醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1066号   白井一道

2019-05-17 12:22:00 | 随筆・小説



   米中貿易戦争に思う 



 米中貿易戦争で中国はアメリカに負けるだろうと日本のマスコミは報じている。本当にそうなのだろうか。
 アメリカは中国からの輸入品に25%の関税をかけると言っている。中国もまたアメリカからの輸入品に対して同じように関税をかける。アメリカ国民は中国からの輸入品を購入する場合今までより25%も高い商品を買わせられる。同じように中国国民もアメリカからの輸入品を購入する場合、今までより25%も高い商品を買わなければならない。
 米中両政府は自国国民に被害を与え合うようなことをなぜするのだろう。中国政府はアメリカで売れなくなった中国商品を製造している会社に補助金を出し、助けるような政策があるようだ。このことをアメリカ政府は批判している。中国企業に打撃を与える目的で行っている中国からの輸入品に関税を課すアメリカ政府の政策を無価値にするものだからであろう。中国政府の産業育成政策に対してアメリカ政府がイチャモンを付ける。これは内政干渉というものなのではないだろうか。
 自由貿易を主張してきたのはアメリカ政府だった。力の強い国は自由貿易を主張する。自由は強い者にとって有利だ。米中貿易においてアメリカ政府が中国の対アメリカ貿易は不公正だと主張した点においてアメリカは敗北している。敗北しているから勝者に対して不平を言う。強いアメリカ政府が言うことなのだろうか。