醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  226号   聖海(白井一道)

2016-03-04 12:25:59 | 随筆・小説

  沖縄の自己決定権(3)

呑助 今、高校生の間で「安倍過ぎる」という言葉がはやっているらしいですね。
侘助 うん、そうらしい。先日、東京大学名誉教授の佐藤学氏が言っていた。高校生のデモに参加したら高校生が「安倍過ぎる」と話し合っていたと、ね。ひど過ぎるということを言っているんだ。高校生の感覚に学んだなぁーと発言していた。
呑助 難関の進学女子高校の生徒たちの間から流行し始めた流行語だと聞きましたよ。
侘助 高校生は安倍政権の政権運営がひどいと感じたことがあったのかもしれないなぁー。例えば、福島瑞穂参議院議員が安倍首相に対して、自民党憲法草案には98条、99条に緊急事態条項があることをもって、これはナチスの全権委任法への道を開くものだと質したことに、安倍首相は「限度を超えた批判は謹んでもらいたい」と答えた。この回答は確かに「安倍過ぎる」。批判を慎めとは、独裁者の発言だよ。権力者である安倍首相は憲法に縛られた発言しかできないにもかかわらず、立法に携わる国会議員である福島議員に対して「限度を超えた批判は慎め」と発言する。この発言は立憲主義に反する発言だと思うよ。憲法学の第一人者、樋口陽一氏が言っていた。この安倍首相の発言は立憲主義に反すると。憲法違反の戦争法を強行成立させた自公政権の総理だから、現時点においてはもう安倍総理は独裁者だと言っても言い過ぎでないのかもしれないなぁー。
呑助 確かに、今までの自民党の総理大臣とは違うように思いますね。なんか軽い割には、やることがひど過ぎる。
侘助 沖縄の翁長知事が知事選に当選し、総理に面会を求めても時間がないとか言って、会おうとしない。断る。こんなことも独裁者でなければできないよね。
呑助 安倍さんは独裁者ですか。チャップリンだったら、笑いものにするかもしれませんね。実際、現職総理大臣、安倍晋三氏はタモリのテレビ番組「笑っていいとも」テレフォン・ショッキングに出演しているんですからね。
侘助 へぇー、本当なの。
呑助 本当、ですよ。翁長沖縄県知事に会う時間はなくとも「笑っていいとも」には出演する時間はあったんですからね。
侘助 全然、沖縄の人々の気持ちなどに心を配る気持ちなど安倍総理にはないのかもしれないなぁー。
呑助 そんなもんですよ。政治家なんて。
侘助 そういう人間を総理にしている日本人の問題でもあるのかもしれないなぁー。
呑助 私らも、沖縄の歴史についてはほとんど知りませんからね。
侘助 それが本土にいる大方の日本人なのかもしれないから、私たちはもう少し沖縄の歴史も勉強する必要があるよね。
呑助 まぁー、そうですね。
侘助 沖縄は日本で唯一、地上戦が行われた場所だから、県民の四分の一が米軍によって殺された。これは言ってみれば、日本政府によって殺されたようなものだと思うな。なぜなら、もう少し早く、降伏していれば、殺されずにすんだかもしれないからね。
呑助 降伏の決断ができなかったということですか。
侘助 その結果、日本本土の住民に比べて何倍ものの被害を受けることになったんだ。まず第一に多くの住民が殺された。次に多くの住民の土地が米軍によって奪われ、その土地が米軍基地に作り変えられてしまった。
呑助 敗北の痛みをもろに被ったわけですね。
侘助 そうなんだよ。更に1945年に敗戦した後、沖縄の人々は日本人としての資格を失ってしまったんだ。かといって、アメリカ人になったわけでもない。国を失った民になってしまった。これがサンフランシスコ平和条約が成立し、発効した1952年4月28日まで続いた。その間、米軍は基地を拡大したんだ。