きれいなきれい〈田添公基・田添明美のブログ〉

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お盆      田添明美

2021年05月18日 11時10分57秒 | 「いたずら」田添明美

実家は、本家だった

お盆になると 朝のうちに
男衆が 墓地の草刈りに行った

なぜか
女衆は 男衆より先に
昼間 墓参にでかけた

夕ぐれ
本家である当家に
分家の 男衆が集まり

全員
夕ぐれのなかを、
白い 羽織を着て
黒い 家紋の入った
白い 盆提灯を持ち
墓地に 向かって歩いて行った

ぐっと
苦虫を噛みつぶしたような
明治生まれの
男衆が 寡黙に歩いて行く姿は
威厳があり
そして
小学生の私は、たまらなくこわかった

その風習はもうない
分家と本家の関係も とうに
なくなった

しかし、
夕ぐれ
白い羽織姿で
盆提灯を持ち
歩いて行った
明治生まれの 男衆の姿は

消えないのだった


          R3.5.4


“ブタナ” の名称とは……

2021年05月18日 09時08分54秒 | 写真画像

今朝の和光樹林公園での撮影です。綿毛もあって,黄色で

タンポポの花に似ている群生を撮影してきました。

帰宅後,この植物名を検索すると,“ブタナ” ということが

分かりました。豚には悪いけど,可哀想な名称です。

オオイヌノフグリもそうですが,もう少し可愛い名前を

思いつかなかったのか!

それと,サクラの種類は不明ですが,しっかり実が

なっていました。食べることが出来るのだろうか?

暗い場所だったので,これは内蔵のストロボ撮影です。

 

 

 


風林    田添明美

2021年05月17日 08時47分52秒 | 「いたずら」田添明美

歩けなくなり 実家の施設に入居する事に
なった母は、健康診断で
結核が判明し 東京病院に入院した

二ヶ月後 施設に入居できたが
入居一年弱で 結核が再発し
結核・敗血症・心不全 三種の合併症で
東京病院に 医師付きで搬送された

医師は、生死は一週間で決まります
治癒しても 寝たきり・酸素マスクの
生活になるかもしれません と述べ
それでも、構いません と姉妹で応えた

治療は順調で、母はある日
どうして、私はなんで生きてたんだろうと思う。
私を殺してちょうだい。
生きていても、しょうがない。
(でも、神様は、生かしてくれているの)
どうして?
(生きろって言ってる)
私は そう応えた

次の施設は 私達姉妹の近所大宮で
何度も会えた

そこには 書道教室があり、お手本の中から
好きな言葉を 選んで書く事ができた

皆「新年」って書いたけれど
私は「初春」にしたの と母はいった

母の亡くなる三日前 書道教室があり
母は「風林」と 達筆な字で書きなぐった
ほとんどものを 食べられない状態だった

はやきこと 風のごとし
しずかなること 林のごとし

母は
最後に
この言葉を 選んだ

あなたがいなくなり
わたしの心は しずかになりました
そちらはどうですか

ここに、いるじゃないの
ふいに
近くで
母の声がした


           R3.5.4

 

 

1963年


絵       田添明美

2021年05月16日 10時22分53秒 | 「いたずら」田添明美

死に物狂いで 絵を描いたことはなかったが
狂ったように 描いた頃はあった

一階で 筆洗いのバケツに水をくみ
二階の 自室へ駆けのぼろうとしたら
母が(狂ったようだ) といった

心急き
ガンガンと 音楽を鳴らし
集中したが
水彩の重ね塗りは 色がにごった

パネルの前にうずくまり
後ろに下がり なんども見直した

結婚し 子どもが生まれると
おぶって描いた

するすると やわらかな絵を
描けたのは
十年で 三回だけだった

描き止めた時も 覚えている
自分には
画才がないと 知ったからだ

どんなに アイディアを持っていても
それを現す
画力がなかった

熟れることが できなかった

今頃 あれらの記憶はどうしているのだろう

できるなら
聞いてほしい
絵よ、
童話よ
わたしは こうして 詩を書いている


               R3.5.3

 

H8.11.16制作

 

            


ドクタミ

2021年05月16日 09時59分26秒 | 写真画像

少し前まで「近所にはないようだ」と思っていたドクダミは,

一度見つかると次々とあらゆる所にあることが分かりました。

今朝はそれを撮影。現場で撮り,少し摘んできて自宅でも

撮影しました。

以外だったのは,記憶ではもっと匂いが強いはずだったのに,

実際はそれほどでもなかったこと。もしかして,自分の

嗅覚が衰えたか……(^o^;)。

 

 

 


ハグ       田添明美

2021年05月15日 09時56分19秒 | 「いたずら」田添明美

あおい夜空に
はぐれた 星がいる

ぼく みんなに ついていけなかったの
みんな 雲に かくれたのに
ぼくだけ 残ったの

なるほど
そこだけ 明るい

ぎゅっと してくれる?
みんなが 出てくるまで

たった ひとつの
星の声を
聞いてしまった

いいよ
わたしは
夜空に 手をさしのべ

ハグをした


         R3.5.1

 

 

付記

今日は感動しました。
施設入りした92才の友人が、コロナで面会謝絶になったから
文通して欲しいと言い、
昨年5月から、彼女と文通を始めました。

彼女が施設の生活が、全く面白くないと言うので。
読書家で短歌(元、明日香・支部長)をしているので。
2回に分けて詩を、どっと送りました。
一つの作品に、いいねが幾つ付いたか、鉛筆で書きました。

今日で文通は16回目です。
「明美ちゃんの詩、私もいいねをつけさせてもらいますが
 すべていいねになりそうなので、特別いいねだけにします」

と!!
なんと(何作送ったか記憶ぜろ)、16作品にいいねを付け。
全てに感想を、書き送って下さいました。

ありえない、さすが92,さすが短歌。嬉しさで一杯です。
(小林一茶)明美ちゃんも凝り性なんですね。
「どうせ、すぐあきるよ」と言う、ご主人の言葉と、
 終わりの三行が面白い。ご夫婦の仲の良さがうかがえます。

(お礼)この童謡は知りませんが、豚に負けてたまるか、
 頑張って。

(旅)明美ちゃんはお義母様のことが好きだったのね。
 亡くなられ三年間、ショックで詩が作れなかったなんて。
 でも又作れるようになりよかった。

この方が亡くなられると、私は親の世代の一切を失います。
大切にしたい方です。
今日は、本当に嬉しい日でした。


帽子      田添明美

2021年05月14日 11時10分00秒 | 「いたずら」田添明美

だれもが 見たもの
それぞれの、人生

散り散りになった 過去を
ふりかえって 見ている

小さくて
大きい

大切にしたものは、

胸に とどまった
この、時を
解き放つ

どっ

繰り出して
あらゆる表情(かお)が
広がっていく

そっと
衿を正す

帽子を、
被りなおす


        R3.5.1

 

 
          
       

       (亡き母の、母の日に植えたシャクナゲ)

 

 


雨上がり恒例のビチョビチョ画像

2021年05月14日 09時31分07秒 | 写真画像

昨日は雨で行けなかった自転車のカバーには,

バラの花びら模様が出来てました。

このカバーを剥ぎ取り,花びらを周囲にまき散らし,

曇り気味の空の下,快適なポタリング♪

途中で,こんなに大きな原っぱがまだあったんだ!

と,雨上がり恒例の水滴でビチョビチョの画像。

 

 


au 勧誘     田添明美

2021年05月14日 08時34分10秒 | 「いたずら」田添明美

今日の午後 飛び込みで
auの人が 今なら(かんたんケイタイ)に無料で変えられます。
変えないと、来春今の機種は、使えなくなります
と言われても

玄関で、ゴムひもひとつ買った事のない私は
(あなたが、auの社員だという事を証明して下さい)と応えた。
彼は会社に電話するが つながらず
(上司に、電話して下さい)と言うと、上司に電話した。
上司は(社員だと保証します。胸に下げている保証カードを御覧ください)
と言うので見ると、カードを下げているので、家に上げた。

夫の勧めに従っただけだが、なんと3時間掛かった。

大柄で純朴そうな彼は、
1回ごとに(ありがとうございます)を繰り返した。
手がふるえていた。
(僕は営業は、得意なんです)と一言、大阪人27才は言った。
そこが20代だと思ったが、黙っていた。

(足の悪い方が 多いですね)には応えた。
(私の足は、たまたま4~5日前から、具合が悪いだけです)
そこが、27だよ と又思った。

密談形式なので、遠ざかって 夕飯を作った。

長い事お邪魔しました
彼は言った。
今日は 工事の職人も入っている
本当に 長い時間だった。

娘が自販機で買ってきた お茶とコーヒーを差し出し
(おすきなのを どうぞ)と言うと
彼は素直に コーヒーを選んだ。

ゴムひもも買った事がないのに、彼のお陰で
無料で(かんたんケイタイ)を手に入れた日だった。

 

               R3.5.13

付記

 
もう一つ、オチがあるのですが。最後の頃、彼は(今度は、お客様の証明が必要なのですが)と言い、
つい私は(保険証でいいですか?)と聞きながら、彼に1本取られたと苦笑いをしました。
彼は玄関で動揺し、最後に、彼は彼で手を打ったのです。

 


つばさ      田添明美

2021年05月13日 11時13分39秒 | 「いたずら」田添明美

もうじき お互いに死んでしまうね
と 死んだはずの あなたがいったので
驚いた

あなたは けろりとして
さあ 今日はなにを食べるかな
      どこへ行こうかな
きみは どこへ行きたい
といったまま
とっとと 行ってしまう

後ろ姿に つばさが見える
飛んできたのだろう
さっそうと
空の向こうから

さて わたしは どこへ行こうかな
ちょっと おしゃれして
姿見を
そっと 見ると

わたしの後ろにも
つばさが 生えかゝっていた
ふぁふぁ

かるく、はばたいていた


           R3.4.29