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手負い

昨夜、塾バスである団地を過ぎて丘陵地にさしかかったら、道路の前方に黒い影が見えた。目を凝らしてみたら、「あっ、イノシシだ!」と大きな声で叫んでしまった。山がちな地域なのでイノシシを見ることはさほど珍しくはない昨今だが、このイノシシは何だか違う。「あっ、ケガをしてるぞ!」またまた叫んでしまったが、後ろで一人だけ乗っていた女子中学生も「本当だ!」と叫び返した。車を止めてじっと見ていたらヨタヨタしながらこちらに近づいてくる。足を引きずり首の辺りに出血している。腹がえぐれて毛がなくなっている。「かわいそう!」女の子が叫ぶ。「車にひかれたのかなあ」イノシシのふてぶてしい顔が、あまり好きではない私でも、ふらつきながらも必死で歩くその姿には同情を禁じ得ない。
しかし、次の瞬間、「写真を撮ろう!」スマホを取り出して写そうとしたが焦ったのか、なかなかうまくいかなかった。やっと撮れたのがこの二枚。



この後、ふらつきながらも草むらの中に入って見えなくなった。野生のイノシシの介護などできるわけもなく、ただ眺めていただけだが、重症を負いながらも必死で生きようとする生き物の姿には崇高なものさえ感じられ、ちょっとばかり心がピリッと引き締まった遭遇だった。
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