芸備地方史研究会へ投稿していた標記単著(岩田書院、2015年2月、A5判ソフトカバー、126頁、1,800円+税)の書評(16~22頁)を掲載する会誌が完成し発行されました。
本書は、中国清王朝の商人の手配によって現在のベトナム国域から長崎へ移され、享保14年(1729)、江戸幕府に献上された象1頭の国内通行を対象としました。そして、経路上にある各宿の役人などが情報の収集・交換をしながらいかに迎接の準備をしたのかを、平易な文章で概説したものです。
江戸時代において、長崎から山陽道など街道をとおりつつ江戸まで移送された象は、その1件のみ。しかも、1週間のうちに通過したものだから近世芸備地方史研究の素材としてはなかなか取り上げられてこなかった、というのが実情です。こうした研究動向に対し、幕府直轄街道の1つ東海道の現愛知県域を対象フィールドにしつつ公用通行をめぐる情報ネットワークを解析された著者が一石を投じてくれたとして、このたび投稿させていただきました。
ぜひご味読ください。