1 資産評価の方法として、①インカム法、②コスト法、③マーケット法がある。知財の場合、③はほぼ使えない。②は理論的根拠がなく、結果として、①が基本となる。具体的にはDCF法である。
2 知財権のうち特許権を例に検討する。特許権がその保有者たる企業のもたらす価値は、独占の利益が源泉となる。独占の利益の計算は、ロイヤリティ料をベースにするのが最もシンプルだ。問題は、予想ロイヤリティ料の計算方法と割引 . . . 本文を読む
平成23(ネ)100006:
本件は、データ復旧サービスに関する文章についての著作権侵害が問題になったものです。一審は請求棄却です。
裁判所の判断は12頁以下。
本判決は、本件コンテンツの著作物性について、ありふれた表現であることを理由として否定しました。
また、本判決は、文章全体の構成及び記述順序について、一般的な表現手法にとどまることを理由として、著作物性を否定しました。
さらに、本 . . . 本文を読む
意匠の類比の判断について創作説と混同説とが対立している。意匠法の目的からは創作説が自然であるが、判例は混同説である。
判例が混同説を採る理由は、創作性の大小の判断が主観的かつ困難であることを前提にして、創作性の高い意匠は混同可能性が高いという経験則の下、混同可能性というより客観性の高い基準を志向するためと思われる。
しかし、創作性の大小の判断の主観性・困難性と混同可能性の判断の主観性・困難性と . . . 本文を読む
平成22(行ケ)10295:
本件は、無効審判不成立審決について取消を求めるものです。
裁判所の判断は17頁以下。主たる争点は容易想到性の有無。
本判決は、本件発明にいう「後退」と周知技術にいう「後退」の意味が相違することから、引用発明に周知技術を適用する動機付けがないと判断しました。本判決は、一般論として、動機付けの意味を「解決課題に思い至り、それを解決するためにどのような解決手段があるか . . . 本文を読む
平成22(行ケ)10281:
本件は、拒絶査定不服審決審判不成立について取消を求めるものです。
本判決は、引用発明の斜視型内視鏡に関する課題は、公知の直視型内視鏡においても生じるものであり、引用発明に示された解決手段を直視型内視鏡に適用して本願発明に想到することは、「重力方向からの内視鏡軸の傾き角度とその角度θ以下」の範囲と、「視界ベクトルの向きと、視界特異点の近傍箇所」には、技術 . . . 本文を読む
平成23(行ケ)10028:
本件は、不使用に基づく商標登録取消審判得成立審決について取消を求めるものです。
争点は、被告商品である果実としての「くるみ」が、指定商品である「くるみを用いた菓子及びパン」に含まれるか。
本判決は、「取引の実情や需要者、取引者の認識、社会通念等を総合して考察すべき」と述べた上で、被告商品は、「くるみを用いた菓子」と解するのが自然であると判断しました。
&nbs . . . 本文を読む
1 現行職務発明制度と動機付け
現行職務発明制度は、発明者に対して相当対価請求権を付与することにより従業員等に発明を促すという動機付けを与えている(以下「インセンティブ・モデル」)との趣旨の説明がなされことがある。
これは、現行職務発明制度の目的の説明として一面の真理を突いているかもしれないが、日本企業の良き人事システムを崩壊させる危険をはらむという意味で、成果主義(成果主義そのものと言っても . . . 本文を読む
平成22(行ケ)10204:
本件は、拒絶査定不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。
裁判所の判断は7頁以下。
引用発明は、本願発明と課題が共通するので、主引例としての適格性があること(判決文には明示されていない)を前提とすれば、ボールの数を多くする手段として周知技術である総玉軸を採用すること「容易に着想」できた、との判断です。
進歩性の判断に際して、裁判例においては、容易想到、 . . . 本文を読む
平成22(行ケ)10363:
拒絶査定不服審決審判不成立に対して取消を求めるものです。
争点は、審判請求書に3人の特許権者のうちの1名の名称のみ記載されていたため、審判請求が、共有者全員のものと認定できるか否か。
裁判所の判断は7頁以下。
裁判所は、かかる審判請求書の記載は誤記であるとして、審決を違法と判断しました。事実認定として当然の結論です。 . . . 本文を読む
平成22(行ケ)10271:
本件は、無効審判不成立審決について取消を求めるものです。
裁判所の判断は18頁以下。
裁判所は、技術常識(26頁記載:証拠は引用せず)を根拠の一つとして、審決の甲1発明の認定(相違点1の認定)の誤り(相違点1は存在しないと認定)を理由に審決を取り消しました。
発明の認定に際して技術常識を考慮することの必要性を改めて教える裁判例です。 . . . 本文を読む
現在、日本の上場企業の多くは、職務発明規定(就業規則の一部)において実績補償方式により相当の対価を支払っている。
しかし、この実務は、旧特許法35条が原則として想定していたものとは異なる。
すなわち、旧特許法35条は、「使用者等が受けた利益の額」ではなく、「使用者等が受けるべき利益の額」と規定しているのであるから、権利の承継時に「使用者等が受けるべき利益の額」を算出して支払うのが原則であり(中 . . . 本文を読む
1 労働経済学からの検討
会社組織の存在による労働市場の(組織)内部化は、取引費用の軽減というメリットがある(中馬「労働経済学」205頁)。しかし、職務発明制度の従い、発明の対価を計算することは、労働の成果に関する取引費用を伴うものであり、労働市場の内部化メリットを減殺している。つまり、職務発明制度は、労働経済学的に正当化できない。
2 経営学からの検討
従業員に対する動機付けは、金銭のみで . . . 本文を読む
職務発明の解釈論の際には、殆ど常にオリンパス最高裁判決が引用・参照される。しかし、当職は、オリンパス最高裁判決に関する一般の理解は誤りではないかと思う。
1 特許法35条の趣旨
オリンパス最高裁判決は、特許法35条の趣旨について、以下のように述べる。
「特許法35条は、職務発明について特許を受ける権利が当該発明をした従業者等に原始的に帰属することを前提に(同法29条1項参照)、職務発明につい . . . 本文を読む
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