日本共産党の綱領は、第2章で「現在の日本社会の特質」について述べています。【第4節】 その第1として、次のことを明らかにしています。
「日本が独立国としての地位を失い、アメリカへの事実上の従属国の立場になったことである。 敗戦後の日本は、反ファッショ連合国を代表するという名目で、アメリカ軍の占領下におかれた。 アメリカは、その占領支配をやがて自分の単独支配に変え、さらに1951年に締結したサンフランシスコ平和条約と日米安保条約では、沖縄の占領を継続するとともに、日本全土においても占領下に各地につくった米軍基地の主要部分を存続させ、アメリカの世界戦略の半永久的な前線基地という役割を日本に押しつけた」
「日米安保条約は、1960年に改定されたが、それは、日本の従属的な地位を改善するどころか、基地貸与条約という性格にくわえ、有事のさいに米軍と共同して戦う日米共同作戦条項や日米経済協力の条項などを新しい柱として盛り込み、日本をアメリカの戦争にまきこむ対米従属的な軍事同盟条項に改悪・強化したものだった」
【第5節】では、「わが国は高度に発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカにに握られた事実上の従属国となっている」
「日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍の掌握と指揮のもとにおかれており、アメリカの世界戦略の一翼を担わされている」
「日本とアメリカとの関係は対等・平等の同盟関係では決してない。 日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある。 アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである」
ここで指摘されている、1951年のサンフランシスコ平和条約と日米安保条約(1960年の改定)が、日本の憲法体制と相容れない日本の主権を奪い、対米従属国家という異常な事態の根源になっていることは明らかです。
この条約は、アメリカ主導で、日本国内の全面講和をもとめる声も封殺して締結されたことも歴史的事実です。その条約には、知られているように、第2条(C)項が規定されています。 その内容は次のようなものです。
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
アメリカはなぜこの規定を書き込んだのでしょうか。
それが、1945年のヤルタ会談でソ連のスターリンが、対日参戦の条件として、「千島列島の引き渡し」を要求し、その要求に米英側が応じ、そのことが、「根拠」となって、「サ条約」に盛り込まれたとみることは無理のないことではないでしょうか。
日本政府は、「ヤルタ協定」について、「法律的効果をもつものではない」と否定していますが、「領土不拡大」という戦後処理の大原則に反する不公正なものであることについて正面から批判、堂々と是正を求めるべきではないでしょうか。 この立場が今、強く問われていると思います。
日本の事実上の対米従属状態と一体に、千島列島の放棄、ロシアの占領状態が続けられています。 このことは、21世紀の今日の世界に例のない日本の異常な「主権なき国家」の実態が浮かび上がらせています。
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