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「推し、燃ゆ」



 女子高生が持っていた「推し、燃ゆ」(宇佐美りん)を借りて読んだ。現代小説に全く疎い私は、この小説が芥川賞を受賞したものだとは知らなかったが、身近にアイドルグループの推しとなっている人たちが多数いるので、題名に惹かれて読んでみようかな、と思った。
 読み終わっての感想は、推しに対する思いは多かれ少なかれ皆んなこんな感じなんだろうな、という妙な現実感だった。女子中学生から還暦過ぎの我が妻までの言動を見たり聞いたりしていると、この小説に描かれた「私」の心象が妙に近しいものに感じられ、特に違和感なく受け入れることができた。
 また、この作者の若い感性に満ち溢れた文章も魅力的で、重苦しい物語のはずなのに読後感がさほど辛くないのは、文章の持つ力のせいなのかもしれない。文学的なバックボーンがしっかりしているせいなんだろうなと感じた。
 別の女子高生が宇佐美りんの「かか」という小説を持っていて貸してくれるというので、またそれも読んでみようと思っている。

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