を通じて、偶然この人たちに出会い、
永らくにわたり、お世話になった。
この人たちは,些かもぶれることなく、チェンマイを第2の故郷として
現地社会のために、いまも働き続けている。頭が下がる思いがする。
●私がこの人たちの事を「チェンマイなひと」というのは、それなりの
理由(わけ)がある。
チェンマイのイメージといえば、小さな古都にも拘らず不思議な重厚
感と、人なっこさと、スローなリズム感と、静かな風情の趣きであるが、
この人たちは、まっとうな日本人にも拘らず この街にすっかり溶け込
んで、古都チェンマイを象徴するに足る素晴らしい働きを続けている。
●最初にご紹介する「チェンマイなひと」は、高橋敏さん、
現地チェンマイの日本語情報誌「ちゃお」の発行人兼編集者である。
ロングスティヤ—はもとより、初めてチェンマイを訪れる日本人観光客
は、ほぼ、この日本語フリーぺーパー「ちゃお」のお世話になる。
●タイの古都チェンマイは、市街地の人口(チェンマイ市)約16万人、
チェンマイ県全体の人口160万人、その中、日本人在留者数3800人
だが、「ちゃお」は、在留邦人のよりどころ的貴重な存在となっている。
「ちゃお」は、現在月2回発行され、発行部数は1万部を誇る。
そしてチェンマイをはじめ、北部タイ全域の主要都市や、首都バンコ
クの主要ホテルや空港で無料でもらえる。
●私が最初に「ちゃお」と出会ったのは、2003年の暮れ、 ロングス
ティの現地協議で、チェンマイを訪れた時の事だった。
投宿先のチェンマイプラザホテルで、日本語フリーペパー「ちゃお」
の存在を知り、早速、当時の編集担当だった高橋敏さんに連絡を取
り、お会いすることができた。
そして、現地チェンマイの日本人事情を伺ったり、チェンマイの実情
について、詳しくお尋ねした事を覚えている。不慣れな私どものため
に, 懇切にアドバイスいただき大変お世話になった。
●当時の「ちゃお」は、創刊直後の様だったが、そのころからチェンマ
イに進出する日本企業の駐在員や、チェンマイロングスティヤ—や、
日本人観光客がふえるにつれ、日本語フリーペーパーの存在価値と
評価は、日増しに増大していった。
フリーぺーパ―の収益源は、読者を対象にした広告ページ情報だが、
途中、発行人を引き受けた高橋さんのひたむきな経営努力によって
紙面が大幅に改善され、カラーページが増えることで、現在のような
海外地域情報誌としての不動の地位を確立したと思う。
●特に北部タイの魅力である伝統的な民芸や工芸、山岳民族の生態
紹介や、歴史的な遺跡の紹介など、古都チェンマイを拠点とする文化
情報誌として、大変魅力的な構成である。
中でも「チャオ掲出版」は、在住日本人の活動情報を公開交流するた
めに貴重な存在だが、異国で過ごす邦人にとって、日本語と日本語
情報は、欠かせない生活の糧と言っていい。
●現在380号を数えるが、表紙は、視覚的にもクオリlティペーパ―を
思わす重厚感があり、15年前の100号当時とは雲泥の差である。
その生い立ちの側面を知る私どもからすると、それは全て高橋敏さん
のご苦労の賜物と映る。今後のご活躍を期待したい。
日本では、Webサイトからも「ちゃお」最新号を読むことができる。
・また当ブログ右欄の「ブックマーク」「ちゃお北タイ日本語情報誌」を
クリックすると、ご覧いただける。
■「日本の国際協力事業」
●当時まだ後進国だったタイは、1970年代に道路優先政策に舵を
切り、全国の国道網の完全舗装化をはじめた。
それに即応して1990年以降、日本のODA(日本政府による、発展
途上国への開発支援や出資事業)による 北部タイのチェンマイを
中心にする高速道路や橋梁の建設がはじまる。
当時チェンマイでは、産業基幹道路の建設が急がれていたが、主
に日本の国際協力事業によるODAで、日本の大手建設会社によ
る主要な幹線道路の建設がスタートした。
現地の人たちは、チェンマイ出身で当時の首相だったタクシン氏に
因んで、いまもこの道路の事を「タクシン道路」と呼んでいる。
■「タイの動脈であるアジアハイウエィの路線図」
■「タイに対する日本の援助の推移」(支出純額、単位:百万ドル
暦年 |
贈 与 |
政府貸付 |
合 計 |
|||
|
無償資金協力 |
技術協力 |
計 |
支出総額 |
支出純額 |
|
1990 |
76.02 |
96.34 |
172.36 |
330.76 |
246.21 |
418.57 |
1991 |
51.03 |
100.82 |
151.85 |
363.52 |
254.32 |
406.17 |
1992 |
42.69 |
116.79 |
159.47 |
386.68 |
254.50 |
413.97 |
1993 |
24.80 |
135.38 |
160.19 |
363.50 |
189.96 |
350.15 |
1994 |
27.36 |
137.36 |
164.72 |
425.34 |
217.83 |
382.55 |
1995 |
14.75 |
147.46 |
162.21 |
744.90 |
505.16 |
667.37 |
1996 |
1.86 |
135.41 |
137.27 |
722.91 |
526.73 |
664.00 |
1997 |
1.58 |
127.07 |
128.65 |
530.20 |
339.61 |
468.26 |
1998 |
18.57 |
121.74 |
140.30 |
624.20 |
418.12 |
558.42 |
1999 |
2.09 |
123.99 |
126.08 |
1,014.59 |
754.18 |
880.26 |
2000 |
1.51 |
121.04 |
122.55 |
872.40 |
512.69 |
635.25 |
●2000年頃、チェンマイ在住の日本人といえば、基幹道路の建設に
当たるJICAや、工事を担当する日本の建設企業の人たちだった。
その人達は、既にチェンマイに在住し、現地の工事に従事していた。
いわばチェンマイ・ロングスティの先駆け的存在だったと言っていい。
私たちが日タイ国際交流の一環として 「チェンマイ・ロングスティ」の
活動を開始したのも、ちょうど2000年の暮れの事だった。
●当時チェンマイ在住の倉又 孝さんには、大変お世話になった。
倉又さんは、統計調査の専門家で、JICAからチェンマイに派遣され、
ODAのための現地調査にあたっていた。
チェンマイの国勢事情や、インフラの実態、在留日本人事情などを、
つぶさにリサーチしていた。
●既にチェンマイに滞在する在留日本人は、数百人だったようだが、
その生活実態調査では、まず住居形態、その賃料、食料事情、通信
形態、情報収集の方法など、広範に及ぶもので、緻密に足で調査さ
れた貴重な統計資料だった。
その調査データをお借りしたり、それによる「チェンマイ・ログスティの
生活モデル」の構想についても、いろいろとお力添えをいただいた。
2003年、タイ政府とJTIROで共催した本格的な日本初の「チェンマイ
・ロングスティ、ミーティング」(参加者700人)では、元通産大臣の塩川
正十郎氏ともどもパネラーとして参画いただき、大変お世話になった。
思い出は尽きない。
一昨年5月、鎌倉のお宅で逝去されたとの訃報に接した。残念でなら
ない。この倉又孝さんも、まがいなく「チェンマイなひと」である。
(お住いのある鎌倉逗子のNPO団体を訪ねた倉又孝さん(右)
●「参考文献」
・「倉又孝さんのJICAシニア海外ボランティアのチェンマイ調査報告書」
URL:www.sridonline.org/j/doc/j201208s06a01.pdf
・JTIRO関連ブログ「チェンマイロングステイ欣快」(2017,07,15号)
は、当ブログの右欄「カテゴリ」より 抽出してご覧ください。
●あれからほぼ20年を経て、いまチェンマイ・ロングスティは退潮傾向に
ある。これは日本における「シニアの海外ロングスティ」が、トレンドだった
証であると同時に、衰退も世の流れと思うほかない。 しかしこれによって
多くの日本人が 古都チェンマイと出会い、日タイ国際交流が大きく前進
した事は、まがいない事実である。いまでは大変よかったと評価している。
●そこに願ってもない朗報が飛び込んできた。
世界的な観光情報によると、古都チェンマイが世界観光都市の第2位
にランクされたという。
■「世界の観光都市人気ランキング2016」
米国旅行誌「トラベル&レジャー)
(順位) (都市名) (国名) ン(評価点)
1位:チャールストン(米/サウスカロライナ)91.66点
2位:チェンマイ(タイ)91.25点 ●
3位:サン・ミゲル・デ・アジェンデ(メキシコ)91.19点
4位:フィレンツェ(イタリア)89.85点
5位:ルアンプラバン(ラオス)89.85点
6位:京都(日本)89.75 ●
7位:ニューオリンズ(米/ルイジアナ)89.75点
8位:バルセロナ(スペイン)89.60点
9位:サバンナ(米/ジョージア)89.57点
10位:ケープタウン(南アフリカ)89.46点
11位:ローマ(イタリア)89.22点
12位:ベイルート(レバノン)89.00点
13位:シェムリアップ(カンボジア)88.96点、
14位:バンコク(タイ)88.96点
15位:クスコ(ペルー)88.95点
●観光インフラは、人為的な所業だけで世界的な評価を得ることは難しい。
何十年に及ぶ「チェンマイなひと」たちの地ならし的な活動の所産あってこ
その快挙である。
このような古都チェンマイのイメージ創りに、日本から参画する事になった
「チェンマイなひと」たち、 中でも 今回ご紹介したレゼンドのの存在は、極
めて貴重であると同時に日本の誇りでもある。(続く)
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