安倍首相は、15日招集された臨時国会の所信表明演説で、「首相就任から10カ月間、私は地球儀を俯瞰する視点で23カ国を訪問し、延べ110回以上の首脳会談を行った」と外交活動を「報告」しました。 また、「私は、『現実』を直視した外交・安保政策の立て直しを進める。国家安全保障会議(日本版NCS)を創設し、官邸における外交・安保政策の司令塔機能を強化する。 これと併せ、わが国の国益を長期的視点から見定めた上で、『国家安全保障戦略』を策定する」
その中身は、「日米同盟を基軸とし、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった価値観を共有する国々との連携を強めていく」というものでした。
直接的には、集団的自衛権の行使容認に言及していませんが、その意図は、日米同盟を基軸にして、米国と一体となって、世界中のいかなる地域にも自衛隊(改憲されれば国防軍)を出動させ、戦争する国づくりに本格的に乗り出す意図を露骨に表明したものではないでしょうか。
首相は、「『現実』を直視した外交・安保政策を立て直しを推進する」と明言しましたが、いったい、どんな「現実」を見てきたのでしょうか。
安倍首相が参加した、10日の東アジア首脳会議(ASEAN10カ国と日本、中国、韓国、インド、米国、ロシア、オーストラリア、ニュージーランドの計18カ国=ブルネイで開催)の議長声明では、「TAC(東南アジア友好協力条約)の原則に基づいたインド洋と太平洋の広大な領域で友好協力条約を締結するというインドネシアの構想を評価する」と表明しています。
この構想は、「インド太平洋地域友好協力条約」とよばれています。 インドネシアのマルティ外相が今年5月、米国での講演で明らかにしたものです。 TCAをモデルにして、インド洋・太平洋の広大な地域で、「緊張の悪循環を終わらせる」よう呼び掛けています。 アジア太平洋の国々が戦争放棄を確約しようとうものです。 こうした流れが今、”現実”に起きている世界の姿です。
全国革新懇ニュース10月号に、元内閣官房副長官補の柳沢協二さんのインタビュー記事が掲載されました。 柳沢氏は、防衛官僚出身で、自衛隊のイラク派兵を統括した経歴の持ち主です。
柳沢氏は、「これまでの政府は日米同盟という枠のなかで、思考停止してきたと思います。 もう日米同盟という『馬鹿の壁』を突き破らなければ、その先が見えない。 もう軍事介入の時代ではないからです。 いまの世界を見れば、すべてを軍事で解決するというよりは、できるだけ静かに解決する共通のルールをつくっていこうという流れが相当強くなっています。 このとき日本は平和憲法があることをもっと強調して、平和の国際ルールを強いものにしていくチャンスを迎えていると思います」と語っています。
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