5日付各紙は、ホワイトハウスが3日夜、オバマ米大統領が、7、8日両日インドネシア・バリ島で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合と、9、10日ブレネイでの東アジア首脳会議を欠席すると発表したことを大きく報道しました。
また、オバマ大統領はバリ島で環太平洋連携協定(TPP)交渉の首脳会合を主宰し、年内合意を目指していましたが、同会合への出席も取りやめることになりました。
ホワイトハウスの声明は「歴訪の中止は下院共和党が政府の閉鎖を強いている結果だ」と指摘しています。 「米国では1日から政府機関の1部閉鎖に加えて、10月半ばまでに連邦債務の法定上限(16兆7000億㌦)が引き上げられなければ債務不履行(デフォルト)に陥る事態も深刻な問題として浮上しています」(「しんぶん赤旗」5日付、ワシントン=島田峰隆記者)。
「米財務省は3日、報告書を発表し、もし米国が債務不履行に陥れば、雇用や消費、金融市場に壊滅的な影響を与えるとして、『2008年と同じか、それを超える深刻な金融危機や景気後退が起きる可能性がある』と指摘しました。」
また、「オバマ氏や財務省は今月17日には現在実施中のデフォルト回避策が限界に達するとして議会に上限引き上げを認めるよう求めています」(同前)
米国は、11年にも財政危機のもつれからデフォルト寸前に陥ったことがあります。
今回も土壇場で回避されるという見方は強い一方、「その保証はどこにもない」(米紙ワシントン・ポスト=産経ニュース電子版)という報道もあります。
デフォルト危機の深刻さが伺えます。
TPP交渉の行方はどうなるのでしょう。日本政府は、オバマ米大統領の環太平洋連携協定(TPP)首脳会合欠席はについて、「TPP交渉の行方を大きく左右するものではない」(政府筋)と報道されています。(5日付、「読売」)
また、各紙は、「正念場TPP 主役不在」「参加国 拍子抜け」「年内妥結に暗雲」=「読売」。「議長不在」「TPP打撃」=「朝日」。「遠のく年内交渉妥結」「神奈川」と大きな見出しで、オバマ米大統領のTPP首脳会合欠席の影響を懸念する内容を報道しています。
「神奈川」は、「ヌサドァ共同」の配信記事を掲載しました。
その中で「通商交渉に詳しい米関係者は、『議会との対立が解けない政権を相手に、他国がどこまで真剣に協議に応じてくれるか疑問だ』と交渉の勢い低下は否めないと指摘した」と紹介しています。
TPPは、日本の食料主権、経済主権をアメリカに奪われるものであり、日本共産党はTPPへの参加にきっぱりと反対しています。
JA全中などが開催した2日の「TPPから食と命・暮らしを守る全国代表者集会」で志位委員長は「日本を丸ごとアメリカに売り渡すTPPに断固反対」と訴えました。
「しんぶん赤旗」の5日付「潮流」は「米国はすでに、財政難に伴う国防費削減で、海外での米軍の活動を縮小するなど、存在感をじわじわと低下させています。 予算をめぐる対立は一時的なものかもしれませんが、かの国が世界を思うように支配してきた時代がすぎ去ったことは、だれの目にも明らかです。
それでも日本政府は、米国主導の秩序にしがみついています」と評しています。