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政権交代のある国へ

2008-07-01 16:19:10 | より良き我国のために

 私はあえて言うなら無党派層に属します。 しかし選挙権を得てから約40年間自民党及びその候補者に投票した試しがありません。 それはひとえに政権交代のある国を希求してきたからです。 我が国では1955年以降半世紀以上をほぼ一貫して自民党が政権を担ってきました。 15年程前に細川・羽田非自民党政権が例外的にありましたが、足しても1年に満たず、実質的な政権交代とは言えません。

 長期政権はその効率の良さゆえに戦後の復興から高度成長時代までは十分機能したと言えるでしょう。 国全体のパイが大きく広がる中で、その配分に多少の問題があろうとも、国民の生活も潤っていったので、あまり文句も出なかったのです。 しかし90年代以降一転して低成長時代に突入します。 資源と言えば人的資源のみで、世界の工場だった我が国が、その地位を東南アジアや中国に奪われていった結果です。 さらに今では世界でも有数の少子高齢化の国となり、その唯一の資源さえも危うくなりました。 このように国全体のパイが小さくなると、その配分には少しの無駄も許されなくなります。 

 現在世界の中で富の配分が劣悪なのは軍事政権や独裁政権などの非民主国家です。 たとえば先頃サイクロンの甚大な被害を受けたばかりのミャンマーですが、各国からの救援物資は被災者に充分届いていません。 途中で権力者、役人などが収奪、横流ししているからです。 あまつさえ軍事政権は殆どの国からの人的応援を拒否しています。 国民の命よりも、実情を外の目に曝されないことの方が大事なのです。 やや遅れて四川省が未曾有の大地震に見舞われた中国ですが、民間や外国資本の建物が無事な中、学校の校舎は軒並みペシャンコになり“お殻校舎”と呼ばれています。 これら公共建築物に大規模な手抜き工事があり、おびただしい数の幼い命と引き換えに、業者と役人が甘い汁を吸ったのでしょう。 現在中国政府は本件の報道を厳しく規制する一方で、共産党員や官僚に多発する腐敗の撲滅に大わらわです。

 逆に富の配分で比較的良好なのは欧米先進諸国です。 米、英、独、仏など各国は選挙を通じ時計の振り子のように政権交代を繰り返します。 そこでは与野党がこぞって国民の声に耳を澄ませ、国民のための政治がおこなわれています。 その政府と省庁との間に癒着やなれ合いは起きにくいでしょう。 仮に与党と癒着した不正があったとしても、次に野党に政権が移ったとたんに摘発されるからです。 特に米国では政権交代があると、官僚の上層部もガラリと交代するようです。 かくして前政権時代の行政評価が次政権によって厳格に判定され、新しい民意が省庁の末端まで徹底されやすいのです。 たとえば出生率ですが、これらの国ではかなり以前に底を打ち、上昇しています。 これは政府の施策により、子供を産んでも何とか育てていけるという安心感が国民の間に定着した証拠です。 また新薬の承認も我が国よりはるかに早いです。 これも政府が国民の健康と命を大事にしている証拠と言えるでしょう。

 現在の我が国はこれら両者の中間に位置していると言えるでしょう。 民主国家には違いないのですが、自民党政権が長く続き、本格的な政権交代が無かったからです。 その弊害のひとつは政権党と官僚の癒着にあります。 本来前者は国民の信を受けて行政の実務部隊たる後者を指揮監督するもので、両者の間には適当な緊張感が必要です。 しかし現実は自民党と官僚は一体化し、相互依存していて省庁の権限を地方に移譲するとか、天下りを全廃するなど、省庁の利に反する政策は一向に進みません。 更に年金管理のルーズさ、後期高齢者医療制度設計の杜撰さなど低いレベルの仕事ぶりや最近発覚した“居酒屋タクシー”に代表されるような税金の浪費と特権意識もあります。 これらは政権が省庁をまともに指揮監督できていないことを示しています。 

 弊害の二つ目は真に国民のための政治になっていないことです。 水俣病をはじめとする多くの公害やサリドマイド禍をはじめとする幾多の薬害での行政の対応を見ても、国民の健康や命よりも企業の利益を優先したことが分かります。 最近の財政再建においてもどこを切り詰めるかといえば、主に社会保障費や生活保護の母子加算、老齢加算などです。 また何を増税するかといえば低所得者に辛い消費税と大多数の国民の所得税です。 一方で企業には研究費助成や法人税などで減税をし、一握りの高所得者の所得税の累進税率は大幅に下げました。 つまり弱きをくじき強きを助ける政治になっているのです。 政権交代のないところでは政治家の関心は声なき国民よりも資金があり、声も大きいものの方に向きがちです。

 それでは国民の大多数がこの長期政権を支持してきた理由は何なのでしょうか。 変化を好まない国民性とあいまった民度の低さではないでしょうか。 かつてある選挙区では政府高官を務めた有力国会議員が“愛郷無限”と書いた広告塔を立て、同じ文言の宣伝ビラを配っていました。 つまりトップクラスの大臣でも選挙区に利益をもたらさないと選挙に勝てなかったのです。 中央とのパイプを誇示し我田引鉄や我田引道をする人へ投票する有権者が大勢を占めていました。 目先の利益や職域、地域のしがらみで議員を選び、理念や政策で選んでこなかった付けが、今国民に先行き不安という形でのしかかっているのです。 国政選挙でも50%を切るような低投票率も民度の低い証拠です。 政治に無関心な人が多ければそれなりの政治しか与えられないということでしょう。

 今衆参両院にねじれが生じており、政権交代の一歩手前の状態にあります。 自民党のある元首相はこれを“政治が進まない困った状態”とし、“大合同ならぬ小合同をすべし”と言っています。 確かに彼らにとっては困った状態に違いありません。 しかし自民党が民主党に抱きつき、自民党を含む政権がさらに続くようでは国民が困るのです。 遅くとも来年の秋までには総選挙があります。 ここで国民はこぞって政権交代を実現させましょう。 そして少なくとも数年はこれを持続させ、半世紀に及ぶ政治と官僚の癒着による悪弊を一掃させましょう。 永田町と霞が関及び地方にある税金の無駄遣いを正すだけでもかなりの財源が生まれると思います。 また政権を度々変えることによって国民が真の主人になっていくことでしょう。 政権交代のある政治は不安定で落ち着かないように思えるかもしれません。 しかし欧米の先進国ではすでにこの状態が続いており、その国民は少なくとも現在の日本国民よりも幸せなのです。