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「二番目の悪者」

 林木林「二番目の悪者」を読んだ。



 これは少し前にネットで話題になった本で、2014年に発行された本ではあるが、兵庫県知事選で問題となったネットでの偽情報の拡散がもたらしたのと同じようなことが、動物の世界に仮託して描かれている。

 『金色のたてがみを持つ金ライオンは、一国の王になりたかった。自分こそが王にふさわしいと思っていた。
ところが、街はずれに住む優しい銀のライオンが「次の王様候補」と噂に聞き、金のライオンは銀のライオンに関するデマを次々に広めていく。始めのうちこそ信じなかった街の動物たちもいつしか銀ライオンの悪評を真実と思い始めて、とうとう金ライオンが次の王様の座に着いてしまう。
が、王となった金ライオンは自分中心の無茶苦茶な政治を行い、その国を滅亡の淵に追い込んでしまう。国の人々はなぜ、こんなことになったのか、自分はただ聞いた噂を別の人に伝えただけなのに、と後悔するものの覆水盆に返らず・・。
その様子を見ていた雲は嘆く、
「誰かにとって都合のよい嘘が
世界を変えてしまうことさえある。
だからこそ、なんどでもたしかめよう。
あの高くそびえる山は、本当に山なのか。
この川はまちがった方向へ流れていないか。
皆が歩いて行く道の果てには、何が待っているのか」』

 兵庫県でまだ権勢を振るっている金ライオンのことを思うと暗澹とするばかり。
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