貴党が自民党と連立を組んで15年になりますね。その自民党は立党当初から党是として自主憲法制定を謳い、最近の草案では天皇の元首化、国防軍の明文化、基本的人権の制限、国民主権の制限などを目指している政党です。そんな自民党と中道・平和主義を標榜する貴党とはいわば水と油の間柄で、その2党が連立を組んだことに当初から違和感を禁じえませんでした。
然るに今の自民党は特定秘密保護法強行採決を始め、国家安全保障会議を立ち上げ、武器禁輸三原則を緩和し、そして集団的自衛権容認の閣議決定を強引に目指しており、近年まれにみる反平和主義的な政権です。更にかつて占領・侵略した近隣国の傷口に塩を刷り込むような言動を繰り返し、それがため反発を受けて首脳会談もできず、米国をはじめとする世界各国の顰蹙を買って膨大な国益を失っています。もはや貴党がこれ以上連立を続けることは国民にとって弊害の方が多いのではないでしょうか。貴党の選挙協力によって自民党議員を増やしてしまうこともまたマイナス要因だと思います。
自民党はもし、解釈改憲によって集団的自衛権が容認されたら、朝鮮半島や中東などでの有事の際にも武力を使って日本人の命を守ることができると言っています。しかしこれはまやかしです。例え日本側が後方支援のつもりであっても、敵対勢力側から見れば兵站の一部であり、真っ先に攻撃される危険性があります。かくして国内の米軍施設はおろか、自衛隊施設、原発施設に至るまで叩かれる危険性が出てきます。その被害たるや想像に絶するものになることでしょう。
それだけではありません。これまで日本人は世界中のどこに居てもかなり安全でした。それは日本がこの約70年間、武力で外国人の命を奪う事が無かったからです。しかし集団的自衛権行使を認めた途端、世界は我が国を米国の手先と見做すでしょう。米国人がそうであるように、日本人は国内を含め、世界中のどこに居ても常にテロの危険性に怯えざるを得なくなります。「日本人の命を守る」どころか「日本人の命を危うくする」公算の方がはるかに大きいのです。
公明党の皆さん、是非ここで集団的自衛権容認の閣議決定を阻止してください。今回の解釈改憲はもう解釈のレベルを超えて白を黒と言いくるめるに等しい所業です。もう9条の精神は片鱗すら無くなります。正式な憲法改正以外ではできる筈もない変更です。もしこれを許したら我が国の民主主義と立憲主義は地に落ちることでしょう。
いま自民党は貴党の賛同を得るために、これをできるだけ小さく見せています。しかしたとえ小さな穴でも開いてしまえばあとはこれを大きく育てていくつもりでしょう。また一旦集団的自衛権を行使して開戦してしまった後では、ほとんどの制限は有名無実になってしまう危険性は高いです。
貴党が閣議決定を阻止した暁には多分連立解消となることでしょう。そして自民党は石原新党を含む新たな連立政権を構築してでも閣議決定を成し遂げるかもしれません。しかし道義的に中道・平和主義の貴党を失う痛手は計り知れないものがあります。ましてや今まで貴党の集票力に頼ってきた選挙において、ダメージはより大きいはずです。
公明党の皆さん、自民党との連立を解消した上で政界再編を目指してください。結集の旗印は「真の平和主義」です。軍備競争を煽って中韓両国との和解が望めない今の自民党に代わり、現在の憲法解釈を守って両国とも仲良くやっていける政権を目指すべきです。そして昨年来の特定秘密保護法、国家安全保障会議立ち上げ、武器禁輸三原則の緩和、集団的自衛権行使容認、更には原発位置づけのベースロード化、原発輸出方針等を全てゼロベースで見直して下さい。
世界中の領土問題を含むすべての紛争を武力でなく、対話で解決することは可能です。更に貧困と差別を解消していくことで紛争の種さえ摘み取ることも可能です。これがガルトゥング等によって前世期に定義され確立された本来の「積極的平和主義」です。
一方自民党の「積極的平和主義」は偽物です。圧倒的な武力によって他を押さえつけるか、武力の均衡によって辛うじて保たれる平和です。ガルトゥング等が定義した「消極的平和主義」に近いものです。そしてこれが今日現在までの人類の歴史の中でいかに悲惨な結果をもたらしてきたかは明らかです。とりわけ我々日本人は先の大戦で近隣諸国に与えた危害の大きさを忘れてはなりません。今の自民党はこの歴史に学ぼうとしない人たちが大勢を占めているのです。
先日富士山頂付近の県境が決まっていないことが報道されましたね。しかし山頂の帰属を争って山梨県と静岡県が戦争することはあり得ません。国内のことなので当然です。また独仏国境のアルザス・ロレーヌ地方といえばかつて幾度となく国境紛争で帰属が変わったことで有名です。しかしEUという国家連合が成立していく中で国境紛争もなくなりました。当然のことながら我ら人類にとって、その次のステップは地球規模の連合です。EUよりも更に多様で規模が大きい分、EU以上に多難ではありますが、人類はこれを成し遂げる力を持っています。手始めは国連の改組・民主化です。国連軍が組織され、各国軍が武装解除されていけば、そこに費やされていた莫大な富が貧困と格差の解消に回ります。東・南シナ海を含む全ての国境紛争も対話の中で決まっていくことでしょう。或は富士山頂の様に敢えて境を決めずとも済むようになるかも知れません。
そこに至るまでの間の安全保障ですが、近隣諸国が「痛い」と言う限りは謝り続けなければなりません。首脳クラスの靖国神社参拝も金輪際やめる必要があります。尖閣諸島をめぐる中国との争いは、彼らが言うように暴走老人を自認する元都知事が暴走して我が国が先に動いた結果であり、元通りに棚上げする覚悟も必要です。そうすれば海上保安庁の手に余るような衝突は避けられることでしょう。
私は世界連邦主義者なのでこの地球規模の統合を「世界連邦」と呼びますが、日本国憲法の中でも9条に代表される平和条項は世界連邦実現のための松明だと思っています。決してこれを破棄することなく「真の世界平和」実現のために掲げ続けていくべきだと考えているのです。貴党の皆さんにもこれに賛同していただければ幸いです。
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