醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  251号   聖海(白井一道)

2016-03-31 15:09:43 | 随筆・小説

 野党統一の実現(1)

侘助 今年、夏の参議院選挙が新聞やテレビであまり報道されることはないような気がするんだけれどもね。
呑助 そうですかね。私自身もあまり今年夏の参議院選挙には関心がありませんよ。
侘助 そうでしょ。そのような選挙に無関心な人が増えてくれることを政権を持つ自公政権は望んでいるんじゃないのかな。
呑助 そうなんですかね。
侘助 そうなんだよ。シールズの女性学生が言っていたよ。電車の中で中年の酒に酔った男たちが話していた。シールズのような学生たちがいくら戦争法反対、選挙に行こうよ、野党は共闘と叫んでみても社会は終わっているよ。社会が変わることはないとね。私はこの中年男たちの話を聞いて反論はしない。しかし私は言いたい。先の長い私たちは言いたい。私たちのこれからの生活が今より良くなるように主張したいとね。私たちは集会に参加し、デモをすることによって社会が変わっていっていることを実感している。デモをしたことのない私がデモができるようになった。デモをする仲間がいることを実感した。民主主義とはなんだ。これが民主主義だと。今の現実社会に絶望している中年の酒に酔った男たちに言いたい。戦争法反対。野党は共闘。選挙に行けば社会が変わる。
呑助 シールズとは何なんです。
侘助 戦争法に反対する学生団体のようだよ。
呑助 70年安保の時のような報道がほとんどありませんね。
侘助 メディアが言うようなニュース性がないと判断したのかもしれないな。
呑助 ニュース性とは何ですか。
侘助 、70年安保の時にはゲバルト棒を持った学生たちが大規模な殴り合いをするとか、警官隊と衝突するとかの派手な事件があったが、今回のシールズの学生たちは自分たちの言葉で考えを表明している。ここが大きな違いかな。70年安保の学生たちは自分の言葉で自分の考えを表明していなかった。紋切り型の言葉しか、無かったからね。
呑助 あー、そうなんですか。
侘助 70年安保の学生たちと比べると今の学生たちの方が力があると思うけれどね。
呑助 シールズの学生たちが主張する野党共闘の状況はどうなんですか。
侘助 シールズが主張した野党共闘が少しづつ実現に向っているようだよ。
呑助 野党共闘を阻む者は何なんですか。
侘助 民主党を支援する連合に結集する労働組合が共産党との共闘を嫌っているからだと思うよ。しかし、その民主党右派勢力を説得し、岡田民主党党首が五野党会談に臨んだんだ。その結果、四項目について確認し合った。
 (一)安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする。
 (二)安倍政権の打倒を目指す。
 (三)国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込む。
 (四)国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う。
呑助 衆議院京都三区補欠選挙では共産党との共闘が実現しなかったようですね。
侘助 そうなんだ。今まで京都の共産党と民主党とは闘ってきたからね。そうやすやすとは共闘できないんだろうがね。そうは言っても歴史を振り返って見ると今まで武器を持って戦ってきたものが共闘した経験があるんだ。
呑助 へぇー、そんなことがあったんですか。
侘助 日本での経験ではないんだ。中国の国民党軍と共産党軍が抗日という点で戦いを棚上げして共闘した。これを国共合作と云っているんだ。1931年、柳条湖で日本軍が満州鉄道を爆破し、中国軍の犯行だと決めつけ日本は中国への侵略を始めた。抗日のため36年の西安事件を機に国民党軍と共産党軍は共闘する道を選んだ。これが国共合作だった。蒋介石率いる国民党軍は共産党軍との共闘に腰が重かったが、西安に赴いた蒋介石は西安の軍閥張学良によって共産党軍と戦っている場合ではない。今一番の敵は日本だ。日本と戦うためには国民党軍と共産党軍は協力しなければならないと暴力をもって張学良は蒋介石に迫った。やむなく蒋介石は部下の張学良の提案を受け入れ、国共合作が成立したんだ。張学良が国共合作を上司蒋介石に国共合作を提案したように、現在の日本では学生団体シールズやママの会、総がかり実行委員会などの市民団体が安倍独裁政権を倒すためには民主党と共産党とは戦っている場合ではない。安倍自公政権を倒すためには民主党と共産党は手を組み、協力しなければならないと共闘を促している。この市民団体が張学良の果たした同じような役割をしているんだ。