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新たなる戦前への兆し もう黙すまい

2014-03-09 17:52:14 | より良き我国のために

 1978824日「反動化の兆し もう黙すまい」東京都 大田耕作

 「私は偉い人たちや政治家や資本家だけに戦争の罪があるのだとは思いません。一般の人たちにも罪があります」十五歳の少女アンネ・フランクの訴えに、涙を禁じ得ないのは私一人であろうか。

 過ぎにし戦争において、富を求めるあまり、これを画策したのは確かに資本家であり、それにおもねて国民を強引に戦争に引き込んで行ったのは政治家であった。さらに、同調して学を曲げたのは偉い人つまり学者たちであったことは確かである。

 しかし、それでは一般の人たちには罪はなかったのであろうか。否である。開戦に至るまでの長い間、国民の名において、軍部にブレーキをかけるチャンスは、いくらでもあった。しかし多くの人々は、政治家や偉い人たちに雷同して、鬼畜米英を唱え、反戦を訴える者には非国民の罵声を浴びせて、全体主義にのめり込んで行ったのである。戦争責任の大半は、われわれ民衆にあるといって過言ではない。

 戦後この点の反省が十分であったとは思えない。戦犯に列せられた人物を黒幕として暗躍させ、さらには、その中から首相まで選び出したことが、その最たる証である。

 そして今、再び資本家は軍備拡張を唱え、政治家はこれに呼応して、有事立法を画策して反動化を伺うに至った。我々はここで目をしっかりと見開いて、四十年前の轍を踏まない選択せねばならない。それなくして、いかに幾百万英霊と、犠牲となった他国の人々と、そして次世代の我々の子孫に対して顔向けができるのだろうか。

 35年前の朝日新聞「声」の欄に掲載された私の声です。ちなみに大田耕作は世界連邦運動のなかで、私が使っていた別名です(朝日新聞さん済みません)。

1.アンネの日記とヘイトスピーチ

先月首都圏を中心に多数の図書館で「アンネの日記」やその関連本が破られました。犯人が捕まっていないのでその意図するところは不明ですが、ナチス礼賛者の仕業でしょうか。在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチが続いていますが、彼らを侮蔑する落書きの中にもナチスのハーケンクロイツが散見されます。本を破ることとヘイトスピーチの間には共通する排他的、独善的な思考パターンが潜んでいるように思えます。バブル崩壊から20年、長引く不況と非正規雇用の拡大政策は我が国に格差社会をもたらしました。格差に苦しむ階層は往々にして自分たちより更に低い階層を見つけ出し、それを侮蔑・攻撃して溜飲を下げたがるものです。その対象が在日韓国・朝鮮の人たちなのだと思います。1923年の関東大震災の折、多くの朝鮮人が虐殺されました。日頃差別し侮蔑していた対象が、混乱に乗じて仕返しをするのではないか、という疑心暗鬼が虐殺を招いたのでしょう。もし今首都圏が再び大震災に見舞われたとしたら、90年前と同様、在日の人々が襲われるのではないかと案じられてなりません。

2.新たなる戦前への兆し

教育改革、憲法9条の解釈変更、武器輸出三原則の緩和などを今年に入って安倍政権が矢継ぎ早に打ち出して来ました。アベノミクス効果で内閣支持率が高い間に日本社会の戦前回帰を図っているかのようです。

A.ハウリングとその防止

 皆さんはマイクとスピーカーが近いとハウリングが起こることを知っていると思います。これはスピーカーから出た音波の一部がマイクで拾われ、それをアンプ(増幅器)で増幅して再びスピーカーを鳴らすことを瞬時に何回も繰り返し「暴走」に至った結果なのです。ピーピーガーガー実に耳障りな雑音です。これを避けるためには音量、マイクとスピーカーの向きや距離を調節してこれら二者の関係を絶たなければなりません。

B.教育・メディアとハウリング

 戦前の教育は子供たちに「滅私奉公」を教えました。全ての子供は天皇の赤子であり、天皇のため、国のためなら命をも投げ出すように教えたのです。

 戦前のメディアも治安維持法などの厳しい締め付けの結果、ほとんどが政府の発表をそのまま報道しました。いわゆる「大本営発表」です。

 この教育とメディアはどんな結果をもたらしたでしょうか。子供も大人も政府の言うことを信じて疑わず、戦争への坂道を転げ落ちていったのです。勿論なかには反戦を唱える人たちもいましたが、メディアを含めて大勢が彼らを非国民扱いして投獄・抹殺してしまったのです。

 これを先ほどのハウリングの話に当てはめると、マイクに相当するのは子供、大人そしてメディアであり、スピーカーに相当するのは政府です。政府が教育やメディアに介入すると反対勢力がなくなり、歯止めが利かずハウリングが起こって社会が暴走状態に至るのです。

 これを防ぐためには教育もメディアも政府から独立していなければなりません。政府は権力ですから腐敗も暴走もします。国民とメディアは常にこれを是々非々で、或いは多少批判的に見てこれを制御していなければならないのです。これが先の大戦の貴重な教訓であり、戦後の教育委員会制度や言論・表現の自由・知る権利などの概念の元になりました。

C.安倍政権の教育・メディア政策

 しかるに安倍政権は教育委員会や教育長の権限を縮小し、教育に政治色を強めようとしています。確かに今の教育委員会制度に問題が無いとはいえません。しかしこれは委員を公選制に戻すなど別の手段で改善するべきです。教育の政治からの独立という最も守るべき根幹を変えてはなりません。

また安倍政権は道徳を正規科目にして「滅私奉公」タイプの人造りを目指しています。これは我が国がハウリングを起こして暴走するための最短の道になります。

更に歴史教科書の検定も強化して政府見解に沿った内容にしようとしています。特に戦前・戦中において我が国が犯した数々の近隣諸国への悪行はできるだけ隠すことによって「日本人の誇り」を保とうとしています。しかしそんな独りよがりな教科書で学んだ若者こそかわいそうです。世界に出てから真実を知らされ、恥をかくことになるでしょう。

 安倍政権は昨年末、特定秘密保護法を強行採決しました。これは「特定」と言いながら実のところ「不特定」で拡大解釈、乱用を防ぐ手立てを講じていません。拡大解釈や乱用を許せば戦前の治安維持法のように、メディアを黙らせ、国民を締め上げる手立てになります。

 安倍首相が選んだNHKの経営委員の中で百田氏と長谷川氏、経営委員会で選んだ籾井会長の言動が批判の的になっています。少なくとも経営委員を首相が選ぶことは改めるべきです。

この安倍政権が戦後教育の改革と特定秘密保護法をもって目指す「美しい日本」は自民党の憲法改定草案も考え合わせると次のような国ではないでしょうか。つまり、天皇を元首とし、国民は天皇と国を愛し、権利の主張と権力の批判は程ほどに控え、滅私奉公で従順に国を守る義務を遂行する美しい日本。つまり戦前の日本に他なりません。

D.戦争も辞さない普通の国へ

 憲法9条を変えて集団的自衛権を行使可能とすることは自民党立党以来の悲願でした。彼らにとって現憲法は米国から押し付けられたものであり、特に9条で武力を放棄させられていることは我慢ならず、一刻も早く英・独・仏国のように米国と一緒になって武力行使ができる「普通の国」に成りたいのです。

 米国が世界の保安官役を返上しつつあり、中国が経済力を背景に軍備を拡張して海洋進出を図り、北朝鮮が体制維持のために核兵器とミサイルを持ち、韓国とは慰安婦・竹島問題などで過去最悪の状態にある現状は安倍政権が「普通の国」を目指すうえでこの上ないチャンスです。むしろこのチャンスを作るために従軍慰安婦問題の河野談話の見直しや安倍首相の靖国神社参拝などでわざと中国や韓国を怒らせる言動を繰り返しているのかも知れません。

 近隣国からの脅威をもって国民に9条を含む憲法の改変を納得させようとしている節があります。しかし隣国との間で国民同士の憎悪を掻き立てることは危険きわまりありません。それは些細なきっかけで引き起こされる紛争の遠因になりうるので、即刻やめるべきです。

 安倍政権はテロや国際紛争に対して武力介入をも辞さずに対処することを「積極的平和主義」と表現し、その実現を目指しています。しかしノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングがかつて定義した本来の「積極的平和」とは貧困、差別、抑圧など、あらゆる紛争の種を無くして武力に頼らず対話のみで真の平和を実現することであり、全く真逆の考えです。もちろん我々は後者を選ぶべきです。

 アベノミクスの第三の矢がなかなかヒットせず息切れしそうですが、その第三の矢の中に軍需産業の育成が潜んでいるのではないでしょうか。武器(防衛装備)輸出三原則の緩和はそれが目的です。つまり財界の意向に沿って三原則を緩めようとしているのです。

 かくして我が国の若者が他国の人々を殺し、或いは殺され、我が国から輸出された武器が他国の人々を傷つける日が来ようとしているのです。

E.もう黙すまい

専守防衛だけで大丈夫なのか?戦後最悪の状態といわれる現在の東アジア情勢において、安倍政権の政策を支持したくなる気持ちも分からないではありません。しかしこれらは徹底的な対話路線でも解決できるはずです。昨日もドイツ大統領が先の大戦での大量虐殺行為をギリシャ国民にわびています。我が国も徹底的にわびれば良いのです。そしてそれをドイツの「反ナチス法」のように法律にすれば良いのです。 

 我が国の若者が他国の人々を殺し、或いは殺され、我が国から輸出された武器が他国の人々を傷つける事態を避けたいと、もしもあなたがお考えならば、安倍政権の政策にNo!の声を突きつけてください。決して傍観してはいけません。黙っていれば80年ほど前と同様、我が国は戦争への坂道を転がり始めます。そして第二のアンネに嘆かれるのです。「一般の人たちにも罪があります」と・・・。

F.憲法9条と世界連邦

 ところであなたは世界連邦を知っていますか。現在の国連をより強力に、より民主的に改編したものです。国連の安保理は5常任理事国が持つ拒否権行使の応酬で大事なことはほとんど決まりません。これが先の大戦以降今日に至るまで延々と地球上に流血と戦火が耐えなかった第一の理由です。第二の理由は国連軍が組織されていないことです。安保理決議で出動する多国籍軍は各国軍の寄せ集めで指揮系統がバラバラです。現在の世界は日本史でいえば群雄割拠の安土桃山時代とさして変わりません。

 世界連邦は立法、行政、司法全てが民主的に運用され、そこに大国の拒否権はありません。世界連邦軍はゆくゆく地球上で唯一の武力になり、各国の軍隊は徐々に武装解除されていきます。こうして各国が核兵器を含む武力に賭けていた膨大な無駄遣いが解消されるのです。そしてその分の富は全地球市民の福祉に充てられます。あたかも地球上が一つの国家になった形に近いですね。そこでは当然ながら全てのいざこざは世界連邦議会で、世界連邦政府で、世界連邦裁判所で解決されるのです。

 日本国憲法の平和主義、特に9条の理想はこの世界連邦が実現しない限り「絵に描いた餅」のようなものです。しかし世界連邦の実現が遠いから、9条を捨て去るのは愚かなことです。人類の理想である9条をそのまま掲げ続けられるように、一日も早く世界連邦を実現すべきではないでしょうか。そのための具体的な言動をあなたに今すぐお願いしたいのです。

なお世界連邦に関する詳細は下記ホームページを参照してください。

 世界連邦運動協会http://www.wfmjapan.org/



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