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■■■■■■■■■■タイの現状■■■■■■■■■
■■戒厳令から3ヶ月■■
タイ王国チェンライ在住
中西英樹
■「変化なし」
●5月22日の戒厳令、その後のクーデタから3カ月近くたった。
でも チェンライ暮らしには何も変化はない。土曜市 日曜市もチェンライ
バザールも いつのものように開かれている。 市が立たない日があるが、
それは雨が降ったせいで政権とは何のかかわりもない。
考えてみれば、こちらに来て5年半、政権が交代しようと大規模なデモが
起ころうと、デモ隊が鉄砲撃ったり,爆弾投げ合ったりしようと, その影響を
感じたことはなかった。
ニュースで混乱状況を知るのだが、どこかよその国の出来事のように思っ
ていた。それだけチェンライは,バンコクから遠いということか、それとも分
が鈍感なだけか。
●タイは1932年に絶対君主制から議会制民主主義になった。以来 82年、
その間に十数回のクーデタを経験している。 曲りなりにも任期を全うした
首相は,タクシンただ一人、彼も次の任期途中で,政権から追われる。
赤シャツと黄シャツの争い、総選挙で選ばれた首相は 国外追放される、
はては軍部によるクーデタ、これを政治的混乱というのであれば、 タイの
政治は政治的混乱が平常の状態といえる。
■「支持率9割」
●仮名手本忠臣蔵四段目、塩谷判官切腹の場「力也 由良之助はまだか」
「未だ参上仕りませぬ」、この応答が2,3度繰り返されたのち、判官は,刀を
逆手に持ち、腹に突き立てる。とその時、 足音高く大星由良之助が駆け込
んでくる。
●政治的混乱はピークに達し、もはや収拾の道もない、クーデタはまだか、
未だ軍は立ち上がりませぬ、クーデタはまだか ・。とその時、軍靴の響きも
高く放送局が占拠され 戒厳令が発令される。我々が忠臣蔵の筋を知って
いるくらい、タイ人はクーデタに至る筋をよく知っている。
筋書き通りにコトが運ぶから安心して見ていられる。バンコク週報によれば
9割の国民が軍政に満足しているという。
●(引用開始)
ラチャパット・スアンドゥシット大学の世論調査センター「スアンドゥシット・ポ
ール」は7月6日「大多数が軍政に満足している」との調査結果を発表した。
調査対象の2091人のうち、88・5%が国家平和秩序評議会(NCPO)による
国家統治について「国内が平穏になって多くの問題が解決されており、以
前より幸福」と回答。
また、64%が「生活が正常に戻ってふだん通りに仕事ができ、学校に行ける
ようになった」としている。
このほか「家族の心配をする必要がなく、家庭内の雰囲気が改善した」「兵士
が警備に当たっているので安心感がある」「(路上デモがなくなり)帰宅時間が
短縮され、家族と一緒にいる時間が増えた」との意見もそれぞれ93%64・3%、
79・4%にのぼった。(引用終り)
「国民の融和へ向けてタイ国民が理性的な政治決着の歩みに踏み出すこと
政治決着とは国軍によるクーデタであったのかを強く望む」と、インラック政権
末期に朝日新聞は書いた。
タイ国民の理性的政治決着とは,国軍によるクーデタだったのか。
■「軍部独裁
」●バンコクポスト、ネーションなどタイの英字新聞には軍政批判記事は掲載
できない。軍政に反対する人は王様に対する不敬罪でどんどん逮捕されて
いる。特に赤シャツ党に対する取り締まりは厳しい。
●全国77県に1県につき1個師団の軍が駐留することとなった。赤シャツの
地元チェンマイ市の市長には第33師団の師団長が任命された。
また市長、町長、知事、区長選挙は全て停止され、今後、首長は政府から
任命された公務員が務めることになった。 地方議会の議員も政府の任命委
員会が選任する。これにより、予算執行に地方政治家が介入する恐れが無く
なったという。
●先月末、暫定憲法が施行され、8月には暫定議会が開かれる。暫定議会の
議員200 名の内、105 名は現元軍人 10 名は警察、そのほかにも元上院議員
23名と、この議会から誰が首相に推挙にされるかは初めから分かっている。
議会は政府に意見は言えるが、政府の決定に反対はできない。
■「綱紀粛正」
●暫定憲法には汚職追放が条文化されている。軍政になってマフィアや政治
家に賄賂を払わなくても商売ができるようになったという庶民の声がある。役人
にカネを渡して国有林の木を切ってきた製材業者や家具製造業者は商売あ
がったりと聞く。僧侶の不祥事が日常的となっているため、政府から仏教界の
綱紀粛正の命令が出された。 それで24時間受付の破戒僧ホットラインが設け
られた。
●実は82年前の民政移行以来、歴代の政権は汚職追放を公約としてきた。
タイの賄賂文化が軍政のもとで無くなるのか、それともアクトン卿のいうように
「権力は腐敗する。
絶対権力は絶対に腐敗する」のであれば何時から腐敗するのか、暫く様子を
眺めたい。
■(中西英樹さんの経歴)
企業を退職後、合格率2割という難関のJICA海外シニアボランティでウズベキス
タンに赴き大学で教鞭をとり帰国。その後、年老いた病身の母堂の療養のために
研究の末、医療先進のタイでの介護治療に着目、チェンライを介護ロングスティ
の定住地と決めて移住、爾来5年、母堂も快報に向かわれていると聞く。 いま
老々介護問題を抱える日本のシニアから、介護の先達として注目を浴びている。、
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