■■■■■■■■■■「タイの国情」■■■■■■■■■■
■「国家予算を占う」
●そのメコン諸国の中核を自任するタイ国が、2019年度の国家予算
を決めた。予算総額は、3兆3000億バーツ(約11兆2000億円)
主な予算は、
・教育省予算、最大の 2973億5000万バーツ
・国防省予算、 1175億8000万バーツ(約3880億円)
・内務省予算 439億バーツ
●因みに日本の2019年の国家予算は、初めて100兆円をこえた。
(日本の国防予算は、5,3兆円)
タイの国家予算は、ざっと日本の9分の1程度と理解すればいい。
■「世界の軍事力ランキング」(参考資料)
(順位) (国名) (軍人数) (航空機) (戦車) (潜水艦)
1位 米国 140、0万人 13,444 8,848 75
2位 ロシア 76,6 3,42 9 15,398 60
3位 中国 243,0 2.942 9,150 68
4位 日本 25,0 1,590 678 17 ●
5位 インド 132,5 2,086 6,464 14
7位 韓国 62,5 1,451 2,381 15
13位 台湾 30,0 815 2,005 4
16位 タイ 31,0 551 722 0 ●
(出所:世界軍事力総合評価2016)
●去る2015年、暫定軍事政権が鋭意策定した 経済発展計画の
「タイランド40」は、2019年も継続的にその実現を目指す事になる。
その計画とは、2036年までに 国民1人当たりGDP13000ドルを
実現して、高所得国の仲間入りを果たす というものである。
●そのための経済の重点10分野とは、――
・次世代自動車
・スマート・エレクトにクス
・医療と健康ツーリズム
・医療ハブ
・農業とバイオテクノロジー
・未来食品
・ロボット産業
・航空、ロジスティック
・バイオ燃料、バイオ科学
・デジタル産業
本来の農業国から大きく脱皮して、輸出主導型の先端的な経済産業
国を目指すという。。
そして別にタイ・デジタル経済社会開発20ヵ年計画を策定して、21世
紀型のデジタル立国を志向する。
●いまではタイは、東南アジアなかんずくASEANでは、最大の貿易
輸出国である。
●主な貿易相手国はーーー
・中国 11,9%
・米国 10,1%
・日本 9,7% ●
●主な輸出品目はーーーー
・自動車と部品 10,7%
・コンプーター 7,8%
・宝飾品 4,4%
●主な輸入相手国はーーー
・日本 16,4% ●
・中国 15,1%
・アラブ首長国連邦 6,9%、
●主な輸入品目はーーーー
・原油 15,5%
・機械 9,3%
・地金 7,1%
(出所:JTIRO 2017年)
輸出依存度が高いという事は、景気によって左右されやすい経済シス
テムの国でもある。特に最近では中国への輸出依存度が高いために、
米中の貿易戦争など、いわゆる「チャイナリスク」が、経済の不安要因
にもなりかねない。
そのために近年では、ベトナムやミヤンマーなど近隣のASEANの伸
長国への輸出に力を入れて、リスク分散型の貿易国への変貌に努める
という。
●加えて今後、タイの少子高齢化が進み、経済の停滞が危惧されると
いう。高齢化率は、アジアでは、日本に次ぐ。
高度な産業化が進むが、いまでは生産に当たる人出が足りない。
経済専門家の話によると、タイの先進国入りの可能性は、今後の政治
の安定と、経済の高度化と併せて、急速に進む高齢化との相克(戦い)
の結果によるとみる。
■「タイのGDPの推移」 ーーーーーーーーーーーーーーー■
■
■「苦い苦い経験」
●中進国のタイには、苦い苦い経験がある。それは1997年、今を去る
20年前のタイバーツ危機、いわゆるアジア通貨危機のダメージである。
当時の東南アジアASEANは、成長著しく、特に先端を行くタイは、
ひときわ輝いていた。、
●1994年メキシコに端を発したアジア通貨危機は、より安全な投資先と
して、東南アジアへ資金の流入が加速した。
当時のタイは、ドルとバーツの固定変動制だったが、急激なドル高バー
ツ高になったため、タイの国際競争力はみるみる低下した。、
そして海外からの急激な資金の流入による、経済のバブル化で賃金が
高騰した。そのためタイに生産拠点を持つ日本企業などが、安い雇用
コストを求めて一斉に生産工場を中国に移行し始めた。
結果、タイの通貨バーツは、1日で18%も下落した。それにより不良
資産が滞留し、タイはIMFに経済救済を求めた。
●それから20年、タイは農業国から先進の工業国への転換を目指して、
苦渋の選択と努力を続「けて来た。
その後、2001年のタクシン政権の発足、その後2014年のクーデターに
よる軍政の誕生まで、政治体制は大きく変わったが、タイ国経済はAS
EANの中進国としての、前進の歩みをたやさなかった。
■「経済の中進国化」
●タイは、1980年代後半の冷戦体制の終焉によって、国内の民主化
が進んだ。
特に
情報社会の到来や
少子高齢化の進展や
高等教育の大衆化など
で、国民の意識が変わり、経済的にもタイの中進国化がすすんだ
●途中、政治腐敗による
「黄シャツの都市中間層」と
「赤シャツの農村貧困層」の対立で、
体制変革のクデターがおこって、微笑みの国が微笑みを失った国に
変容したが、構造改革がうまく機能して、経済は安定を続けている。
それをもって政治は三流、経済はほぼ一流と言われる所以である。
何はさておき不思議な国である事に変わりはない。
■「暫定軍事政権の確信」
●あくまで素人的な所見だが、このところの暫定軍事政権の政策対応
を見ていると、当初の軍事的な独裁から4年間を経過して、政権維持
への自信を持つたことで、来春に迫った民政へのシフトを、明確に狙
っている節が、ありありと見えてくる。
そのためか暫定首相は、一時の中国偏向政策を改め、米国トランプ
大統領を友好訪問したり英国やドイツを友好訪問したり、日本の安倍
総理を訪ねたりで、このところ軍服を脱ぎ捨てての全方位外交を展開
中である。
●得意のタイ観光のインバウンドも絶好調である。
日本では、新たに九州、福岡に大阪に次ぐ第2の総領事館を開館した。
アッタカーン・ウィンチャナマース氏が、初代総領事として就任した。
西日本の人たちにとって、タイのビザ取得の利便性が向上する。
タイ政府の前向きの外交戦略を評価したい。
■「地方行政組織」
●タイは、欧米型の行政理念を取り入れた、アジアでは珍しい先進の
成熟した行政組織を持つ国家である。今回はその地方行政組織の概
要について触れておこう。
(
(JTIRO,チェンマイ県知事を表敬訪問)
●「タイの地方行政組織の概要』(2018)
(順位)(都県名) (人口) (備考)
1位 バンコク都 824万人 首都
2 ナコーンラーチャシーマ― 県 261
3 ウボンㇻーチャターニー県 184
4 コーンケーン県 178
5 チェンマイ県 166 古都 ●
6 ブリーラム県 157
7 ウドーンターニー県 156
8 ナコーンシータンマラート県 154
9 サコンナコーン県 146
10 シーサケ―と県 146
20位 バトウムター二―県 105
30 プラナコーシ―アユタヤ県 80
40 ルーイ県 63
50 バッタルン県 52
60 プレー県 46
70 アーントーン県 28
77 ラノーン県 18
●タイの地方行政組織は、ASEAN諸国の中でも、最も進んだものと
いつていい。タイには首都バンコクを含めて全国77の県が存在する。
県知事は、政府内務省の行政官が任命されて、各県の地方行政に当
たる。 ある意味で極めて中央集権的である。
加えて首都バンコクに人口が極端に集中し、首都の一極集中は日本
の比ではない。
首都バンコクをのぞいては、地方に殆ど大きな都市が存在しない。
当面、人の移動促進のため国土縦断の幹線高速鉄道網の近代化整
備が急がれる所以である。
■「危惧されるタイの高齢化」 (人口動態資料)
、
■「タイ国の明日」
●当面のタイの課題は、衆目の一致するように、ーーーー
・1)民意による民政化の行方、
・2)少子高齢化と労働力不足への対応、(豊かになる前に老ける危惧)
である。
今後タイが、現政権を含めて、当面する課題にどう善処していくのか、
友好国として、熱いまなざしで注視していきたい。
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