綱領の一部改定案は、「三、二一世紀の世界」(改定案)」に「第九節」を全文新設します。 「新第九節」の冒頭部分には次のように叙述されています。
「植民地体制の崩壊と百を超える主権国家の誕生という、二〇世紀に起こった世界の構造変化は、二一世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている」
「一握りの大国が世界政治を思いのまま動かしていた時代は終わり、世界のすべての国ぐにが、対等・平等の資格で、世界政治の主人公になる新しい時代が開かれつつある。 諸政府とともに市民社会が、国際政治の構成員として大きな役割を果たしていることは、新しい特徴である」
こうした世界政治の「構造変化」の力が発揮されはじめている情勢の中で、綱領に立ち返って、改めて日本の政治の現状について考えて見たいと思います。
「綱領第二章、現在の日本社会の特質」「第四節」は、「第二次世界大戦後の日本では、いくつかの大きな変化が起こった」として、三つの基本的特徴点を挙げています。
「第一は、日本が、独立国としての地位を失い、アメリカへの事実上の従属国の立場になったことである。 敗戦後の日本は、反ファッショ連合国を代表するという名目で、アメリカ軍の占領下におかれた。 アメリカは、その占領支配をやがて自分の単独支配に変え、さらに一九五一年に締結されたサンフランシスコ平和条約と日米安保条約では、沖縄の占領支配を継続するとともに、日本全土においても、占領下に各地につくった米軍基地の主要部分を存続させ、アメリカの世界戦略の半永久的な前線基地という役割を日本に押しつけた」
「日米安保条約は、一九六〇年に改定されたが、それは、日本の従属的な地位を改善するどころか、基地貸与条約という性格をくわえ、有事のさいに米軍と共同して戦う日米共同作戦条項や日米経済協力条項などを新しい柱として盛り込み、日本をアメリカの戦争にまきこむ対米従属的な軍事同盟に改悪・強化したものであった」
「『第五節』~日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。 日本の現状は、発達した資本主義国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある。 アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである」
「『第六節』~日本独占資本主義と日本政府は、アメリカの目したの同盟者としての役割を、軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的、能動的に果たしつつ、アメリカの世界戦略に日本をより深く結びつける形で、自分自身の海外での活動を拡大しようとしている」
「対米従属と大企業・財界の横暴な支配を最大の特質とするこの体制は、日本国民の根本的な利益とのあいだに解決できない多くの矛盾をもっている。 その矛盾は、二一世紀を迎えて、ますます重大で深刻なものとなりつつある」
「世界の構造変化」が「生きた力を発揮しはじめている」世界の大きな流れのなかで、国際連帯を深めながら、「国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開く」市民と国民、そして野党が共同したたたかいが各分野で力強く発展しつつあることに励まされています。