神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 樹環惑星―ダイビング・オパリア―

2011-01-11 22:28:59 | SF
『樹環惑星―ダイビング・オパリア―』 伊野隆之 (徳間文庫)




こちらも第11回日本SF新人賞受賞作。どちらの作品も、本格SFとしての根から、エンターテイメント小説としての葉が茂っていると言える。ライトノベルや主流小説とは似て非なるDNA。まさにオパリア。(かなりこじつけw)

趣味の問題だとは思うけど、実はあんまり乗れなかった。それがどうしてかを考えるならば、おそらく、“燃え”成分の不足。『シンギュラリティ・コンクエスト』が萌え成分過剰ならば、『樹環惑星』は燃え成分不足なのだ。

ダイビング・オパリアという副題を掲げるならば、3万メートルの危険なダイブで証拠を取りに行けよ。行政SFというならば、『正義の話をしよう』ぐらいの決断を迫られたらどうだ。と思ってしまう。あからさまに怪しい領事も、何にも関係ないただの人だったし。

単純な巨悪にしたくないというのはわかるが、スリルとサスペンスは必要でしょう。

乗れないと荒が目立つとのはあたりまえというか、納得のいかない説明がちらほら。そのせいで、どうしても書きたいシーンのつぎはぎに見えてしまう。そのあたりはどうなんだろうな。

だからといって、まったく楽しめなかったわけでもないし、ダメダメな小説ということは全くない。バランスよくまとまった秀作で、これまでの新人賞レベルを超えていると思う。ただ、全体の雰囲気が好みに合わなかったということにすぎないんだけど……。

解説で山田正紀氏が指摘している“新しいリアリズム”については、科学リテラシーの問題なんじゃないかと思う。いや、ちょっとちがうな。拡散しきったSFの問題かな。

何が言いたいかというと、何だかわからないけどわかったつもりになる書き方と読み方が確立されてきたんじゃないかということなのだけれど、ちょっと違うかも。

「無電極プラズマ推進器」と「相転移エンジン」はどちらも「なんだかよくわからないけどそういうもの」として受け入れられる素地が読者の中にできてしまっていて、無電極とはどういうことかとか、具体的に何が相転移するのかとかが、直接ストーリーに密接にかかわってこない限りは、わからなくてもスルーしていいという合意ができてしまっている気がする。いや、「無電極プラズマ推進器」は“はやぶさ”のイオンエンジンのことなんですけどね。

つまり、SFの浸透と拡散がそういうものを読み飛ばすスキルを作っちゃってるのではないかという仮説。いや、この小説がそういういい加減な説明をしているということではなく、リアリティの担保のためにどこまで書き込むかというレベルの話なんですが。

こんなことを考え付くのは、結局、自分がそういうスルー読みしてしまっているということなのかもしれないんだけど。計算しながら読む読者じゃないしね。


[SF] シンギュラリティ・コンクェスト

2011-01-11 22:26:33 | SF
『シンギュラリティ・コンクエスト』 山口優 (徳間書店)




第11回日本SF新人賞受賞作が改訂されて出版されたもの。SF新人賞休止の影響があるのかどうなのか、これまで恒例の赤本ハードカバーではなく、徳間文庫での発売。この方が読者にとってはありがたいが、売上的にはどうなんだろう。SFに夏が来たという割りに、徳間書店にはあんまりそのムーブメントが来てないような……。

この小説はツンデレ戦闘少女という萌え属性で読者を引っ張り、なおかつ、シンギュラリティというSF的テーマに真正面から取り組んだ意欲作。


まずは、シンギュラリティとは…って話をしなきゃいけないんだろうけど、なんだかこれはよくわからんよね。何かとんでもないことが起こる“特異点”なわけだけれど、そのとんでもないことというのは現代で考えられないほどトンデモナイことなので、語るのは無理って感じ。だと思っていた。

この小説では、コンピューターが人間の処理速度を超えて、人間には作り出せないものを作り出し始める時点をシンギュラリティ・ポイントとして定義している。で、そこでコンピューターが人間とどう共存できるかという意味でのシンギュラリティの克服がテーマなわけだ。

その鍵が萌え萌えアンドロイドっていうのは、無くは無いと思う。

人間社会の中でこそ成長する機械知性というテーマは、つい最近のSFマガジン(2011年1月号)に掲載された、テッドチャンの「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」という中編でも取り上げられている。

ただ、ここで自分との見解が分かれるのは、「シンギュラリティ・コンクエスト」の天夢はすでにシンギュラリティ・ポイントを超えた先にしか存在しえないんじゃないかということ。

メサイアはいかにも人工知能らしい人工知能であるが、天夢はどう考えても現代の人工知能の先にある存在とは思えない。ポジトロン電子頭脳なんていう、ある意味懐かしい単語を持ちだしているところからみても、著者もそう思っていそうな気がする。

いきなり天夢を作ることはできなくても、テッド・チャン的アプローチで徐々に育てることは可能だろうという考え方もあるだろうけど、現実に存在している人工知能は、いわゆる中国語の部屋から抜け出せておらず、やっぱり人工無能に近い。その人工無能をいくら育てても、人工知能にはならないんじゃないかな。

面白いのは、作中でメサイアと天夢の違いは感情系が固定パラメータか、可変パラメータかという点で語られることだ。つまり、二つはまったく異なるシステムではなく、基本的に同じ仕組みで動いているということ。

これは逆に言えば、人間という同一ハードウェアでも、メサイア的な個体と天夢的な個体が発生する可能性があることを示唆している。たとえば、暴君ネロだの、ヒットラーだの、隣の金さんだの……。なので、天夢的システムが生まれればすべて解決というのはちょっと楽天的にすぎるような気がする。

そういった意味では、人工知能がどうとか、感情パラメータがどうとかいったSF的な話というよりは、子育てには周囲の愛情が超重要っていう話に読むのが正しいような気がする。


この小説のもう一つの側面である萌えについて。

人工知性体、というか、萌え少女アンドロイドの天夢は複数の軸で対立者を持っており、その対比において、萌えデータベース的にキャラクターを浮かび上がらせている。メサイア、リヴカ、日向……。まぁ、メサイアは女性キャラじゃないけど。

天夢-メサイアの軸は、人工知能の種別の軸。ここはシンギュラリティ克服のテーマそのものと一致している。天夢-リヴカは日本神話的多神教徒ユダヤ教的一神教の軸、天夢-日向は人工知性対と人間の関係をどう捉えるかというエデン派とノア派の軸、それぞれの軸もシンギュラリティを超越するための鍵となる。これらは萌えデータベースのアイテムであり、なおかつ、SF的テーマの本質に迫るという意味で、非常によく考えられた配置になっている。

SFに萌えが必要かという議論はあり得るとは思うが、萌え属性を単純に表面的なフレーバーにするのではなく、SFテーマ部分にきっちりと直結させているところが非常に面白い。

これは著者個人の趣味というよりは、世代に意味があるのではないかという仮説を立ててみる。著者の生年は1981年。おそらく、“ジュブナイル”でも“ヤングアダルト”でもない、“ライトノベル”が気付いた時には存在していた世代になってきているはず。そのために、対比するキャラクターの配置という思考の中で、意識せずに萌えデータベース的なキャラクター設定がなされているのではないかと。つまり、萌えは意識したものではなく、自然に思考過程に組み込まれたものである。これぞ、偏在する萌え。萌えユビキタス。


萌えデータベースと本格SFの見事な融合というべきかもしれないが、それを面白いと思うかどうかは別なようで。特にラノベ読者側の感想を見る限り……。



1月10日(月)のつぶやきその2

2011-01-11 02:31:58 | つぶやき
21:37 from Tween
B案はくしゃみかよ!
22:16 from Tween
クフの大ピラミッドが岩山の上に石を積んだっていうのは初めて聞いた。やっぱりエジプトはミステリーが止まらない。
22:42 from Tween
ああ、そういうことか。掘り込み式持ち送り構造。それで大回廊の側面はああなってるんだ!
23:06 from Tween
本当に人工の穴ならば、子供に掘らせたんだろう。昔の金山でもあったからな。
23:10 from Tween
おや、調査は2009年だって!
23:17 from Tween
うーむ。本当に大発見があったら、番組になる前にニュースに流れてると言ったのはうちの親だが、確かに正しいなw
23:21 from Tween
しかし、ジェドフラーのピラミッドは面白い。あの最下部が玄室かどうかは、やっぱり明確じゃないけど、ピラミッドの内部構造がわかったというのは今回の収穫だった。古代エジプト文明はどこまでもおもしろいわ。
by kats_takami on Twitter

1月10日(月)のつぶやき

2011-01-11 02:31:57 | つぶやき
00:03 from Tween
吉田よくやったー!!
00:06 from Tween
ひきわけー。なんちゅー試合じゃ。前半と後半の終わりに得点とか。
00:07 from Tween
とられ方が逆よりも、次の試合に勢いが付くので良しとしよう。
00:08 from Tween
ザックさんにとってもいい勉強になった試合じゃないですかね。これが中東サッカーだw
00:10 from Tween
ザック、オウンゴール言うなw
00:33 from Tween (Re: @kaba_yan
寒いと抵抗が少なくなるので消費電流が増えるのです(微嘘) たぶん、電池の化学反応が低温で抑えられるせい。 QT @kaba_yan: @odo5312 寒いと放電しやすいという都市伝説は聞いた事あるんですけどね。
00:40 from Tween
クウェートの退場、中国選手の演技くせー様に見えるでございます。
07:49 from Tween
全国の伊達直人は頭をひねってランドセル以外も贈ればいいのに。アニメだと、100円で食べ放題、足りない分はこっそり補填とかあったよね。
08:08 from Tween
朝ごはん炊くのを忘れてた上に寒すぎるのでもう一度寝る。
12:03 from Tween
イエヒメアリらしきのが窓辺をうろうろしているので、アリの巣コロリ黒蜜入りを買ってきたんだが、なかなか毒餌を持っていってくれない。いつも2、3匹しかみないので、巣は外か別なひとんちだと思うんだけどね。
13:01 from Tween
国立なう。くにたちだけどな!(事実)
13:56 from 読書メーター
【樹環惑星――ダイビング・オパリア―― (徳間文庫)】趣味の問題かもしれないが、いろいろと惜しい作品。ストーリーをつなげるために、無理やりな設定に思えるところが... http://book.akahoshitakuya.com/cmt/9200413 #bookmeter
15:50 from Tween
すんごい試合になってきたもんだ。
16:03 from Tween
滝川第二おめでとう。久御山も良かった。金の取れる試合だったと思うよ。
18:37 from Tween
やっぱりエジプトはまだまだミステリアスだな。なにより、あのザヒ・ハワーズの胡散臭さがたまらない。
19:24 from Tween
規制だ規制だと言ってる人は、ひとまずやばいと思うタイトルを挙げてくれ。何のことを言っているのかわからないので、zipでくれ。個人的には既存の猥褻物規制以上のものがなんで必要なのかわからない。
19:30 from Tween
NHKへチェーンジ。福山ファンもネイチャーファンもNHKへ!
19:32 from Tween
おい、ホットスポットの特集をNHKでやってるぞ>Javaクラスタ
19:43 from 読書メーター
【スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)】を読んでる本に追加 http://bit.ly/fCII6e #bookmeter
19:48 from Tween
「危ぐ」ってなにー>NHK。かえってわからんわ、ボケ。熟語の片方だけひらがなにひらくくらいなら、別な表現を考えるべきだと思う。
19:57 from Tween
福山のしゃべり方がわざとらしくてスタンダップコメディのパロディみたいだ。まるでダンディ坂田みたい。
20:33 from Tween
ヒカリコメツキムシ幼虫の映像。初めて見た。たしかにこれはすごい。
20:42 from Tween
なんだ、今日のは予告編みたいなもんか。
21:02 from Tween
ピラミッド!ピラミッド!ミイラ!ミイラ!
21:29 from Tween
ザヒ博士が女好きなので、えなりがクビで女子追加なのかw
by kats_takami on Twitter