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タロウ!

 朝目覚めたら、窓の外からクゥ〜ンと弱々しい泣き声が時々聞こえてきた。
「またか・・」
と思ってしばらくほかっておいたが、途切れ途切れではあるがその鳴き声は止まなかった。
「仕方ないなあ」
と面倒臭い気持ちを振り切って、階下まで降りて行き庭に出てみた。すると、案の定、タロウがうずくまって立てないでいる。周りは色んなものが倒れていて、立ちあがろうとジタバタしたようだ。だが、前のように池に落ちてはいなかっただけちょっと助かった。



「おい、タロウ、動けるか?」
と言っても耳の聞こえないタロウは反応しない。首輪を持ってグイと引き上げてみたが、力が入らないのか全く立てない。仕方なくそのまま引きずっていってエサ皿のあるところまで連れていった。
 するとなんだかエサを食べたそうな感じがしたから、ドライフードを少しやってみた。



 立ったりはできないが、まだまだ食欲はあるようだ。皿を抱えるようにして全部食べてしまった。
 う〜ん、まだしばらくは生きられるのかな・・。

 その後、少し暖かくなってきたらちょっと元気が出たのか、座れるようになった。



 さらに昼頃になったらふらつきながらも歩くようになった。



 なんだか不死身の体のようでこの回復力には驚いた。

 傍目から見ればもうボロ雑巾のようになってしまったタロウだが、まだまだ命の炎は燃え尽きないようだ。しかし、早晩燃え尽きるのは明らかだから、その時を静かに待とうと妻と決めている。


 
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