先週、「断捨離」の番組を観終わったあと、また感化されて、和ダンスの上段から着ないニットを選び出した。
30年以上前のセーター、カーディガン、ベストも。
タンスの肥やしになっていた。
税理士事務所の職員だったときは、私服を毎日着ての仕事だったので、いくつもニットを持っていた。
ここ数年に買い求めたが、いまいち気に入らなくて、ほとんど着なかった真新しいセーターもあった。
いまは、プルオーバーというのだろうか。
10枚以上は、集まっただろう。
資源ごみで集められた衣類は、自動車のマットにも再利用されるとテレビでやっていた。
この新型コロナウイルスの外出自粛の期間に、各家庭が巣ごもりですることがなく、断捨離をする人が多く、古布がたくさん出されたため、衣類の回収業者は、回収はするものの、自動車産業の休業や、加工する中国の工場の営業停止が影響して、買い上げ先がなく、回収業者に滞ってしまっているという。
そんなことを聞いていたのに恐縮ではあるが、着ないニット、普段着にも着たくない、よほど気に入らないセーター、新しくても似合わないから出番が少なかったものを集めだすと、こんなことになった。
ニットは、それ一枚でその日のファッションの主役を演じてしまうので、気に入らないセーターを着て出かけたり、人に会ったりする気にはどうしてもならない。
きのうの火曜日は、資源ごみの中でも古布もそのひとつの日だった。
古布は、月に2回しか回収の日がないのだが、自治体の注意書きに大事なことが小さな字で書いてある。
「ぬれるとリサイクルできないので、雨の日は出さないでください。」
リサイクルされずに、燃やされるらしいのだ。
タンスの中で、何十年も大事にされたニットは、私の元から去ったあと、だれかの役に立ってほしい。
せめて、リサイクルされてほしい。
それで、きのうの回収日の天気をおとといから気をつけていた。
きのうは、15時ころから雨が降ると言っていた。
夕方まで、1滴の雨も降ってほしくない。
朝の天気予報から、雨がときどき、そして夕方、雨が降る予想だった。
朝8時までに出すことになっているが、どうも、降るかもという日には出したくないので、空模様を気にしていると、今日はやめよう、2週間後にしようと思った。
9時ころになって、空が明るい。まだ、古布が出発してなかったら、出そうか。
そう思って、ゴミの倉庫に見に行った。
各種ゴミの回収の日ではあるが、古布だけが入り口付近に集められ、まだ出発していなかった。
出そう!
そう思って、急いで帰り、束ねたニットを持って走っていくと、ちょうどそのタイミングで回収のトラックが到着していた。
若いおじさん(絶対、私より若い)が私が衣類を持っているのを見て、
「いいですよ、そこに置いてください」
トラックの頭の横あたりに私が立っていた。
「お願いします!」
そこに置いた。
おじさんは、
「9時までに出すようにしてくださいね」
「すみません」
少し作業を見ていた。
ぼんぼん、荷台に放り込んでいた。
私の出した衣類、回収されるかな。
「いいですよ」
そうまで言われてはそこにいられないので、部屋に帰り、バルコニーから、身を乗り出して見ていた。
どうなったか、見えない。
トラックはそのうち出発した。
ゴミ倉庫に行ってみた。
なくなっている。
行ったんだ。
というわけで、私が大事に持っていたたくさんのニットが、廃棄された。